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発毛剤が効果ないと感じる6つの原因と対策方法

発毛剤 効果ない

発毛剤を使っているのに、なかなか効果が実感できずに悩んでいる患者さんは少なくないと思います。

発毛剤の効果が表れるまでには個人差がありますが、通常は3〜6ヶ月ほどの継続使用が必要だと言われています。

ただし、正しい使い方を守らなかったり、自分に合わない発毛剤を選択してしまったりすると、思うような効果が得られないこともあります。

さらに、AGA(男性型脱毛症)の進行状況によっては、発毛剤だけでは十分な効果が得られないケースもあると考えられます。

発毛剤の効果を最大限に発揮させるには、正しい使用方法を理解し、自分に合った製品を選ぶことが大切です。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

発毛剤の使用方法の誤りに注意。正しく使って効果を実感しよう

発毛剤を使う際は、正しい使用方法を守ることが大切です。使い方を間違えると、十分な効果が得られないことがあります。この記事では、発毛剤の使用方法の誤りについて詳しく説明します。

発毛剤の適量を守らない

発毛剤の適量は、添付文書や説明書に記載されています。

発毛剤の種類1回の適量
リアップ1mL
ロゲイン1mL

適量を守らずに多く使っても、効果が増すわけではありません。むしろ、副作用のリスクが高まる可能性があります。

発毛剤の塗布範囲が狭い

発毛剤は、脱毛の気になる部分に広く塗布することが重要です。

  • 生え際
  • つむじ
  • 頭頂部

狭い範囲にしか塗らないと、十分な効果が得られないことがあります。

発毛剤の使用頻度が少ない

多くの発毛剤は、1日1〜2回の使用が推奨されています。

発毛剤の種類使用頻度
リアップ1日2回
ロゲイン1日2回

使用頻度が少ないと、有効成分の濃度が保たれず、十分な効果が得られないことがあります。

発毛剤の効果は遅いと半年以上かかります

発毛剤の効果を実感するまでには、一定の使用期間が必要です。

発毛剤の効果が現れるまでの期間

発毛剤の効果が現れるまでの期間は、個人差がありますが、一般的には以下のようになります。

使用期間効果
1〜2ヶ月抜け毛の減少
3〜6ヶ月毛髪の太さや密度の増加

短期間で使用を中断すると、十分な効果が得られないことがあります。

発毛剤の効果を実感するために必要な使用期間

発毛剤の効果を実感するためには、以下のような使用期間が必要とされています。

発毛剤の種類必要な使用期間
ミノキシジル外用薬3〜6ヶ月以上
フィナステリド内服薬6〜12ヶ月以上

短期間で効果を判断せず、長期的な視点で使用を継続することが肝心です。

長期間の使用が必要な理由

発毛剤の効果が現れるまでに時間がかかる理由は、毛髪の成長サイクルにあります。毛髪は、以下のような成長サイクルを繰り返しています。

  1. 成長期(2〜6年)
  2. 退行期(2〜3週間)
  3. 休止期(3〜4ヶ月)

発毛剤は、主に休止期の毛髪に作用し、新しい成長期の毛髪を生やす働きがあります。そのため、効果を実感するためには、毛髪の成長サイクルに合わせた長期間の使用が必要となるのです。

有効成分と製品の品質

発毛剤を使っても効果を実感できないとき、有効成分の不足や製品の品質問題が原因だったりします。

有効成分の濃度が低い発毛剤

発毛剤の有効成分であるミノキシジルやフィナステリドの濃度が低い製品では、十分な効果が得られないことがあります。

有効成分推奨濃度
ミノキシジル5%
フィナステリド0.1%

有効成分の濃度が推奨値より低い発毛剤を使用しても、期待した効果が得られないケースがあります。

有効成分の安定性が低い発毛剤

発毛剤の有効成分は、温度や光、空気などの影響で分解や変性が起こる可能性があります。

有効成分の安定性が低い製品では、時間の経過とともに効果が減弱することがあります。

  • 高温多湿の環境での保管
  • 直射日光や紫外線への暴露
  • 開封後の長期保管

このような条件下では、有効成分の安定性が損なわれ、効果が低下する可能性があります。

品質管理が不十分な発毛剤

発毛剤の製造工程における品質管理が不十分だと、有効成分の含有量にばらつきが生じたり、不純物が混入したりすることがあります。

品質管理の問題影響
有効成分の含有量のばらつき効果の個体差
不純物の混入副作用のリスク

品質管理が不十分な発毛剤では、安全性や有効性に問題が生じる可能性があります。

信頼できるメーカーの発毛剤を選ぶ重要性

発毛剤の効果を実感するためには、有効成分の濃度が十分で、安定性が高く、品質管理が行き届いた製品を選ぶことが肝心です。信頼できるメーカーの発毛剤を選ぶことで、これらの問題を回避することができます。

体質や遺伝、加齢の影響で効果が出ない場合も

発毛剤を使っても、効果の現れ方には個人差があります。この記事では、発毛剤の効果に影響を与える個人の体質や遺伝的要因、加齢に伴う発毛機能の低下について詳しく説明します。

