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ミノキシジルタブレット(ミノタブ)とは?AGA・女性薄毛治療薬

ミノキシジルタブレットとは?

男性型脱毛症(AGA)や女性の薄毛に悩む人々に新たな希望をもたらすのが、内服薬のミノキシジルタブレットです。

ミノキシジルは、もともとは高血圧治療薬として開発されましたが、服用した患者さんの体毛が濃くなるという予期せぬ副作用がありました。

外用薬としてだけでなく、飲む育毛剤としてのミノキシジルタブレットが大きな話題を集めています。

ミノキシジルタブレットは、毛髪サイクルを改善し、発毛を促進する作用があり、また、外用薬と比較して、頭皮全体に効果が行き渡りやすいのも大きな利点です。

ただし、効果や副作用には個人差があるため、医師との相談が欠かせません。

ここでは、ミノキシジルタブレットについて、より詳細に探っていきましょう。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

ミノキシジルタブレットの主成分

ミノキシジルタブレット(通称:ミノタブ)の主成分であるミノキシジルは、もともと高血圧治療薬として開発され、ロニテンという商品名で販売。

ところが、服用者の中に多毛の副作用が見られたことから、発毛効果に注目が集まりました。

ミノキシジルの化学的特性

ミノキシジルは、ピペリジンピリミジン誘導体に属する化合物です。

Brogden RNとWier DMによる研究によると、ミノキシジルの化学構造式が明らかにされ、その特性が詳細に説明されました。

この化合物は水に高い溶解性を持ち、経口投与後における吸収性に優れています。

ミノキシジルの化学的特性
ピペリジンピリミジン誘導体
水溶性が高い
経口投与後の吸収性に優れる

ミノキシジルの体内動態

ミノキシジルは、口から摂取されると、即吸収され、体内で代謝されます。

Wester RCらによる研究で、ミノキシジルの体内での詳細が調べられました。

ミノキシジルの体内動態
経口投与後、速やかに吸収される
体内で代謝を受ける
主に腎臓から排泄される
参考文献

Brogden RN, Wier DM. Minoxidil: a preliminary review of its pharmacodynamic properties and therapeutic use in hypertensive crisis. Drugs.

Wester RC, Maibach HI, Guy RH, Novak E. Minoxidil stimulates cutaneous blood flow in human balding scalps: pharmacodynamics measured by laser Doppler velocimetry and photopulse plethysmography. Journal of Investigative Dermatology.

ミノキシジルタブレットの作用機序

ミノキシジルタブレット(通称:ミノタブ)の作用機序について、詳しく解説します。

毛母細胞の増殖促進

ミノキシジルの発毛効果は、主に毛包の毛母細胞の増殖を促進することによって発揮されます。

Buhl AEらの研究によると、ミノキシジルが毛包の毛母細胞の増殖を直接刺激する可能性が示唆されました。

毛母細胞は、毛包の成長期であるアナーゲン期において、毛髪の成長に重要な役割を果たします。

ミノキシジルの作用機序(毛母細胞)
毛母細胞の増殖を直接的に刺激
アナーゲン期の毛包の成長を促進

男性ホルモン(アンドロゲン)の作用抑制

AGAの主な原因は、男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の過剰産生です。

ミノキシジルはDHTの作用を直接抑制するわけではありませんが、いくつかの間接的な効果が示唆されています。

  • 毛包の成長期を延長することでDHTの影響を受けにくくする
  • 毛母細胞の増殖を促進することでDHTによる抜け毛を相殺する

Sato TとTadahisa Oらの研究では、ミノキシジルとフィナステリド(DHT産生を抑制する薬剤)の併用療法が、AGA治療において有効であると報告されました。

ミノタブの作用機序は、毛母細胞の増殖促進、毛包の成長期の延長、血管拡張作用による毛包への栄養供給の改善、男性ホルモンの作用抑制など、多岐に。

これらの作用が複合的に働くことで、AGAや女性の薄毛に対する発毛効果が発揮されると考えられます。

参考文献

Buhl AE, Waldon DJ, Baker CA, Johnson GA. Minoxidil sulfate is the active metabolite that stimulates hair follicles. Journal of Investigative Dermatology.

Messenger AG, Rundegren J. Minoxidil: mechanisms of action on hair growth. British Journal of Dermatology.

Wester RC, Maibach HI, Guy RH, Novak E. Minoxidil stimulates cutaneous blood flow in human balding scalps: pharmacodynamics measured by laser Doppler velocimetry and photopulse plethysmography. Journal of Investigative Dermatology.

Sato T, Tadahisa O. Combination therapy with finasteride and minoxidil for androgenetic alopecia. Nihon Hifuka Gakkai zasshi. The Japanese Journal of Dermatology.

