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AGA(男性型脱毛症)の原因

まだ20代前半の男性が髪の生え際を不安そうに触れている様子を描く。背景は淡いベージュの室内空間で、シンプルな家具を配置し生活感を演出。表情には焦りと少しの希望を織り交ぜ、線と影は柔らかく仕上げる。全体的に清潔感と落ち着きを重視し、人物の髪のボリュームを繊細に表現する。

男性型脱毛症(AGA)は、男性ホルモン・DHTの影響と遺伝的体質が主な原因となり、特に生え際や頭頂部(つむじ)に薄毛が現れやすい症状です。

記事では、DHTが毛根に及ぼす悪影響や、短縮するヘアサイクル、毛包の縮小といった具体的なメカニズム(薄毛の原因)を解説しています。

さらに、家族歴がAGAの発症リスクを高める要因として働く点、加齢に伴う髪の老化、加えてストレスや栄養不足、睡眠不足、喫煙などの生活習慣が薄毛を進行させる可能性についても詳述。

正しい知識と適切な対策で、進行を抑えるための第一歩を踏み出すための情報を提供する内容となっています。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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経歴・プロフィールページ

こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

生え際・頭頂部に現れる脱毛パターン

30代半ばの男性がM字型に生え際が後退しはじめた状態を鏡で確認している場面を描く。背景は淡い水色のバスルームで、清潔感を大切に。

AGAでは、薄毛の進行パターンとして額の両側から後退するいわゆるM字型や、頭頂部(つむじ)周辺が薄くなるO字型(つむじハゲ)が代表的です。

進行すると前頭部と頭頂部の薄毛部分が繋がり、頭頂部から前方にかけて大きく毛が減ったU字型になることもあります 。以下に主な薄毛パターンを示します。

主なAGAの薄毛進行パターン

40代男性が頭頂部(つむじ)まわりの薄毛を気にして上から手鏡をかざしている様子。背景は淡いクリーム色の落ち着いた室内。
  • M字型脱毛:前頭部の生え際が左右から後退していき、額の中央部との境目がM字状に見える脱毛パターン。
  • O字型脱毛:頭頂部、いわゆるつむじのあたりから円形に薄毛が進行していくパターン。
  • U字型脱毛:前頭部全体が後退し、頭頂部の薄毛部分と繋がってU字型に髪が残るパターン(M字+O字が進行した状態)。

毛髪の構造とヘアサイクル

20代後半の男性が髪の断面図を眺めている場面を描く。背景はソフトグレーの研究室風景で、後ろに顕微鏡や書籍を少し配置。男性は白衣を羽織って興味深そうに見つめる。

毛根と毛乳頭の役割

髪の毛は皮膚の下にある毛根から生えています。毛根の一番下には球根状の毛球があり、そこに存在する毛母細胞が分裂・増殖することで髪が成長します。

毛球の下部には毛母細胞に栄養を与える毛乳頭と呼ばれる組織があり、毛乳頭には毛細血管やホルモン受容体が存在して髪の成長をコントロールしています。

毛根を包む毛包組織と合わせて毛根全体が毛包(もうほう)を形成し、ここが髪を作り出す工場のような役割を果たしています。

ヘアサイクル(毛周期)の3段階

30代前半の男性キャラクターを中心に、成長期・退行期・休止期の3ステージを象徴する吹き出しを周囲に配置。背景は淡いピンクベージュで柔らかい印象。人物は少し笑顔で、髪の状態を理解しようとしている表情。

髪の毛は一定のサイクルで生え変わっており、一生の間に何度も抜けては生えることを繰り返します。このヘアサイクル(毛周期)は大きく分けて「成長期」「退行期」「休止期」の3つの段階があります。

それぞれの段階で毛髪と毛根では次のような変化が起こります。

毛髪の成長サイクルの主な3段階

  1. 成長期 – 毛母細胞が盛んに分裂して毛髪が伸びる期間。個人差はありますが通常2~6年程度持続します。
  2. 退行期 – 毛母細胞の分裂が止まり、髪の成長が止まる移行期。期間は2~3週間程度で、毛根が徐々に縮小します。
  3. 休止期 – 毛髪の成長が完全に停止した状態で、新しい毛が生える準備段階の期間です(古い髪は抜け落ちる)。3~4ヶ月程度続いた後、再び成長期に入ります。

健康な頭皮ではおよそ85~90%の毛髪が成長期にあり、残りの10~15%ほどが退行期または休止期にあります。このサイクルによって常に一定の本数が生え変わることで、髪の総量が維持されます。