個人の体質による発毛剤の効果の差

発毛剤の効果は、個人の体質によって大きく異なることがあります。

体質影響
薬物代謝能力有効成分の吸収や分解の速度
毛母細胞の感受性有効成分に対する反応性

体質によって、発毛剤の有効成分の吸収や作用の程度が異なるため、効果に差が生じると考えられています。

遺伝的要因による発毛剤の効果の差

男性型脱毛症(AGA)の発症には、遺伝的要因が関与しています。

  • アンドロゲン受容体遺伝子(AR)の多型
  • 5α還元酵素遺伝子(SRD5A1、SRD5A2)の多型

これらの遺伝子の多型によって、AGAの進行速度や発毛剤の効果に差が生じる可能性があります。

遺伝子多型影響
ARのCAGリピート数AGAの発症リスクや進行速度
SRD5A2の遺伝子多型5α還元酵素の活性や発毛剤の効果

加齢に伴う発毛機能の低下

加齢に伴って、毛母細胞の機能が低下し、毛髪の生産性が低下することがあります。

  • 毛周期の短縮
  • 毛母細胞の減少
  • 毛髪の細化

加齢による発毛機能の低下は、発毛剤の効果を減弱させる可能性があります。

発毛剤の効果への過度な期待

発毛剤を使う際、過度な期待を持つことで、実際の治療効果とのギャップに失望し、満足度が下がることがあります。

発毛剤の効果に対する非現実的な期待

発毛剤の広告や口コミなどで、劇的な効果を期待してしまう人もいます。

非現実的な期待現実
数週間で大幅な発毛数ヶ月から数年の継続使用が必要
完全な脱毛の回復脱毛の進行を遅らせる、一部の発毛が期待できる

非現実的な期待を持つと、実際の効果とのギャップに失望する可能性があります。

個人差を考慮しない期待

発毛剤の効果には、個人差があることを理解することが大切です。

  • 脱毛の程度
  • 年齢
  • 体質

個人差を考慮せず、他人と同じ効果を期待すると、満足度が下がる可能性があります。

治療効果の判断基準の違い

患者と医療従事者では、治療効果の判断基準が異なる場合があります。

患者の判断基準医療従事者の判断基準
自己評価による主観的な満足度写真や毛髪計測による客観的な評価
短期的な変化への注目長期的な変化の重視

判断基準の違いによって、患者の満足度と医療従事者の評価にギャップが生じる可能性があります。

脱毛量が発毛量を上回っているかもしれません

発毛剤を使っているのに、薄毛が進んでいるとき、発毛量よりも脱毛量の方が多いことがあります。

毛髪の成長サイクルと発毛剤の作用

毛髪は、以下の3つの成長段階を繰り返しています。

  1. 成長期(アナーゲン期)
  2. 退行期(カターゲン期)
  3. 休止期(テローゲン期)

発毛剤は主に休止期の毛髪に作用し、新しい成長期の毛髪を生やすことで薄毛の進行を抑える働きがあります。

成長段階期間毛髪の状態
成長期2〜6年毛髪が伸び続ける
退行期2〜3週間毛髪の成長が止まる
休止期3〜4ヶ月古い毛髪が抜け落ち、新しい毛髪が生えてくる

男性型脱毛症(AGA)における脱毛量の増加

AGAでは、男性ホルモンの影響により以下のような変化が起こります。

  • 毛周期の短縮(休止期の延長)
  • 毛母細胞の減少
  • 毛髪の細化

これらの変化により、脱毛量が増加し、薄毛が進行します。

AGAの進行度脱毛量の増加率
軽度10〜20%
中等度20〜30%
重度30%以上

発毛剤を使っていても、AGAの進行により脱毛量が発毛量を上回ることがあります。

脱毛量が多い場合の対処法

脱毛量が多く、発毛剤の効果が不十分なときは、以下のような対処法があります。

  • フィナステリドなど内服薬の併用
  • 頭皮マッサージによる血行促進
  • 低出力レーザー療法の併用

これらの方法を組み合わせることで、脱毛量を抑え、発毛量を増やすことが期待できます。

AGA以外の脱毛症の可能性も考えてみましょう

発毛剤を使っても効果が見られないとき、男性型脱毛症(AGA)以外の脱毛症が原因だったりします。

AGA以外の脱毛症の可能性

発毛剤が効かない場合、以下のようなAGA以外の脱毛症が原因である可能性があります。

  • 円形脱毛症
  • びまん性脱毛症
  • 瘢痕性脱毛症

これらの脱毛症では、発毛剤の効果が限定的だったりします。

脱毛症特徴
円形脱毛症円形の脱毛斑が出現する
びまん性脱毛症全体的に毛髪が減少する
瘢痕性脱毛症炎症後に毛穴が閉塞し、毛髪が生えなくなる

円形脱毛症の治療法

ステロイド外用薬炎症を抑え、毛髪の再生を促進します。軽度から中等度の円形脱毛症に効果が期待できます。
ステロイド内服薬重度の円形脱毛症や多発性の脱毛斑に対して用いられることがあります。
局所免疫療法(DPCP、SADBE)脱毛斑に接触性皮膚炎を引き起こす薬剤を塗布し、毛髪の再生を促すことを目的としています。
光線療法(PUVA、NB-UVB紫外線を用いて免疫反応を調整し、毛髪の再生を促進することを目指します。

びまん性脱毛症の治療法

低出力レーザー療法毛母細胞の活性化や血行促進により、毛髪の成長を支援することを目的としています。
髪の植毛術自身の毛髪を移植することで、薄毛部分の改善を図る治療法です。

瘢痕性脱毛症の治療法

ステロイド外用薬・内服薬炎症を抑制し、瘢痕形成を防ぐ効果が期待されています。
免疫抑制剤(シクロスポリンなど)炎症反応を抑え、瘢痕形成を抑制することを目的としています。
外科的治療(瘢痕切除、毛髪移植)瘢痕組織を切除し、毛髪の再生が可能な状態にします。毛髪移植により脱毛部分をカバーすることを目指します。
再生医療(自家毛髪細胞移植)患者自身の毛母細胞を培養し、脱毛部分に移植することで毛髪の再生を図る治療法です。

これらの治療法は、脱毛症の種類や重症度、患者さんの状態に応じて選択されます。

治療方針については、皮膚科医や毛髪診療の専門医との相談が大切です。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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