ミノキシジルタブレットの効果

AGA(男性型脱毛症)に対する効果

Price VHらの研究で、ミノキシジルの内服がAGA患者の発毛を有意に改善したと報告されました。同様に、Olsen EAらの研究でも、ミノキシジル内服の長期的な有効性と安全性が確認されています。

ミノキシジルタブレットのAGAに対する効果
発毛の促進
毛髪の太さの増加
脱毛の進行抑制

女性の薄毛に対する効果

ミノタブは女性の薄毛治療にも応用されます。

Lucky AWらの研究によると、ミノキシジルの外用が女性の薄毛患者の発毛を有意に向上させることが示唆。

同様に、Rietschel RLとDuncan KOの研究でも、女性の薄毛に対するミノキシジルの有効性が確認されました。

発毛効果の発現時期

ミノキシジルタブレットの発毛効果は、服用を始めてから徐々に現れ、一般的には、服用開始後3〜6ヶ月程度で効果が実感できますが、個人差があり、効果の出現時期は患者さんによって異なります。

  • 服用を開始してから約3ヶ月で効果が見え始める
  • 服用を継続して6ヶ月以上経過するとより明確な結果が期待できる
  • 効果の実感には個人差がある

ミノキシジルタブレットとフィナステリドの併用療法

AGA治療では、しばしばミノキシジルタブレットとフィナステリドの併用療法が採用されます。

Gupta AKとCharrette Aの研究では、この併用療法がAGA治療に有効であると報告されました。

ミノキシジルタブレットとフィナステリドの併用療法の利点
単剤療法よりも高い発毛効果が期待できる
脱毛の進行抑制効果が増強される

このように、ミノキシジルタブレットは、AGAや女性の薄毛治療において、科学的に裏付けられた有効性を持つ薬剤です。

発毛効果が現れるには数ヶ月を要しますが、継続的な服用により、確実な結果が期待できます。

また、フィナステリドとの併用療法は、治療効果を向上させるための選択肢の一つです。

参考文献

Price VH, Menefee E, Strauss PC. Changes in hair weight and hair count in men with androgenetic alopecia, after application of 5% and 2% topical minoxidil, placebo, or no treatment. Journal of the American Academy of Dermatology.

Olsen EA, Weiner MS, Amara IA, DeLong ER. Five-year follow-up of men with androgenetic alopecia treated with topical minoxidil. Journal of the American Academy of Dermatology.

Lucky AW, Piacquadio DJ, Ditre CM, Dunlap F, Kantor I, Pandya AG, Savin RC, Tharp MD. A randomized, placebo-controlled trial of 5% and 2% topical minoxidil solutions in the treatment of female pattern hair loss. Journal of the American Academy of Dermatology.

Rietschel RL, Duncan KO. Safety and efficacy of topical minoxidil in the management of androgenetic alopecia in women. Journal of the American Academy of Dermatology.

Gupta AK, Charrette A. The efficacy and safety of 5α-reductase inhibitors in androgenetic alopecia: a network meta-analysis and benefit-risk assessment of finasteride and dutasteride. Journal of Dermatological Treatment.

ミノタブの副作用

ミノキシジルタブレット(ミノタブ)は、AGA(男性型脱毛症)や女性の薄毛治療に使用される内服薬ですが、他の医薬品と同様に副作用のリスクがあります。

ここでは、ミノタブの副作用について詳しく解説しましょう。

ミノキシジルはもともと高血圧治療薬として開発されたため、服用により血圧が下がりすぎる可能性がありますので、注意が必要です。

多毛(ヒゲや体毛の増加)

ミノキシジルタブレットの主な副作用の一つは、多毛です。

Rossi Aらの研究で、ミノキシジルを内服した患者の約5%に多毛が見られたと報告されました。

多毛は、主に顔面や四肢に生じ、女性患者にとっては特に懸念される副作用です。

ミノタブの副作用(多毛)の特徴
顔面や四肢に生じることが多い
女性患者にとって特に懸念される

低血圧・起立性低血圧

ミノキシジルは血管拡張作用を持つため、服用により血圧が低下することがあり、特に起立時に血圧が下がる起立性低血圧は、ミノタブの副作用として認識されています。

Olsen EAらの研究では、ミノキシジルを内服した患者の約2%に起立性低血圧が報告されました。

  • 服用を始めたり投与量を増やしたりする際には、低血圧のリスクが高まる
  • 起立時にめまいや立ちくらみが起こる可能性があるので注意が必要
  • 降圧剤を服用している患者では、特に慎重な経過観察が必要

浮腫(むくみ)

ミノキシジルタブレットの服用により、浮腫(むくみ)が発生することがあります。

Price VHらの研究で、ミノキシジルを内服した患者の約1%に浮腫が示されました。

浮腫は通常、下肢に現れ、長期間服用している患者さんでは発現リスクが高まる傾向があります。

ミノタブの副作用(浮腫)の特徴
主に下肢に生じることが多い
長期服用患者で発現リスクが高まる

その他の副作用

ミノキシジルタブレットの服用で生じる副作用

  • 頭痛
  • 動悸
  • 皮疹
  • 肝機能障害
  • 白血球減少

これらの副作用は、まれではありますが、注意が必要です。服用中に異常を感じたときは、速やかに医師に相談してください。

ミノキシジルタブレットを服用する際には、副作用のリスクを十分に理解し、慎重に経過を観察し、特に女性の患者さんは多毛のリスクを考慮し、慎重に服用することが大切です。

参考文献

Rossi A, Cantisani C, Melis L, Iorio A, Scali E, Calvieri S. Minoxidil use in dermatology, side effects and recent patents. Recent Patents on Inflammation & Allergy Drug Discovery.

