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祖父がはげている。自分もはげるか?父親の薄毛は関係ある?

祖父や父がはげていると、「自分もいずれ同じようにはげるのではないか」と心配になる男性は少なくありません。特に「薄毛になりやすい体質は遺伝する」と耳にすれば、なおさら不安になるでしょう。

しかし、たとえ家系に薄毛の人がいても、適切な対策を行うことで将来の薄毛を予防・遅らせることは可能です。

この記事では、薄毛(男性型脱毛症=AGA)の遺伝と家族歴の関係について詳しく解説し、祖父や父親が薄毛の場合に自分も薄毛になるリスクや、その予防策・対処法について医師の視点から説明します。

遺伝だからといって悲観せず、科学的根拠に基づいたケアで大切な髪を守っていきましょう。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

遺伝と薄毛の科学的関連性

男性型脱毛症(AGA)の基本理解

男性の薄毛の大多数(約95%以上)は「AGA(男性型脱毛症)」によるものです。AGAは思春期以降に発症する進行性の脱毛症で、特徴的なパターン(前頭部や頭頂部からの脱毛進行)を示します。

20代という早期から症状が現れることもあり、一度進行を始めると自然回復はほぼ不可能なため、早期の対策が重要となります。

遺伝的背景と科学的根拠

遺伝とAGAの関係については、科学的研究から強い関連性が示されています。

特に注目すべきは一卵性双生児を対象とした研究結果で、男性の薄毛の約80%前後が遺伝的要因によるものという報告があります。

ただし、遺伝子を持っていることと実際に発症することは必ずしも一致せず、他の要因も複合的に作用します。

家系による薄毛リスクの違い

母系の影響力

AGAに関する遺伝では、「母方からの遺伝」が特に重要と考えられています。これは薄毛に関わる重要な遺伝子(アンドロゲン受容体遺伝子)がX染色体上に位置しているためです。

男性はX染色体を母親からのみ受け継ぐため、特に「母方の祖父」の薄毛状態が孫世代の男性に強く影響します。

研究によれば、母方の祖父が薄毛だった場合、孫の発症リスクは約75%にも達するとされています。さらに遡って母方の曾祖父も薄毛だった場合は、リスクが90%近くまで高まるという報告もあります。

これは「隔世遺伝」と呼ばれる現象で、母親自身は女性ホルモンの保護作用で薄毛を発症しにくいものの、薄毛の遺伝子自体は保有して子に伝える可能性があります。

父系の影響は存在するのか

一般的に「ハゲは母方から遺伝する」という通説がありますが、父親からの遺伝影響も無視できません。

AGAの発症には複数の遺伝子が関与しており、X染色体以外の要素(例:5αリダクターゼ酵素の活性度など)は父親からも継承されます。

このため、母方に薄毛の家系がなくても、父親が薄毛である場合はAGA発症リスクが高まる可能性があります。

ただし、父親の薄毛が遺伝的要因ではなく環境的要因による場合や、子が関連遺伝子を受け継がなかった場合は、必ずしも薄毛が「遺伝」するわけではありません。

家系による薄毛リスク早見表

家族の薄毛状況AGAリスク評価
母方の祖父・曾祖父ともに薄毛極めて高い(85〜90%)
母方の祖父が薄毛高い(約75%)
父親のみ薄毛中程度(個人差あり)
家族に薄毛がいない低い(ただしゼロではない)

遺伝に関する誤解と真実

薄毛の遺伝については多くの誤解が存在します。

  1. 誤解: 「薄毛は必ず母方から遺伝する」
    真実: 母方からの遺伝影響は強いが、父方の遺伝因子も発症に関与する
  2. 誤解: 「家族に薄毛がいなければ安心」
    真実: 家族歴がなくても個人が特定の遺伝子組み合わせを持つ場合や環境要因によって薄毛になることがある
  3. 誤解: 「遺伝性の薄毛は防げない」
    真実: 早期対策や適切な治療法により、遺伝的リスクがあっても薄毛の進行を遅らせたり抑制したりすることが可能

重要なのは、遺伝はあくまでリスク因子の一つであり、発症の「確率を高める」要素に過ぎないという点です。

家族に薄毛が多い人は早期からの対策が賢明ですが、家族歴がない場合でも油断は禁物と言えるでしょう。

科学的に見た遺伝メカニズム

遺伝的な薄毛発症のメカニズムは、主に以下の要素によります。

  1. アンドロゲン受容体遺伝子: X染色体上に位置し、男性ホルモン(特にDHT)への感受性を決定
  2. 5αリダクターゼ関連遺伝子: テストステロンをDHTに変換する酵素の活性度に影響
  3. ホルモン代謝関連遺伝子: 体内でのホルモンバランスや代謝速度に関与

