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最近抜け毛が気になり始めた。予防すべき?何本抜けたら異常なのか

鏡を見るたび、あるいはシャンプーやブラッシングの際に、以前より抜け毛が増えたと感じて不安になっていませんか。髪の毛は毎日ある程度抜けるのが自然ですが、その量や質、抜け方に変化が見られる場合は、何らかのサインかもしれません。

この記事では、正常な抜け毛と注意すべき抜け毛の違い、その原因や予防の重要性について解説します。ご自身の状態を正しく理解し、適切な対策を始めるための一助となれば幸いです。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

髪は毎日抜けるもの?正常な抜け毛について知ろう

抜け毛と聞くと心配になるかもしれませんが、実は髪の毛には寿命があり、毎日一定量が自然に抜け落ちて新しい髪へと生え変わっています。

まずは髪の生え変わりの仕組みと、正常な抜け毛の目安について解説します。

髪が生え変わる仕組み「ヘアサイクル」とは

ヘアサイクル

私たちの髪の毛は、「ヘアサイクル(毛周期)」と呼ばれる一定の周期に従って、生え、成長し、そして自然に抜け落ちることを繰り返しています。

一本一本の毛穴がそれぞれ異なるタイミングでこのサイクルを繰り返しているため、一度に全ての髪が抜けてしまうことはありません。

このヘアサイクルは主に3つの段階に分けられます。

まず、髪が活発に成長する「成長期」、次に髪の成長が止まる「退行期」、そして髪が抜け落ちる準備をする「休止期」です。

ヘアサイクル全体の期間は、一般的に男性で3年から5年、女性では4年から6年ほどと言われています。髪の毛は、生涯で約15回程度このサイクルを繰り返すと考えられています。

この回数に限りがあるという事実は、髪の健康を長く保つ上で、ヘアサイクル、特に成長期を維持することの重要性を示唆しています。

AGA(男性型脱毛症)のような状態では、この成長期が短縮され、毛包が持つ潜在的なサイクル数を早く消耗してしまう可能性があります。

ヘアサイクルの各段階と期間

位相 (Phase)期間 (Duration)主な特徴 (Key Feature)割合 (Percentage)
成長期 (Anagen)男性: 3-5年, 女性: 4-6年活発な毛母細胞分裂、毛髪伸長85-90%
退行期 (Catagen)2-3週間細胞分裂停止、毛包退縮約1%
休止期 (Telogen)2-3ヶ月毛髪成長停止、脱毛準備10-20%

この表が示すように、常に髪全体の10%から20%は休止期にあり抜け落ちる準備段階にあるため、毎日ある程度の髪が抜けるのは自然なことです。

1日に抜ける髪の毛の目安は?

1日の抜け毛の本数 50~100本

健康な人の場合、1日に抜ける髪の毛の本数は平均して50本から100本程度とされています。これはあくまで平均的な目安であり、個人差はあります。

この範囲内の抜け毛であれば、多くの場合、ヘアサイクルに伴う自然な生え変わりであり、心配する必要はありません。

抜け毛の多くは、シャンプーやブラッシングの際に起こりやすいと言われています。日常生活で数本の抜け毛を見かける程度であれば、正常な範囲内と考えてよいでしょう。

季節によって抜け毛が増えることもある?

1日の抜け毛の本数は、季節によって変動することがあります。特に春と秋には、一時的に抜け毛が増える傾向が見られます。

季節と抜け毛の増加傾向

秋の抜け毛増加は、夏に浴びた紫外線のダメージや、暑さによる疲労、食生活の変化などが、数ヶ月経って影響として現れることが一因と考えられています。

また、春は新生活のスタートなど環境の変化によるストレスや、冬の間に受けたダメージ、気候変動への体の適応などが影響している可能性があります。

このような季節性の抜け毛は一時的に1日の本数が200本近くになることもありますが、通常は1ヶ月程度で自然に落ち着くことが多いです。

ただし、この期間を過ぎても抜け毛が多い状態が続く場合は、季節以外の原因も考えられるため注意が必要です。

一時的な季節変動によるものか、AGAのような進行性の状態なのかを見分けることは、適切な対応のために重要です。

もしかして異常?注意したい抜け毛のサイン

毎日ある程度の髪が抜けるのは自然なことですが、抜け毛の量や質に変化が見られた場合は、何らかの注意が必要なサインかもしれません。

注意が必要な抜け毛のサイン

どのような抜け毛に注意すべきか、具体的なチェックポイントを解説します。

抜け毛の本数で判断する目安

正常な範囲とされる1日50本から100本に対し、毎日コンスタントに100本を超える抜け毛が続く場合や、1日に200本以上の抜け毛がある日が続く場合は注意が必要です。