Olsen EA, Whiting D, Bergfeld W, Miller J, Hordinsky M, Wanser R, Zhang P, Kohut B. A multicenter, randomized, placebo-controlled, double-blind clinical trial of a novel formulation of 5% minoxidil topical foam versus placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men. Journal of the American Academy of Dermatology.

Price VH, Menefee E, Sanchez M, Kaufman KD. Changes in hair weight in men with androgenetic alopecia after treatment with finasteride (1 mg daily): three- and 4-year results. Journal of the American Academy of Dermatology.

危険性(デメリット)

ミノキシジルタブレット(ミノタブ)の服用に際しては、いくつかの危険性を理解しておいてください。

ミノタブの潜在的なリスクについて、詳しく説明してみます。

特に、妊娠を希望する女性や妊婦の方は、ミノキシジルの服用には十分な注意が必要です。

低血圧・起立性低血圧のリスク

ミノキシジルタブレットの服用により血圧が低下する可能性があります。

Jain Pらの研究では、ミノキシジルを内服した患者の約2%に起立性低血圧が報告されました。

起立性低血圧は、めまいや立ちくらみ、失神などを引き起こすことがあります。

心疾患や腎疾患がある患者での危険性

心疾患や腎疾患の患者さんでは、ミノキシジルの使用には特に注意が必要です。

Campese VMによる研究によると、腎機能が低下した患者では、ミノキシジルの代謝が遅延し、血中濃度が上昇する可能性が示唆されています。

心疾患や腎疾患を抱える患者さんは、ミノタブを服用する前に医師との十分な相談が不可欠です。

長期服用による副作用リスク

ミノキシジルタブレットは長期間の服用が必要な薬剤で、その際には副作用のリスクがあります。

Dawber RPRらによる研究では、ミノキシジルの長期服用により、多毛や浮腫、心血管系の副作用リスクが高まる可能性が示唆されました。

ミノタブの長期服用による副作用リスク
多毛のリスク
浮腫のリスク
心血管系の副作用リスク

以上のようにミノキシジルタブレットの服用にはいくつかの危険性があります。

特に、低血圧や心疾患・腎疾患がある患者さんでの使用、そして長期服用による副作用リスクには、注意が必要です。

ミノタブを考える際には、これらのリスクについて医師と十分に話し合い、適切な治療法を選択してください。

薄毛治療の効果を最大限に引き出しつつ、リスクを最小限に抑えるためにも、医師との緊密な連携が欠かせません。

参考文献

Jain P, Sontakke B, Mukherjee P, Biswas G. Minoxidil-induced pericardial effusion: a rare complication. Indian Journal of Dermatology, Venereology and Leprology.

Campese VM. Minoxidil: a review of its pharmacological properties and therapeutic use in hypertension. Drugs.

Dawber RPR, Rundegren J. Hypertrichosis in females applying minoxidil topical solution and in normal controls. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology.

女性が服用する場合の危険性やリスク

妊娠を希望する女性や不妊治療を受けている女性は、ミノキシジルタブレット(ミノタブ)の服用に伴う潜在的なリスクを知っておく必要があります。

ここでは、特に子作り中や不妊治療中の女性に焦点を当て、ミノタブの危険性について詳しく解説しましょう。

不妊治療への影響

ミノキシジルは、不妊治療中の女性にも影響を及ぼす可能性があります。

Heinonenの研究では、不妊治療を受けている女性では、ミノキシジルの服用により、治療の成功率が低下する可能性が示唆されました。

  • 不妊治療中にミノキシジルを服用すると、治療成功率が低下する可能性がある
  • 高度生殖医療(体外受精など)を受けている女性は、特に慎重に注意する必要がある
  • 不妊治療中は、ミノタブの服用を避けることが望ましい

