AGA(男性型脱毛症)で治療を続けているにも関わらず、なぜあなたが期待しているほどの発毛結果が出ないのでしょうか。
回答はとてもシンプルで、
「治療する前に遺伝子検査をしていないから」
この一点に尽きます。本稿の後半で詳しく説明しますが、遺伝子検査を行うとAGAには27パターンあることが分かっています。
その27パターンそれぞれに適合した治療薬を選択すれば発毛促進する可能性は高まりますが、検査せずに治療薬を選んだ場合、発毛期待率は3.7%(1/27)にまで落ちてしまう可能性すらあります。
本稿では、以下の順に説明していきます。
- なぜ育毛剤で髪の毛が増えないのか?
- なぜフィナステリドやデュタステリドで脱毛は止まらないのか?
- なぜミノキシジルで発毛しないのか?
- なぜ格安のAGA専門クリニックで発毛しないのか?
- 当院で行っているAGA遺伝子検査の内容
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この記事の執筆者
小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
① なぜ育毛剤で髪の毛が増えないのか?
薄毛に悩む多くの方が、市販の育毛剤に期待を寄せています。市場に出回っている100種類以上の育毛剤には、それぞれに発毛促進効果がある可能性はあります。
しかし、思うような効果が得られずに落胆した経験をお持ちの方も少なくないでしょう。
育毛剤の多様性と可能性
現在、市場には100種類を超える育毛剤が存在し、それぞれが独自の成分や配合比率を持っています。これらの製品は、各社が科学的根拠に基づいて開発を続け、何らかの形で発毛や育毛を促進する可能性を秘めています。
代表的な育毛剤の成分は以下になります。
成分 | 期待される効果(効果は保証していません) |
ケトコナゾール | 抗真菌作用による頭皮の環境を改善 |
ビオチン(ビタミンB7) | 毛髪の成長と健康に必要な栄養素 |
パントテン酸(ビタミンB5) | 毛髪の成長を促進し頭皮の健康を維持 |
ニコチン酸アミド(ビタミンB3) | 頭皮の血行を改善し毛髪の成長を促進 |
トコフェロール(ビタミンE) | 抗酸化作用があり頭皮の健康を保護する |
センブリエキス | 血行促進効果があり毛根への栄養供給を助ける |
サンショウエキス | 頭皮の血行を促進し毛髪の成長を促進する |
グリチルリチン酸 | 抗炎症作用があり頭皮の炎症を抑制する |
アデノシン | 毛乳頭細胞の活性化を促進し毛髪の成長を促進する |
ピディオキシジル | 毛包の活性化と毛髪の成長を促進する |
センテラアシアチカ葉エキス | 抗炎症作用と血行促進効果 |
ノコギリヤシ | 5α-リダクターゼの阻害による脱毛抑制 |
カルプロニウム塩化物 | 血管拡張作用があり頭皮の血行を促進 |
t-フラバノン | 抗酸化作用と血行促進作用があり毛根の健康を保つ |
サイトプリン | 毛母細胞の増殖をサポートし毛髪の成長を促進 |
ペンタデカン | 脂肪組織からの脂肪酸の放出を抑制し頭皮の健康に寄与 |
しかし、同じ製品でも人によって効果の現れ方が異なることが多々あります。これは、個々人の体質や頭皮の状態、生活習慣などの要因が複雑に絡み合っているからです。
育毛剤との「相性」の重要性
育毛剤の発毛促進効果を最大限に引き出すには「相性」が重要になり、相性の良い育毛剤を使用した場合、以下のような効果が期待できます。
- 頭皮環境の改善
- 毛根の活性化
- 毛髪の成長促進
- 抜け毛の減少
しかし、たとえ発毛促進効果がある育毛剤であっても、あなたとの相性が合わない場合、これらの効果は十分に現れないどころか、頭皮環境を悪化させることにもつながりかねません。
効果を最大化するための対策
育毛剤の効果を正確に判断するには時間がかかります。一般的に、効果が現れ始めるまでには少なくとも半年かかると言われています。
つまり、100種類以上の育毛剤の中から選んで半年づつ使用してみないと、「当たり」の育毛剤を探さねばならず、たまたま最初に手にとった育毛剤で発毛する人も中にはいるかも知れませんが、そんなラッキーな方は稀だと言わざるを得ません。
② なぜフィナステリドやデュタステリドで脱毛が止まらないのか?