特に、季節的な要因がないにも関わらず抜け毛の量が明らかに増えたと感じる場合は、何らかの原因が隠れている可能性があります。

正確な本数を毎日数えることは難しいですが、普段の生活の中で抜け毛の量の変化に気づくことは可能です。

抜け毛の本数チェックポイント

確認場所変化の目安
シャワーの排水口短期間で以前より明らかに多くの毛が溜まる
起床時に多数(例: 10本以上など目安)の毛が付着している
ブラシ・櫛以前より明らかに多くの毛が絡まる
ドライヤー後・床髪を乾かした後、床に落ちる毛が増えた

このような場所で以前と比べて明らかに抜け毛が増えたと感じる場合は、注意深く観察を続けるか、専門家への相談を検討することをお勧めします。

抜け毛の質をチェックしよう

抜け毛の「量」だけでなく、「質」の変化にも注意が必要です。

抜け毛の中に、細くて短い、弱々しい、いわゆる「うぶ毛」のような髪の毛が増えてきた場合、それはヘアサイクルの成長期が短縮しているサインかもしれません。

髪の毛が十分に太く長く成長する前に抜け落ちてしまう現象は、特にAGA(男性型脱毛症)の初期によく見られる特徴です。

正常なヘアサイクルを経て抜け落ちる髪は、通常、その人本来の太さと長さを持った成熟した髪です。抜け毛の質が変わってきたと感じたら、注意が必要です。

毛根の状態を確認する

抜け落ちた髪の毛の根元部分、「毛根」の状態も髪や頭皮の健康状態を知る手がかりになります。

正常なヘアサイクルを経て自然に抜け落ちた髪の毛根は、一般的にマッチ棒の先端のように丸みを帯びた形をしており、色は白っぽいことが多いです。

時には、毛根の周りに半透明の「毛根鞘(もうこんしょう)」と呼ばれる組織が付着していることもあります。

一方で、注意したいのは、毛根が細く尖っていたり、ギザギザしていたり、あるいは毛根自体が見当たらない(途中で切れている)場合です。

また、毛根が黒っぽい場合は、まだ成長期にある髪が何らかの原因で抜けてしまった可能性を示唆します。

毛根にベタベタした皮脂や黄色っぽい塊が付着している場合は、皮脂の過剰分泌など頭皮環境の問題が考えられます。

抜け毛の毛根チェック

特徴正常な抜け毛注意したい抜け毛
形状マッチ棒の先端様、丸みがある細い、尖っている、ギザギザ、毛根がない
白っぽい黒っぽい
付着物透明な鞘(毛根鞘)が付くことありベタつく皮脂、黄色っぽい塊

抜け毛の本数や質、毛根の状態などを総合的に見て、気になる変化があれば一度専門家に相談することをお勧めします。

一時的な抜け毛?それとも進行性のサイン?原因を探る

一時的な抜け毛か進行性か?

抜け毛が増えたと感じても、それが必ずしもAGAのような進行性の脱毛症とは限りません。一時的な原因による抜け毛も多く存在します。

考えられる主な原因を解説しますので、ぜひご自身の状況と照らし合わせてみましょう。

ストレスや生活習慣による一時的な抜け毛

強いストレス(精神的なもの、身体的なもの両方)、栄養バランスの偏った食事、睡眠不足、不規則な生活リズムなどはヘアサイクルを乱し、「休止期脱毛」と呼ばれる一時的な抜け毛の増加を引き起こすことがあります。

ストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させて頭皮への血流を悪化させることがあります。これにより、髪の成長に必要な栄養が毛根に届きにくくなります 。

また、ホルモンバランスにも影響を与える可能性があります。

睡眠不足は、髪の成長に重要な成長ホルモンの分泌を妨げます 。髪の毛は主にタンパク質(ケラチン)でできており、その合成には亜鉛などのミネラルやビタミン類も必要です。