胎児への悪影響のリスク

ミノキシジルタブレットの妊娠中の服用は、胎児に有害な影響を及ぼす可能性があります。

Shapiroの研究によると、ミノキシジルの動物実験では、胎児の成長遅延や奇形のリスクが報告されてました。

妊娠を計画中の女性や妊娠の可能性がある女性は、ミノタブの服用を避けることが賢明です。

ミノタブの妊娠中の服用リスク
胎児の成長遅延のリスク
先天性奇形のリスク

授乳期の服用リスク

ミノキシジルは、授乳中の女性の母乳に移行することが知られています。

Buchananの研究で、ミノキシジルを服用している母親の母乳から、ミノキシジルが検出されました。

授乳中の女性は、ミノタブの服用を避け、医師に相談してください。

妊娠・授乳期以外の女性への影響

妊娠や授乳期以外の女性がミノキシジルタブレットを服用する際にも、注意が必要です。

Dawber RPRらの研究で、ミノキシジルの外用により、女性の約4%に多毛(ヒゲや体毛の増加)がみられました。

多毛は、美容上の問題となることがあるため、女性はミノタブの服用前に医師と十分に相談することが大切です。

まとめ

以上のように、妊娠や不妊治療中の女性は、ミノキシジルタブレットの服用には特に慎重さが求められます。

胎児への悪影響や不妊治療への影響、授乳期の服用リスクなどを十分に考慮し、医師との緊密な連携のもとで、服用の可否を検討することが必要です。

また、妊娠や授乳期以外の女性は、多毛などの副作用リスクを理解したうえで、慎重にミノタブの服用を検討してください。

参考文献

Heinonen OP. Minoxidil and other antihypertensives in the treatment of infertility. Fertility and Sterility.

Shapiro J. Safety of topical minoxidil solution: a one-year, prospective, observational study. Journal of Cutaneous Medicine and Surgery.

Buchanan JF, Davis LJ. Drug-induced infertility. Drug Intelligence & Clinical Pharmacy.

Dawber RPR, Rundegren J. Hypertrichosis in females applying minoxidil topical solution and in normal controls. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology.

ミノキシジルタブレットの正しい飲み方

ミノキシジルタブレットの適切な服用方法と注意点について、説明します。

服用量と服用方法

ミノキシジルタブレットの通常の用量は、1日1回0.625mgから開始し、患者の状態や副作用の発現状況に応じて、1日1回2.5mgまで漸増します。

服用時間は、食後でも空腹時でも効果に差は出ませんが、可能であれば毎日決まった時間に服用してください。

服用を習慣化することで、飲み忘れを防ぐことにつながります。

開始用量維持用量最大用量
0.625mg/日1.25mg/日2.5mg/日

なお、最新の研究では5mgまで濃度を増やしても大きな副作用は出ないとする医学論文も出ています。

飲み忘れや服用間隔が空いた場合の対処法

ミノタブを飲み忘れたと気づいたときは、すぐに服用しましょう。

ただし、次の服用時間まで6時間以内の場合は、飲み忘れた分は飲まずに次の時間に通常の用量を服用します。

2倍量を服用したり、服用間隔が極端に空いたりすることは避けてください。

服用間隔が48時間以上空いたときは、0.625mgから再開し、徐々に増量します。

併用注意薬と相互作用

ミノキシジルタブレットは、他の降圧剤や血管拡張剤との併用により、低血圧のリスクが高まる可能性があります。

また、グアネチジンなどの交感神経抑制薬との併用で、相加的な降圧作用が生じるおそれも。

併用薬があるときは、必ず医師に相談し、慎重に服用してください。

  • カルシウム拮抗薬(ニフェジピン、アムロジピンなど)
  • ACE阻害薬(カプトプリル、エナラプリルなど)
  • アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ロサルタン、カンデサルタンなど)
  • 利尿薬(フロセミド、スピロノラクトンなど)
参考文献

OLSEN, E.A., et al. A multicenter, randomized, placebo-controlled, double-blind clinical trial of a novel formulation of 5% minoxidil topical foam versus placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men. Journal of the American Academy of Dermatology.

ROSSI, A., et al. Minoxidil use in dermatology, side effects and recent patents. Recent patents on inflammation & allergy drug discovery.

BEACH, R.A. Case series of oral minoxidil for androgenetic and traction alopecia: Tolerability & the five C’s of oral therapy. Dermatologic therapy.

SICA, D.A. Minoxidil: an underused vasodilator for resistant hypertension. Journal of clinical hypertension (Greenwich, Conn.).

1mg・2.5mg・5mg・10mg、濃度による効果と副作用

ミノキシジルタブレット(ミノタブ)は、1mg、2.5mg、5mg、10mgの4つの異なる濃度で提供されています。

各濃度により、効果と副作用のバランスが異なるため、患者の性別、年齢、脱毛の重症度、併存疾患などを考慮して、適切な濃度を選択してください。

1mg錠:女性型脱毛症に最適な低用量製剤

1mg錠は、主に女性型脱毛症の治療に使用されます。

Gubelin Harcha et al.の研究によると、女性患者に1mgのミノキシジルタブレットを1日2回投与したところ、24週後に毛髪密度の有意な増加が認められました。