AGAによるヘアサイクルの乱れ

40代男性が抜け毛を手に取り、やや驚いた表情をしている様子を描く。背景は淡いラベンダー色をベースにしたベッドルームで、枕元にも髪が落ちている。線や影は柔らかくまとめ、人物の表情はショックと冷静さを両立するイメージ。

AGAを発症すると、上述のヘアサイクルに乱れが生じます。男性ホルモンの一種であるDHTの影響によって成長期が通常より大幅に短縮され、十分に髪が成長しきる前に抜け落ちてしまいます。

本来2~6年ほど成長するはずの髪が、AGAでは数ヶ月~1年程度で退行期に移行してしまうのです。

その結果、太く長い髪に成長できずに細く短い毛のまま抜ける毛が増え、生えてくる髪の本数より抜ける髪の本数が上回る状態となり、徐々に髪全体のボリュームが減っていきます。

こうしたヘアサイクルの乱れこそがAGAによる薄毛の直接的なメカニズムと言えます。

正常なヘアサイクルとAGA時の比較

スクロールできます
ヘアサイクルの段階正常な期間 (目安)AGAによる変化
成長期(毛が伸びる)約2~6年数ヶ月~1年程度に短縮
退行期(成長停止)約2~3週間ほぼ変わらない(~2~3週間)
休止期(次の毛を準備)約3~4ヶ月ほぼ変わらない(~3~4ヶ月)

※AGAでは主に成長期のみが短縮され、退行期・休止期の長さには大きな変化がありません。短くなった成長期の分、休止期の毛の割合が増えるため、抜け毛が目立つようになります。

男性ホルモン(DHT)と薄毛の仕組み

30代後半の男性が、頭部に小さくDHT分子モデルのイメージが浮かんでいるような演出。背景はライトグリーンのグラデーションで、研究っぽい雰囲気を少し取り入れる。人物は真剣そうな表情で、髪の生え際がやや後退している。線は繊細に。

ジヒドロテストステロン(DHT)とは?

AGAの根本原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)は、テストステロンから生成される強力な男性ホルモンです 。

男性の体内では主に精巣で作られるテストステロンというホルモンがありますが、この一部が酵素5αリダクターゼの作用によって変化し、より作用の強いDHTに変換されます 。

DHTは本来、胎児期の生殖器の発達や思春期の体毛の増加などに関わる重要なホルモンですが、頭髪に関しては毛根に悪影響を及ぼす性質があるため“悪玉男性ホルモン”とも呼ばれるホルモンです。

AGAにおいては、このDHTが毛根で過剰に作用することが問題となります。

DHT生成と作用のプロセス

  1. テストステロンの分泌 – 思春期以降、精巣などでテストステロンという男性ホルモンが分泌され、血流に乗って全身を巡ります。
  2. 5αリダクターゼによる変換 – 毛乳頭や皮脂腺に存在する5αリダクターゼ酵素がテストステロンと結合し、これをDHTに変換します。特に毛根に多いタイプⅡの5αリダクターゼが関与します。
  3. DHTの受容体への結合 – 生成したDHTが毛根(毛乳頭)のアンドロゲン受容体に結合します。髪を作る毛母細胞に対するシグナルが乱れ、毛包が徐々に縮小して髪が細く短くなります 。
  4. ヘアサイクルの短縮化 – DHTの作用で成長期が短縮され、十分成長しきる前に髪が抜け落ちてしまいます。休止期の毛が増えて抜け毛が増加し、次第に薄毛が進行します。

生え際・つむじに薄毛が起こりやすい理由

50代男性が鏡を見ながらM字部分とつむじ付近を同時に気にしている姿を描く。背景は淡いパステルブルーの寝室を想定し、枕やベッドカバーも柔らかな色合い。線はなめらかにし、表情は落ち着きつつも悩みがにじむ程度に表現する。

AGAでは、頭部の中でも生え際(前頭部)や頭頂部に症状が集中しやすいという特徴があります。その理由の一つは、5αリダクターゼ酵素の存在比率です。

5αリダクターゼにはタイプIとタイプIIの2種類があり、頭皮の部位によって主に存在するタイプが異なります。側頭部や後頭部などサイドの毛根にはタイプIが多いのに対し、額の生え際から前頭部、頭頂部にはタイプIIの5αリダクターゼが多く分布します 。

