【話題成分】アゼライン酸が一番効くのはこんな人

皆さんこんにちは。皮膚科医の小林智子です。このチャンネルでは、スキンケアから美容医療、そして皮膚疾患まで肌にまつわる全てのことを発信しています。

今回取り上げたいのは最近話題の成分「アゼライン酸」です。最近アゼライン酸が配合された化粧品をよく目に見るようになりました。

アゼライン酸には肌に対して様々な効果があり非常に魅力的な成分の1つです。ただ実際にどういったことに有効なのか、いまいち分かっていないっていう方も多いのではないでしょうか。

今回はそんなアゼライン酸の実践的な使い方について詳しく解説したいなと思います。それでは早速行ってみましょう。

この記事は、こばとも皮膚科院長、皮膚科医の小林智子が運営するYoutubeチャンネル「こばとも先生のスキンアカデミー」内の動画内容を書き起こしたものです。Youtubeでは薬の塗り方・副作用、スキンケア方法、美容施術の種類や効果についてなど、お肌のお悩みを持つ方の少しでも助けになれればと思い動画を公開しています。ぜひチャンネル登録をお願いします！

【アゼライン酸とは】

ということで、まずはアゼライン酸とはそもそも何か？というところから少し解説したいなと思います。

アゼライン酸というのは、天然由来の成分で具体的には小麦などから抽出される成分です。

たまに小麦アレルギーでも使えますか、というような質問いただくんですけれども、小麦アレルギーで原因となる抗原というのは、グリアジンやグルテニンと呼ばれるタンパク質です。

アゼライン酸とは異なりますので、小麦アレルギーの方も安心してアゼライン酸をお使いいただけます。

【アゼライン酸の魅力】

アゼライン酸には先ほど申し上げたように、様々な肌への効果があります。

具体的には抗炎症作用、抗菌作用、角化抑制作用、皮脂分泌抑制作用そして美白作用などが挙げられます。このように様々な効果があるのがアゼライン酸の特徴の1つです。

もう1つアゼライン酸の魅力的なポイントとして、妊娠中や授乳中でも安心して使用いただけるという点が挙げられます。

アゼライン酸をお勧めしたい肌トラブル・肌悩み3つ

この2つの特徴から、様々な肌への効果があるアゼライン酸でも、特にお勧めしたい肌トラブル肌悩みの方というのを3つ厳選してご紹介したいなと思います。実際、私が臨床の現場で非常に多く処方するケースです。

実際の診療では、こちらDRXの「AZAクリア」を処方しています。こちらは20%のアゼライン酸が配合されているアイテムで、クリニック専売のものとなります。

こちらを採用しているのはその濃度にあるんですけれども、これまでの報告で、今からお伝えするような症状に対してはいずれも15〜20%とある程度高濃度のアゼライン酸が有効だという風に言われています。

こちらは高濃度がゆえに使い始めの頃、少し刺激を感じることはあるんですけれども。継続的に塗ることによってそういった刺激症状は和らぐことが多いです。では具体的にアゼライン酸が特におすすめなケースを3つご紹介していきたいなと思います。

【アゼライン酸おすすめのケース①】女性の大人ニキビ

まず1つ目が、繰り返しできる女性の大人ニキビの方です。女性の大人ニキビというのは、25歳以降の女性に繰り返し起こりやすい、顎やフェイスラインに好発するニキビのことを言います。

この女性の大人ニキビの方に、こちらAZAクリアを処方することが多いです。

その理由としては、アゼライン酸は、新しいニキビから古いニキビまでトータルで改善が期待できるという点が挙げられます。

まず、新しいニキビに対しては、アゼライン酸は抗炎症作用、抗菌作用、角化抑制作用、皮脂分泌抑制作用などマルチに新しいニキビに対して働きかけてくれます。

また、古いニキビに対してもこのアゼライン酸は有効です。具体的には「炎症後紅斑」と呼ばれるような赤いニキビ跡だったり、あとは「炎症後色素沈着」と呼ばれる茶色いニキビ跡に対してもこちらのアゼライン酸は有効です。

後でもお話ししますが、アゼライン酸にはメラニンの生成を抑制する効果があり、茶色いニキビ跡に対しても有効だということはあまり知らない方も多いのではないかなと思います。

女性の大人ニキビの方は繰り返しニキビができる傾向にあり、新しいニキビから古いニキビまで様々なタイプのニキビが混在していることが多いです。なので、こちらのAZAクリアはそういった方に非常におすすめとなります。

こちらのアゼライン酸はガイドラインにおいて、実はファーストチョイスにはなりません。

基本的には、通常のニキビのお薬、具体的にはディフェリンなどに配合される「アダパレン」やベピオなどに配合される「過酸化ベンゾイル」などがファーストチョイスとなります。

ただ、女性の大人ニキビの方の中には妊娠中や授乳中の方が多くいらっしゃいます。そういった方はこちらのアダパレンは使用することができません。

一方、過酸化ベンゾイルに対しては、基本的にそのベネフィットがリスクを上回る場合には処方することもあるんですけども、安全性に関して最も高いのはこちらのアゼライン酸です。

なので特に妊娠中の方というのは、このアゼライン酸が非常に重宝するのではないかなと思います。また、アゼライン酸とこういったニキビのお薬を併用することも問題はありません。

これらの塗り薬を使ってもなかなかまだニキビが改善しないというような方は、1つホルモン療法が適応になることがあります。女性の大人ニキビの場合は生理周期などホルモンがその悪化原因として大きな影響を及ぼすという風に言われています。