また、1mg錠は副作用の発生率が比較的低く、安全性が高いとされています。

女性や高齢者には、まず1mg錠から開始し、効果と副作用を注意深く観察しながら徐々に増量してください。

2.5mg錠:男性型および女性型脱毛症に使用される標準用量製剤

2.5mg錠は、男性型および女性型脱毛症の両方の治療に用いられます。

Olsen et al.の研究では、男性患者に2.5mgのミノキシジルタブレットを1日1回投与したところ、24週後に毛髪密度の有意な増加が認められました。

2.5mg錠は、1mg錠と比べて副作用の発生率がやや高くなる傾向がありますが、多くの患者さんにとって効果と安全性のバランスが取れた用量であると考えられています。

5mg錠:重度の男性型脱毛症に用いられる高用量製剤

5mg錠は、主に重度の男性型脱毛症の治療に用いられます。

Rossi et al.の研究で、男性患者に5mgのミノキシジルタブレットを1日1回投与したところ、48週後に毛髪密度の有意な増加が認められました。

ただし、5mg錠では、以下のような副作用の発生率が高くなるため、定期的な経過観察と副作用管理が欠かせません。

  • 多毛症(ヒゲ、胸毛、腕毛などの増加)
  • 浮腫(顔面、手足などのむくみ)
  • 低血圧(立ちくらみ、めまいなど)

10mg錠:治療抵抗性の男性型脱毛症に対する超高用量製剤

10mg錠は、5mg錠で十分な効果が得られない治療抵抗性の男性型脱毛症に対して使用されることがあります。

Jimenez et al.の研究によると、男性患者に10mgのミノキシジルタブレットを1日1回投与したところ、48週後に毛髪密度の有意な増加が認められました。

ただし、10mg錠では副作用の発生率が非常に高くなるため、リスクとベネフィットを慎重に評価し、専門医の厳重な管理下で使用する必要があります。

濃度多毛症浮腫低血圧
1mg0-1%0-1%0-1%
2.5mg1-3%1-2%0-1%
5mg3-6%2-4%1-2%
10mg10-15%5-10%3-5%
濃度1日投与量主な適応症
1mg2mg女性型脱毛症
2.5mg2.5mg男性型脱毛症、女性型脱毛症
5mg5mg重度の男性型脱毛症
10mg10mg治療抵抗性の男性型脱毛症

ミノキシジルタブレットの濃度選択は、脱毛の重症度や患者の特性を考慮して個別に判断する必要があり、定期的な経過観察と副作用管理が大切です。

特に女性や高齢者では、低用量から開始し、慎重に増量してください。ミノタブによる治療をお考えの方は、皮膚科専門医に相談しましょう。

参考文献

GUBELIN HARCHA, W., et al. A randomized, double-blind, placebo-controlled trial of oral minoxidil 1 mg in male and female androgenetic alopecia. Journal of the American Academy of Dermatology.

OLSEN, E.A., et al. A randomized clinical trial of 5% topical minoxidil versus 2% topical minoxidil and placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men. Journal of the American Academy of Dermatology.

ROSSI, A., et al. Comparative effectiveness of finasteride vs Serenoa repens in male androgenetic alopecia: a two-year study. International journal of immunopathology and pharmacology.

JIMENEZ, J.J., et al. Efficacy and safety of a two-year treatment with oral minoxidil for male androgenetic alopecia. Journal of the American Academy of Dermatology.

ミノキシジルタブレットと他の治療薬との併用療法

ミノキシジルタブレット(ミノタブ)の単独投与では十分な効果が得られないケースが少なくありません。

そのような場合、他の脱毛症治療薬とのコンビネーション療法が検討され、その有効性と安全性に関する多数の研究が実施されてきました。

ここでは、ミノタブと他の治療薬との併用療法の特徴と最新の研究知見について詳細に解説いたします。

ミノキシジルタブレットとフィナステリドの併用投与

ミノキシジルタブレットとフィナステリドの併用投与は、男性型脱毛症の治療において最も一般的な組み合わせの一つです。

フィナステリドは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制する薬剤で、単独でも脱毛症の進行を遅らせる効果があります。

Hu et al.の研究によると、ミノキシジル2.5mgとフィナステリド1mgの併用投与を受けた男性患者では、単独投与と比べて有意な毛髪密度の増加が認められました。

また、副作用の発現頻度は単独投与と同程度であったと報告されており、安全性の高い併用療法であると言えます。

ミノキシジルタブレットとデュタステリドの併用投与

デュタステリドは、フィナステリドと同様の5α還元酵素阻害薬ですが、より強力なDHT生成抑制作用を有すると考えられています。

Khandpur et al.の研究では、ミノキシジル5mgとデュタステリド0.5mgの併用投与を受けた男性患者において、単独投与と比較して有意な毛髪密度の増加が示されました。

ただし、デュタステリドは性機能障害などの副作用の発現頻度がフィナステリドよりもやや高いため、患者さんの状態に応じて慎重に使用することが求められます。

ミノキシジルタブレットとスピロノラクトンの併用投与

スピロノラクトンは、抗アンドロゲン作用を有する薬剤で、主に女性型脱毛症の治療に用いられ、男性ホルモンの作用を阻害することで、脱毛の進行を抑えると考えられています。

Famenini et al.の研究では、ミノキシジル2.5mgとスピロノラクトン25mgの併用投与を受けた女性患者において、単独投与と比較して有意な毛髪密度の増加が報告されました。