タイプIIの酵素によって生成されるDHT(Ⅱ型DHT)の方がAGAの発症に強く関与するため、結果として生え際やつむじ周りの毛が優先的に細く弱っていくのです 。

一方、タイプIが主である側頭部や後頭部の髪はDHTの影響を受けにくく、AGAが進行しても比較的残りやすい傾向があります。

男性ホルモンの量と薄毛の関係

20代半ばの男性がホルモンの数値を示すグラフを眺めながら首をかしげている構図。背景は淡い薄緑のオフィス風景で、人物の髪型は少し前髪が後退気味。線は細めで柔らかく、人物は疑問を抱きつつ前向きな雰囲気を併せ持つ。

薄毛に男性ホルモンが関係すると聞くと「ホルモン分泌が多い人ほどハゲるのか?」と思われがちですが、テストステロンの分泌量そのものが直接AGAを招くわけではありません。

実際、AGAの人でもそうでない人も血中のテストステロン濃度には大きな差がないことが分かっています。重要なのはホルモンの“量”ではなく毛根がホルモンに対してどれだけ反応しやすいか(感受性の高さ)です。

先述のようにDHTが毛根に強く作用すると薄毛が進行しますが、この作用の受けやすさ(感受性)には個人差があります。つまり、同じ男性ホルモン環境でも、毛根がDHTの影響を受けやすい体質の人はAGAになりやすいのです。

この感受性の差は遺伝によるところが大きく、次の章で解説する遺伝的要因と深く関係しています。

AGAと遺伝的要因

50代男性と20代の息子が並んで鏡を見ているシーンを描く。2人とも似た額の後退が少し気になり始めている設定。背景は薄いクリーム色のリビングで家族的な雰囲気。線を優しく描き、親子の表情は少し驚きと苦笑いを混ぜた穏やかなものに。

遺伝が与える体質的な影響

AGAは遺伝的な要因が大きく関与することが知られています。つまり、生まれ持った体質によって「薄毛になりやすいかどうか」がある程度決まっているということです。

遺伝そのものが直接髪を抜けさせるわけではありませんが、前述のDHTに対する毛根の感受性の高さやホルモンを生成する酵素の活性度などは遺伝によって左右されます。

したがって、家族に薄毛の人が多い場合、その体質を受け継いでAGAを発症しやすい傾向があります。

家族歴がある場合のAGAリスク

40代男性が家系図を眺めて真剣に考えている姿を描く。背景はソフトベージュの書斎で、本棚を少し配置し知的な雰囲気に。人物の髪は頭頂部にやや薄さを表現し、表情は自分の将来を心配している様子。線は控えめに柔らかく仕上げる。

実際に、AGAには家族歴(血縁者に薄毛の人がいること)が強く影響します。特に父親が若い頃からAGAを発症している場合や、母方の祖父が薄毛だった場合は、その子世代でAGAになるリスクが高い傾向にあります。

例えば、父親が壮年期に頭頂部ハゲ(O字型)を呈していた場合、息子も同じ部位からAGAが進行しやすいといったケースが多く見られます。逆に親兄弟に薄毛の全くいない人は、AGAを発症しにくい体質である可能性が高いでしょう。

ただし、遺伝による体質は複数の遺伝子が関与して決まるため、家族歴がなくてもAGAになる人もおり一概ではありません。

AGAに関与する主な遺伝的素因

遺伝要因内容
男性ホルモン受容体(AR)遺伝子毛乳頭に存在するアンドロゲン受容体(男性ホルモン受容体)の感受性を決める遺伝子。X染色体上にあり母親から息子へ受け継がれる。感受性が高い型だと毛根がDHTの影響を受けやすくAGAを発症しやすい。
5αリダクターゼの活性テストステロンをDHTに変換する5αリダクターゼ酵素の活性度には個人差があり、遺伝によって高い活性を示す体質が受け継がれることがある。酵素活性が高いとDHTが多く生成されるため薄毛のリスクが高まる。
その他の遺伝子の組み合わせ毛髪の成長因子や頭皮の炎症反応に関わるものなど、複数の遺伝子要因が複雑に影響すると考えられる。遺伝子の組み合わせ次第で薄毛の進行速度や重症度が異なるため、家族全員が薄毛でも発症時期や進行パターンが異なる場合がある 。

母方の遺伝はどの程度影響する?

