免疫チェックポイント阻害剤は、日本では多くのがん種に対して公的医療保険が適用されています。肺がんや悪性黒色腫をはじめ、胃がん、腎細胞がん、頭頸部がんなど幅広い種類のがんが対象です。
治療費は薬剤の種類や投与スケジュールによって異なりますが、高額療養費制度を利用することで月々の自己負担を大幅に抑えられます。
「自分のがんは対象になるのか」「実際にどのくらい費用がかかるのか」と不安を抱える方のために、保険適用の条件や費用の目安をまとめます。
免疫チェックポイント阻害剤とは?体の免疫力でがんと闘う画期的な治療法
免疫チェックポイント阻害剤は、人間が本来もっている免疫の力を活かしてがん細胞を攻撃する治療薬です。
従来の抗がん剤が直接がん細胞を攻撃するのに対し、この薬は免疫細胞の「ブレーキ」を解除して、体の防御機能を取り戻すという考え方に基づいています。
PD-1やCTLA-4など免疫のブレーキを外す仕組み
私たちの体には、免疫が過剰に働きすぎないよう調整する「免疫チェックポイント」と呼ばれる仕組みがあります。がん細胞はこの仕組みを悪用し、免疫細胞に「攻撃するな」という偽の信号を送ることで、免疫の攻撃から逃れています。
免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1(ピーディーワン)やCTLA-4(シーティーエルエーフォー)といった免疫チェックポイント分子に結合し、がん細胞が出す偽の信号を遮断します。
その結果、免疫細胞は本来の攻撃力を取り戻し、がん細胞を排除できるようになるのです。
従来の抗がん剤とはまったく異なる作用の違い
従来の抗がん剤(殺細胞性抗がん剤)は、がん細胞を直接攻撃して死滅させる薬です。一方で正常な細胞にもダメージを与えてしまうため、吐き気や脱毛、白血球減少といった副作用が起こりやすいという課題がありました。
免疫チェックポイント阻害剤は、薬そのものががん細胞を攻撃するわけではありません。免疫の働きを回復させることで、体自身の力でがんと闘うという点が大きな違いでしょう。
副作用の種類も従来の抗がん剤とは異なり、「免疫関連有害事象」と呼ばれる独特の症状に注意が必要です。
免疫チェックポイント阻害剤と従来の抗がん剤の比較
| 項目 | 免疫チェックポイント阻害剤 | 従来の抗がん剤 |
|---|---|---|
| 作用の仕組み | 免疫のブレーキを解除し体の免疫力で攻撃 | がん細胞を直接攻撃して死滅させる |
| 主な副作用 | 免疫関連有害事象(甲状腺機能異常、皮膚障害など) | 吐き気、脱毛、白血球減少など |
| 効果の持続 | 効果が長期間持続しやすい | 投与中に効果を発揮する |
| 投与方法 | 点滴(2〜6週間ごと) | 点滴・内服など多様 |
免疫チェックポイント阻害剤が注目される理由
免疫チェックポイント阻害剤が世界中で注目を集めたのは、一部の患者さんで治療効果が非常に長く続くことが分かったためです。
従来の抗がん剤では難しかった長期生存を実現した症例が、さまざまながん種で報告されています。
2018年にはこの研究の功績により、京都大学の本庶佑先生がノーベル生理学・医学賞を受賞しました。免疫チェックポイント阻害剤はまさに、がん治療の歴史を大きく塗り替えた薬といえるでしょう。
免疫チェックポイント阻害剤の保険適用で治療できるがんの種類を一覧で確認しよう
免疫チェックポイント阻害剤は、日本において幅広いがん種に対して保険適用が認められています。適用されるがんの種類は年々増えており、かつては治療の選択肢が限られていた進行がんの患者さんにとって、大きな希望となっています。
肺がん・悪性黒色腫・腎細胞がんなど代表的な対象がん
保険適用の歴史をたどると、日本で最初に承認されたのは2014年の悪性黒色腫(メラノーマ)に対するニボルマブ(オプジーボ)でした。
その後、非小細胞肺がんへの適用が追加され、腎細胞がんや頭頸部がんなどへも拡大していきました。
現在、悪性黒色腫と非小細胞肺がんは特に多くの薬剤が使える代表的ながん種となっています。腎細胞がんでは複数の免疫チェックポイント阻害剤の併用療法も承認されており、治療の幅がさらに広がりました。
消化器がんや泌尿器がんへの適用拡大も進んでいる
胃がん、食道がん、肝細胞がん、大腸がんといった消化器がんに対しても、免疫チェックポイント阻害剤の保険適用が順次認められてきました。
特に胃がんでは、化学療法との併用による一次治療としての使用も承認され、治療体系が変化しつつあります。
泌尿器がんの領域では、尿路上皮がん(膀胱がんなど)に対する承認も得られています。がん種ごとに使える薬剤や治療ラインが異なるため、主治医に確認することが大切です。
