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薄毛はどこから?AGA治療を始める基準とセルフチェック、病院選びのポイントを解説

「最近、抜け毛が増えた気がする」「髪のボリュームが減ってきたかも…」と感じていませんか?薄毛の悩みは非常にデリケートで、どのタイミングで専門家に相談すべきか判断に迷うものです。

この記事では、どのくらいの薄毛になったら治療を検討すべきなのか、薄毛やAGA(男性型脱毛症)の基準、ご自身でできるセルフチェック方法、そしてAGA治療を始めるべき具体的なサインについて詳しく解説します。

後悔しないクリニック選びのポイントまで網羅しているので、薄毛の悩みを抱える方はぜひ参考にしてください。

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小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

「薄毛」や「AGA」の基準とは?多くの人が抱える悩み

薄毛の悩みは、決して珍しいものではありません。

しかし、どこからが医学的な治療を検討すべき「薄毛」なのか、その基準は曖昧に感じられることが多いでしょう。

日本人男性の薄毛の現状

日本人男性のAGA(男性型脱毛症)の発症率は、全年齢平均で約30%と言われています。

年代別にみると、20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降では40%以上と、年齢とともにその割合は増加傾向にあります。

この数字は、3人から4人に1人の男性が薄毛に悩んでいることを示しており、決して特別なことではありません。

多くの人が同じ悩みを抱えていると知るだけでも、少し心が軽くなるかもしれません。

どこからが「薄毛」と感じるのか

医学的な定義とは別に、ご自身が「薄毛」と感じるきっかけは様々です。これらは主観的な感覚ですが、治療を検討する重要なサインとなります。

  • 朝、枕元の抜け毛の量が増えた
  • 髪をセットしても思い通りに決まらない
  • 髪のハリやコシがなくなったように感じる
  • 頭皮が透けて見えるようになった
  • 知人から髪について指摘された

これらの感覚は、AGAが進行し始めている初期症状の可能性があります。

気のせいだと片付けずに、ご自身の頭髪状態の変化に注意を向けることが大切です。

AGA(男性型脱毛症)の基本的な知識

AGAは、思春期以降に始まり、徐々に進行する脱毛症です。

主な原因は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、「5αリダクターゼ」という酵素の働きによって、より強力な「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることです。

このDHTが髪の毛の成長期を短くしてしまい、髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまうことにより、全体の毛髪量が減少し薄毛が目立つようになります。

AGAの主な原因

要因概要影響
遺伝男性ホルモンの感受性の高さや5αリダクターゼの活性度が遺伝するAGAの発症リスクに大きく関わります
男性ホルモンDHTが毛乳頭細胞の受容体と結合し、脱毛因子を生成するヘアサイクルを乱し、薄毛を進行させます
生活習慣食生活の乱れ、睡眠不足、ストレス、喫煙などが頭皮環境を悪化させるAGAの進行を助長する可能性があります

AGAの進行パターンとセルフチェック方法

AGAの進行にはいくつかの特徴的なパターンがあります。

ご自身の状態がどのタイプに当てはまるかを知ることは、現状把握の第一歩です。また、専門的な診断を受ける前に、ご自身でできるセルフチェックで薄毛のサインを確認してみましょう。

あなたはどのタイプ?代表的な薄毛の進行パターン

AGAの進行パターンは、アメリカのハミルトン医師が作成し、後にノーウッド医師が改訂した「ハミルトン・ノーウッド分類」が世界的な基準として用いられています。

主に生え際や頭頂部から進行するのが特徴です。

ハミルトン・ノーウッド分類の簡易的な見方

進行パターン特徴通称
Ⅰ型~Ⅱ型生え際がわずかに後退し始める。M字型(初期)
Ⅲ型~Ⅴ型生え際の後退が顕著になる、または頭頂部が薄くなる。M字型、O字型
Ⅵ型~Ⅶ型生え際と頭頂部の薄毛が繋がり、広範囲に進行する。U字型、C字型

自宅でできるAGAセルフチェックリスト

クリニックに行く前に、まずはご自身の状態を客観的に評価してみましょう。以下の項目に複数当てはまる場合は、AGAの可能性があります。

AGAセルフチェック

チェック項目はいいいえ
以前より抜け毛が増えたと感じる
髪の毛が細く、柔らかくなった
髪のハリやコシがなくなった
おでこが広くなった気がする
頭頂部の地肌が目立つようになった
父や祖父に薄毛の人がいる

「はい」が3つ以上あった方は、一度専門のクリニックに相談することをお勧めします。

抜け毛の本数で判断できる?1日の正常な本数

抜け毛は誰にでも起こる自然な現象です。健康な人でも1日に50本から100本程度の髪の毛は抜けています。

しかし、明らかにそれを超える量が毎日続くようであれば注意が必要です。

1日の抜け毛本数の目安

状態1日の本数(目安)注意点
正常範囲50~100本季節の変わり目などで一時的に増えることもあります。
注意が必要な範囲150本以上細く短い毛が多い場合はAGAの可能性があります。