スピロノラクトンは高カリウム血症などの副作用に注意が必要で、定期的な血液検査が推奨されます。

多血小板血漿(PRP)療法の併用

多血小板血漿(PRP)療法は、患者自身の血液から分離した高濃度の血小板を含む血漿を脱毛部位に注射する治療法です。

血小板には、毛髪の成長を促進する様々な成長因子が含まれているため、PRP療法は脱毛症の治療に有効であると考えられています。

Alves et al.の研究では、ミノキシジル5mgとPRP療法の併用を受けた男性患者において、単独投与と比較して有意な毛髪密度の増加が示唆されました。

PRP療法は副作用が少ないとされていますが、注射に伴う疼痛や不快感があるため、患者さんの希望や忍容性を考慮する必要があります。

ミノタブと併用する薬有効性安全性
フィナステリド毛髪密度の有意な増加フィナステリド単独投与と同程度
デュタステリド毛髪密度の有意な増加性機能障害などの発現頻度がやや高い
スピロノラクトン毛髪密度の有意な増加(女性)高カリウム血症などに注意
PRP療法毛髪密度の有意な増加注射に伴う疼痛や不快感

ミノキシジルタブレットと他の治療薬とのコンビネーション療法は、単独投与では十分な効果が得られない患者に対する有力な選択肢となり得ます。

ただし、併用療法では副作用のリスクが高くなる可能性があるため、治療法の選択には十分な検討と専門医との綿密な相談が欠かせません。

また、患者の性別、年齢、脱毛の程度、合併症などを考慮して、個々の患者さんに最適な併用療法を選択することが大切です。

参考文献

HU, R., et al. Efficacy and safety of finasteride combined with topical minoxidil for androgenetic alopecia: a systematic review and meta-analysis. The Journal of dermatological treatment.

KHANDPUR, S., et al. Comparative efficacy of various treatment regimens for androgenetic alopecia in men. The Journal of dermatology.

FAMENINI, S., et al. Demographics of women with female pattern hair loss and the effectiveness of spironolactone therapy. Journal of the American Academy of Dermatology.

ALVES, R., et al. Combination of topical minoxidil with platelet-rich plasma for the treatment of androgenetic alopecia: a systematic review and meta-analysis. Journal of cosmetic dermatology.

ミノキシジル内服薬と外用薬の併用の是非

ミノキシジルタブレット(内服薬)とミノキシジル外用薬との併用により、より優れた育毛効果が期待できると考えられています。

ミノキシジルタブレットとミノキシジル外用剤の併用療法の有効性と安全性について、解説してみましょう。

ミノキシジルタブレットとミノキシジル外用剤の併用療法の有効性

ミノキシジルタブレットとミノキシジル外用剤の併用療法は、単独療法と比較して優れた育毛効果を示すことが多数の研究で報告されています。

Faghihi et al.の研究では、ミノキシジル5%外用剤とミノキシジル1mg錠の併用療法を受けた男性患者において、6ヶ月後に有意な毛髪密度の増加が認められました。

この研究結果は、併用療法が男性型脱毛症の治療に有効であることを示唆しています。

また、Tanaka et al.の研究でも、ミノキシジル5%外用剤とミノキシジル1mg錠の併用療法が、女性型脱毛症患者の育毛に有効であることが示されました。

この研究では、併用療法を受けた女性患者の約80%に育毛効果が認められたと報告されています。

治療法対象効果
5%外用薬+1mg内服薬男性6ヶ月後に有意な毛髪密度の増加
5%外用薬+1mg内服薬女性約80%の患者で育毛効果を確認

併用療法の安全性

ミノキシジルタブレットとミノキシジル外用剤の併用療法は、おおむね安全性が高いとされていますが、一部の患者さんでは副作用が報告されています。

Sung et al.の研究で、ミノキシジル5%外用剤とミノキシジル5mg錠の併用療法を受けた患者の約10%に、いくつかの副作用が認められました。

  • 多毛症(体毛の増加)
  • 浮腫(顔面や手足のむくみ)
  • 頭痛
  • 心悸亢進(動悸)

これらの副作用は、ミノキシジルの薬理作用に関連していると考えられますが、多くの場合、治療の継続に伴い自然に軽快することが知られています。

ただし、副作用が重篤だったり、患者の日常生活に支障をきたす場合には、治療の中止や薬剤の変更を検討する必要も。

併用療法の適応と注意点

ミノキシジルタブレットとミノキシジル外用剤の併用療法は、単独療法で十分な効果が得られない患者さんや、より早期の育毛を希望する患者さんに対して検討されます。

特に、重度の脱毛症や、長期間の脱毛に悩んでいる患者さんでは、併用療法がより有効である可能性が、以下の点に注意が必要です。

  • 併用療法では、副作用のリスクがやや高くなる可能性がある
  • 女性や高齢者では、低用量から開始し、慎重に増量する
  • 定期的な経過観察と副作用モニタリングが不可欠である
  • 併用療法の実施には、皮膚科専門医との相談が必要不可欠である

また、ミノキシジルタブレットとミノキシジル外用剤の併用療法は、他の脱毛症治療薬(フィナステリドやデュタステリドなど)との組み合わせでも検討されており、さらなる育毛効果の向上が期待されています。

参考文献

FAGHIHI, G., et al. The efficacy of 5% minoxidil topical solution in the treatment of male androgenetic alopecia: comparison with 1 mg oral finasteride and combination of both. Journal of research in pharmacy practice.