がん種ごとの保険適用条件に注意が必要
同じがんであっても、「進行・再発の場合のみ」「手術後の補助療法として」「化学療法との併用に限る」など、保険適用の条件は細かく設定されています。
たとえば非小細胞肺がんでは、PD-L1発現率によって使用できる薬剤や治療ラインが変わることがあります。
主治医から「保険が使えるかどうか」の説明を受ける際には、がんの種類だけでなく、進行度や前治療の有無、バイオマーカー検査の結果なども関係してくることを覚えておきましょう。
免疫チェックポイント阻害剤が保険適用される主ながん種
| がんの種類 | 使用できる主な薬剤 | 備考 |
|---|---|---|
| 非小細胞肺がん | ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ | PD-L1発現率により使い分け |
| 悪性黒色腫 | ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ | 単剤・併用療法あり |
| 腎細胞がん | ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ | 分子標的薬との併用も |
| 胃がん | ニボルマブ、ペムブロリズマブ | 化学療法との併用 |
| 肝細胞がん | アテゾリズマブ、デュルバルマブ | 血管新生阻害薬との併用 |
| 頭頸部がん | ニボルマブ、ペムブロリズマブ | 再発・転移例が中心 |
| 尿路上皮がん | ペムブロリズマブ、アベルマブ | 維持療法としても使用 |
| 食道がん | ニボルマブ、ペムブロリズマブ | 化学療法との併用 |
日本で保険適用されている免疫チェックポイント阻害剤の薬剤名と特徴を押さえよう
日本で保険適用を受けている免疫チェックポイント阻害剤は、大きく分けてPD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤の3種類に分類されます。それぞれの薬剤には特徴があり、対象となるがん種や投与スケジュールも異なります。
ニボルマブ(オプジーボ)は日本初の承認薬
ニボルマブ(商品名:オプジーボ)は、2014年に世界に先駆けて日本で承認されたPD-1阻害剤です。小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブ社が共同開発した薬で、本庶佑先生の研究がその基盤となりました。
当初は悪性黒色腫のみが適応でしたが、その後、非小細胞肺がん、腎細胞がん、胃がん、頭頸部がん、食道がんなど、適応がんは大幅に拡大されています。
2週間に1回または4週間に1回の点滴投与で使用されるのが一般的です。
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の幅広い適応
ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)も、ニボルマブと同じPD-1阻害剤に分類される薬です。米国メルク社(日本ではMSD)が開発し、2016年に日本で承認されました。
キイトルーダは非小細胞肺がんの一次治療で広く使用されているほか、悪性黒色腫、胃がん、食道がん、尿路上皮がん、子宮体がん、MSI-High(マイクロサテライト不安定性が高い)固形がんなど、非常に多くのがん種に適応を持っています。
3週間に1回または6週間に1回の投与が標準的です。
日本で保険適用されている主な免疫チェックポイント阻害剤
| 分類 | 一般名(商品名) | 主な適応がん |
|---|---|---|
| PD-1阻害剤 | ニボルマブ(オプジーボ) | 悪性黒色腫、肺がん、胃がん、腎細胞がんなど |
| PD-1阻害剤 | ペムブロリズマブ(キイトルーダ) | 肺がん、胃がん、食道がん、子宮体がんなど |
| PD-L1阻害剤 | アテゾリズマブ(テセントリク) | 肺がん、肝細胞がん、乳がんなど |
| PD-L1阻害剤 | デュルバルマブ(イミフィンジ) | 肺がん、胆道がん、肝細胞がんなど |
| PD-L1阻害剤 | アベルマブ(バベンチオ) | 腎細胞がん、尿路上皮がんなど |
| CTLA-4阻害剤 | イピリムマブ(ヤーボイ) | 悪性黒色腫、腎細胞がん(併用)など |
アテゾリズマブやデュルバルマブなどPD-L1阻害剤も活躍している
PD-1阻害剤が免疫細胞側のPD-1に結合するのに対し、PD-L1阻害剤はがん細胞側のPD-L1に結合して信号を遮断します。作用する場所は異なりますが、免疫のブレーキを外すという目的は共通しています。