親族に薄毛の人がいる場合は要注意

AGAの発症には遺伝が大きく関わっています。特に母方の祖父が薄毛の場合、その遺伝子を受け継いでいる可能性が高いと言われています。

もちろん、遺伝が全てではありませんが、血縁者に薄毛の方がいる場合はご自身もAGAを発症するリスクが高いと認識し、早めに頭髪の変化に気を配ることが重要です。

病院でのAGA診断 どのような検査を行うのか

専門のクリニックでは、医師が客観的な視点で薄毛の原因や進行度を診断します。自己判断で悩むよりも、専門家の診断を受けることで、的確な対策を始めることができます。

具体的にどのような診察や検査が行われるのかを知っておくと、安心して受診できるでしょう。

専門医による問診の重要性

まず最初に行われるのが、専門医による問診です。

いつから薄毛が気になり始めたか、生活習慣、既往歴、家族歴などを詳しくヒアリングします。

この情報は、薄毛の原因がAGAなのか、それとも他の脱毛症なのかを判断する上で非常に重要です。

  • 薄毛が気になり始めた時期
  • 生活習慣(食事、睡眠、喫煙、飲酒など)
  • ストレスの有無
  • 現在服用中の薬
  • 家族の頭髪状況(特に父方・母方の男性親族)

マイクロスコープで頭皮状態をチェック

マイクロスコープという特殊な拡大鏡を使い、頭皮の状態や毛穴、髪の毛の太さなどを詳細に観察します。

肉眼では確認できない頭皮の炎症の有無、皮脂の分泌量、1つの毛穴から生えている毛髪の本数、細くなった毛(軟毛化)の割合などを正確に把握できます。

AGAが進行している場合、太い毛に混じって細く短い毛が多く観察されるという特徴があります。

血液検査でわかること

AGA治療薬は肝臓で代謝されるため、治療を開始する前に肝機能に問題がないかを確認する目的で血液検査を行うことがあります。

また、甲状腺機能の異常など、他の病気が原因で脱毛が起きている可能性を排除するためにも役立ちます。

AGA治療を始めるべきタイミング

「もう少し様子を見てから…」と考えているうちに、薄毛は少しずつ進行してしまいます。

AGA治療において、タイミングは非常に重要な要素です。なぜ早く始めることが推奨されるのか、その理由を理解しましょう。

「気になった時が始め時」は本当か

この言葉は、まさに真実です。AGAは進行性の脱毛症であり、自然に治ることはありません。

放置すればするほど毛髪を作り出す「毛母細胞」の働きが弱まり、最終的には活動を停止してしまいます。

少しでも「あれ?」と感じた時、セルフチェックで気になる点があった時が治療を検討するベストなタイミングです。

治療開始が早いほど効果を実感しやすい理由

AGA治療の主な目的は、「抜け毛を減らし、残っている毛を太く育てる」ことです。毛母細胞がまだ活発なうちであれば、治療薬によってヘアサイクルを正常化させ、髪の毛の成長を助けることができます。

しかし、進行が進み毛母細胞の機能が完全に失われてしまうと、いくら薬を使っても髪の毛を生やすことは困難になります。

治療開始時期による効果の違い

項目早期に治療開始進行後に治療開始
期待できる効果発毛・育毛による改善現状維持・抜け毛の抑制が中心
治療満足度高くなる傾向効果を実感しにくい場合がある
精神的負担早期の改善で軽減しやすい改善が見えにくく負担が続く可能性

放置するリスクとは?薄毛の進行と治療の難易度

AGAを放置する最大のリスクは、治療の選択肢が狭まり、改善が難しくなることです。

初期段階であれば内服薬や外用薬で十分な効果が期待できますが、進行してしまうと、より高度な治療(注入治療や自毛植毛など)が必要になる場合や、治療をしても満足のいく結果が得られない可能性があります。

治療にかかる費用や時間も増大する傾向にあるため、早期の決断が賢明です。

AGA治療の主な種類と特徴

現在、AGA治療は確立されており、科学的根拠に基づいた複数の治療法が存在します。

クリニックでは、医師が患者一人ひとりの症状や進行度、希望に合わせて、複数の治療法から単独または組み合わせて提案します。

内服薬による治療

AGA治療の基本となるのが内服薬です。主に「5αリダクターゼ」の働きを阻害し、AGAの原因物質であるDHTの生成を抑制する効果があります。

抜け毛を減らし、ヘアサイクルを正常な状態に近づけることで、薄毛の進行を食い止める「守りの治療」と位置づけられます。

代表的な内服薬の種類

薬剤名特徴期待される効果
フィナステリドⅡ型の5αリダクターゼを阻害する。生え際や頭頂部の薄毛進行を抑制する。
デュタステリドⅠ型とⅡ型の両方の5αリダクターゼを阻害する。フィナステリドより強力なDHT抑制効果が期待される。