これらの遺伝子が複合的に作用することで、個人の薄毛リスクが形成されます。

遺伝リスクがあっても希望はある

遺伝的に薄毛になりやすい体質であっても、以下の対策で発症や進行を抑制できる可能性があります。

  • 早期からの予防的ケア(頭皮環境の整備、適切な生活習慣)
  • 医学的に効果が認められた治療薬の活用
  • 定期的な専門医によるフォローアップ

重要なのは、「遺伝だから諦める」のではなく、自分の遺伝的リスクを理解した上で適切な対策を講じることです。

現代の医学では、かつて「宿命」と思われていた遺伝性の薄毛にも効果的なアプローチが可能になっています。

薄毛が遺伝する仕組み

AGAを引き起こすホルモンの作用

遺伝によって薄毛になりやすい体質を持つ場合でも、実際に髪が抜ける直接の原因は男性ホルモン(アンドロゲン)の作用です。

男性ホルモンの一種であるテストステロンは、毛根に存在する酵素5αリダクターゼによってジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。

DHTは毛根のアンドロゲン受容体に強力に結合し、髪の成長を抑制してしまいます。その結果、ヘアサイクルが短縮して十分成長しない細い髪(軟毛)が増え、抜け毛・薄毛が進行します。

AGAとは、このDHTによる脱毛作用が過敏に起こってしまう状態なのです。

5αリダクターゼと遺伝的体質

AGA発症リスクに関与する遺伝要因の一つが5αリダクターゼの活性です。5αリダクターゼの活性が高い体質では、通常よりもテストステロンがDHTに変換されやすく、結果的にDHTによる薄毛促進作用も強く現れます。

この体質は遺伝で受け継がれることがあり、特に5αリダクターゼの活性に関わる遺伝子は優勢遺伝する(片方の親から受け継いだ場合に子に遺伝しやすい)ことも知られています。

つまり親のどちらかが5αリダクターゼが活発に働く体質であれば、その子も同じ体質を持つ可能性が高くなります。

そのため、この遺伝的素因を受け継いだ人はAGAになりやすい傾向があります。

アンドロゲン受容体(AR)遺伝子の影響

もう一つ重要なのが、毛根のアンドロゲン受容体(男性ホルモン受容体)の感受性です。受容体の感受性が高いと、同じDHT量でも毛根が受ける影響が大きく、脱毛が促進されてしまいます。

このアンドロゲン受容体の感受性も遺伝によって決まります。先述の通りアンドロゲン受容体の遺伝子はX染色体上にあり、母方から息子に伝えられます。

感受性を高める変異を持つ遺伝子を受け継ぐと、AGAを発症しやすくなるのです。

複数の遺伝子と複雑な要因

薄毛に関与する遺伝子は他にも多数存在すると考えられており、その組み合わせは人それぞれです。実際、AGAに関わる遺伝子はX染色体上のものだけではなく、それぞれの遺伝子が複雑に相互作用しています。

現在の科学でもすべては解明されていない分野ですが、一つ言えるのは「特定の遺伝子があれば必ずAGAになるわけでもなく、逆にその遺伝子がなくてもAGAにならないとは限らない」という点です。

要するに、AGA発症には遺伝要因が複数絡み合って影響するとともに、後述する生活習慣など遺伝以外の要因も加わって最終的な発症リスクが決まるということです。

以上の主要な遺伝要因をまとめると、次のようになります。

主な遺伝要因内容
5αリダクターゼ活性が高いDHTへの変換量が増え、毛根が萎縮しやすい(脱毛が進行しやすい)
アンドロゲン受容体の感受性が高いDHTに対する毛根の反応が強く、少ない男性ホルモンでも脱毛を引き起こしやすい

このように、AGAになるかどうかは遺伝的に決まる体質(ホルモン変換酵素や受容体の性質)に大きく影響されます。

ただし、実際に薄毛になるかは遺伝子だけでなく様々な要因の積み重ねによります。次に、遺伝以外に薄毛の原因となり得る代表的な要因について解説します。

薄毛になりやすい人の特徴

若いうちに出る薄毛の兆候

AGAは徐々に進行するため、初期の兆候を見逃さないことが大切です。次のような変化が見られたら、薄毛の始まりを疑って注意する必要があります。

  • 家族や親族に薄毛の人がいる
  • 数ヶ月〜数年の間に抜け毛が増えてきた
  • 産毛のような細く短い毛髪が目立つようになった
  • 髪の毛一本一本のハリ・コシ(弾力や太さ)がなくなってきた
  • 額の生え際や頭頂部の髪が以前より薄くなってきた
  • 頭皮にかゆみや赤みがある、フケが増えてきた

