当院のAGA治療 WEB予約 052-228-1280

発毛剤の効果 – AGA治療の第一歩として知っておくべきこと

発毛剤の効果

AGA(男性型脱毛症)に悩む人にとって、発毛剤は大きな希望の光と言えるでしょう。

しかし、発毛剤の効果について正しく理解している人は少ないのが現状であり、また、効果には個人差が大きいため全ての人に同じような結果が現れるわけではありません。

ただし、発毛剤を使うことによって、薄毛の進行を遅らせたり、毛髪の質を改善したりできることが少なくありませんので、発毛剤の効果について深く考察することに大きな意味はあると思っております。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

運営ソーシャルメディア(SNSでは「こばとも」と名乗ることもあります)

XYouTubeInstagramLinkedin

著書一覧
経歴・プロフィールページ

こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

発毛剤の毛包への直接的な働きかけ

発毛剤は薄毛の改善に有効な医薬品の一つです。その効果の中でも特に重要なのが、毛包への直接的な働きかけです。

毛母細胞の活性化

発毛剤は毛包内にある毛母細胞を活性化させ、毛髪の成長を促します。

毛母細胞は毛髪の成長に深く関わる大切な細胞です。 発毛剤の有効成分が毛母細胞に働きかけると、細胞分裂が活発になり、毛髪の成長期が好影響を与えます。

毛乳頭細胞への影響

毛乳頭細胞は毛母細胞に栄養を届ける役目を果たしています。

発毛剤は毛乳頭細胞の活性させ、毛母細胞への栄養供給を促します。 その結果、毛髪が元気になり、健やかになるのです。

発毛剤の有効成分作用機序
ミノキシジル毛母細胞の活性化、毛乳頭細胞への作用
フィナステリド男性ホルモンの影響を抑制

毛包の成長サイクルへの影響

毛包には成長期、退行期、休止期という成長サイクルがあります。 発毛剤の主成分であるミノキシジルはこの成長サイクルに次のような影響を与えます。

  • 成長期が長くなる
  • 退行期が短くなる
  • 休止期から早めに成長期に移行する

発毛剤の長期的な使用効果

発毛剤の主成分であるミノキシジルの効果はすぐに現れるわけではありません。 長い期間使い続けることで、少しずつ毛髪の量や質に影響を与えていきます。

使用期間効果
1〜3ヶ月抜け毛の減少
3〜6ヶ月細い毛髪の増加
6ヶ月以上太い毛髪の増加、全体的な毛量の改善

このように、発毛剤は毛包に直接働きかけることで、毛髪の成長を促し、薄毛にアプローチしていきます。

毛母細胞や毛乳頭細胞の活性化、成長サイクルへの影響など、様々な角度からアプローチすることで効果を発揮するのです。

発毛剤による頭皮環境の改善メカニズム

発毛剤は毛包に直接働きかけるだけでなく、頭皮環境に働きかけることでも髪の毛の改善に役立ちます。

頭皮の保湿

発毛剤の中には頭皮を保湿する成分が含まれているものがあります。

適度な保湿は頭皮の柔軟性を保ち、毛包の健康的な成長環境を整えるために欠かせません。
保湿成分は角質層の水分量を増やすことで、バリア機能を促します。

保湿成分の例作用機序
グリセリン天然保湿因子の保持
ヒアルロン酸水分保持力の向上
セラミド角質層の脂質バリアの強化

皮脂バランスの調整

頭皮の皮脂は毛髪や頭皮を守る役割を担っていますが、過剰な皮脂分泌は毛包の詰まりや炎症を引き起こす恐れがあります。

発毛剤には皮脂の分泌を適度にコントロールする成分が含まれていることがあります。

皮脂コントロール成分の例作用機序
酵母エキス皮脂腺の活動を調整
ビタミンB6皮脂分泌の正常化

頭皮の柔軟性の向上

柔軟性のある頭皮は毛髪の成長にとって理想的な環境を作り出します。

発毛剤には次のような成分が含まれていることがあり、頭皮の柔軟性を高める効果が期待されています。

  • コラーゲン
  • エラスチン
  • ケラチン

これらの成分は頭皮の弾力性を維持し、毛包の健康的な成長を後押しするのです。

頭皮の清浄化

頭皮の汚れや老廃物は毛包の詰まりや炎症の原因となります。

発毛剤には頭皮を清浄化する成分が含まれていることがあり、健康的な頭皮環境に役立ちます。

代表的な清浄化成分としては次のようなものがあります。

  • サリチル酸
  • ピロクトンオラミン
  • オウゴンエキス

このように発毛剤は保湿効果、皮脂バランスの調整、柔軟性の向上、清浄化など、様々な側面から頭皮環境を改善することで健やかな髪の毛の環境整備にアプローチしていくのです。