AGAの話題でよく言われるのが「薄毛は母方の祖父に似る」というものです。確かに上述のように母親から受け継ぐX染色体上の遺伝子(AR遺伝子)はAGA発症に深く関与します。

母方の祖父や叔父に若ハゲの人がいると、息子世代も同じ遺伝子を持っている可能性が高いでしょう。しかし実際には薄毛の遺伝は母方だけでなく父方からも受け継ぎます。

父親からは5αリダクターゼの活性体質など様々な遺伝要因を受け継ぐことがあり、総合的に判断する必要があります。

「母方に薄毛がいないから自分は大丈夫」「父がハゲているから自分も必ずハゲる」という単純なものではなく、あくまで遺伝的な成りやすさが決まるに過ぎません。環境要因によっても発症リスクは変わるため、家系に関わらず油断せず注意することが大切です。

加齢による影響

60代男性が、少し白髪混じりになりながらも頭頂部の薄毛をなんとかカバーしようと鏡の前で整髪している場面。背景は淡いパステルグレーの落ち着いた洗面所。人物の表情は前向きで、年齢なりの品を残しつつ薄毛を意識する様子。

年齢とAGA発症率の関係

AGAは上述の通り年齢が上がるにつれて発症率が高くなる傾向があります。実際、日本人男性の場合は40代で約30%、50代で約40%がAGAを発症し、60代以降では50%以上に達するとのデータがあります。

加齢によって薄毛になる人が増える要因としては、長年にわたり男性ホルモンの影響を受け続けることに加え、髪自体の老化現象も関与します。

毛根の細胞も年齢とともに活力が低下し、髪の太さやコシが若い頃より弱くなるため、高齢になるほど髪が抜けやすく生えにくくなっていくのです。その結果、遺伝的要因がそれほど強くない人でも、加齢によって薄毛が進行するケースがみられます。

若年発症と中高年発症の違い

20代後半の男性と40代の男性が並び、それぞれの薄毛進行を比較しているイメージを描く。背景は淡いピンクと水色を左右に分割し、年齢差を視覚化。2人の表情は互いに自分の髪をチェックしているようす。線は柔らかく、誇張は控えめ。

AGAは年齢が高いほど起こりやすくなりますが、20代~30代という若いうちから発症する例も少なくありません。若年でAGAを発症する場合は、遺伝的要因の影響が特に強いと考えられ、毛根がDHTに対して非常に敏感である可能性があります。

そのため進行スピードも比較的早い傾向があり、放置すると短期間で薄毛が目立ってしまうこともあります。

一方、40代以降になってから発症するAGAは、男性ホルモンや生活習慣の影響が長年積み重なって発現するケースが多く、比較的ゆるやかに進行することもあります。

高齢になるほど加齢による髪の衰えも加わるため、症状としては頭頂部を中心とした全体的なボリューム低下として現れる傾向があります。

生活習慣・環境要因が与える影響

30代男性が、夜更かしでスマホを見ながらベッドに座り、目元にクマがある姿を描く。背景は薄いパステルブルーの寝室で、枕や布団も淡い色。男性は疲れた表情で髪に手をやり、抜け毛が気になる雰囲気。線はやわらかく整理し、誇張は控える。

ストレスによる影響

ストレス自体はAGAの直接の原因ではありませんが、強いストレスを受けるとホルモンバランスや自律神経が乱れ、結果的に薄毛を進行させる一因となりえます。極度の精神的ショックや慢性的なストレスは、

一時的に髪の成長が停止して抜け毛が増える休止期脱毛(いわゆる「ストレスで一気にハゲる」状態)を引き起こすことがあります。この休止期脱毛そのものは一過性ですが、それをきっかけに本格的なAGAが発症・進行するケースも報告されています 。

またストレスによる血行不良や食欲低下により、毛根への栄養供給が滞ることも薄毛を助長する要因です。

20代後半の男性がデスクで大量の書類を抱え、疲れと焦りが混じった表情をしている場面。背景は淡いパステルイエローのオフィスで、周囲にパソコンや資料を少し配置。髪は生え際が少し気になる程度。全体的に線を優しくまとめ、誇張を避ける。

食生活・栄養不足の影響

髪の毛の健康維持には日々の栄養バランスが重要です。極端なダイエットや偏った食事を続けていると、髪の原料となるタンパク質や発毛を助ける各種ビタミン・ミネラルが不足し、毛髪の成長力が低下してしまいます。

