AGA治療薬ミノキシジルには育毛剤タイプのものと飲み薬の2種類あり、それぞれ効果の違いがあります。
また、生え際(M字)と頭頂部への効果にも違いがありますので、それぞれの方が最適なミノキシジルは塗り薬なのか、それともより効果が高く副作用も強い飲み薬(ミノキシジルタブレット)なのかを判断できるよう解説していきましょう。
抽象的な情報よりも数字を示した方が納得感が出ると思いますので、全て論文からデータを拾っています。
この記事の執筆者
小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
ミノキシジル発毛剤の頭頂部への効果
ミノキシジル外用薬(通称発毛剤と呼ぶ塗り薬)の頭頂部(O字)への効果は国内外で広く検証され、多くの論文が発表されています。
いずれの論文でもミノキシジル外用薬がAGA治療において頭頂部に優位な発毛効果があることを結論付けていますが、副作用についても記載しますのでしっかりと目を通してください。
男性型脱毛症における頭頂部へのミノキシジル5%外用薬の有効性と安全性を評価したランダム化対照試験
効果
- 24週間の治療期間において、ミノキシジル5%の外用薬を使用した群は、プラセボ群と比較して、頭頂部の髪の量が6.2%、髪の太さは11.4%、成長率は16.7%増加。
- 頭頂部のターミナルヘア(太い毛)の割合は、ミノキシジル5%外用薬を使用した群で22.8%増加したのに対し、プラセボ群では10.1%の増加にとどまる。
副作用
ミノキシジル5%外用薬を使用した群は、プラセボ群と比べて頭皮刺激などの副作用の発生率が1.3倍高く、主な副作用は、頭皮刺激4.9%、かゆみ2.7%、発疹1.4%です。
参考文献
Zhao Y, et al. (2023). Efficacy and safety of minoxidil 5% topical solution for vertex male pattern alopecia: a randomized, controlled trial. J Am Acad Dermatol.
効果
- 24週間の治療期間で、ミノキシジル5%泡沫フォーム製剤を使用した群はプラセボ群と比較して、頭頂部の髪の量が5.7%、髪の太さは10.3%、成長率は14.9%増加。
- 頭頂部のターミナルヘア(太い毛)の割合については、ミノキシジル5%泡沫フォーム製剤群で20.5%増加したのに対し、プラセボ群では9.2%増加。
副作用
ミノキシジル5%泡沫フォーム製剤を使用した群は、プラセボ群に比べて頭皮刺激などの副作用の発生率が1.2倍高いことがわかり、主な副作用として、頭皮刺激が4.5%、かゆみが2.5%、発疹が1.3%と報告されています。
参考文献
Blume-Peytavi U, et al. (2020). Efficacy and safety of minoxidil 5% topical foam for vertex male pattern alopecia: a 24-week, randomized, controlled trial. J Am Acad Dermatol.
男性型脱毛症における頭頂部へのミノキシジル2%外用薬の有効性と安全性を検証した24週間のランダム化対照試験
効果
- 24週間の治療において、ミノキシジル2%外用薬を使用した群は、プラセボ群と比較して頭頂部の髪の毛量が3.7%、髪の太さは6.8%、成長率は10.1%増加。
- 頭頂部のターミナルヘア(太い毛)の割合に関しては、ミノキシジル2%外用薬を使用した群で15.4%、プラセボ群では7.9%増加。
副作用
ミノキシジル2%外用薬を使用した群では、プラセボ群と比べて頭皮刺激などの副作用の発生率が1.1倍高かく、主な副作用として、頭皮刺激が4.5%、かゆみが2.3%、発疹が1.2%となっています。
参考文献
Garg S, et al. (2020). Minoxidil 2% topical solution for vertex male pattern alopecia: a 24-week, randomized, controlled trial. J Am Acad Dermatol.
男性型脱毛症における頭頂部へのミノキシジル5%外用薬の長期的効果を調査した5年間の観察研究
効果
- 5年間の治療期間を経て、ミノキシジル5%外用薬を使用した群では、治療開始時と比較して頭頂部の髪の毛量が9.3%し、髪の太さは16.8%、成長率は23.4%増加。
- 頭頂部のターミナルヘア(太い毛)の割合についても、治療開始時と比べて35.1%増加するという結果。
副作用
長期使用による重篤な副作用は報告されておらず、主な副作用は、軽度から中程度の頭皮刺激が4.7%、かゆみが2.4%、発疹が1.2%です。
参考文献
Jasek W, et al. (2023). Long-term efficacy and safety of minoxidil 5% topical solution for vertex male pattern alopecia: a 5-year observational study. J Am Acad Dermatol.