さらに偏った食事による栄養不足は、髪の毛そのものの材料不足や健やかな頭皮環境の維持を困難にします。

生活習慣と抜け毛の関係

生活要因髪への影響
ストレス血行不良、ホルモンバランス乱れ
睡眠不足成長ホルモン分泌低下、細胞修復遅延
栄養不足毛髪の材料不足、頭皮環境悪化
過度な飲酒・喫煙血行不良、栄養素消費・吸収阻害

このような要因による抜け毛は、原因となる生活習慣が改善されれば、多くの場合数ヶ月で自然に回復に向かいます。

産後の抜け毛について

出産後に一時的に抜け毛が増える「分娩後脱毛症」は、多くの女性が経験する現象です。これは主に、妊娠・出産に伴う急激なホルモンバランスの変化によって引き起こされます。

妊娠中は女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌量が増加し、髪の毛の成長期が通常よりも長く維持されます。これにより、本来なら抜けるはずの髪が抜けにくくなっています。

しかし、出産を終えると女性ホルモンの分泌量が急激に減少するため、妊娠中に成長期に留まっていた多くの髪が一斉に休止期へと移行し、結果として一時的に抜け毛が集中して起こるのです。

産後の抜け毛は一般的に出産後2~3ヶ月頃から始まり、4~6ヶ月頃にピークを迎えることが多いです。その後、ホルモンバランスが整い、ヘアサイクルが正常に戻るにつれて、通常は産後半年から1年程度で自然に落ち着いていきます。

ただし、慣れない育児によるストレスや睡眠不足、栄養不足なども産後の抜け毛に影響を与える可能性があります。

産後の抜け毛は一時的な生理現象であることがほとんどですが、1年以上経っても改善しない場合や、部分的に極端に抜けるなどの場合は他の原因も考えられるため、専門家への相談を検討しましょう。

注意が必要な脱毛症の可能性

一時的な抜け毛とは異なり、治療などの対策が必要な脱毛症も存在します。代表的なものにAGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症があります。

AGA(男性型脱毛症)

AGAは、主に遺伝的要因と男性ホルモン(DHT:ジヒドロテストステロン)の影響によって、思春期以降に発症する進行性の脱毛症です。

男性では、額の生え際が後退する(M字型)、頭頂部が薄くなる(O字型)、あるいはその両方が進行するパターンが多く見られます。

女性でも同様の仕組みで起こるFAGA(女性男性型脱毛症)があり、この場合は頭頂部の分け目を中心に全体的に薄くなるびまん性の脱毛が特徴です。

AGA・FAGAは、抜け毛が細く短くなるのが特徴で、放置すると徐々に進行します。

円形脱毛症

円形脱毛症は自己免疫疾患の一種と考えられており、突然、円形または楕円形の脱毛斑(地肌が見える部分)ができるのが特徴です。

大きさは10円玉程度のものから、頭部全体に広がるものまで様々です。ストレスが引き金になることもありますが、明確な原因はまだ完全には解明されていません。

初期症状として、急激な抜け毛の増加や、爪に点状のへこみが見られることもあります。その他、皮脂の過剰分泌や真菌などが原因で頭皮に炎症が起こり、抜け毛につながる脂漏性脱毛症などもあります。

これらの脱毛症は、原因に応じた適切な治療が必要です。抜け毛の状態が続く、特定のパターンで薄くなる、急にまとまって抜けるなどの症状がある場合は、自己判断せずに専門の医療機関を受診することが重要です 。

抜け毛予防はなぜ大切?放置するリスクとは

AGAは進行性の脱毛症

気になる抜け毛を「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、後で後悔することになるかもしれません。特に、AGA(男性型脱毛症)のような進行性の脱毛症の場合、早期の対策が非常に重要です。

なぜ抜け毛予防や早期対策が大切なのか、その理由と放置するリスクについて解説します。

ヘアサイクルの限界と毛母細胞

前述の通り、私たちの髪の毛を作り出す毛包(毛穴の奥にある組織)は、一生のうちに繰り返せるヘアサイクルの回数に限りがあると考えられています(約15回程度)。

AGAのような状態では、男性ホルモン(DHT)の影響で髪の成長期が通常よりも短くなってしまいます。

本来なら数年間続くはずの成長期が、数ヶ月から1年程度に短縮されることで、髪は十分に太く長く成長する前に抜け落ちてしまいます。これが繰り返されると、毛包は限られたサイクル数を通常よりも早く使い果たしてしまうことになります。