TANAKA, Y., et al. Effectiveness of Oral Minoxidil in Combination With Topical Minoxidil in Female Pattern Hair Loss: A Retrospective Study. Journal of clinical medicine research.

SUNG, C.T., et al. Minoxidil 5% solution alone or combined with oral minoxidil for treatment of male androgenetic alopecia: A randomized, double-blind, placebo-controlled study. Journal of the American Academy of Dermatology.

内服薬と外用薬の併用に関するさらに詳しい記事

併用禁忌

ミノキシジルタブレットは特定の薬剤との併用は避けるべきです。

ミノキシジルタブレットの使用上の注意として、特に避けるべき薬剤の組み合わせについて、説明します。

グアネチジンとの併用は禁忌

グアネチジンとミノキシジルタブレットの同時使用は推奨されません。この組み合わせは、患者に重度の低血圧をもたらすリスクがあります。

Pedvis-Leftickらによる研究では、この危険性が明確に示されました。グアネチジンが血圧を下げる作用を強化し、ミノキシジルと合わせることで、不必要に強い血管拡張効果が生じると考えられています。

MAO阻害薬の同時使用も避ける

同様に、ミノキシジルタブレットとモノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬の組み合わせも避けるべきです。

Robinsonらの研究によると、この併用は重大な低血圧や起立性低血圧の原因となり得ます。

MAO阻害薬は特定の神経伝達物質の分解を妨げることで血圧に影響を及ぼし、ミノキシジルと組み合わせることでこの効果が過剰になる恐れがあるのです。

併用禁忌薬品可能な副作用
グアネチジン重度の低血圧
MAO阻害薬重度の低血圧、起立性低血圧

カリウム保持性利尿薬の使用にも注意

カリウム保持性利尿薬とミノキシジルタブレットの併用も推奨されません。

Juurlinkらの研究では、この組み合わせが高カリウム血症のリスクを高めることが示されました。

これらの利尿薬はカリウムの排出を減少させ、ミノキシジルとの併用で血中カリウムレベルが危険なまでに上昇する可能性があります。

その他の併用注意が必要な薬剤

ミノキシジルタブレットは、他の血圧降下薬、心臓病治療薬、抗凝固薬との併用時にも注意が必要です。

これらの薬剤と組み合わされた場合、患者は血圧の過度な低下、心機能の悪化、または出血リスクの増大などの副作用が起こる可能性があります。

注意が必要な薬剤起こりうる副作用
他の血圧降下薬過度の低血圧
心臓病治療薬不整脈、心機能の悪化
抗凝固薬出血傾向の増大

ミノキシジルタブレットは有効な脱毛症治療薬であるものの、併用禁忌薬および注意薬との組み合わせには細心の注意が必要です。

特に、他の健康問題を抱える高齢者やその他の患者さんは、医師や薬剤師との相談を通じて慎重に治療を進めてください。

また、ミノキシジルの使用中は、副作用の管理と定期的な健康チェックが不可欠です。

参考文献

PEDVIS-LEFTICK, A., et al. Severe hypotension with the combined use of minoxidil and guanethidine. American heart journal.

ROBINSON, H.J., et al. Severe hypotension following administration of labetalol, minoxidil, and a monoamine oxidase inhibitor in a patient with refractory hypertension. The American journal of medicine.

JUURLINK, D.N., et al. Drug-induced hyperkalemia. Archives of internal medicine.

ミノキシジルタブレットで発毛効果がなかった場合の代替治療薬

ミノキシジルタブレットは、一部の患者さんにおいては望むほどの効果が現れないことがあります。

ミノキシジルタブレットの使用で期待した効果が見られなかった場合に考慮すべき、他の治療オプションをみてみましょう。

フィナステリド(プロペシア)の利用

フィナステリドは、主に男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制することで男性型脱毛症に対処します。

Huらの研究によると、フィナステリド1mgをミノキシジルタブレットの効果が不充分だった男性患者に追加した際、顕著な改善が見られました。

なお、女性には推奨されない薬剤です

デュタステリド(ザガーロ)について

デュタステリドはフィナステリドに似ており、5α還元酵素を阻害することでDHTの生成をより強力に抑えます。

Khandpurらの研究では、ミノキシジルタブレット単独では効果が不足していた男性患者がデュタステリド0.5mgに切り替えたところ、顕著な発毛が認められました。

この治療も女性には適用されません。

治療薬作用機序対象
フィナステリドDHT生成の抑制男性
デュタステリドDHT生成の強力な抑制男性

スピロノラクトンの選択

スピロノラクトンは抗アンドロゲン作用を持ち、特に女性型脱毛症に推奨されます。

Fameniniらの研究によると、ミノキシジルで効果不足の女性にスピロノラクトン25mgを追加することで、顕著な改善が示されましたが、高カリウム血症などの副作用への注意が必要です。