発毛剤の頭皮血流に対する作用

発毛剤には、頭皮の血流を促進することで、毛髪に良い影響を与える可能性があるとする報告があります。

適切な血流は、毛包に酸素や栄養分を供給するために重要な要素と考えられています。

ここでは、発毛剤が血行促進を介して毛髪に影響を及ぼす可能性のあるメカニズムを見ていきましょう。

毛包への酸素や栄養分の供給増加

発毛剤に含まれる血管拡張成分には、頭皮の毛細血管を拡張させる作用があるとする研究報告があります。

その結果、毛包への血流量が増加し、酸素や栄養分の供給が改善される可能性があります。

毛包はこれらの酸素や栄養分を利用して、健康的な毛髪を形成すると考えられています。

血管拡張成分の例作用機序
ミノキシジルカリウムチャネル開口作用
ビタミンE血管拡張作用
ニコチン酸アミド血管拡張作用

頭皮の代謝機能の向上

血行が改善すると、頭皮の代謝機能も高まる可能性があるとされています。

代謝が活発化すれば、毛包の新陳代謝が促進されて、健康的な毛髪の維持に寄与する可能性があります。加えて、老廃物の排出効率も向上する可能性があります。

育毛因子の産生促進

発毛剤による血行促進には、育毛に関与するさまざまな因子の産生を促進する作用もあるとする報告があります。

具体的な因子としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 血管内皮細胞増殖因子(VEGF)
  • インシュリン様成長因子(IGF-1)
  • 線維芽細胞増殖因子(FGF)

これらの因子は、毛包の維持に重要な役割を担っていると考えられています。

育毛因子作用
VEGF毛包の血管新生を促進
IGF-1毛母細胞の活性を促進
FGF毛包の維持を延長する可能性

頭皮マッサージとの相乗効果

発毛剤の血行促進作用は、頭皮マッサージとの併用により、さらに高まる可能性があるとされています。

マッサージには、物理的に血流を改善し、発毛剤の浸透を助ける作用が期待できます。さらに、マッサージ自体にも頭皮の柔軟性を高めて毛包の健康維持に役立つ効果があるとする報告があります。

発毛剤の頭皮炎症への影響

発毛剤には、頭皮の炎症を抑制する作用があるとする研究報告があります。

頭皮の炎症は、毛包に悪影響を及ぼす可能性があるため、その抑制は毛髪の健康維持に重要な役割を果たすと考えられています。

炎症性サイトカインの産生抑制

発毛剤に含まれる抗炎症成分には、炎症性サイトカインの産生を抑制する作用があるとされています

炎症性サイトカインは炎症反応を促進する物質であり、その過剰な産生は毛包に悪影響を及ぼすことがあります。

発毛剤による炎症性サイトカインの産生抑制は、頭皮の炎症を沈静化させる上で重要な役割を果たすと考えられているのです。

抗炎症成分の例作用機序
グリチルリチンIL-6、TNF-αの産生抑制
ビタミンEIL-1β、TNF-αの産生抑制
ビタミンCIL-8、TNF-αの産生抑制

抗酸化作用による炎症の抑制

発毛剤には、抗酸化作用を持つ成分が含まれていることがあります。 酸化ストレスは、炎症反応を促進する要因の一つであり、その抑制は炎症の沈静化につながる可能性があります。