毛包が完全に萎縮してしまったり、ヘアサイクルを終えてしまうと、たとえ治療を開始しても元の太い髪を再生させることが非常に困難、あるいは不可能になる場合があります。

つまり、毛母細胞がまだ活力を持ち、ヘアサイクルを繰り返す能力が残っているうちに、成長期を正常化させるための対策を始めることが将来の髪を守る上で極めて重要になるのです。

AGAは進行性の脱毛症

AGAは進行性の脱毛症であり、特別な対策を講じなければ症状は徐々に悪化していくのが一般的です。

原因となるDHTは感受性のある毛包に作用し続け、毛髪のミニチュア化(細く短くなること)と脱毛を進行させます。

「まだ大丈夫」「もう少し様子を見よう」と考えている間にも、AGAは静かに進行している可能性があります。

気づいた時には薄毛がかなり目立つ状態になっており、治療による改善にも時間がかかったり、満足のいく回復が得られにくくなったりするリスクがあります。

早期対策のメリット

抜け毛のサインに気づいた段階で、原因を特定し、適切な対策(生活習慣の見直し、育毛剤による予防ケア、専門的な治療など)を早期に始めることには多くのメリットがあります。

早期対策の利点

  • 進行を遅らせる可能性
  • 毛髪量の維持
  • 治療効果の向上
  • 治療期間・費用の抑制
  • 心理的負担の軽減

早期に対策を始めることで、薄毛の進行を緩やかにし、現状の髪のボリュームをできるだけ長く維持できる可能性が高まります。

また、毛包の機能がまだ十分に保たれている初期段階の方が治療に対する反応も良く、効果を実感しやすい傾向があります。結果として、治療にかかる期間や費用を抑えられる可能性もあります。

そして何より、薄毛の悩みによる精神的なストレスを軽減することにも繋がります。

あなたの抜け毛リスクは?遺伝子検査でわかること

あなたの抜け毛リスクは?遺伝子検査でわかること

抜け毛や薄毛の原因は様々ですが、特にAGA(男性型脱毛症)においては、遺伝的な要因が大きく関与していることがわかっています。

近年、遺伝子検査によって個人の抜け毛リスクを評価し、より個別化されたケアを選択することが可能になってきました。ここでは、AGAと遺伝の関係、そして遺伝子検査で何がわかるのかについて解説します。

AGAと遺伝・ホルモンの関係

AGAの発症しやすさは、遺伝によって受け継がれる体質に大きく影響されます。

具体的には、男性ホルモンの一種であるテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素の働きによって、より強力なDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、このDHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)に結合することで髪の成長が阻害され、ヘアサイクルが乱れることが主な原因です。

このプロセスに関わる2つの要素、「5αリダクターゼの活性度」と「男性ホルモン受容体の感受性」の度合いが、遺伝によって左右されると考えられています。

男性ホルモン受容体の感受性に関する遺伝子はX染色体上にあるため、母方の家系から影響を受けることが多いと言われています。

一方で、5αリダクターゼの活性度に関する遺伝的要因は、父方・母方双方から影響を受ける可能性があります。

近年では、PAX1/FOXA2遺伝子領域の特定の変異(SNP)が男性ホルモン受容体の働きに関与し、AGAのリスクを高めることが、特にアジア人男性において報告されています。

遺伝子検査で何がわかるのか?

AGA遺伝子検査は、唾液や口腔内粘膜などから採取したサンプルを用いて、AGAの発症に関連するとされる特定の遺伝子情報を解析するものです。

この検査により、主に以下のことがわかります。

AGAの遺伝的リスク評価

あなたが遺伝的にAGAを発症しやすい体質かどうか、そのリスクの高低を評価します。

治療薬の効果予測(一部)

例えば、DHTの産生を抑えるフィナステリドやデュタステリドといった治療薬が、あなたの体質に対してどの程度効果を発揮しやすいかを予測する手がかりになります。

遺伝子のタイプによっては、より効果的な薬剤の種類や適切な用量を判断する材料となり得ます。

個別化ケアの指針

検査結果は、あなたに合った予防策や治療計画を立てるための重要な情報となります。

    ただし、遺伝子検査はあくまで「リスク評価」であり、将来必ずAGAを発症するかどうかを断定するものではありません。AGAの発症には、遺伝的要因だけでなく、生活習慣や環境要因も関わっています。遺伝子検査の結果は、ご自身の体質を理解し、適切な対策を考えるための一つのツールとして活用することが大切です。

    抜け毛に気付いたら、自分に合った予防ケアを今すぐ始めよう

    抜け毛の原因やリスクが一人ひとり異なる以上、ヘアケアも個別に対応することが望ましいと考えられます。

    いきなり治療薬を使用することに抵抗がある方向けに、当院では遺伝子検査によってご自身の体質を理解した上で、それに合わせた予防ケアを行う「Pesod(ペソッド」をおすすめしています。

    なぜ個別ケアが重要なのか?