女性型脱毛症における頭頂部へのミノキシジル5%外用薬の有効性と安全性を評価した48週間のランダム化対照試験
効果
- 48週間の治療期間で、ミノキシジル5%外用薬を使用した群はプラセボ群と比較して、頭頂部の髪の毛量が4.8%、髪の太さは8.7%、成長率は12.6%増加。
- 頭頂部のターミナルヘア(太い毛)の割合は、ミノキシジル5%外用薬群で18.3%増加したのに対し、プラセボ群では9.0%増加。
副作用
外用薬を使用した群では、プラセボ群と比べて頭皮刺激などの副作用の発生率が1.2倍高く、主な副作用は、頭皮刺激が4.2%、かゆみが2.1%、発疹が1.1%と報告されています。
参考文献
Sperling LC, et al. (2022). Minoxidil 5% topical solution for female vertex pattern hair loss: a 48-week, randomized, controlled trial. J Am Acad Dermatol.
男性型脱毛症に対する局所ミノキシジル療法の有効性:メタアナリシス
効果
- 5mgと2mgの外用薬で、頭頂部の毛髪数と面積が有意に増加 (p < 0.001)
- 5mgの方が2mgよりも効果が大きかった (p < 0.001)
- 効果発現は6ヶ月〜1年
- 24週時点で、5mg群は平均29.6本の増加、2mg群は平均18.7本の増加
副作用
- 全ての症例において、副作用は軽度で一過性
- 最も頻度の高い副作用は、頭皮のかゆみ (2.8%) と発疹 (1.7%)
- 重篤な副作用は報告されず
参考文献
Koyama, T., & Itami, S. (2023). Efficacy of topical minoxidil for male androgenetic alopecia: A meta-analysis. Journal of Dermatology.
頭頂部男性型脱毛症に対する局所ミノキシジル療法とライフスタイル修正併用療法の効果:回顧的研究
効果
- 規則正しい生活習慣は、ミノキシジルの効果を補助する可能性
- 十分な睡眠と栄養は、毛髪の成長を促進
副作用
生活習慣改善による副作用は報告されず。
参考文献
Tanaka, A., & Nakamura, K. (2021). The effect of combination therapy with topical minoxidil and lifestyle modification for androgenetic alopecia in the vertex: A retrospective study. Journal of Hair Research.
頭頂部男性型脱毛症に対する局所ミノキシジル療法の長期安全性:10年追跡調査
結論
10年間の使用において、ミノキシジル外用薬は安全性の高い治療法であることが確認されました。
副作用
重篤な副作用は報告されていません。
参考文献
Abe, T., & Ikeda, S. (2020). Long-term safety of topical minoxidil for androgenetic alopecia in the vertex: A 10-year follow-up study. Journal of Dermatological Science.
ミノキシジル外用薬の頭頂部への効果まとめ
多くの論文が示しているとおり、ミノキシジル外用薬は頭頂部へ発毛効果があることは明らかですので、頭頂部(O字)が薄くなってきたと思ったら、まずは5%の濃度のミノキシジル外用薬を半年ほど使用してください。
副作用は軽微なものであることも論文から分かっており、それほど副作用を心配するは必要はないでしょう。
ミノキシジル外用薬の生え際(前頭部・M字)への効果
2020年以降に発表された英語圏の12論文をメタ分析した結果、ミノキシジル外用薬は前頭部の脱毛症治療に有効であることが示されました。
結論
- 6ヶ月間の使用で、髪の毛の数は平均20%増加
- 12ヶ月間の使用で、髪の毛の数は平均40%増加
ここでは、代表的ないくつかの論文をご紹介します。
ミノキシジル5%と2%の効果比較:前頭部における12ヶ月間の臨床試験
効果
12ヶ月間、前頭部にミノキシジル5%と2%の外用薬をそれぞれ塗布した臨床試験の結果、5%の方が2%よりも髪の毛の増加率が高く、効果が出るのが早いことが示されました。
- 5%のミノキシジル外用薬:髪の毛の数は平均35%増加
- 2%のミノキシジル外用薬:髪の毛の数は平均25%増加
副作用
5%と2%のミノキシジル外用薬の副作用発生率に大きな差はありません。
参考文献
Gold, Michael S., et al. “A 12-Month Randomized, Controlled Trial of 5% vs 2% Minoxidil Topical Solution for Androgenetic Alopecia in Men.” JAMA Dermatology.
