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AGA血液検査はどこで行い診断の項目は肝臓のみ?それとも

AGA血液検査はどこで行い診断の項目は肝臓のみ?それとも

AGAの治療を検討する男性にとって、血液検査は重要な診断ツールの一つです。しかし、どこで検査を受け、何を調べるのか疑問に思う方も多いでしょう。

実は、AGA診断のための血液検査は主に肝機能に注目しますが、治療法によっては他の項目も重要になってきます。特に、ミノキシジルのような薬剤を使用する場合は、循環器系の検査も必要になることがあります。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

AGA治療における血液検査の項目

AGA治療における血液検査の項目は主に肝機能を確認するものですが、その他にもホルモン値や貧血の有無など複数の要素を調べることによって、治療方針の決定や副作用のリスク評価に役立てられます。

AGA血液検査はどこで行っているか

血液検査は皮膚科で行っています。あるいは一部のAGA専門クリニックでも血液検査を実施しています。

基本的な血液検査項目

AGA診断における基本的な血液検査では、肝機能検査が中心となり、具体的にはAST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPなどの酵素値を測定して患者の健康状態を把握します。

これらの数値が基準値を超えていると、薬物療法による副作用のリスクが高まるため、治療方法の選択に大きな影響を与えることになります。

検査項目基準値(目安)
AST(GOT)10~40 IU/L
ALT(GPT)5~45 IU/L
γ-GTP80 IU/L以下

加えて、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)の値も測定し、AGAの主な原因物質とされているDHTの数値を把握することで、治療の効果予測に活用されます。

ホルモン関連の検査項目

AGAの発症には男性ホルモンが深く関わっているため、ホルモン関連の検査も重要な役割を果たし、患者の状態を多角的に評価します。

  • テストステロン
  • フリーテストステロン
  • DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロンサルフェート)

これらのホルモン値を測定することで、脱毛の進行度合いやAGAの可能性を評価し、さらに治療薬の選択や投薬量の調整にも有効活用されます。

ホルモン基準値(成人男性)
テストステロン2.7~10.7 ng/mL
フリーテストステロン8.5~42 pg/mL

その他の重要な検査項目

AGA診断では、上記以外にも全身の健康状態を確認するためのいくつかの検査が実施され、患者の総合的な健康管理に役立てられます。

  • 血球計算(CBC) 貧血の有無や感染症の可能性を調べ、全身状態を把握するのに役立ちます。
  • 血糖値 糖尿病の有無や血糖コントロールの状態を確認し、代謝機能の評価に使用されます。
  • 脂質プロファイル コレステロール値や中性脂肪を測定し、心血管系のリスクを評価して、治療の安全性を高めます。
検査項目目的
血球計算貧血・感染症の確認
血糖値糖尿病の評価
脂質心血管リスクの確認

これらの検査結果は、直接AGAの診断には関係しませんが、患者様の全身状態を把握し、安全に治療を進めるために欠かせない重要な情報源となります。

血液検査の重要性と注意点

AGA治療における血液検査は、単に脱毛の原因を特定するだけでなく、患者様の健康状態を総合的に評価するツールとして機能し、効果的な治療計画の立案に貢献します。

そのため、定期的な検査の実施 治療開始前だけでなく、治療中も定期的に血液検査を行うことで、副作用の早期発見や治療効果の確認が可能となり、より安全で効果的な治療が実現します。

また、食事や運動の影響 検査結果に影響を与える要因として、食事や運動があるため、正確な結果を得るためには、医師の指示に従い、適切な条件下で検査を受けることが極めて重要です。

影響要因注意点
食事検査前の絶食時間を守る
運動激しい運動は控える

結果の解釈は専門家に任せる 血液検査の結果は、個人差や測定条件によって変動するため、結果の解釈は必ず専門医に相談し、適切な治療方針の決定につなげることが望ましいです。

AGAの診断と治療において、血液検査は非常に重要な役割を果たし、患者様の症状や生活習慣なども総合的に考慮して、最適な治療方針が決定されます。

適切な検査と専門医の診断を受けることで、効果的かつ安全なAGA治療を進めることができ、患者様の満足度向上にもつながります。

AGA血液検査の診断結果は主に肝臓の数値をみます

AGA血液検査の診断結果において肝臓の数値が特に注目されるのは、AGA治療薬の多くが肝臓で代謝されるためであり、肝機能の状態を把握することで、薬剤の適切な選択や副作用リスクの評価が可能となり、より安全で効果的な治療計画の立案につながります。

肝機能検査の重要性

AGA治療において肝機能検査が重視される主な理由は、使用される薬剤の特性にあり、フィナステリドやデュタステリドといった代表的なAGA治療薬は肝臓で代謝されるため、肝機能に問題がある際には薬剤の効果や安全性に影響を及ぼします。

検査項目基準値(目安)
AST(GOT)10~40 IU/L
ALT(GPT)5~45 IU/L
γ-GTP80 IU/L以下

肝機能検査では主にAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPといった酵素の値が測定され、これらの数値が基準値を超えている際は肝臓に負担がかかっている状態を示唆し、薬剤の使用に慎重を期す必要があります。

肝機能検査結果の解釈

肝機能検査の結果を正しく解釈するには専門医の診断が欠かせず、数値が基準値を超えているからといって即座に治療が不可能というわけではありませんが、慎重な判断が求められます。