男性型脱毛症(AGA)の治療において、フィナステリドやデュタステリドは広く使用されている薬剤です。
これらは脱毛抑制剤として知られていますが、使用しても期待通りの効果が得られないケースがあります。なぜでしょうか。
フィナステリドとデュタステリドの作用機序
男性型脱毛症(AGA)の治療において、フィナステリドやデュタステリドは広く使用されている薬剤です。
これらは脱毛抑制剤として知られていますが、使用しても期待通りの効果が得られないケースがあります。なぜでしょうか。
フィナステリドとデュタステリドは、AGAの原因である5αリダクターゼ(酵素)を阻害する薬です。発毛させることは大事ですが、抜け毛を防ぐことはもっと大事なので、AGA治療の第一歩はフィナステリドかデュタステリドの服用が必要です。
薬剤 | 主な特徴 |
フィナステリド | 5αリダクターゼ2型を阻害 |
デュタステリド | 5αリダクターゼ1型(前頭部)と2型を阻害 |
適正な濃度決定の難しさ
フィナステリドやデュタステリドの効果を最大限に引き出すためには、個々の患者さんに適した濃度を決定することが重要です。しかし、これは簡単なことではありません。
適切な濃度を決定するためには、以下のような要因を考慮する必要があります。
- 現在の脱毛の程度
- 遺伝的要因
- ホルモンバランス
- 全身の健康状態
これらの要因を正確に評価するためには血液検査だけでは足りず、遺伝子検査が必要になります。
しかし、遺伝子検査を行える医療機関はごくごくわずかで、そのため適正な濃度の薬が処方されず期待通りの効果が得られないということが多々発生してしまいます。
③ なぜミノキシジルで発毛しないのか?
ミノキシジルは発毛剤です。ミノキシジルを使わずして髪の毛が増えることは望み薄です。しかし、使用しても思うような発毛効果が得られないケースも少なくありません。
なぜミノキシジルで期待通りの発毛効果が発揮されないのか、その理由と正しい使用法について探ってみましょう。
ミノキシジルの種類と特徴
ミノキシジルには主に2種類の剤形があります。ミノキシジル外用薬とミノキシジルタブレット(内服薬)です。
ミノキシジル外用薬は、直接頭皮に塗布して使用します。血流を改善し、毛包を刺激することで発毛を促進させます。一方、内服薬(飲み薬)であるミノキシジルタブレットは全身に作用し、より強力な発毛促進効果があります。
剤形 | 主な特徴 |
外用薬 | 頭皮に直接塗布、発毛効果は多くは望めない |
内服薬 | 発毛効果は期待できるが副作用もある |
しかし、どちらのミノキシジルにも課題があり、それが期待通りの効果が得られない原因となっている可能性があります。
外用薬の課題:頭皮への刺激と濃度調整の重要性
ミノキシジル外用薬は、頭皮に直接塗布するため、即効性が期待できます。しかし、同時に頭皮への刺激が強く、使用方法によっては頭皮環境を悪化させる可能性があります。
特に注意が必要なのは濃度です。高濃度のミノキシジル外用薬は、効果が高い反面、頭皮トラブルのリスクも高まります。そのため、個々の頭皮の状態に合わせた適切な濃度調整が極めて重要です。
濃度が高すぎる | 頭皮の炎症、かゆみ、乾燥などのトラブルが発生する可能性 |
濃度が低すぎる | 期待する効果が得られない可能性 |
適切な濃度を見つけるためには、専門医の指導のもと、慎重に調整していく必要があります。
内服薬の課題:副作用のリスクと濃度調整の難しさ
ミノキシジルタブレット(内服薬)は、外用薬よりも強力な発毛促進効果が期待できます。しかし、全身に作用するため、心臓や血管系への副作用のリスクが高くなります。
期待される効果 | 懸念される副作用 |
強力な発毛促進 | 動悸・不整脈・心臓の痛み |
広範囲への作用 | 低血圧・腕や足、胸などの多毛症 |
内服薬の場合、血中濃度の調整が難しく、個々の患者さんに適した濃度を見つけるのに時間がかかります。また、副作用のリスクを考慮すると、安易に濃度を上げることもできません。
では、外用薬と内服薬どちらを選ぶべきか、濃度はどうするべきでしょうか。答えはシンプルで、適正なミノキシジルを選択するために遺伝子検査を行いましょう。
④ なぜ格安のAGA専門クリニックで発毛しないのか?