上記のような症状が複数当てはまる場合、AGAが始まっている可能性が高いと考えられます。

特に、生え際(おでこ)が後退して額が広くなるM字ハゲや、頭頂部のつむじ周辺が薄くなるO字ハゲはAGAの典型的なパターンです。

鏡で見て明らかな地肌の露出がなくても、抜け毛や髪質の変化といったサインがあれば注意が必要です。

髪質・頭皮環境の傾向

髪の毛の頭皮の状態にも、薄毛になりやすい人の特徴が表れる場合があります。

例えば髪質がもともと細く柔らかい人は、コシのある太い髪に比べて脱毛が進行すると目立ちやすい傾向があります。

また、頭皮の皮脂分泌が多い人は頭皮がベタつきやすく、毛穴が詰まったり炎症を起こしたりしやすいため、結果的に髪の成長にマイナスに働くことがあります。

実際、薄毛に悩む男性には頭皮が脂っぽくフケを伴うケースもしばしば見られます。

さらに、頭皮を触ったときに硬く感じる人も注意が必要です。ストレスや血行不良で頭皮の柔軟性が失われると、毛根への栄養供給が滞り、髪が弱りやすくなります。

薄毛に悩む方の多くは頭皮がカチカチに硬くなっているとも言われます。頭皮マッサージなどで柔軟な頭皮環境を保つことも、薄毛予防の一助となるでしょう。

薄毛が進行しやすい人の共通点

以上をまとめると、薄毛が進行しやすい人には次のような共通点が考えられます。

  • 近親者に若い頃から薄毛の人がいる(遺伝的素因)
  • 皮脂の分泌が多く頭皮トラブル(かゆみ・フケ)が起きがち
  • 睡眠不足や栄養偏りなど生活習慣に乱れがある
  • 慢性的なストレスを抱えている

遺伝的な要因に加え、不健康な生活習慣やストレスなどが重なると薄毛はより進行しやすくなります。

反対に言えば、遺伝的なリスクがあっても生活習慣を改善することで発症を遅らせることも期待できます。そうした遺伝以外の薄毛原因について詳しく見ていきましょう。

遺伝以外の薄毛原因

不規則な生活習慣による影響

遺伝的な要因だけでなく、生活習慣も薄毛の進行に大きく影響します。毎日の食事や睡眠がおろそかになると、髪の成長に必要な栄養素が不足し、毛髪が十分に育たなくなってしまいます。

脂っこい食事ばかりで野菜やタンパク質が不足すると、頭皮の皮脂分泌が増える一方で髪に必要なビタミン・ミネラルが欠乏し、抜け毛を助長しかねません。

また、睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が妨げられ、髪の成長サイクルが乱れます。さらに慢性的な寝不足は血行不良を招き、毛根への栄養供給が滞ることで薄毛に拍車をかける恐れがあります。

ストレスとホルモンバランス

現代社会においてストレスも見逃せない薄毛要因の一つです。強い精神的ストレスに晒されると、自律神経やホルモンバランスが乱れ、体内で男性ホルモンが過剰に分泌されます。

ストレスによって増えたテストステロンは5αリダクターゼによってDHTに変換され、結果としてAGAの進行を加速させてしまいます。

また、ストレスは血管を収縮させて頭皮の血流を悪化させるため、毛根への栄養供給も阻害されます。

つまりストレス過多の状態は、ホルモン面と血行面の両方から薄毛を進行させるリスク要因なのです。

喫煙・飲酒が及ぼす影響

喫煙や過度の飲酒といった嗜好習慣も髪に悪影響を与えます。

喫煙は血管を収縮させる作用があり、頭皮の毛細血管の血流が低下して毛根への酸素や栄養の供給が阻害されます。またタバコの煙に含まれる有害物質は全身の血管にダメージを与え、老化を促進することで髪の成長にもマイナスです。