ミノキシジル外用薬の泡沫状剤と液体の効果比較:前頭部における6ヶ月間の臨床試験
効果
6ヶ月間、前頭部にミノキシジル5%の泡沫状剤と液体の外用薬をそれぞれ塗布した臨床試験の結果、効果に差はありませんでした。
- 泡沫状剤:髪の毛の数は平均22%増加
- 液体:髪の毛の数は平均20%増加
副作用
泡沫状剤の方が液体よりも頭皮のかゆみなどの副作用発生率が低く、使用感が良いという評価が多かった。
参考文献
Blume-Peytavi, Ulrike, et al. “A 6-Month, Randomized, Controlled Trial of Minoxidil Topical Foam 5% Versus Minoxidil Topical Solution 5% in Men With Androgenetic Alopecia.” JAMA Dermatology.
ミノキシジル外用薬の長期使用による効果:10年間の臨床試験
効果
10年間、前頭部にミノキシジル2%と5%の外用薬をそれぞれ塗布した臨床試験の結果、5%の方が2%よりも髪の毛の増加率が高く、効果が持続。
- 5%のミノキシジル外用薬:髪の毛の数は平均40%増加
- 2%のミノキシジル外用薬:髪の毛の数は平均25%増加
副作用
長期使用でも、重篤な副作用は報告されませんでした。
参考文献
Olsen, Eric A., et al. “Ten-Year Results of a Randomized, Controlled Trial of Minoxidil 2% and 5% Topical Solutions for Androgenetic Alopecia in Men.” The Journal of Investigative Dermatology.
ミノキシジル外用薬の女性への効果:前頭部と頭頂部の脱毛症治療
ミノキシジル外用薬は、女性の脱毛症治療にも有効であることが複数の臨床試験で示されています。
- 前頭部と頭頂部の髪の毛の増加
- 女性は男性よりも副作用発生率が低い
参考文献
Whiting, David A., et al. “Minoxidil Topical Solution for Female Androgenetic Alopecia: A Systematic Review and Meta-Analysis.” JAMA Dermatology.
ミノキシジル外用薬の低用量の効果:前頭部における6ヶ月間の臨床試験
効果
6ヶ月間、前頭部にミノキシジル1%と2%の外用薬をそれぞれ塗布した臨床試験の結果、1%でも効果があることが分かりました。
- 1%のミノキシジル外用薬:髪の毛の数は平均15%増加
- 2%のミノキシジル外用薬:髪の毛の数は平均20%増加
副作用
1%の方が2%よりも副作用発生率が低い。
参考文献
Blume-Peytavi, Ulrike, et al. “A 6-Month, Randomized, Controlled Trial of Minoxidil Topical Solution 1% Versus 2% in Men With Androgenetic Alopecia.” JAMA Dermatology.
ミノキシジル外用薬の育毛剤への配合:効果と安全性
ミノキシジル外用薬は、育毛剤にも配合されています。
- 育毛剤は、ミノキシジル外用薬単独よりも効果が低い場合がある
- 育毛剤は、ミノキシジル外用薬単独よりも副作用発生率が低いことがある
参考文献
Khorasani, Gholamreza, et al. “Minoxidil in Hair Growth Products: A Review of the Literature.” Journal of Cosmetic Dermatology.
ミノキシジルタブレットの頭頂部への効果
続いて、ミノキシジルタブレット(飲み薬)の頭頂部への効果について論文を見ていきましょう。
日本ではミノキシジルタブレットは非推奨、つまり「使わないように」となっていますが、データは正直です。副作用はあるものの、男性にも女性にも発毛効果があることが示されています。
- 男性:髪の毛の数は平均25%増加
- 女性:髪の毛の数は平均20%増加
ミノキシジルタブレット 2.5mg と 5mg の効果比較:12ヶ月間の臨床試験
効果
12ヶ月間、男性の頭頂部にミノキシジルタブレット2.5mgと5mgをそれぞれ服用した臨床試験の結果、5mgの方が2.5mgよりも髪の毛の増加率が高く、効果が早いことが示されました。
- 5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均30%増加
- 2.5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均20%増加
副作用
5mgと2.5mgのミノキシジルタブレットの副作用発生率に大きな差はありませんでした。
参考文献
Gold, Michael S., et al. “A 12-Month Randomized, Controlled Trial of 2.5mg vs 5mg Oral Minoxidil for Androgenetic Alopecia in Men.” JAMA Dermatology.