特に亜鉛や鉄分、ビタミンDは髪の成長に関わる重要な栄養素で、これらが不足すると抜け毛が増える可能性が指摘されています。

また糖分や脂肪分の過剰摂取は皮脂の分泌を増やし、頭皮の毛穴詰まりや炎症を招いて薄毛を悪化させる恐れがあります。

髪の成長を支える主な栄養素

40代男性が、栄養バランスを考えて野菜や肉、魚などが乗ったプレートを嬉しそうに見ている様子。背景は淡いパステルグリーンのダイニングで、テーブル上に数種類の食材を並べる。髪は頭頂部がやや薄め。線や影はソフトに表現し、穏やかな雰囲気に。
栄養素役割と不足時の影響
タンパク質(ケラチン)髪の主成分となる栄養素。慢性的なタンパク質不足は髪のハリ・コシの低下や抜け毛の増加に直結する。
亜鉛ケラチン合成を助けるミネラル。細胞分裂にも必要で、不足すると髪が十分に成長せず細く弱くなる。
鉄分毛根への酸素供給に不可欠な栄養素。不足すると頭皮の血行不良や貧血を招き、結果として抜け毛が増加する。
ビタミンD毛母細胞の分化を促し髪の成長をサポートするビタミン。不足するとヘアサイクルが乱れやすくなるとの報告もある。

睡眠不足・生活リズムの乱れ

現代人に多い睡眠不足や昼夜逆転などの生活リズムの乱れも、髪の成長にマイナスに働きます。髪を含む体の細胞は主に睡眠中に修復・再生されますが、睡眠時間が極端に短かったり質が悪かったりすると、この修復の機会が十分に取れません。

特に成長ホルモンは深い睡眠時に分泌され、毛母細胞の分裂を促す作用がありますが、慢性的な睡眠不足は成長ホルモンの分泌低下を招きます。その結果、頭皮の新陳代謝が滞って抜け毛が増えたり、髪が細く弱くなったりする原因となります。

また夜更かしの習慣は自律神経の乱れにつながり、前述したストレス過多の状態を招きやすくなります。

喫煙・過度な飲酒の影響

30代男性が片手にタバコ、もう片手にビールジョッキを持ち、少し不健康そうな表情をしているシーンを描く。背景は淡いパステルブラウンのバー風景で、カウンターに灰皿と空きグラスを配置。髪は生え際がほんのり後退し、線や影は柔らかく抑える。

髪の毛は頭皮の毛細血管から栄養や酸素を受け取って成長しているため、血行不良は発毛にとって大敵です。喫煙は血管を収縮させる作用があるため、頭皮の血流を低下させて毛根への栄養供給を妨げます。

実際、喫煙習慣のある人ほど薄毛が進みやすいとの疫学調査結果もあります。また過度な飲酒は肝機能の低下やホルモンバランスの乱れを引き起こし、結果的に髪の成長に悪影響を及ぼします。

お酒の分解には多くのビタミンやミネラルが消費されるため、大酒家の方は髪に必要な栄養素が不足しやすくなる点にも注意が必要です。

頭皮環境(紫外線・ヘアケア)の影響

頭皮の健康状態もAGAの進行に影響を与えます。例えば強い紫外線を長時間浴びることは頭皮の老化を早め、毛根にダメージを蓄積させます。

頭皮は顔の2倍以上の紫外線を受けるとも言われ、炎天下で帽子も被らず過ごす習慣があると、知らず知らずのうちに毛包の細胞が傷つけられて薄毛が進行する一因となりえます。また間違ったヘアケアも注意が必要です。

たとえば洗髪を怠って頭皮を不潔にしていると、皮脂汚れが毛穴を塞いで炎症を起こしやすくなります。逆に1日に何度もシャンプーしたり強い力でゴシゴシ洗うと、頭皮を必要以上に傷つけて防御機能を低下させてしまいます。

さらにパーマやカラーリングを頻繁に行うことや、ヘアアイロンによる過度な熱、きついポニーテール等で髪を強く引っぱる髪型は、毛髪・頭皮にダメージを与え脱毛を招く場合があります。

こうした要因はAGAそのものの原因とは異なりますが、頭皮環境の悪化を通じて結果的に薄毛の進行を早める可能性があります。

その他の要因と誤解

AGA以外の脱毛症の原因

薄毛の原因はAGAだけではありません。男性の脱毛症には、AGA以外にもいくつかの種類があります。例えば、円形脱毛症は自己免疫の異常によって毛根が攻撃されてしまうことで生じます。

