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若い人・未成年の発毛剤使用は危険?副作用リスクと安全な薄毛対策を解説

10代、20代という若い時期に薄毛の悩みを持つ方は少なくありません。

「周りの目が気になる」「早くなんとかしたい」と焦り、市販の発毛剤に手を伸ばそうと考えるかもしれません。しかし、若い人、特に未成年の方が自己判断で発毛剤を使用することには、予期せぬ副作用のリスクが伴います。

この記事では、なぜ若い世代の発毛剤使用に注意が必要なのか、具体的な副作用の種類、そして安全に薄毛の悩みを解決するための正しい方法を専門的な観点から詳しく解説します。

当サイトの執筆・運営者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

若い人・未成年が発毛剤に頼る前に知っておくべきこと

若い世代が自己判断で発毛剤を使用すると、副作用のリスクや、そもそも効果がない可能性もあります。

まずは、なぜ慎重になるべきなのか、その理由を正しく理解することが安全な薄毛対策の第一歩です。期待する効果が得られないだけでなく、健康を損なう危険性もはらんでいます。

なぜ若い世代で薄毛の悩みが増えているのか

近年、10代や20代で髪の悩みを抱える人が増えている背景には、AGA(男性型脱毛症)の低年齢化だけでなく、生活習慣の乱れや過度なストレスが関係していると考えられています。

特に、食生活の偏り、睡眠不足、スマートフォンやPCの長時間利用による眼精疲労などは頭皮の血行不良を招き、髪の成長に悪影響を与えることがあります。

市販の発毛剤とクリニック処方の治療薬の違い

ドラッグストアなどで手軽に購入できる市販の発毛剤と、医師の診断のもとで処方される治療薬は、成分や効果、安全性の面で大きく異なります。

クリニックでは、一人ひとりの症状や体質を診断した上で適切な治療法を提案します。

市販の発毛剤とクリニックの治療薬

項目市販の発毛剤クリニックの治療薬
主成分ミノキシジル外用薬(低濃度)ミノキシジル、フィナステリドなど
入手方法ドラッグストアなど医師の診察・処方が必要
特徴誰でも購入できるが効果は限定的症状に合わせた適切な治療が可能

自己判断で発毛剤を使うリスク

自分の薄毛の原因が何であるかを正しく理解しないまま発毛剤を使用しても、効果は期待できません。

例えば、AGAではない脱毛症にAGA治療薬を使っても意味がないのです。そればかりか、不要な副作用のリスクを負うことになります。

特に未成年者の体はまだ発達段階にあるため、薬の影響を受けやすいという点を忘れてはいけません。

発毛剤の主成分と作用の仕組み

発毛剤は、頭皮の血行を促進する「ミノキシジル」と、薄毛の原因物質を抑える「フィナステリド」「デュタステリド」が主成分です。

それぞれ異なるアプローチで作用し、薄毛の改善を促します。

ミノキシジル外用薬の働き

ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として開発されましたが、その過程で多毛の作用があることが分かり、発毛剤として転用された成分です。

頭皮の血管を拡張させ、血流を促進することで毛母細胞の働きを活性化させます。

この毛母細胞が髪の毛を作り出す工場のような役割を担っているため、血行が良くなることで髪の成長に必要な栄養素が行き渡りやすくなるのです。

フィナステリド内服薬の働き

フィナステリドは、AGAの主な原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する働きを持つ内服薬です。

男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素と結びつくことでDHTに変換されます。

フィナステリドは、この5αリダクターゼの働きを阻害し、抜け毛の命令を出すDHTの発生を抑えることで薄毛の進行を防ぎます。

デュタステリド内服薬の働き

デュタステリドもフィナステリドと同様に、DHTの生成を抑える内服薬です。

5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類があり、フィナステリドが主にⅡ型を阻害するのに対し、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害します。

その作用から、より強力にDHTの生成を抑制する効果が期待されます。

発毛剤の主成分比較

成分名種類主な働き
ミノキシジル外用薬頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化
フィナステリド内服薬薄毛の原因物質DHTの生成を抑制(Ⅱ型)
デュタステリド内服薬薄毛の原因物質DHTの生成を抑制(Ⅰ型・Ⅱ型)

