変形性膝関節症と肥満の深い関係!なぜ体重が重いと関節が変形しやすいのか

膝関節の断面図と体重計に乗る人物を並べ、体重の負担と脂肪の炎症が変形性膝関節症につながる様子を示した医療イラスト

変形性膝関節症と肥満のあいだには、体が重いというひと言だけでは片づけられない、深い関係があります。体重の多さは、膝にとって二重の重荷になるのです。

一つ目の道すじは、体重が膝の軟骨を押しつぶし、削っていく力学的な負担です。歩くたびに、膝には体重の何倍もの力が加わっています。

二つ目の道すじは、増えた脂肪そのものが出す物質による炎症です。脂肪は、ただ体を重くするだけの存在ではありません。

この二つが重なり合うことで、なぜ体重が重いと関節が変形しやすいのかが見えてきます。体の中で起きている変化から、順にたどっていきましょう。

目次

変形性膝関節症と肥満の関係は「力学」と「炎症」の二つの道すじ

変形性膝関節症と肥満の関係は、大きく二つの道すじで説明できます。体重による力学的な負担と、脂肪が引き起こす炎症です。どちらか一方ではなく、両方が同時に膝を傷めていきます。

項目力学の道すじ炎症の道すじ
おもな引き金体重による負担脂肪が出す物質
影響する関節膝など支える関節手の指も含む全身
軟骨への働き押しつぶして削る分解する酵素を増やす

二つの道すじは別々に見えて、実際には互いを強め合う関係にあります。片方を放っておくと、もう片方も進みやすくなるのです。両輪がそろって回ることで、膝の変形は静かに前へ進みます。

体重の重さが軟骨を削る力学的な負担

膝は、立つ・歩く・階段を上るといった動きのたびに、体の重みを受け止めています。体重が増えれば、その一回ごとの負担も比例して大きくなります。日々の何気ない動作が、膝には重い仕事になっているのです。

軟骨は骨の表面をおおうクッションの役割を担っていますが、強い力が繰り返しかかると少しずつすり減っていきます。体重の重さは、このすり減りを早める向きに働くのです。厚みが失われるほど、骨どうしが近づいて痛みも出やすくなります。

とくに膝は、体の中でも大きな荷重を支える関節です。上半身の重さがそのまま乗るため、体重の影響をまともに受けやすい場所だといえます。だからこそ、体重の増減がそのまま膝の運命に響いてきます。

脂肪そのものが炎症を起こす体の中の変化

肥満で問題になるのは、重さだけではありません。増えた脂肪組織は、体の中でさまざまな物質を出す働きを持っています。この点が、肥満と関節の関係を語るうえでの大きな鍵になります。

脂肪が出す物質の中には、関節に炎症を起こし、軟骨を傷める方向に働くものが含まれます。脂肪は、いわば物質を分泌する器官のようにふるまうのです。ただ蓄えるだけの倉庫という見方は、もう当てはまりません。

この働きがあるために、肥満は体重を支えない関節にまで影響を及ぼします。力学だけでは説明のつかない変化が、体の内側で進んでいるのです。膝の痛みの奥に、全身の状態が隠れているケースもあります。

二つの道すじが重なって進む変形

力学的な負担と脂肪による炎症は、どちらも軟骨を弱らせるという点で共通しています。二つが同じ関節で重なると、変形はより進みやすくなります。単独のときよりも、進み方に勢いがつくといえるでしょう。

体重が増えると膝への荷重が増し、それと歩調を合わせるように脂肪が出す物質も増えていきます。負担と炎症が足並みをそろえて強まっていく流れが生まれます。二つの坂を同時に下るような状態になりかねません。

だからこそ、肥満と変形性膝関節症の関係は根が深いのです。片方の視点だけでは、このつながりの全体像はつかみきれません。力学と炎症をあわせて見て、はじめて肥満の影響が立体的に見えてきます。

肥満で体重が増えると膝の軟骨に負担が集中する

肥満で体重が増えると、膝の軟骨には想像以上の負担が集中します。歩くだけでも、膝には体重の何倍もの力が加わるからです。わずかな体重の増加が、大きな負担の差となって現れます。

歩くだけで膝にかかる体重の数倍の力

平らな道を歩くときでさえ、膝には体重のおよそ2〜3倍の力がかかるといわれています。体重が10kg増えれば、膝が受ける負担はその何倍にもふくらみます。数字のうえの体重差より、膝が感じる差はずっと大きいのです。

階段の上り下りや、深くしゃがみ込む動作では、この力はさらに大きくなります。日常のありふれた動きの一つひとつが、膝にとっては試練になっています。とりわけ下りの一歩は、上りよりも負担が重くのしかかります。