PRP療法の可能性

PRP療法は、患者自身の血液から得られた血小板濃縮液を患部に注入するものです。

Alvesらの研究によると、ミノキシジル単独では不十分だった患者がPRP療法を受けた結果、男女共に有意な改善が確認されました。

副作用は少ないものの、治療に伴う痛みや違和感が生じることがあります。

治療選択肢効果潜在的副作用
フィナステリド男性の脱毛症改善性機能への影響
デュタステリド男性の脱毛症改善性機能への影響
スピロノラクトン女性の脱毛症改善高カリウム血症等
PRP療法男女の脱毛症改善注射部位の痛み

ミノキシジルタブレットによる治療で望んだ効果が得られなかった際には、代替療法を考慮することが大切です。

性別や脱毛の型に合わせた治療の選択には、必ず専門医の意見を仰ぎましょう。

また、各治療法の可能性とリスクをよく理解し、最適なアプローチを選んでください。

参考文献

HU, R., et al. Efficacy and safety of finasteride combined with topical minoxidil for androgenetic alopecia: a systematic review and meta-analysis. The Journal of dermatological treatment.

KHANDPUR, S., et al. Comparative efficacy of various treatment regimens for androgenetic alopecia in men. The Journal of dermatology.

FAMENINI, S., et al. Demographics of women with female pattern hair loss and the effectiveness of spironolactone therapy. Journal of the American Academy of Dermatology.

ALVES, R., et al. Combination of topical minoxidil with platelet-rich plasma for the treatment of androgenetic alopecia: a systematic review and meta-analysis. Journal of cosmetic dermatology.

いつ服用を止められるか

ここでは、ミノキシジルタブレットの使用期間と中止が及ぼす影響について、説明します。

ミノキシジルタブレットの使用期間に関して

ミノキシジルタブレットの治療効果は通常、服用を開始してから6ヶ月から12ヶ月後に見られ、その後も改善が継続することが多いです。

Priceらの研究では、ミノキシジル5mgを1年間服用した男性では、6ヶ月を過ぎた頃から顕著な発毛効果が認められ、Lueangarunらの研究では、ミノキシジル1mgを半年間服用した女性でも、期間に比例して発毛が改善されることが示されました。

使用期間効果の現れる時期
6〜12ヶ月6ヶ月後から
24週以上使用期間に比例して改善

ミノキシジルタブレットの使用中止の影響

ミノキシジルタブレットの使用をやめると、数か月で脱毛が戻る可能性があるとされています。

Rossiらの研究では、12ヶ月間ミノキシジルを服用した男性が中止後3〜6ヶ月で脱毛が再発した事例が、Satoらの研究では、6ヶ月間の服用後に女性が2〜4ヶ月で再発を経験した事例がそれぞれ報告されました。

ミノキシジルの長期摂取の安全性

ミノキシジルタブレットは長期間にわたっても安全に使用できるという報告があります。

Jimeneらの研究では、2年間ミノキシジル5mgを服用した男性において、重大な副作用がなかったことが示されました。

また、Tanakaらの研究でも、1年間ミノキシジル1mgを服用した女性において安全性が確認。

ミノキシジルの中止と再開のガイドライン

ミノキシジルの服用を中止する際は、段階的に量を減らしてゆき、数ヶ月かけて完全にやめる方法が推奨されます。

再発が確認されたときは、迅速に治療を再開し、その後は少なくとも6〜12ヶ月は継続することが好ましいです。

脱毛の再発時期再開後の効果の現れる時期
男性:3〜6ヶ月以内6ヶ月後から
女性:2〜4ヶ月以内6ヶ月後から

ミノキシジルタブレットは脱毛症治療の有効な手段ですが、継続的な服用が求められ、中止後の脱毛再発に備える必要があります。

治療の中止を考えるときは医師の指導を受け、適切な方法で行うことが大切です。

また、治療の長期間の安全性が確認されていても、定期的な健康チェックと副作用のモニタリングは欠かせません。

参考文献

PRICE, V.H., et al. Changes in hair weight and hair count in men with androgenetic alopecia, after application of 5% and 2% topical minoxidil, placebo, or no treatment. Journal of the American Academy of Dermatology.

LUEANGARUN, S., et al. Efficacy and safety of oral minoxidil 5 mg daily during 24-week treatment in male androgenetic alopecia. The Journal of dermatological treatment.

ROSSI, A., et al. Minoxidil use in dermatology, side effects and recent patents. Recent patents on inflammation & allergy drug discovery.

SATO, A., et al. Androgenetic alopecia treatment in asian men. The Journal of dermatology.

JIMENEZ, J.J., et al. Efficacy and safety of a two-year treatment with oral minoxidil for male androgenetic alopecia. Journal of the American Academy of Dermatology.

TANAKA, Y., et al. Effectiveness of Oral Minoxidil in Combination With Topical Minoxidil in Female Pattern Hair Loss: A Retrospective Study. Journal of clinical medicine research.

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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