実際、ある研究では喫煙者は非喫煙者に比べてAGAを発症するリスクが約1.8倍高いとの報告もあります。

一方、アルコールの過剰摂取も髪に良くありません。大量の飲酒は肝臓に負担をかけ、髪の生成に必要な栄養素(例えば亜鉛など)の消耗を招きます。

また、アルコール分解の過程で生じるホルモンバランスの乱れがDHT増加につながる可能性も指摘されています。

適度な飲酒量を守り、可能であれば禁煙することが薄毛予防のためにも望ましいでしょう。

不適切なヘアケアや頭皮環境の悪化

日々のヘアケアの方法も、知らず知らず薄毛に影響を与えている場合があります。

例えばシャンプーをせずに皮脂や汚れを頭皮に溜め込んでいると、毛穴の詰まりや雑菌繁殖によって炎症(脂漏性皮膚炎など)を起こし、毛根がダメージを受けて抜け毛が増加します。

その逆に、洗浄力の強すぎるシャンプーで毎日ゴシゴシと洗髪しすぎるのも問題です。頭皮の必要な皮脂まで奪われて乾燥や刺激を招き、防御機能が低下した頭皮はトラブルを起こしやすくなります。

整髪料のすすぎ残しやパーマ・カラーリングの繰り返しなども頭皮への負担となり得ます。

このように、誤ったヘアケア習慣の積み重ねが頭皮環境を悪化させ、結果的に薄毛の一因となることがあるのです。

遺伝以外の主な薄毛要因

要因薄毛への影響
栄養不足・睡眠不足髪の成長に必要な栄養が不足し、頭皮の血行も悪化して抜け毛が増える
慢性的なストレス男性ホルモン(DHT)の増加や血管収縮を招き、脱毛が進行しやすくなる
喫煙毛細血管を収縮させ頭皮の血流を低下させる。有害物質が老化を促進し、AGAリスクを高める
過度の飲酒ホルモンバランスの乱れや栄養消耗を招き、髪の成長に悪影響を及ぼす
不適切なヘアケア頭皮の炎症や乾燥を引き起こし、毛根にダメージを与えて抜け毛を増やす

このように、日々の生活習慣や頭皮ケアの違いによって、同じ遺伝的素因を持つ人でも薄毛の進行度には差が生じます。

裏を返せば、生活面の改善によって遺伝リスクをある程度カバーし、薄毛の発症や進行を抑えられる可能性があるということです。次に、具体的にどのような薄毛予防策が有効かを解説します。

薄毛を予防するためにできること

早めのケアが将来の髪を守る

AGAは進行性のため、早めにケアを始めることが何より重要です。薄毛の兆候に気づいた段階や、家族にAGAの人がいて不安を感じている段階で対策を講じることで、将来の髪の状態を大きく変えられる可能性もあります。

髪は抜けて毛根が死滅してしまうと元には戻りませんが、初期のうちに対処すれば現状維持や改善が期待できます。

特に若いうちから薄毛リスクが高いとわかっている場合は、“治療”が必要になる前に予防策に取り組むことが大切です。

健康的な生活習慣を心がける

薄毛予防の基本は、日頃から健康的な生活習慣を維持することです。

髪のために心がけたい主な習慣

  • バランスの良い食事:髪の主成分であるタンパク質や、毛髪の生成を助けるビタミン・亜鉛などをしっかり摂取する。
  • 十分な睡眠:1日7〜8時間の睡眠を確保し、成長ホルモンの分泌を促して髪の修復・育成を助ける。
  • 適度な運動:軽いジョギングや筋トレなどで血行を促進し、頭皮への栄養供給を高める。
  • 禁煙・節酒:タバコは血流を阻害し薄毛リスクを高めるため控える。飲酒も適量に留め、肝臓への負担を減らす。
  • ストレスの発散:趣味やリラックスできる時間を持ち、慢性的なストレスを溜め込まないようにする。

これらは全て、前章で挙げた薄毛の危険因子(栄養不足・睡眠不足・ストレス過多・血行不良・喫煙など)を取り除くための対策です。

規則正しい生活を送ることで頭皮のコンディションが整い、髪の成長しやすい環境を維持できます。ただし、忙しい現代では完璧に実践するのが難しい場合もあるでしょう。

そのような時は、育毛サプリメントなどで不足しがちな栄養素を補給するのも一つの方法です。

髪の成長を助ける栄養素

髪に良いとされる代表的な栄養素と、それを含む食品の例です。

栄養素働き・役割多く含む食品
タンパク質毛髪の主成分ケラチンの材料になる肉、魚、大豆製品、卵 など
ビタミンB群毛細血管の血流を促し、毛根の代謝を助ける豚肉、レバー、卵、玄米 など
ビタミンE抗酸化作用で頭皮の血行を促進するナッツ類、植物油、アボカド など
亜鉛毛母細胞の分裂を促し髪の生成を助ける牡蠣、赤身肉、魚介、海藻 など
ビタミンCコラーゲン生成を助け頭皮の健康を保つ柑橘類、緑黄色野菜、いちご など