男性型脱毛症(AGA)に悩む多くの方が、AGA専門クリニックでの治療に期待を寄せています。しかし、治療を受けても思うような効果が得られないケースが少なくありません。
価格競争の激化と国内未承認薬の使用
AGA専門クリニック間で激しい価格競争が繰り広げられています。患者さんを獲得するため、多くのクリニックが治療費用の低価格化を進めています。しかし、この価格競争には大きな問題が潜んでいます。
多くのAGA専門クリニックでは、コスト削減のため、国内で正式に承認されていない海外製のミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドなどを処方しています。
これらの薬剤は、価格は安いものの、以下のようなリスクを伴う可能性があります。
問題点 | 影響 |
効果の不確実性 | 品質や有効成分の含有量が一定でない可能性 |
安全性の問題 | 予期せぬ副作用のリスク |
法的保護の欠如 | 問題発生時に適切な補償を受けられない可能性 |
国内承認されていない薬剤を使用することで、期待する効果が得られないだけでなく、患者さんの健康を危険にさらす可能性すらあるのです。
不十分な治療前検査
価格競争の激化は、治療の質にも影響を及ぼしています。多くのAGA専門クリニックでは、コスト削減のため、処方前の詳細な検査を省略しているケースが多く見受けられます。
省略される検査 | 影響 |
ホルモン検査 | 個別の状態把握困難 |
血液検査 | 全身状態の評価不足 |
遺伝子検査 | 適切な治療法選択困難 |
適切な治療を行うためには、以下のような要因を考慮する必要があります。
- 現在の脱毛の程度
- 遺伝的要因
- ホルモンバランス
- 全身の健康状態
- 生活習慣
これらの要因を正確に評価するためには、詳細な検査が不可欠です。しかし、多くのクリニックでは、十分な検査を行わずに薬剤を処方しているのが現状です。
患者ファースト治療を行う難しさ
価格競争の激化により、多くのAGA専門クリニックでは、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供することが困難になっています。
「AGA専門クリニックでは発毛しません」と言っているわけではありません。多くのAGA専門クリニックでは発毛効果が出ているからこそ、クリニック経営を継続できているのだと思います。
ただし、AGAは進行性なので、濃度が薄く「当たり」の確率が高い薬剤を適格に処方し、徐々に濃度を濃くしていく必要がありますし、時には濃度を下げるコントロールも必要です。
価格の安いAGA専門クリニックにそこまで手厚い治療を期待するのは酷であり、「安かろう悪かろう」になってしまうのは致し方ないのかなと思います。
⑤ 当院で行っているAGA遺伝子検査の内容
当院で行っている遺伝子検査について説明いたします。遺伝子検査を経て27パターンのうちどのパターンなのかを特定し、そのパターンに合わせて処方しています。
- AGA遺伝子検査を実施
- 検査結果に適合した治療薬を処方
上記の流れになります。
こばとも皮膚科で検体を採取
来院した患者さんに対し頭皮の状態などのチェックを行った上で、AGA遺伝子検査のための検体(口の中の粘膜)を綿棒で採取し、ご帰宅いただきます。
3つの遺伝子
AGA遺伝子検査では、主に以下の3つの遺伝子に注目しています。
- AR遺伝子(PAX1/FOXA2領域)
- EDAR遺伝子
- SPINK5遺伝子
これらの遺伝子は、それぞれAGAの発症リスク、毛髪の太さ、頭皮の状態に影響を与えることが知られています。
遺伝子名 | 主な影響 |
AR | AGAリスク |
EDAR | 毛髪の太さ |
SPINK5 | 頭皮の状態 |
AR遺伝子検査の詳細
AR遺伝子(PAX1/FOXA2領域)の検査は、アンドロゲンレセプターの感受性を評価し、男性ホルモンに由来する薄毛(AGA)のなりやすさを測定します。
この遺伝子の特定のSNP(一塩基多型)は、AR関連遺伝子の発現制御との強い関連性が報告されています。
検査結果は以下の3つの型に分類されます。
遺伝子型 | 特徴 |
---|---|
GG型 | 男性型脱毛症になる可能性が低い標準型 |
GA型 | AA型に近く、男性型脱毛症になる可能性が若干高い |