日常動作と膝の負担の目安

動作膝にかかる負担の目安ひとこと
平地を歩く体重の約2〜3倍毎日くり返す基本の動き
階段を下りる体重の数倍上りより負担が大きい
深くしゃがむ体重の数倍以上正座やしゃがみは要注意

こうして並べると、体重が重いほど、同じ動作でも膝の負担が積み重なりやすいと分かります。負担の総量は、体重と動作の回数のかけ算で決まるといえます。同じ一日でも、体重によって膝の消耗はまるで違ってきます。

体重1kgの増減が膝の負担を大きく左右する

体重の増減は、膝の負担にそのまま等しく反映されるわけではありません。ある研究では、体重を1kg減らすと、歩行の一歩ごとに膝にかかる力がおよそ4kg分軽くなると報告されています。減った体重の数倍もの負担が、膝から取り除かれる計算です。

逆にいえば、少し体重が増えるだけで、膝の負担は何倍にもなって返ってきます。数字の見た目以上に、体重の変化は膝へ大きく響くのです。わずか数キロの油断が、思わぬ痛みの引き金になる場合もあります。

この関係を知っておくと、少しの体重の管理にも大きな意味があると感じられます。小さな増減が、膝の未来を静かに左右しているといえるでしょう。だからこそ、無理のない範囲で体重に目を向ける価値があります。

負担のかたよりが軟骨のすり減りを早める

膝にかかる力は、いつも均等に分かれているわけではありません。脚の並びのくせや歩き方によって、内側や外側の一部分に力が集まりやすくなります。同じ体重でも、力の集まる場所しだいで傷み方は変わってきます。

体重が重いと、この偏った部分にかかる負担も比例して大きくなります。集中した力を受け続けた軟骨から、先にすり減っていくのです。一点に負荷が寄るほど、その場所の消耗は早まってしまいます。

とくに日本人に多い脚の形では、膝の内側に負担が寄りやすいと分かっています。体重の重さが、その偏りをいっそう強めてしまう場合もあります。もともとの体つきと体重が重なって、膝の一部を追いつめるのです。

肥満で増える脂肪が関節に炎症を起こす仕組み

肥満と変形性膝関節症の関係は、力学的な負担だけでは語りきれません。増えた脂肪そのものが、関節に炎症を起こす物質を出しているからです。内側からの働きかけこそ、肥満のもう一つの顔だといえます。

脂肪組織から出るレプチンという物質の働き

脂肪組織は、ただエネルギーをためこむ倉庫ではありません。ホルモンに似たさまざまな物質を出す、活発な器官として知られています。近年の研究で、その多彩な働きが少しずつ明らかになってきました。

そうした物質はまとめてアディポカインと呼ばれ、その代表がレプチンです。レプチンは食欲の調節に関わる一方で、関節にも働きかけることが分かってきました。全身をめぐりながら、思わぬ場所に影響を残すのです。

脂肪から出るおもな物質

  • 食欲と関節に関わるレプチン
  • 炎症をおさえる側のアディポネクチン
  • 炎症を広げるはたらきのたんぱく質

肥満で脂肪が増えると、血液の中のレプチンの量も増えていきます。膝の関節の中でも、このレプチンが高い値を示すと報告されています。脂肪が多いほど、関節はレプチンにさらされ続けることになります。

レプチンが軟骨を壊す酵素を増やす

レプチンは、軟骨をつくる細胞に働きかけて、軟骨を分解する酵素を増やすことが確かめられています。この酵素が、軟骨の土台となる成分を少しずつ切り分けていきます。目に見えない場所で、材料が削られていくイメージです。

関節をおおう脂肪組織そのものが、レプチンを出して軟骨の破壊を進めるという研究もあります。関節の内側から、静かに変化が始まっているのです。遠くの脂肪だけでなく、膝のすぐそばの脂肪も関わっています。

つまり肥満は、外から膝を押しつぶすだけでなく、内側から軟骨を弱らせる側面も持っています。力学と炎症は、まったく別々の話ではないといえます。二つの入り口から、同じ軟骨がじわじわと攻められているのです。

全身の軽い炎症が関節を傷める

増えすぎた脂肪組織は、弱い炎症を全身に広げることも知られています。はっきりした症状は出なくても、体の中でくすぶり続けるタイプの炎症です。熱や腫れとして気づきにくいぶん、見過ごされがちだといえます。

この軽い炎症は、関節の内側をおおう滑膜にも及び、軟骨を傷める土台をつくります。炎症が続く環境では、軟骨の回復が追いつきにくくなります。壊れる速さに修復が間に合わず、差が広がっていくのです。

肥満や糖尿病などが重なる代謝の乱れた状態では、この傾向がより強まると考えられています。全身の状態と膝の関節は、思う以上に密につながっているのです。膝だけを見ても、原因の半分しか見えない場合があります。