アテゾリズマブ(テセントリク)は非小細胞肺がんや肝細胞がんなどに使用されており、デュルバルマブ(イミフィンジ)は肺がんの化学放射線療法後の維持療法として広く用いられています。
また、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブ(ヤーボイ)は、ニボルマブとの併用療法で悪性黒色腫や腎細胞がんに対して保険適用されています。
免疫チェックポイント阻害剤の治療費は年間でどれくらいかかるのか
免疫チェックポイント阻害剤は高額な薬剤として知られていますが、薬価は承認当初から大幅に引き下げられています。実際にかかる費用は、使用する薬剤・投与量・治療期間によって大きく異なるため、一概にいくらとは言い切れません。
薬価は1回あたり数十万円になることもある
免疫チェックポイント阻害剤の薬価は、1回の投与で数万円から数十万円にのぼります。
たとえばニボルマブ(オプジーボ)は、発売当初と比べて薬価が大幅に下がったとはいえ、投与1回あたり約17万〜40万円程度(体重や用量による)が目安です。
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は1回あたり約40万円前後が目安となっています。ただし、薬価は定期的に改定されるため、治療を受ける時点で主治医や薬剤師に確認してください。
体重や投与間隔によって総額は大きく変わる
ニボルマブのように体重あたりの用量で計算する薬剤では、体重が重い方ほど1回の投与量が増え、費用も高くなる傾向があります。
一方、ペムブロリズマブは固定用量(200mgまたは400mg)のため、体重による差は生じません。
投与間隔も薬剤ごとに異なり、2週間に1回のものもあれば、6週間に1回の投与で済むものもあります。年間の投与回数が変わるため、治療費の総額にも影響してくるでしょう。
3割負担でも年間100万円を超えるケースがある
薬価だけを見ると非常に高額に感じるかもしれません。公的医療保険の3割負担で計算しても、免疫チェックポイント阻害剤の治療費は年間で100万円を超えることが珍しくないのです。
ただし、日本には高額療養費制度という強力な支援制度があり、実際の自己負担額はこれよりもかなり低く抑えられます。次の見出しで詳しく解説しますので、費用面の不安を感じている方は続けてお読みください。
治療費を左右する要因
- 使用する薬剤の種類と薬価
- 体重ベースか固定用量かの違い
- 投与間隔(2週間・3週間・4週間・6週間ごと)
- 併用する薬剤がある場合はその費用も加算
- 治療の継続期間(数か月〜2年以上に及ぶことも)
高額療養費制度を活用すれば免疫チェックポイント阻害剤の費用負担を大幅に減らせる
免疫チェックポイント阻害剤の治療費が高額であっても、高額療養費制度を利用することで、1か月あたりの自己負担額には上限が設けられます。
この制度を正しく活用すれば、経済的な不安を軽減しながら治療に集中できるでしょう。
高額療養費制度の基本的な仕組みとは
高額療養費制度は、医療機関の窓口で支払った金額が1か月(暦の1日〜末日)の間に一定額を超えた場合、超過分があとから払い戻される制度です。
国民健康保険や健康保険組合など、公的医療保険に加入している方であれば誰でも利用できます。
自己負担の上限額は年齢や所得によって区分されており、一般的な所得の70歳未満の方であれば、月額の上限は約8万円〜9万円程度となるケースが多いでしょう。
所得区分による自己負担限度額の目安
高額療養費制度の自己負担限度額は、所得区分によって5段階に分かれています。年収が高いほど限度額も高くなりますが、住民税非課税世帯であれば月額35,400円が上限です。
さらに、直近12か月で3回以上この制度を利用した場合は「多数回該当」となり、4回目以降の上限額がさらに引き下げられます。
免疫チェックポイント阻害剤による治療は長期に及ぶことが多いため、この多数回該当の仕組みは大きな助けになるはずです。
70歳未満の高額療養費 自己負担限度額(月額)の目安
| 所得区分 | 自己負担限度額(月額) | 多数回該当 |
|---|---|---|
| 年収約1,160万円以上 | 252,600円+(医療費−842,000円)×1% | 140,100円 |
| 年収約770万〜1,160万円 | 167,400円+(医療費−558,000円)×1% | 93,000円 |
| 年収約370万〜770万円 | 80,100円+(医療費−267,000円)×1% | 44,400円 |