AA型 | 男性型脱毛症になる可能性が高い |
AR遺伝子の働きは、5αリダクターゼⅡ型とテストステロンの結合によるDHT(ジヒドロテストステロン)への変換、そしてDHTのアンドロゲンレセプターへの取り込みによるTGF-β(脱毛因子)の分泌と密接に関連しています。
EDAR遺伝子検査の意義
EDAR遺伝子は、毛髪の太さに影響を与える「毛髪形態遺伝子」として知られています。この遺伝子は、毛包の細胞への分化に関与しており、毛髪の生長に不可欠な役割を果たしています。
EDAR遺伝子検査の結果は、以下の3つの型に分類されます。
遺伝子型 | 特徴 |
CC型 | 太く真っ直ぐな髪 |
CT型 | どちらかといえばCC型に近い髪 |
TT型 | 細く曲がった髪 |
様々な研究により、EDAR遺伝子の「太毛遺伝子」保持者は、そうでない人と比較して毛髪断面積が1.2~1.5倍太いことが報告されています。この情報は、将来的な薄毛のリスク評価や、適切な毛髪ケア方法の選択に役立ちます。
SPINK5遺伝子と頭皮の健康
SPINK5遺伝子は、皮膚の形状維持と外部刺激に対する防御に重要な役割を果たしています。この遺伝子の検査結果は、頭皮の健康状態や敏感肌のリスクを評価する上で非常に有用です。
SPINK5遺伝子検査の結果は、以下の3つの型に分類されます。
遺伝子型 | 特徴 |
GG型 | 肌トラブルリスクは標準的 |
GA型 | 肌トラブルリスクが若干高い |
AA型 | 皮膚炎等、肌トラブルリスクが高い |
SPINK5遺伝子の機能が強すぎると、天然保湿因子の生成が阻害され、敏感肌のリスクが高まる傾向があります。また、この遺伝子はアトピー性皮膚炎との関連も報告されており、頭皮の健康管理において重要な指標となります。
AGA遺伝子検査の利点
- 個々の遺伝的背景に基づいたカスタマイズされた治療計画の立案
- 将来的な薄毛リスクの早期把握と予防策の提案
- 頭皮の健康状態を考慮した適切なヘアケア製品の選択支援
検査項目 | 検査内容 |
AR遺伝子 | AGAリスク評価 |
EDAR遺伝子 | 毛髪の太さ予測 |
SPINK5遺伝子 | 頭皮健康状態評価 |
総合分析 | 個別化された対策提案 |
遺伝子検査の結果を基に、詳細な解説と個別化された対策を提案いたします。ミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドでは補えない重要成分についてはサプリメントなどを追加処方します。
⑥ 来院が困難な方はオンライン診療で治療可能
当院に直接お越しいただいた方が、より詳細な説明ができますが、こばとも皮膚科は愛知県名古屋市栄区に立地しています。他県などから来院するのは現実的でないと思いますので、オンライン診療も受け付けております。
オンライン診療は、以下のような流れで進行します。
- LINE登録
- 初回カウンセリング(オンライン)
- 遺伝子検査キットの送付
- 患者さまから検体を返送
- 遺伝子の解析
- 結果説明と治療方針の決定(オンライン)
- 処方薬の送付(1か月分12,800円)
上記の過程を通じて、当院での対面診療とほぼ同等の質の高い治療を提供することが可能です。
追加料金やオプションメニューはなく、発毛に必要な治療薬のみを処方し月額税込12,800円です。定期縛りはありませんので解約自由です。
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⑦ 遺伝子検査によるAGA治療予約フォーム
こばとも皮膚科でのAGA治療申込みフォーム
名古屋市にお住まいの方など、こばとも皮膚科に来院可能な方は以下より予約をお願いいたします。
こばとも皮膚科で検体を採取しAGA遺伝子検査を実施の上で、検査結果に応じた適正な治療薬を処方いたします。
オンライン診療による遺伝子検査の申込みフォーム
こばとも皮膚科への来院が困難な方でオンライン診療をご希望の方は以下より申込み(LINE登録)をお願いいたします。
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遺伝子検査用の検査キットを郵送し、検査結果に応じてAGA治療薬を月額12,800円(税込)で毎月ご自宅に郵送処方いたします。
※追加料金やオプションメニューはありません