なので、低容量ピルだったり、あとはスピロノラクトンと呼ばれるような飲み薬が有効であることが多いです。塗り薬を使ってもなかなか良くならないというような方は、1度皮膚科で相談されることをお勧めします。

【アゼライン酸おすすめのケース②】赤ら顔、酒さ

次に、アゼライン酸が特におすすめなケース2つ目なんですけれども、2つ目は赤ら顔、酒さの方です。酒さと言っても様々な症状があるんですけれども、多いのが肌の赤みだったり、あとはブツブツと呼ばれるような丘疹という症状です。

特にこのブツブツ丘疹に対してアゼライン酸は有効性が高いという風に言われています。ガイドラインにおいても、ブツブツ丘疹に対してアゼライン酸は強く推奨されています。

ただ先ほどお話ししたように、こちらのAZAクリアは20%と高濃度のアゼライン酸が配合されているため、酒さの方の中には、このアゼライン酸の刺激によってなかなか継続して塗れないという方が多くいらっしゃいます。

丘疹ブツブツに対して有効性が高いと言われているのは、保険適用のお薬のこちら、ロゼックスゲルとあとは保険適用ではないんですけもこちらイベルメクチンの塗り薬が他にあります。

実際よくあるのが、こういった塗り薬である程度症状を改善した後に、こちらのアゼライン酸に切り替えていただくというなケースが多いです。

酒さの方の中には、皮脂によってその症状が悪化してしまうというような方が一定数いらっしゃいます。

なので、赤みや丘疹というような酒さの症状に加えてTゾーンなどがてかりやすかったり、特に眉間などにも赤みが出やすいというような方は、皮脂が1つ原因である可能性があります。

そういった方は、こちらのアゼライン酸には皮脂の分泌を抑制する効果がありますので、皮脂を抑制することによってそういった症状が改善する可能性があります。

アゼライン酸を塗ってもそういった症状がなかなか改善されないというような方は、イソトレチノインと呼ばれる飲み薬が1つ適用となってきます。

イソトレチノインに関しては、以前詳しく解説している動画がありますので、是非そちらもご覧になっていただきたいんですけれども、酒さの方にも1つ適用があります。

特に「鼻瘤」と呼ばれる、鼻が少しゴワゴワしたような症状があるというような方は、イトレチノインが特に適応だという風に言われています。

イソトレチノインを内服すると皮脂の分泌が抑制されて乾燥しやすい傾向にあるんですけれども、刺激などがない場合はこちらのアゼライン酸を併用していただいても問題はありません。

ロゼックスゲルなどでもなかなか症状が改善されないというような方は、1度皮膚科で相談されることをお勧めします。

【アゼライン酸おすすめのケース③】肝斑、炎症後色素沈着

最後に3つ目です。3つ目は肝斑や炎症後色素沈着などがある方です。

肝斑というのは、30代以降のアジア人女性によく見られる、頬骨を中心に左右対象にできる色素沈着のことを言います。

肝斑には、まずトラネキサム酸の飲み薬が有効だという風に言われてるんですけれども、美白剤も有効です。具体的にはメラニンの生成を抑制する成分がおすすめで、代表的な成分としてハイドロキノンが挙げられます。

ハイドロキノンは、色素沈着に対して特に高い効果があるという風に言われている成分ではあるんですけれども、細胞毒性があり、その取り扱いには少々注意が必要です。

一方、こちらのアゼライン酸にも、メラニンの生成を抑制する効果があります。

肝斑には色々な原因があるという風に言われてるんですけども、その1つが妊娠などのホルモンの変動です。私も妊娠中に肝斑が悪化したという経緯があるんですけれども、そういった方に特にこのアゼライン酸がお勧めとなります。

注意したいのは、妊娠中はハイドロキノンは使用することができません。なので、妊娠中や授乳中の方で肝斑が気になるなというような方は、こちらのアゼライン酸が特に使いやすいのではないかなと思います。

あと、ハイドロキノンに関しては、シミや肝斑など色素沈着がある部分だけに塗るという使い方になるんですけども、アゼライン酸は細胞毒性がないため、肝斑などの色素沈着があるなし関係なく全顔にお使いいただけます。

なので、使いやすさという意味でもこちらは非常に重宝するのではないかなと思います。

あとは、炎症後色素沈着に対してもアゼライン酸は有効です。具体的には茶色いニキビ跡だったり、あとは火傷の跡というような部位にも、アゼライン酸は効果を発揮します。

この肝斑なんですけども、酒さと肝斑が合併している方が結構いらっしゃいます。

酒さの方は赤みが強い場合、肝斑がマスクされていることが多いんですけれども、治療によって赤みが改善されてくると、今度は肝斑が目立ってきたという方がいらっしゃるんですけれども、そういう方はこちらのAZAクリアが特に重宝します。

他にも、実はアゼライン酸以外に、トラネキサム酸も、酒さも肝斑にも両方アプローチしてくれる成分でおすすめです。

私のクリニックでは、トラネキサム酸が5%配合されたこちらのTAジェルクリームを販売してるんですけれども、こちらのTAジェル クリームとアゼライン酸を併用しても問題はありません。

なので赤みも肝斑も気になるというような方は、こちらの2つの成分が特におすすめとなります。

【エンディング】

ということで、以上の3つがアゼライン酸が特におすすめのケースでした。ニキビも酒さも、皮膚のお薬が1番大切なのはもちろんなんですけれども、スキンケアも非常に重要です。

私のクリニックでは、治療はもちろんスキンケアにも力を入れています。スキンケアアイテム、何を使ったらいいかわからないという方は、是非一度気軽にご相談いただけたらと思います。

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