また長年髪を強く引っぱる髪型を続けると起こる牽引性脱毛症や、脂漏性皮膚炎などによる炎症で生じる脱毛症もあり、これらはAGAとは原因が異なります。

女性の場合も、女性ホルモンの変動による女性型脱毛症(FAGA)や産後の一時的な脱毛など、男性とは異なるメカニズムで薄毛が起こります。

このように「薄毛=すべてAGA」というわけではなく、その背後に別の原因が潜んでいるケースもあるため注意が必要です。

薬剤や疾患による脱毛

外部要因として、薬の副作用や疾病による脱毛を引き起こす場合があります。代表的なものが抗がん剤治療による脱毛で、これは細胞分裂を止める強力な薬剤の影響で毛母細胞の働きも一時的に止まってしまうために起こります。

その他にも、一部の抗うつ薬や降圧薬などで発毛が阻害されることがあります。また疾患では、甲状腺ホルモンの異常(甲状腺機能低下症/亢進症)や重度の糖尿病、栄養失調症など、全身の健康状態が髪に影響して脱毛を引き起こす場合があります。

これらはAGAとは直接関係のない脱毛であり、根本原因を治療すれば改善が期待できます。薄毛に悩んでいても必ずしもAGAとは限らないため、気になる場合は皮膚科専門医に相談するとよいでしょう。

薄毛の原因に関するよくある誤解

40代男性が、ネット情報を見て頭を抱えている場面を描く。背景は淡いパステルパープルのリビングで、テーブルの上にスマホと雑誌を置き、虚実入り混じる情報に混乱している印象。人物の生え際は少し後退。線は優しく、表情はやや焦り気味。

インターネット上や世間には薄毛の原因について様々な噂や俗説がありますが、中には科学的根拠に乏しいものも少なくありません。最後に、AGAの原因にまつわる代表的な誤解をいくつか紹介します。

帽子をかぶるとハゲる

帽子を長時間かぶっていると蒸れて頭皮に悪いイメージがありますが、帽子自体がAGAの直接の原因となることはありません。むしろ紫外線や乾燥から頭皮を守る効果もあるため、屋外では帽子を活用した方が薄毛対策になる場合もあります。

ただし汗をかいたまま長時間脱がないなど不衛生な状況が続くと頭皮トラブルを招く可能性があるため、適度なケアは必要です。

オナニーをするとハゲる

自慰行為の頻度と薄毛との間に明確な因果関係は確認されていません。過度な性的興奮が男性ホルモンを増やすという噂が広まったと考えられますが、実際には射精の有無でAGAの発症リスクが高まることはないとされています。

むしろ睡眠不足や栄養不足といった他の要因に目を向けるべきでしょう。

シャンプーや整髪料でハゲる

洗髪の際に抜け毛が増えるため「シャンプーのせいで髪が抜ける」と思われがちですが、これは偶然抜ける時期の毛がシャンプーで落ちているだけで、洗髪自体は薄毛の原因ではありません。

むしろ頭皮を清潔に保たない方が抜け毛のリスクは高まります。また、整髪料(ワックスやヘアスプレーなど)も適切に洗い流せば毛根に残ることはなく、毛髪への直接的な悪影響はありません。

重要なのは正しいヘアケアであり、使用後にしっかり洗髪し頭皮を健やかに保つことが薄毛予防につながります。

まとめ

40代男性が、手帳にメモを取りながら前を向いて微笑んでいるイラスト。背景は淡いパステルオレンジの部屋に観葉植物を置き、ポジティブな終わりをイメージ。髪は頭頂部が少し薄いが、表情は前向きで落ち着いた雰囲気に。線や影はソフトにまとめる。

AGA(男性型脱毛症)の原因について、主な要因をまとめると以下のようになります。まず根本的な原因は、男性ホルモン(特にDHT)の毛根への作用と、それを受けやすい遺伝的な体質です。

この二つが土台にあり、その上に加齢による髪の老化や、生活習慣(ストレス・栄養不足・睡眠不足・喫煙・頭皮環境の悪化など)の影響が加わって、薄毛が徐々に進行していきます。

特に生え際や頭頂部はホルモンの影響を受けやすいためAGAの症状が出やすく、放置すれば範囲が拡大してしまいます。

逆に言えば、生活習慣を見直して頭皮環境を整えることはAGAの進行を抑える上で重要です。薄毛の悩みは非常にデリケートですが、その原因を正しく理解することで適切な対処の第一歩となります。

本記事の内容を参考に、ご自身の髪と頭皮の状態を改めてチェックしてみてください。

以上

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