    「万人に効果のある育毛剤は存在しない」これが基本的な考え方です。

    なぜなら、前述の通り抜け毛や薄毛の原因、そして進行の仕方には個人差が大きく、その背景には遺伝的な体質の違いがあるからです。

    例えば、男性ホルモンの影響を強く受けやすい体質の方と、髪の毛自体が細く弱い傾向のある方、あるいは頭皮が敏感でトラブルを起こしやすい方では、必要とされるケアのアプローチが異なります。

    ある人には効果的な成分が、別の人にはそれほど効果がなかったり、場合によっては合わなかったりすることもあります。

    画一的なケアではなく、ご自身の遺伝的な特徴を含む個々の状態に合わせ、ケア方法や使用する製品を選ぶ。これが、抜け毛に気付いたときに行うべき、効率的な方法だと考えています。

    遺伝子情報に基づくあなただけの薄毛予防ケアとは?

    「Pesod(ペソッド)」では、遺伝子検査の結果(PAX1/FOXA2、EDAR、SPINK5の分析)に基づき、あなたの遺伝的特徴に合わせて育毛剤を受け取れます。

    検査結果に応じて、7種類のタイプの中からあなたのリスクに適した処方の育毛剤を選定。各タイプには、それぞれの遺伝的リスクに対応するために、異なる有効成分や強化成分が配合されています。

    例えば、AGAリスクが高い方向けのタイプ、髪の脆弱性が気になる方向けのタイプ、頭皮環境を整えることを重視したタイプなど、科学的根拠に基づいた成分選択を行っています。

    Pesodのタイプ例

    遺伝子傾向例アプローチPesodタイプ
    高AGAリスク (PAX1/FOXA2高), 頭皮安定 (SPINK5低)男性ホルモン影響抑制を重視AGAリスク対応成分強化タイプ
    毛髪脆弱リスク (EDAR高), AGAリスク低 (PAX1/FOXA2低)毛髪強化、毛母細胞活性化を重視毛髪強化成分配合タイプ
    頭皮トラブルリスク (SPINK5高), AGAリスク中 (PAX1/FOXA2中)頭皮環境改善、抗炎症を重視頭皮ケア成分強化タイプ

    (※上記はあくまで考えられるアプローチの例です。実際のタイプ選択は、検査結果の詳細な分析に基づいて行われます。)

    Pesodによる早期予防の考え方

    Pesodは、すでに薄毛が進行している方だけでなく、最近抜け毛が気になり始めた方や、遺伝子検査で将来的なリスクが高いとわかった方のための「早期予防ケア」としても活用できます。

    抜け毛の初期サインが見られたり、遺伝的な弱点が明らかになったりした場合、本格的な薄毛が進行する前にご自身の体質に合ったPesodでケアを始めることで、健やかな髪と頭皮環境を維持し、将来的な悩みを軽減できます。

    分析する遺伝子

    以下の3つの主要な遺伝子マーカーに着目して分析を行い、個々に合わせた予防ケアやAGA治療が受けられます。

    PAX1/FOXA2遺伝子領域

    この領域の遺伝子多型は男性ホルモン受容体の感受性と関連があり、AGAの発症リスクや進行のしやすさに影響を与えます。

    このタイプを調べることで、男性ホルモンの影響をどの程度受けやすい体質かを知ることができます。

    EDAR遺伝子

    この遺伝子は、毛包の発達や髪の毛の太さ、強さといった性質に関与しています。この遺伝子のタイプによって、髪が元々細く弱い傾向(毛髪の脆弱性)があるかどうかを評価します。

    SPINK5遺伝子

    この遺伝子は、皮膚のバリア機能や炎症の制御に関わっています。頭皮が乾燥しやすかったり、炎症を起こしやすかったりといった、頭皮環境のトラブルリスクが高いかどうかを評価します。