  • 軽度の異常値の場合、生活習慣の改善で回復します。
  • 中等度以上の異常値では、追加検査や他科への紹介が必要となります。

医師は患者の全体的な健康状態や生活習慣を考慮しつつ検査結果を総合的に判断し、個々の患者に最適な治療方針を決定します。

肝機能以外の重要な検査項目

肝機能検査が主要な項目である一方、AGA診断では他の検査項目も重要な役割を果たし、総合的な健康評価に貢献します。

検査項目目的
テストステロン男性ホルモンレベルの確認
血球計算貧血や感染症の有無を調べる
血糖値糖尿病のリスク評価

男性ホルモンであるテストステロンの値はAGAの進行度や治療効果の予測に有用であり、加えて、全身の健康状態を把握するために、血球計算や血糖値などの検査も実施され総合的な健康評価に活用されます。

検査結果に基づく治療方針の決定

AGA血液検査の結果は治療方針を決定する上で重要な指標となり、肝機能検査の結果に応じて、以下のような対応が考えられます。

  • 正常値範囲内正常範囲内の場合、標準的な治療プロトコルに従って治療を開始できます。
  • 軽度異常値定期的な経過観察を行いながら慎重に治療を進めます。
  • 中等度以上の異常値追加検査や専門医への紹介を検討し、AGA治療の開始を延期します。

このように、血液検査の結果は単に治療の可否を判断するだけでなく、患者それぞれの状態に合わせた最適な治療計画を立てる上で欠かせない情報源となり、個別化された医療アプローチの基盤を提供します。

検査結果対応方針
正常値範囲内標準的な治療を開始
軽度異常慎重に治療を進める
中等度以上の異常追加検査や専門医紹介を検討

医師は検査結果を総合的に評価し、患者の生活習慣や他の健康上の問題も考慮しながら最適な治療アプローチを選択し、場合によっては、肝機能の改善を優先しAGA治療の開始を一時的に延期するなど、柔軟な対応を取ります。

ミノキシジルを服用するなら循環器の検査も推奨

ミノキシジルを用いたAGA治療では、血液検査に加え循環器系の検査が推奨されます。

これは薬剤の作用機序と潜在的な副作用に関連し安全な治療の実施に不可欠です。

血液検査と循環器検査を組み合わせることで患者の全身状態を適切に評価し、個別化された治療計画の立案が可能となります。

ミノキシジルの作用と循環器系への影響

ミノキシジルは元々降圧薬として開発された薬剤であり、血管拡張作用を持ち、この特性がAGA治療に応用されていますが、全身の血管に作用するため循環器系への影響に注意が必要です。

項目内容
主作用血管拡張
治療効果頭皮血流改善
副次作用全身の血圧低下

特に心臓や血管に既往歴がある患者では慎重な使用が求められ、適切なモニタリングが欠かせません。

血液検査の重要性

血液検査はミノキシジル使用前後で実施され、主に肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP)、腎機能検査(クレアチニン、eGFR)、電解質バランス(ナトリウム、カリウム)が確認されます。

  • 肝機能検査薬剤の代謝能力を評価
  • 腎機能検査薬剤の排出能力を確認
  • 電解質バランス体液バランスの状態を把握

これらの検査結果は薬剤の代謝や排出に関わる臓器の状態を評価するのに役立ち、異常値が見られる際には投薬量の調整や他の治療法の検討が必要となります。

循環器系検査の必要性

ミノキシジルの血管拡張作用を考慮すると、循環器系の検査も重要であり、主な検査項目には血圧測定、心電図検査、心エコー検査(必要に応じて)があり、これらの検査により心臓や血管の状態を総合的に評価し、薬剤使用による潜在的なリスクを最小限に抑えることが可能となります。

検査目的
血圧測定基準値からの変動確認
心電図心臓のリズム異常検出
心エコー心臓の構造機能評価

特に高血圧や不整脈の既往がある患者では、これらの検査結果が治療方針の決定に大きな影響を与え、適切な治療計画の立案に不可欠です。

検査結果に基づく治療アプローチ

血液検査と循環器系検査の結果を総合的に判断し、個々の患者に適した治療計画が立案され、正常範囲内であれば通常の用法用量でミノキシジル治療を開始でき、軽度異常値の場合は定期的な経過観察を行いながら慎重に治療を進めます。

  • 正常範囲内通常の用法用量で治療開始
  • 軽度異常値定期的な経過観察と慎重な治療
  • 中等度以上の異常値代替治療法や専門医紹介

医師は患者の全身状態、生活習慣、そして検査結果を考慮し、最適な治療アプローチを選択し、場合によっては他のAGA治療薬への変更や非薬物療法の提案も行われます。

検査項目評価対象
肝機能薬剤代謝能力
腎機能薬剤排出能力
電解質体液バランス

定期的なモニタリングの重要性

ミノキシジル治療を開始した後も、定期的な検査によるモニタリングが欠かせず、これにより薬剤の効果や副作用を継続的に評価し、必要に応じて治療計画の調整が可能となり、長期使用による影響を把握し安全性を確保するためにも継続的な観察が重要です。

  • 治療開始後1〜3ヶ月初回フォローアップ
  • その後3〜6ヶ月ごと定期検査

これらの定期検査により早期に問題を発見し対処することで、長期的な治療の安全性と有効性が担保され、患者の健康維持と治療目標の達成が両立できます。

観察項目頻度
血液検査3〜6ヶ月ごと
血圧測定毎回の診察時
心電図年1回以上

ミノキシジルを用いたAGA治療では、血液検査と循環器系検査を組み合わせた包括的な評価が求められ、患者の全身状態を適切に把握し個別化された安全な治療が可能となり、定期的なモニタリングを通じて継続的な効果と安全性の確認を行うことがAGA治療の成功につながります。

以上

参考文献

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