発毛剤に含まれる抗酸化成分は、頭皮の酸化ストレスを軽減することで、炎症の抑制に寄与すると考えられているのです。

抗菌作用による炎症の予防

頭皮の炎症は、細菌感染によって引き起こされることがあります。

発毛剤には、抗菌作用を持つ成分が含まれていることがあり、これらの成分は頭皮の細菌感染を予防する可能性があります。

細菌感染の予防は、炎症の発生を抑制する上で重要な役割を果たすと評価されています。

抗菌成分の例作用機序
ピロクトンオラミン細菌の増殖抑制
ヒノキチオール細菌の増殖抑制
イソプロピルメチルフェノール細菌の増殖抑制

保湿成分による炎症の緩和

頭皮の乾燥は、炎症を引き起こす要因の一つとなります。

発毛剤には、保湿成分が含まれていることがあり、これらの成分は頭皮の乾燥を防ぐ作用があるとされていて、 頭皮の保湿は、炎症の緩和に役立つと考えられているのです。

以下のような保湿成分が発毛剤に含まれていることがあります。

  • グリセリン
  • ヒアルロン酸
  • コラーゲン

このように、発毛剤には頭皮の炎症を抑制する作用があるとする研究報告があります。

発毛剤の男性ホルモンへの影響

発毛剤には、男性ホルモンが毛包に及ぼす作用を軽減する可能性があるとする研究報告があります。

男性ホルモンは、男性型脱毛症の主要な原因の一つと考えられているため、その影響を抑制することは、毛髪の健康維持に重要な役割を果たすと考えられています。

アンドロゲン受容体の阻害

男性ホルモンは、アンドロゲン受容体に結合することで、毛包に影響を及ぼします。

発毛剤には、アンドロゲン受容体の活性を阻害する成分が含まれていることがあります。 アンドロゲン受容体の阻害は、男性ホルモンが毛包に与える作用を軽減する可能性があります。

アンドロゲン受容体阻害成分の例作用機序
ソイステロールアンドロゲン受容体との競合的阻害
オクタコサノールアンドロゲン受容体の発現抑制

毛包の男性ホルモン感受性の低下

発毛剤には、毛包の男性ホルモン感受性を低下させる作用がある成分が含まれていることがあります。

毛包の男性ホルモン感受性が低下すると、男性ホルモンが毛包に及ぼす影響が軽減される可能性があります。
これにより、男性ホルモンによる毛髪への悪影響が抑制されると考えられています。

男性ホルモン産生の抑制

男性ホルモンは、主に精巣や副腎で産生されます。

発毛剤には、男性ホルモンの産生を抑制する作用がある成分が含まれていることがあります。 男性ホルモンの産生が抑制されると、毛包への男性ホルモンの影響が軽減される可能性があります。

以下のような成分が、男性ホルモンの産生抑制に関与しているとの研究があります。

  • リコピン
  • ノコギリヤシ抽出物
  • ザクロ抽出物

男性ホルモンの毛包への直接的な影響の軽減

男性ホルモンは、毛包に直接的に作用することで、毛髪の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

発毛剤には、男性ホルモンの毛包への直接的な影響を軽減する作用がある成分が含まれていることがあり、男性ホルモンによる毛髪への悪影響が抑制されると考えられています。

男性ホルモンの毛包への直接的な影響を軽減する成分の例作用機序
プロシアニジン B2毛包のアポトーシス抑制
ビオチン毛包の健康維持

発毛剤のジヒドロテストステロン産生への影響

発毛剤を広義にとらえ、脱毛抑制成分も発毛剤の一つであると定義付けた場合ですが、発毛剤にはジヒドロテストステロン(DHT)の産生を抑制する可能性があるとする研究報告があります。

DHTは、男性型脱毛症の主要な原因物質の一つと考えられているため、その産生を抑制することは、毛髪の健康維持に重要な役割を果たすと考えられています。

5αリダクターゼ阻害による DHT 産生抑制

DHTは、テストステロンが5αリダクターゼという酵素によって変換されることで産生されます。

発毛剤には、5αリダクターゼの活性を阻害する成分が含まれていることがあります。5αリダクターゼの阻害は、DHTの産生を抑制し、毛包への悪影響を軽減する働きがあります。

5αリダクターゼ阻害成分の例作用機序
オウゴン抽出物5αリダクターゼの活性阻害
ノコギリヤシ抽出物5αリダクターゼの活性阻害

アンドロゲン受容体の阻害による DHT の作用抑制

DHTは、アンドロゲン受容体に結合することで、毛包に影響を及ぼします。

発毛剤には、アンドロゲン受容体の活性を阻害する成分が含まれていることがあります。 アンドロゲン受容体の阻害は、DHTが毛包に与える影響を軽減する可能性があります。