【本題】若い人・未成年に起こりうる発毛剤の副作用

若い世代が発毛剤を使用した場合、皮膚トラブルや性機能に関する副作用、さらには体の正常な成長に影響を及ぼす可能性があります。

医薬品である以上、リスクを正しく理解することが不可欠です。

ミノキシジル外用薬の主な副作用

ミノキシジル外用薬は頭皮に直接塗布するため、副作用も塗布した部分に集中する傾向があります。比較的軽微なものが多いとされていますが、体質によっては注意が必要です。

ミノキシジル外用薬で報告される副作用

分類具体的な症状
皮膚症状かゆみ、発疹、フケ、かぶれ、熱感など
循環器系動悸、めまい、頭痛、むくみなど
その他初期脱毛(使用開始初期の抜け毛増加)

フィナステリド・デュタステリド内服薬の主な副作用

これらの内服薬は男性ホルモンに作用するため、副作用も性機能に関するものが報告されています。

発生頻度は低いとされていますが、若い世代にとっては特に気になる点でしょう。

フィナステリド・デュタステリド内服薬で報告される副作用

分類具体的な症状
性機能関連性欲減退、勃起機能不全(ED)、射精障害など
精神神経系抑うつ症状、気分の落ち込みなど
その他肝機能障害、乳房の圧痛・腫れなど

未成年への使用が推奨されない理由

フィナステリドやデュタステリドは、男性ホルモンに影響を与える薬です。未成年者は第二次性徴期など、体が成熟していく上で男性ホルモンが非常に重要な役割を果たします。

この時期にホルモンバランスに影響を与える薬を使用すると、正常な身体の成長を妨げる可能性があります。

このような懸念から、これらの薬剤は原則として未成年への処方は行いません。

副作用が出た場合の初期対応

万が一、薬の使用中に体調の変化を感じた場合はすぐに使用を中止し、医師に相談することが重要です。自己判断で「これくらいなら大丈夫だろう」と使い続けることは絶対に避けてください。

特に、市販薬を使用している場合は、皮膚科や専門のクリニックを受診しましょう。

副作用を避けて安全に薄毛対策を行う方法

安全に薄毛対策を進めるには、自己判断で薬を使うのではなく、まず専門のクリニックで薄毛の原因を正確に特定することが最も重要です。

その上で、生活習慣の改善など、自分に合った方法を実践していく必要があります。

まずは専門クリニックで原因を特定する

薄毛の原因を正確に突き止めることが適切な対策の第一歩です。AGAなのか、それとも円形脱毛症や生活習慣によるものなのか、専門の医師が診察や検査を通じて判断します。

原因が分かれば、無駄な治療や不要な副作用のリスクを避けることができます。

生活習慣の見直しでできること

髪の健康は、日々の生活習慣と密接に関わっています。

薬物治療と並行して、あるいは治療を始める前に、生活習慣を整えることで頭皮環境の改善が期待できます。健康な髪を育む土台作りとして、意識的に取り組んでみましょう。

髪の健康のための生活習慣

項目意識すべきポイント理由
食事タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取髪の主成分や成長を助ける栄養素を補給するため
睡眠質の良い睡眠を6時間以上確保する成長ホルモンが分泌され、髪の成長を促進するため
運動適度な有酸素運動を習慣にする全身の血行を改善し、頭皮への栄養供給を助けるため
  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠時間の確保
  • 適度な運動
  • 正しいヘアケア

ストレス管理の重要性

過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させる原因となります。

学業や人間関係など、若い世代は多くのストレスに晒されがちです。自分なりのストレス解消法を見つけ、心身ともに健康な状態を保つことが健やかな髪を育む上で大切です。

AGAクリニックでの治療の流れ

専門のクリニックでは、カウンセリングで悩みを相談した後、医師が診察して原因を特定し、一人ひとりに合った治療法を提案します。

副作用のリスクを考慮し、若い方には身体への負担が少ない方法から始めるのが一般的です。

無料カウンセリングで相談

多くのクリニックでは、治療を始める前に無料のカウンセリングを実施しています。専門のカウンセラーがあなたの髪の悩みや疑問、不安に思っていることを親身に聞いてくれます。