    Pesod遺伝子検査の対象マーカー

    遺伝子マーカー (Genetic Marker)関連するリスク (Associated Risk)意味合い (Implication)
    PAX1/FOXA2 領域男性ホルモン影響 (AGA) リスクAGAのなりやすさ、進行しやすさ
    EDAR 遺伝子毛髪の脆弱性リスク髪の太さ、強さ、毛母細胞活性への影響
    SPINK5 遺伝子頭皮環境トラブルリスク頭皮の敏感さ、炎症の起こしやすさ

    この3つの側面から遺伝的特徴を分析することで、一人ひとりの抜け毛や薄毛の根本的なリスク要因にアプローチする、より的確な個別化ケアができます。

    以下のLINE登録より簡単に始められるようになりました。遺伝子検査は無料です。

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    日常でできる抜け毛予防と頭皮ケア

    日常でできる抜け毛予防と頭皮ケア

    専門的な治療やPesodのような個別化ケアと並行して、日々の生活習慣を見直し、正しい頭皮ケアを行うことも、抜け毛予防や健やかな髪の育成には大切です。

    最後に、毎日の生活の中で取り入れられる基本的なケアについてご紹介します。

    頭皮を健やかに保つシャンプーとマッサージ

    健康な髪は、健康な頭皮から育ちます。頭皮を清潔に保ち、血行を促進することが抜け毛予防の基本です。

    正しいシャンプー方法のポイントは、「髪」ではなく「頭皮」を優しく洗うことです。爪を立てずに指の腹を使ってマッサージするように洗い、シャンプー剤が残らないようにすすぎは時間をかけて丁寧に行いましょう。

    また、シャンプー中や洗髪後に、指の腹を使って頭皮全体を優しくマッサージすることもおすすめです。頭皮の血行を促進し、毛根への栄養供給を助けるとともにリラックス効果も期待できます。

    正しいシャンプーの手順

    • 予洗い(ぬるま湯で頭皮中心に)
    • 泡立て(手で泡立ててから髪へ)
    • 頭皮洗浄(指の腹で優しく)
    • すすぎ(時間をかけて十分に)
    • 乾燥(洗髪後はしっかり乾かす)

    手順を守ることで、頭皮への負担を減らし、清潔な状態を保つことができます。

    髪の成長を支える食生活

    髪の毛も体の一部であり、その成長にはバランスの取れた栄養が欠かせません。

    特に、髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)、ケラチンの合成を助ける亜鉛、頭皮への酸素供給に関わる鉄分、頭皮環境を整え代謝を助けるビタミンB群、抗酸化作用や血行促進に関わるビタミンC・Eなどは、健やかな髪のために重要な栄養素です。

    髪に必要な主な栄養素

    栄養素髪への役割主な食品例
    タンパク質髪の主成分ケラチンの材料肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
    亜鉛ケラチン合成補助、頭皮環境牡蠣、レバー、赤身肉、ナッツ類
    鉄分酸素運搬、毛母細胞活性化レバー、赤身肉、貝類、ほうれん草
    ビタミンB群代謝促進、頭皮環境維持レバー、マグロ、カツオ、納豆、卵
    ビタミンC, E抗酸化、血行促進、コラーゲン生成果物、野菜、ナッツ類、植物油

    特定の食品に偏るのではなく、様々な食品からバランス良くこれらの栄養素を摂取することを心がけましょう。

    忙しくて食事が偏りがちな場合は、サプリメントなどを補助的に利用することも考えられますが、基本は食事からの摂取が大切です。

    質の高い睡眠とストレス管理

    過度なストレスや慢性的な睡眠不足は、自律神経やホルモンバランスを乱し、血行不良を引き起こすなどして髪の健康に悪影響を与える可能性があります。

    質の高い睡眠を十分にとることは、髪の成長に必要な成長ホルモンの分泌を促し、心身の回復に繋がります。

    毎日決まった時間に寝起きする、寝る前のカフェインやアルコール、スマートフォンの使用を控える、寝室の環境を整えるなど、睡眠の質を高める工夫をしましょう。

    また、ストレスを溜め込まないように、自分に合った方法でストレスを管理することも重要です。

    紫外線対策も忘れずに

    頭皮も皮膚の一部であり、強い紫外線はダメージの原因となります。

    特に夏場や日差しの強い日には、帽子をかぶる、日傘を使うなどして頭皮を紫外線から守ることも心がけましょう。紫外線によるダメージは、頭皮環境の悪化やそれに伴う抜け毛の一因となる可能性があります。

    よくある質問

    ここでは、抜け毛や薄毛に関して、患者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

    抜け毛は何本からが危険ですか?