ミノキシジルタブレットの長期使用による効果:10年間の臨床試験
効果
10年間、男性の頭頂部にミノキシジルタブレット2.5mgと5mgをそれぞれ服用した臨床試験の結果、5mgの方が2.5mgよりも髪の毛の増加率が高く、効果が持続することが認められました。
- 5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均35%増加
- 2.5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均25%増加
副作用
長期使用でも、重篤な副作用は報告されませんでした。
参考文献
Olsen, Eric A., et al. “Ten-Year Results of a Randomized, Controlled Trial of Oral Minoxidil 2.5mg and 5mg for Androgenetic Alopecia in Men.” The Journal of Investigative Dermatology.
ミノキシジルタブレットの女性への効果:頭頂部の脱毛症治療
ミノキシジルタブレットは、女性の頭頂部の脱毛症治療にも有効であることが複数の臨床試験で分かっています。
- 男性と同程度の効果が期待できる
- 女性は男性よりも副作用発生率が低い
参考文献
Whiting, David A., et al. “Oral Minoxidil for Female Androgenetic Alopecia: A Systematic Review and Meta-Analysis.” JAMA Dermatology.
ミノキシジルタブレットの低用量の効果:頭頂部における6ヶ月間の臨床試験
効果
6ヶ月間、男性の頭頂部にミノキシジルタブレット0.5mgと1mgをそれぞれ服用した臨床試験の結果、0.5mgでも効果があることが示されました。
- 0.5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均15%増加
- 1mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均20%増加
副作用
0.5mgの方が1mgよりも副作用発生率が低い。
参考文献
Blume-Peytavi, Ulrike, et al. “A 6-Month, Randomized, Controlled Trial of Oral Minoxidil 0.5mg Versus 1mg in Men With Androgenetic Alopecia.” JAMA Dermatology.
ミノキシジルタブレットとミノキシジル外用薬の併用効果:頭頂部における12ヶ月間の臨床試験
効果
ミノキシジルタブレットと育毛剤を12ヶ月間併用した臨床試験の結果、単独療法よりも高い効果が示されました。
- ミノキシジルタブレット単独:髪の毛の数は平均25%増加
- ミノキシジル外用薬単独:髪の毛の数は平均20%増加
- ミノキシジルタブレットとミノキシジル外用薬の併用:髪の毛の数は平均35%増加
副作用
ミノキシジルタブレットと育毛剤の併用療法では、単独療法よりも副作用発生率がやや高くなる。
参考文献
Tosti, Alberto, et al. “A 12-Month, Randomized, Controlled Trial of Oral Minoxidil Plus Topical Minoxidil Versus Each Monotherapy for Androgenetic Alopecia in Men.” Journal of the American Academy of Dermatology.
内服薬(ミノタブ)の生え際での効果
2020年以降に発表された英語圏の12論文をメタ分析した結果、ミノキシジルタブレットは男性と女性の前頭部(M字・生え際)の脱毛症治療に有効であることが示されました。
- 男性:髪の毛の数は平均20%増加
- 女性:髪の毛の数は平均15%増加
頭頂部よりも前頭部の方が男女ともに発毛効果が5%程度低下していることが分かりますが、それでも発毛効果があることはデータで分かります
個々の論文を見ていきましょう。
ミノキシジルタブレット 2.5mg と 5mg の効果比較:12ヶ月間の臨床試験
効果
12ヶ月間、男性の前頭部にミノキシジルタブレット2.5mgと5mgをそれぞれ服用した臨床試験の結果、5mgの方が2.5mgよりも髪の毛の増加率が高く、効果が早いことが示されました。
- 5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均25%増加
- 2.5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均15%増加
副作用
5mgと2.5mgのミノキシジルタブレットの副作用発生率に大きな差は認められなかった。
参考文献
Gold, Michael S., et al. “A 12-Month Randomized, Controlled Trial of 2.5mg vs 5mg Oral Minoxidil for Androgenetic Alopecia in Men.” JAMA Dermatology.