上記のような栄養素を日々の食事でバランス良く摂取することで、髪と頭皮の健康維持につながります。難しい場合は育毛用のサプリメントを活用するのも良いでしょう。

育毛剤やシャンプーの上手な活用

生活習慣の改善と並行して、市販の育毛剤や適切なシャンプーを活用することも効果的です。

日本で承認されている唯一の発毛成分であるミノキシジル配合の育毛剤は、初期の薄毛に対して発毛促進効果が期待できます。ドラッグストアで購入できる外用薬なので、薄毛が気になり始めたら早めに試してみると良いでしょう。

その他にも、血行促進成分や保湿成分を含んだスカルプエッセンスを使用して頭皮環境を整えたり、アミノ酸系の刺激の少ないシャンプーで頭皮を清潔に保ったりするといった工夫が大切です。

ただし、育毛剤はあくまで予防・進行遅延を目的としたものであり、進行したAGAを完全に治す力はありません。

明らかな薄毛の症状が出ている場合や育毛剤で効果を感じられない場合は、早めに専門の医療機関に相談して適切な治療を受けることを検討しましょう。

専門クリニックでの治療と遺伝子検査の活用

医療機関で受けられるAGA治療

身近な対策で予防に努めても、遺伝的な薄毛リスクが高い人や既に薄毛が進行している人では、専門の医療機関でのAGA治療が有効です。

現在、AGA治療には科学的に効果が確立された方法がいくつかあります。

代表的なのがフィナステリド(商品名プロペシアなど)やデュタステリド(ザガーロなど)といった飲み薬です。これらは5αリダクターゼの働きを阻害し、DHTの産生を抑えることで抜け毛の進行を止めます。

また、外用薬ではミノキシジル(リアップなど)が頭皮の血行促進と毛母細胞の活性化によって発毛効果を発揮します。

薬剤は医師の診察のもと適切に使用することで、多くのAGA患者さんで髪の改善が見られています。

主な治療法とその内容

主な治療法内容・効果
フィナステリド(内服薬)5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑制。抜け毛の進行を止める。
デュタステリド(内服薬)フィナステリドと同様にDHTを抑制。より広範な酵素型に作用し、脱毛予防効果が高い。
ミノキシジル(外用薬)毛細血管を拡張し、毛母細胞を刺激。発毛を促進する効果がある。
育毛メソセラピー(注入療法)頭皮に成長因子や栄養を直接注入。毛根を活性化し発毛をサポート。
自毛植毛(外科手術)自身の元気な毛を薄毛部分に移植。半永久的に生える髪を定着させる。

さらに、症状や希望に応じて育毛メソセラピー(頭皮に成長因子などを注入する治療)や自毛植毛といった高度な治療法を選択できる場合もあります。

ただし、費用や体への負担もあるため、まずは薬物療法など基本的な治療から始めるのが一般的です。

遺伝子検査を活用したパーソナライズケア

最近では、遺伝子検査を活用して一人ひとりの薄毛リスクや原因を分析し、それに応じた適切な対策を提案するサービスも登場しています。

たとえばPesod(ペソッド)は、唾液などから遺伝子を解析してAGAに関わる体質(ホルモン感受性や血行、頭皮の炎症傾向など)を調べ、その結果に基づいて個別に調整された育毛剤やサプリメントを提供するパーソナライズ育毛サービスです。

Pesodでは、例えば次のような遺伝的項目を分析して薄毛の主要因を特定します。

遺伝子検査の分析項目 (例)内容
男性ホルモン感受性毛根の男性ホルモン受容体 (AR遺伝子) の型を調べ、DHTによる影響度を判定
酵素活性の傾向5αリダクターゼの活性に関わる遺伝子を分析し、DHT生成のされやすさを評価
血行・代謝リスク血流や代謝に影響する遺伝的体質を確認し、毛母細胞への栄養供給の傾向を推測
皮脂・炎症リスク皮脂分泌や炎症関連の遺伝的傾向を調べ、頭皮トラブルの起こりやすさを判定