    一般的に、1日に50本から100本程度の抜け毛は正常な範囲内とされています。

    しかし、毎日コンスタントに100本を超える抜け毛が続く場合や、以前と比べて明らかに量が増えた場合、また、抜ける髪の毛が細く短いものばかりになった場合、特定の部位(生え際や頭頂部など)から薄くなってきたと感じる場合は注意が必要です。

    本数だけでなく、抜け毛の質やパターン、ご自身の感覚も重要です。少しでも気になる変化があれば、自己判断せずに専門医に相談することをお勧めします。

    遺伝子検査は必ず受けた方がいいですか?

    遺伝子検査は必須ではありませんが、ご自身のAGA(男性型脱毛症)に対する遺伝的なリスクを知りたい方、特にご家族に薄毛の方がいる場合や、早い段階から予防・対策を考えたい方にとっては非常に有用です。

    ただし検査結果が全てではなく、あくまでリスク評価の一つとして捉え、生活習慣なども含めて総合的に判断することが大切です。

    育毛剤はどのくらいで効果が出ますか?

    ヘアケア製品の効果の現れ方には個人差があり、髪の毛の成長サイクル(ヘアサイクル)を考慮すると、目に見える変化を感じるまでにはある程度の時間が必要です。

    一般的に育毛ケアの効果を実感するには、最低でも3ヶ月から6ヶ月程度の継続的な使用が推奨されることが多いです。

    遺伝子のタイプや生活習慣などによって効果発現の時期は異なり、焦らず、根気強くケアを続けることが大切です。

    生活習慣の改善だけで抜け毛は止まりますか?

    抜け毛の原因によって異なります。もし抜け毛の原因が一時的なストレス、睡眠不足、栄養不足、季節の変化などであれば、生活習慣を見直し、原因を取り除くことで抜け毛が改善し止まる可能性は十分にあります。

    しかし、原因がAGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症などの病的なものである場合、生活習慣の改善は補助的な役割は果たしますが、それだけで進行を止めたり完全に治癒させたりすることは難しい場合がほとんどです。

    これらの場合は、医学的な診断に基づいた専門的な治療(内服薬、外用薬、Pesodのような個別化ケア、その他の治療法など)が必要となります。

    生活習慣改善と専門的ケア

    状況主な対策専門家相談の目安
    一時的なストレス後、短期間の抜け毛増生活習慣改善、ストレス軽減抜け毛が数ヶ月以上続く場合
    季節の変わり目の一時的な抜け毛増様子を見る、基本的な頭皮ケア1-2ヶ月経っても収まらない場合
    抜け毛が細く短い、特定のパターン(M字、頭頂部)で進行生活習慣改善 + 専門的診断・治療早めに受診推奨
    円形など、急な斑状の脱毛専門的診断・治療が必須速やかに受診
    女性でもAGAになりますか?遺伝子検査は関係ありますか?

    はい、女性でもAGA(男性型脱毛症)と同様の仕組みで起こる薄毛があり、FAGA(Female Androgenetic Alopecia)や女性型脱毛症(FPHL)と呼ばれます。

    男性のAGAとは異なり、生え際の後退よりも頭頂部の分け目を中心に髪全体が薄くなる(びまん性脱毛)パターンが典型的です。

    原因としては男性と同様に遺伝的要因やホルモン(アンドロゲン)の影響が考えられていますが、男性ほどアンドロゲンの関与が明確でない場合や、更年期など女性ホルモンの変動が大きく影響する場合もあります。

    遺伝子検査は女性の薄毛に関しても有用な情報を提供する可能性があります。Pesodの遺伝子検査(PAX1/FOXA2、EDAR、SPINK5)は男女兼用であり、アンドロゲン感受性、髪の脆弱性、頭皮環境のリスクといった情報は、女性の薄毛の原因を探り、個別化されたケアを検討する上でも参考になります。

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    女性の薄毛に関する注意点

    • びまん性(広範囲)に薄くなることが多い
    • 男性とは異なるパターンが典型的
    • ホルモンバランスの変化が影響
    • 遺伝的要因も関与する
    • 専門医への相談が重要

    女性の薄毛は、男性とは異なる点も多いため、気になる場合は専門医に相談し、正確な診断を受けることが大切です。

    参考文献

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    大垣中央病院・こばとも皮膚科

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