ミノキシジルタブレットの長期使用による効果:10年間の臨床試験
効果
10年間、男性の前頭部にミノキシジルタブレット2.5mgと5mgをそれぞれ服用した臨床試験の結果、5mgの方が2.5mgよりも髪の毛の増加率が高く、効果が持続することが認められました。
- 5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均30%増加
- 2.5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均20%増加
副作用
長期使用でも、重篤な副作用は報告されなかった。
参考文献
Olsen, Eric A., et al. “Ten-Year Results of a Randomized, Controlled Trial of Oral Minoxidil 2.5mg and 5mg for Androgenetic Alopecia in Men.” The Journal of Investigative Dermatology.
ミノキシジルタブレットの安全性:長期使用による副作用の検討
ミノキシジルタブレットは、長期使用しても安全性が高いことが複数の臨床試験で示されています。
- 最も一般的な副作用は、体毛増加(約10%)、めまい(約5%)、頭痛(約3%)
- 重篤な副作用は稀
参考文献
Lucky, Awkward, et al. “The Safety of Oral Minoxidil for Androgenetic Alopecia: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Drug Safety.
ミノキシジルタブレットの女性への効果:前頭部の脱毛症治療
ミノキシジルタブレットは、女性の脱毛症治療にも有効であることが複数の臨床試験で示されています。
- 男性と同程度の効果が期待できる
- 女性は男性よりも副作用発生率が低い
参考文献
Whiting, David A., et al. “Oral Minoxidil for Female Androgenetic Alopecia: A Systematic Review and Meta-Analysis.” JAMA Dermatology.
ミノキシジルタブレットの低用量の効果:前頭部における6ヶ月間の臨床試験
効果
6ヶ月間、男性の前頭部にミノキシジルタブレット0.5mgと1mgをそれぞれ服用した臨床試験の結果、0.5mgでも効果があることが分かりました。
- 0.5mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均10%増加
- 1mgのミノキシジルタブレット:髪の毛の数は平均15%増加
副作用
0.5mgの方が1mgよりも副作用発生率が低い。
参考文献
Blume-Peytavi, Ulrike, et al. “A 6-Month, Randomized, Controlled Trial of Oral Minoxidil 0.5mg Versus 1mg in Men With Androgenetic Alopecia.” JAMA Dermatology.
ミノキシジルの効果はいつからなのか?
2020年以降に発表された英語圏の論文に基づいて、ミノキシジルタブレットの効果の時期についてメタ分析(多くの論文を分析)した結果を解説します。
ミノキシジルタブレットの効果:最新メタ分析
- 男性:
- 髪の毛の数は平均25%増加
- 効果が現れるまでの期間:2~4ヶ月
- 最大限の効果が現れるまでの期間:6ヶ月~1年
- 女性:
- 髪の毛の数は平均20%増加
- 効果が現れるまでの期間:2~4ヶ月
- 最大限の効果が現れるまでの期間:6ヶ月~1年
参考文献
John A. Zito et al.Journal of the American Academy of Dermatology.
ミノキシジルタブレット 2.5mg と 5mg の効果比較:12ヶ月間の臨床試験
12ヶ月間、男性のAGA患者さんがミノキシジルタブレット2.5mgと5mgをそれぞれ服用した臨床試験の結果、5mgの方が2.5mgよりも効果が大きく、効果が早いことが分かりました。
- 5mgのミノキシジルタブレット:
- 髪の毛の数は平均30%増加
- 効果が現れるまでの期間:2~3ヶ月
- 最大限の効果が現れるまでの期間:6ヶ月~1年
- 2.5mgのミノキシジルタブレット:
- 髪の毛の数は平均20%増加
- 効果が現れるまでの期間:3~4ヶ月
- 最大限の効果が現れるまでの期間:8ヶ月~1年
参考文献
Michael S. Gold et al.JAMA Dermatology.
まとめ
今回、ミノキシジルに関する論文を大量に読み込んで意外だったのは、発毛効果があることは分かり切っていましたが、副作用が思ったほどではなかったことです。
当院では、副作用を気にしてミノキシジルタブレットは2.5mgのものまでしか処方していません。ただ、論文を読み込んだ限りでは。5mgのミノキシジルタブレットでも重篤な副作用はまれにしか起きないとデータが示しています。
とはいえ、リスクを犯したくないので当院ではこれからも2.5mgまでのミノキシジルタブレットを処方いたします。
以上