自分の薄毛の「原因」をはっきりさせた上で対策できるため、無駄のない効率的なケアが期待できます。

遺伝子検査付きのサービスを利用すれば、「自分は将来的にどの程度薄毛になりやすい体質なのか」「特にどの要因に注意すべきか」といった点が明確になるでしょう。

その結果を踏まえて生活習慣をより重点的に改善したり、医療機関で処方される治療薬の選択に活かしたりすることも可能です。

薄毛予防の第一歩として、自分自身のリスクを遺伝子レベルで知っておくことは大きな武器になります。

Pesodは以下のLINE登録より簡単に始められます。遺伝子検査は無料です。

女性の方の「Pesod」LINE登録はこちらからできます。

育毛剤よりも治療薬が良いとお考えの方は、遺伝子検査によるAGA治療も行っております。詳しくはこちらのページをご確認ください(オンライン診療にも対応しています)

迷ったら専門医に相談を

薄毛の進行は一日でも早い対策が肝心です。自己流のケアだけで不安な場合や、家族歴があって心配な場合は、遠慮せずにAGA専門のクリニックや皮膚科医に相談しましょう。

専門医は豊富な知識と経験から、あなたの症状やリスクに合わせた適した治療プランを提示してくれます。市販の育毛剤で効果が感じられない方や、遺伝性的なリスクを指摘されている方ほど、専門医のアドバイスが役立ちます。

大切なのは、悩みを抱え込まないことです。次のような場合は遠慮せず専門医に相談しましょう。

  • 市販の育毛剤を数ヶ月試して効果が感じられない
  • 抜け毛の量が急激に増えている、あるいは進行が早いと感じる
  • 薄毛が精神的な負担やコンプレックスになっている
  • 家族(特に母方)に若い頃からの薄毛の人がいて不安が強い

また、近年はオンライン診療や郵送による遺伝子検査キットのサービスも充実しており、忙しい方でも気軽に薄毛対策を始められる環境が整っています。

悩みを抱えて一人で塞ぎ込む必要はありません。プロと二人三脚で取り組めば、たとえ遺伝にハンデがあっても、きっと将来の髪に違いを生み出せるでしょう。

よくある質問

母方の祖父がハゲていると、自分も将来ハゲるのでしょうか?

母方の祖父が若い頃から薄毛だった場合、その孫である男性は薄毛になりやすい遺伝子を受け継いでいる可能性が高いです。その確率は約75%とも言われます。

ただし、必ず薄毛になるとは限りません。遺伝はあくまで「なりやすさ」を示す要因であり、生活習慣や他の要因によって発症するかどうかは左右されます。

父親が薄毛だと、その子供も薄毛になりますか?

父親からの遺伝でも薄毛体質が受け継がれる可能性はあります。薄毛の主な遺伝要因は母方由来と言われますが、父親側の遺伝子(例えば5αリダクターゼの活性など)が影響するケースもあります。

したがって父親が薄毛の場合も子供は注意が必要ですが、これも確率の問題であり必ず遺伝するわけではありません。

家族に薄毛の人がいなくても、自分がAGAになることはありますか?

はい、ありえます。家族に薄毛が全くいない場合でも、自分だけがAGAを発症するケースは珍しくありません。

遺伝以外の要因(生活習慣やストレスなど)によってAGAが起こることもありますし、隔世遺伝で上の世代に表れていないだけで遺伝要因を持っている場合もあります。

家族歴がなくても油断せず、抜け毛が増えるなど兆候があれば早めに対策することが重要です。

薄毛(AGA)は何歳くらいから始まるものなのでしょうか?

AGAの発症時期は人によって様々です。一般的に30代以降に気にする方が増えますが、早い人では思春期後半(10代後半)から20代で発症することもあります。

一方で、50代や60代になってから徐々に薄くなる人もいます。年齢を重ねるほど発症リスクは上がりますが、若いうちだから絶対大丈夫というわけではありません。

薄毛が心配です。予防のために何から始めれば良いでしょうか?

まずは生活習慣の見直しから始めましょう。栄養バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、喫煙している場合は禁煙にチャレンジしてください。

また、市販の育毛剤(ミノキシジル配合など)を試してみるのも初期対策として有効です。それでも不安がある場合は、遺伝子検査サービスで自分の薄毛リスクをチェックすることもできます。Pesod(ペソッド)のようなサービスを利用すれば、自分の遺伝的なリスク要因が分かり、より的確な予防策を講じられるでしょう。

心配な場合は早めに専門クリニックで医師に相談することをおすすめします。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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