外用薬による治療

内服薬が「守り」なら、外用薬は「攻め」の治療です。

頭皮に直接塗布することで、血行を促進し、毛母細胞に栄養を届けやすくすることにより、髪の毛の成長を促し発毛を実感しやすくなります。

代表的な成分は「ミノキシジル」です。内服薬と併用することで、相乗効果が期待できます。

注入治療や自毛植毛について

薬物治療だけでは効果が不十分な場合や、より積極的に発毛を促したい場合には注入治療が選択肢となります。これは、発毛を促進する成長因子などを頭皮に直接注入する方法です。

また、薄毛がかなり進行してしまった場合には、後頭部などご自身の毛が残っている部分から毛根ごと組織を移植する「自毛植毛」という外科的な手法もあります。

クリニック選びで失敗しないためのポイント

AGA治療は継続することが重要です。そのため、信頼できて通いやすいクリニックを選ぶことが治療成功の鍵を握ります。

価格だけで選んで後悔することのないよう、以下のポイントを参考に慎重に選びましょう。

AGA治療の実績が豊富なクリニックを選ぶ

AGA治療を専門に扱っているか、治療実績が豊富かは非常に重要な判断基準です。

多くの症例を見ている医師は、患者一人ひとりの状態を的確に判断し、適切な治療法を提案する能力に長けています。クリニックのホームページで症例数や医師の経歴などを確認しましょう。

費用体系が明確であるかを確認

AGA治療は自由診療のため、費用はクリニックによって異なります。初診料や検査費用、薬代など、治療にかかる全ての費用が事前に明確に提示されるかを確認しましょう。

「追加費用は一切かからない」と明言しているクリニックは安心です。月々の費用の目安だけでなく、年間の総額も把握しておくと良いでしょう。

AGA治療の費用相場(月額)

治療内容費用目安(月額)備考
内服薬(単剤)5,000円~10,000円ジェネリック医薬品の有無で変動します。
内服薬+外用薬15,000円~30,000円最も一般的な組み合わせです。
注入治療30,000円~施術内容や回数により大きく異なります。

無料カウンセリングを有効活用する

多くのクリニックでは、治療を開始する前に無料のカウンセリングを実施しています。

クリニックの雰囲気や医師、スタッフの対応を知る絶好の機会です。疑問や不安に思うことを全て質問し、納得のいく説明をしてくれるかを見極めましょう。

複数のクリニックでカウンセリングを受け、比較検討することも有効な手段です。

  • 医師やスタッフの対応は丁寧か
  • こちらの質問に真摯に答えてくれるか
  • 無理な勧誘や高額なプランを押し付けてこないか
  • 院内の清潔感やプライバシーへの配慮はあるか

通いやすさも重要な要素

AGA治療は、最低でも6ヶ月以上の継続的な通院が必要です。

自宅や職場からアクセスしやすい場所にあるか、診療時間や休診日はご自身のライフスタイルに合っているかなど、物理的な通いやすさも確認しておきましょう。

オンライン診療に対応しているクリニックであれば、遠方の方や忙しい方でも治療を続けやすくなります。

AGA治療に関するよくある質問

最後に、AGA治療を検討している方が抱きがちな疑問についてお答えします。治療を始める前の不安を少しでも解消できれば幸いです。

治療期間はどのくらいかかりますか?

効果を実感し始めるまでに、通常3ヶ月から6ヶ月ほどかかります。ヘアサイクルを正常に戻し、髪が成長するには時間が必要です。

多くの方が1年ほど治療を続けることで満足のいく効果を得ています。治療は根気強く続けることが大切です。

副作用はありますか?

どのような薬にも副作用の可能性はゼロではありません。AGA治療薬の場合、ごく稀に性機能の低下や肝機能障害などが報告されています。しかし、その頻度は非常に低く、ほとんどの方は問題なく治療を続けられています。

治療開始前に医師から詳しい説明がありますので、不安な点は遠慮なく相談してください。万が一、体調に変化を感じた場合は、すぐに医師に連絡しましょう。

治療を途中でやめるとどうなりますか?

AGAは進行性のため、治療を自己判断で中断すると、再び薄毛が進行し始め、治療前の状態に戻ってしまう可能性があります。薬の効果で抑えられていたDHTの働きが元に戻るためです。

治療の中断や変更を希望する場合は、必ず医師に相談してください。

保険は適用されますか?

AGA治療は、生命に直接関わる病気とは見なされないため、健康保険が適用されない「自由診療」となります。そのため、治療費は全額自己負担です。

薄毛の悩みは一人で抱え込まず、専門家に相談することで解決への道が開けます。この記事が、あなたが一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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