| 年収約370万円以下 | 57,600円 | 44,400円 |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 | 24,600円 |
限度額適用認定証を事前に取得しておこう
高額療養費制度は本来、いったん窓口で全額を支払った後に申請して差額を受け取る仕組みです。
しかし、治療費が高額になることが分かっている場合は、事前に「限度額適用認定証」を加入している保険者(健康保険組合や市区町村の国保窓口)に申請しておくと便利です。
認定証を病院の窓口で提示すれば、支払い時点で自己負担限度額までの請求に抑えてもらえます。
まとまったお金を一時的に用意する必要がなくなるため、免疫チェックポイント阻害剤の治療が決まった段階で早めに手続きしておくとよいでしょう。
免疫チェックポイント阻害剤の副作用「免疫関連有害事象」に備えておこう
免疫チェックポイント阻害剤は従来の抗がん剤とは副作用のタイプが異なります。
免疫が活性化しすぎることによって自分の正常な組織を攻撃してしまう「免疫関連有害事象(irAE)」が特徴的であり、全身のさまざまな臓器に症状が出る可能性があるため、早い段階での気づきと対処が大切です。
全身のどの臓器にも症状が出る可能性がある
免疫関連有害事象は、皮膚、消化管、肝臓、肺、甲状腺、下垂体、腎臓、神経系、心臓など、全身のあらゆる臓器で発生し得ます。
従来の抗がん剤の副作用と異なり、治療開始から数週間後に現れることもあれば、治療終了後に初めて発症するケースもあります。
頻度としては、何らかの免疫関連有害事象が出る割合は全体の30〜60%程度と報告されていますが、重症化する例は比較的少なく、多くは軽度から中等度にとどまります。
とはいえ、まれに重篤な症状を引き起こすこともあるため、油断はできません。
皮膚・消化器・内分泌系で起きやすい症状
免疫関連有害事象のなかで特に頻度が高いのは、皮膚症状(発疹・かゆみ)、消化器症状(下痢・大腸炎)、内分泌系の障害(甲状腺機能低下症・甲状腺機能亢進症)の3つです。
皮膚症状は比較的早期に現れることが多く、治療開始から2〜3週間で発疹やかゆみが出る場合があります。
甲状腺機能の異常は自覚症状が乏しいこともあるため、定期的な血液検査で早期に発見することが望ましいでしょう。大腸炎による下痢は、回数が増えたり血便を伴う場合はすぐに医療機関へ連絡してください。
副作用の早期発見には定期的な検査が欠かせない
免疫関連有害事象の多くは、早期に発見して適切に対処すれば回復が見込めます。治療中は定期的な血液検査(肝機能、腎機能、甲状腺ホルモン、血糖値など)や画像検査を受け、異常がないかモニタリングを続けることが大切です。
日常生活では、「いつもと違う体の変化」に敏感になることも早期発見のカギとなります。
だるさが続く、食欲がない、息切れがする、皮膚に赤みが出た、下痢が止まらないなど、気になる症状があれば次の受診日を待たず主治医へ相談してください。
免疫関連有害事象の主な症状と注意点
- 皮膚障害(発疹、かゆみ、白斑):治療初期に出やすく、早めのスキンケアと報告を
- 大腸炎(下痢、腹痛、血便):回数が増えたら速やかに医療機関へ連絡
- 甲状腺機能異常(倦怠感、体重変化):自覚しにくいため血液検査での確認が大切
- 肝機能障害(黄疸、全身倦怠感):肝機能の数値を定期的にチェック
- 間質性肺炎(咳、息切れ):重症化リスクがあるため早期の画像検査を
免疫チェックポイント阻害剤による治療を始める前に主治医と確認したい3つのポイント
免疫チェックポイント阻害剤の治療を受けることが候補に挙がった時点で、主治医としっかり話し合っておきたいポイントがあります。治療の効果を高め、費用や副作用への不安を軽減するためにも、事前の確認が欠かせません。
自分のがんが保険適用の対象かどうかを正確に把握しよう
免疫チェックポイント阻害剤が保険で使えるかどうかは、がんの種類だけでなく、病期(ステージ)、前治療歴、特定の遺伝子変異やバイオマーカーの有無など、複数の条件によって決まります。
「同じがんなのに、あの人は使えて自分は使えない」という状況が起こり得るのは、こうした条件の違いがあるためです。まずは主治医に、自分のがんが保険適用の対象となるのかどうか、具体的に確認してみましょう。
バイオマーカー検査と免疫チェックポイント阻害剤の関係
| 検査名 | 検査でわかること | 対象薬剤の例 |
|---|---|---|
| PD-L1検査 | がん細胞や免疫細胞のPD-L1発現量 | ペムブロリズマブなど |