治療に関する詳しい説明も受けられるので、まずは気軽に相談してみることをお勧めします。

医師による診察と診断

カウンセリングの後、医師が頭皮の状態をマイクロスコープで確認したり、問診を行ったりして、薄毛の原因を正確に診断します。

必要に応じて血液検査などを行い、全身の健康状態も考慮しながら治療の適応があるかどうかを判断します。

年齢や症状に合わせた治療法の提案

診断結果に基づき、医師があなたに合った治療法を提案します。

未成年の方や若い方に対しては、副作用のリスクを十分に考慮し、内服薬ではなく、まずは生活習慣の改善指導やミノキシジル外用薬、サプリメントの処方など身体への負担が少ない方法から始めることが一般的です。

クリニックで提案される治療法の一例

治療法内容対象となりやすい方
内服薬治療フィナステリドなどで抜け毛を抑制AGAと診断された成人男性
外用薬治療ミノキシジルで発毛を促進初期症状の方、内服薬が使えない方
注入治療成長因子などを頭皮に直接注入より積極的な発毛を希望する方

治療開始後のフォローアップ

治療は一度始めたら終わりではありません。定期的に通院し、医師が治療効果や副作用の有無をチェックします。

体調の変化や気になることがあれば、その都度相談できる体制が整っているため、安心して治療を続けることができます。

若い世代の薄毛治療で注意すべきポイント

若い世代の薄毛治療では、個人輸入のような安易な手段に頼らず、治療効果を焦らない心構えが大切です。

個人輸入や通販サイトの危険性

海外製の治療薬を安価に購入できる個人輸入代行サイトなどがありますが、利用には大きな危険が伴います。

偽造薬や粗悪品が送られてくるリスクがあり、含まれている成分や用量が不明なため、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

医薬品は必ず、医師の処方のもとで正しく使用してください。

個人輸入の主なリスク

リスクの種類具体的な内容
健康被害偽造薬や不純物の混入による予期せぬ副作用
効果の問題有効成分が含まれておらず、全く効果がない
法的問題国の承認を受けていない医薬品の使用は自己責任となる

治療効果を焦らない心構え

髪の毛にはヘアサイクル(毛周期)という生まれ変わりの周期があり、治療を始めてすぐに効果が実感できるわけではありません。

一般的に、効果を体感するまでには最低でも3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要です。焦らず、根気強く治療を続けることが大切です。

SNSなどの情報に惑わされず、自分のペースで治療と向き合いましょう。

費用に関する正しい知識

AGA治療は、多くの場合、継続的な通院と薬の処方が必要になります。治療を始める前に、月々どのくらいの費用がかかるのか、総額でどのくらいを見込んでおけば良いのかをしっかりと確認することが重要です。

クリニックのカウンセリングでは、費用についても明確な説明を受けることができます。

Q&A 若い人の発毛剤使用に関するよくある質問

ここでは、若い方や未成年の方が発毛剤や薄毛治療に関して抱きやすい疑問について、Q&A形式でお答えします。一人で悩まず、正しい知識を身につけましょう。

親に内緒で治療は始められますか?

いいえ、未成年の方が治療を受ける場合は、原則として保護者の同意が必要です。

これは、治療内容や費用、副作用のリスクなどを保護者の方にも十分に理解していただいた上で、安全に治療を進めるためにとても重要なことです。まずは勇気を出して、保護者の方に相談してみてください。

薬をやめたらまた髪は抜けますか?

はい、治療を中断すると、薄毛の進行が再開する可能性があります。AGAは進行性の症状であるため、薬の効果で維持されていた状態が元に戻ってしまうからです。

治療の継続や中断については自己判断せず、必ず医師に相談してください。

発毛剤を使えば誰でも髪は生えますか?

いいえ、必ずしも全ての人の髪が生えるわけではありません。発毛剤の効果には個人差がありますし、薄毛の原因がAGAでない場合には効果が期待できません。

また、毛根が完全に活動を停止してしまった部分から髪を生やすことは困難です。だからこそ、早期に専門医へ相談することが重要なのです。

副作用の確率はどのくらいですか?

副作用の発生頻度は、薬の種類や個人の体質によって異なりますが、一般的には数%程度と報告されており、決して高い確率ではありません。

しかし、確率が低いからといってリスクがゼロになるわけではありません。医師は常に副作用の可能性を念頭に置き、万が一の際にはすぐに対応できるよう、定期的な診察で健康状態を確認します。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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