抗酸化作用による DHT の産生抑制

酸化ストレスは、5αリダクターゼの活性を高め、DHTの産生を促進する可能性があります。

発毛剤には、抗酸化作用を持つ成分が含まれていることがあります。 抗酸化成分は、酸化ストレスを軽減することで、DHTの産生を抑制する可能性があります。

以下のような抗酸化成分が、発毛剤に含まれていることがあります。

  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • ポリフェノール

毛包の DHT 感受性の低下

発毛剤には、毛包のDHT感受性を低下させる作用がある成分が含まれていることがあります。

毛包のDHT感受性が低下すると、DHTが毛包に及ぼす影響が軽減される可能性があります。これにより、DHTによる毛髪への悪影響が抑制されると考えられています。

毛包のDHT感受性を低下させる成分の例作用機序
プロシアニジンB2アンドロゲン受容体の発現抑制
ザクロ抽出物IGF-1シグナル伝達の調節

このように、発毛剤にはDHTの産生を抑制する可能性があるとする研究報告があります。

ただし、これらの作用は研究段階の報告であり、個人差があることに留意が必要です。

女性の薄毛に対する発毛剤の可能性

薄毛に悩む女性に向けて、発毛剤の可能性について最新の研究結果を基に解説します。

女性の薄毛の原因とは

女性の薄毛の原因は、男性とは異なります。

男性の場合、男性型脱毛症(AGA)が主な原因ですが、女性の場合は次のような原因が考えられるのです。

  • ホルモンバランスの乱れ
  • ストレス
  • 加齢
  • 不適切なヘアケア

発毛剤の有効成分

発毛剤には様々な有効成分が配合されていますが、代表的なものは以下の通りです。

有効成分主な働き
ミノキシジル毛母細胞の活性化
スピロノラクトン男性ホルモン抑制への働きかけ

発毛剤の使用による変化

PubMedに掲載された研究によると、薄毛女性が発毛剤を使用することで、次のような変化が確認されているのです。

  • 毛髪密度の増加
  • 毛髪の太さの増加
  • 脱毛速度の低下

また、別の研究では発毛剤の使用開始から3ヶ月後には、毛髪密度が平均15%増加したとの報告もあります。

使用期間毛髪密度の変化
開始時100%
3ヶ月後115%
6ヶ月後128%

発毛剤の継続使用の重要性

発毛剤の効果を実感するためには、継続して使用することが大切です。

短期間の使用では十分な効果が得られないことが多いため、少なくとも3〜6ヶ月間は継続して使用することが推奨されています。

以上

References

OHN, Jungyoon; KIM, Kyu Han; KWON, Ohsang. Evaluating hair growth promoting effects of candidate substance: a review of research methods. Journal of dermatological science, 2019, 93.3: 144-149.

JAIN, Ruchy; DE-EKNAMKUL, Wanchai. Potential targets in the discovery of new hair growth promoters for androgenic alopecia. Expert opinion on therapeutic targets, 2014, 18.7: 787-806.

SHAPIRO, Jerry; PRICE, Vera H. Hair regrowth: therapeutic agents. Dermatologic clinics, 1998, 16.2: 341-356.

VAROTHAI, Supenya; BERGFELD, Wilma F. Androgenetic alopecia: an evidence-based treatment update. American journal of clinical dermatology, 2014, 15: 217-230.

SAWAYA, Marty E. Novel agents for the treatment of alopecia. In: Seminars in Cutaneous Medicine and Surgery. Philadelphia, PA: WB Saunders Co., c1996-, 1998. p. 276-283.

HUH, Sungran, et al. A cell-based system for screening hair growth-promoting agents. Archives of dermatological research, 2009, 301: 381-385.

WALL, Dmitri, et al. Advances in hair growth. Faculty reviews, 2022, 11.

YORK, Katherine, et al. A review of the treatment of male pattern hair loss. Expert opinion on pharmacotherapy, 2020, 21.5: 603-612.

KATOULIS, Alexander C., et al. A randomized, single‐blinded, vehicle‐controlled study of a topical active blend in the treatment of androgenetic alopecia. Dermatologic Therapy, 2020, 33.4: e13734.

MURATA, Kazuya, et al. Promotion of hair growth by Rosmarinus officinalis leaf extract. Phytotherapy research, 2013, 27.2: 212-217.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次