| MSI検査 | マイクロサテライト不安定性の有無 | ペムブロリズマブ(MSI-High固形がん) |
| TMB検査 | 腫瘍遺伝子変異量の多寡 | ペムブロリズマブ(TMB-High固形がん) |
PD-L1検査やMSI検査で治療効果を予測できることがある
免疫チェックポイント阻害剤の効果は、すべての患者さんに等しく現れるわけではありません。治療効果を事前に予測するための指標として、PD-L1検査やMSI検査といったバイオマーカー検査が活用されています。
PD-L1検査は、がん細胞や周囲の免疫細胞にPD-L1タンパクがどの程度発現しているかを調べる検査です。
発現率が高いほどペムブロリズマブなどのPD-1阻害剤が効きやすいとされていますが、PD-L1が低くても効果がある場合もあるため、あくまで参考指標として捉えましょう。
MSI検査は、がん細胞のDNA修復機能に異常があるかを調べるものです。MSI-Highと判定された固形がんでは、がん種にかかわらずペムブロリズマブの使用が承認されています。
自分のがんに対してこれらの検査が適用されるかどうか、主治医に相談してみてください。
治療スケジュールと費用の見通しを立てておこう
免疫チェックポイント阻害剤の治療は、数か月から2年程度にわたることが一般的です。
通院の頻度や1回あたりの所要時間、副作用の管理のための追加検査なども含めて、治療全体のスケジュールを主治医と共有しておくと安心でしょう。
費用面では、前述した高額療養費制度の利用を前提に、月々の自己負担がどの程度になるのかシミュレーションしておくことをおすすめします。
また、加入している保険組合によっては独自の付加給付を設けている場合もあるため、勤務先の総務や人事に問い合わせてみるのもよいかもしれません。
よくある質問
- 免疫チェックポイント阻害剤はすべてのがんに保険適用されますか?
-
すべてのがんに保険適用されるわけではありません。現在、非小細胞肺がん、悪性黒色腫、胃がん、腎細胞がん、肝細胞がんなど特定のがん種に対して承認されています。
さらに、同じがん種であっても病期や前治療歴、バイオマーカー検査の結果などによって保険適用の条件が異なります。自分のがんが対象になるかどうかは、主治医に直接ご確認ください。
- 免疫チェックポイント阻害剤の1回あたりの費用目安はいくらですか?
-
使用する薬剤によって異なりますが、1回の投与あたり数万円〜数十万円が目安です。たとえばニボルマブ(オプジーボ)は約17万〜40万円程度、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は約40万円前後が一般的な金額とされています。
ただし薬価は定期的に改定されるため、治療を受ける時点の価格は医療機関でご確認ください。高額療養費制度を利用すれば、実際の月々の自己負担は大幅に軽減されます。
- 免疫チェックポイント阻害剤の治療期間はどれくらい続きますか?
-
治療期間はがんの種類や治療効果、副作用の状況によってさまざまですが、一般的には数か月から2年程度を目安に継続するケースが多くなっています。効果が持続している間は治療を続け、副作用や病状の変化に応じて主治医が判断します。
治療を終了した後も効果が長く持続することがあるのが、免疫チェックポイント阻害剤の特徴です。治療期間や終了のタイミングについては、主治医とよく話し合って決めていきましょう。
- 免疫チェックポイント阻害剤と従来の抗がん剤を併用することはありますか?
-
はい、がんの種類や治療方針によっては、従来の化学療法と免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせて使用することがあります。非小細胞肺がんや胃がん、食道がんなどでは、化学療法との併用が保険適用となっているケースも多いです。
併用療法は単剤よりも高い治療効果が期待できる一方、副作用のリスクも変わるため、主治医からメリットとデメリットの説明を十分に受けたうえで判断してください。
- 免疫チェックポイント阻害剤による副作用が出た場合、治療費は別途かかりますか?
-
免疫関連有害事象(副作用)に対する検査や治療にも当然ながら医療費が発生します。ステロイド剤や免疫抑制剤の使用、入院管理が必要になるケースもあるため、追加の費用がかかる可能性はあります。
ただし、副作用の治療費も高額療養費制度の対象に含まれます。1か月あたりの自己負担限度額は、免疫チェックポイント阻害剤の治療費と合算して計算されるため、別途大きな出費が発生するとは限りません。
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