体重を支えない関節にも及ぶ肥満と変形性膝関節症の関係

肥満の影響が力学だけなら、体重を支えない関節は無事なはずです。ところが実際には、手の指の関節にも変形が起こりやすくなります。この事実こそ、炎症という道すじが確かにあることの裏づけになります。

手の指の関節にも起こる変形という事実

肥満の人では、手の指の関節に起こる変形性関節症も多いと報告されています。手は体重を支えない場所ですから、力学的な負担だけでは説明がつきません。重さの理屈が通らない場所で、なお変形が増えているのです。

それでも肥満と関節の変形につながりがあるのは、脂肪が出す物質が全身をめぐるからだと考えられます。血流に乗った物質が、遠くの関節にも影響を届けます。膝から離れた指先にまで、脂肪の影が伸びているといえます。

この事実は、肥満と変形性膝関節症の関係を考えるうえで大切な手がかりになります。膝の問題も、全身の状態の一部として見えてくるのです。局所の使いすぎとは別の物差しが、そこには必要になります。

代謝の乱れと関節の変形

肥満は、血糖や血圧、脂質の乱れをともないやすい状態です。こうした代謝の乱れが重なると、関節にとっても不利な環境が整ってしまいます。体の土台がゆらぐと、関節もその影響を免れません。

高い血糖や脂質は、それ自体が軟骨や血管に負担をかけると考えられています。関節の栄養や修復にも、影を落とす可能性があります。傷んだ軟骨を立て直す力そのものが、弱ってしまうおそれもあります。

変形性膝関節症を、代謝の病気の一面としてとらえる見方も広がってきました。膝だけを見るのではなく、体全体を見渡す視点が役立ちます。生活習慣を整える取り組みが、めぐりめぐって膝を守る手にもなるのです。

力学だけでは説明できない肥満の影響

体重を減らすと膝の負担が軽くなるのは確かですが、話はそれだけにとどまりません。脂肪が減ることで、炎症を起こす物質も同時に減っていきます。重さと炎症が、二人三脚でほどけていくようなものです。

力学と炎症の両方に働きかけられる点が、体重を整える意味の深さにつながります。一つの手立てが、二つの道すじに同時に効くといえるでしょう。これほど一石二鳥のはたらきをする対策は、そう多くありません。

肥満と関節のつながりを、重さの問題としてだけ見るのはもったいないです。体の内側で起きている変化まで含めて、初めて全体像がつかめます。両面をあわせて見ると、対策の方向もはっきりしてきます。

肥満によって変形性膝関節症が進みやすくなる体の変化

肥満は、変形性膝関節症の始まりだけでなく、その進み方にも関わります。負担と炎症が続く関節では、変化が一段と早く進みやすくなるのです。始まったあとの速さまで、体重が左右してしまいます。

軟骨だけでなく骨や滑膜にも広がる変化

変形性膝関節症は、軟骨がすり減るだけの病気ではありません。進むにつれて、その下の骨や、関節をおおう滑膜にも変化が広がっていきます。関節という一つのまとまり全体が、少しずつ姿を変えていくのです。

肥満による負担と炎症は、こうした広がりを後押しします。骨のふちにとげのような出っぱりができたり、関節に水がたまったりするときもあります。目立つ変化の裏で、静かな炎症が土台を崩し続けています。

関節全体が少しずつ形を変えていくと、動きの制限や強い痛みにつながります。早い段階で負担を軽くしておくことが、進行をゆるやかにする助けになるでしょう。手を打つのが早いほど、守れる範囲も広がります。

筋力の低下が膝の不安定さを招く

体重が重いと動くのがおっくうになり、運動の量が減りがちです。すると膝を支える太ももの筋肉が落ち、関節がぐらついて不安定になっていきます。支えを失った膝は、いっそう傷つきやすい状態になります。

筋肉というクッションが弱ると、軟骨や骨に直接かかる負担が増えてしまいます。体重の重さと筋力の低下が、二重に膝を追いつめるのです。外の重さと内の弱さが、はさみ打ちのように働きます。

太ももの筋肉を保つことは、体重が多めの人ほど大切になります。筋力は、膝を守る内側からの支えになってくれるといえます。重さを完全には減らせなくても、支えを厚くする道は残されています。

痛みで動けなくなり体重が増える悪循環

膝が痛むと歩く量が減り、消費するエネルギーも少なくなります。その結果、体重が増えてさらに膝の負担が重くなる流れが生まれます。痛みが体重を呼び、体重が痛みを呼ぶ形になりかねません。

体重が増えれば痛みも強まりやすく、ますます動きにくくなっていきます。肥満と変形性膝関節症は、こうした悪循環をつくりやすい関係にあります。放っておくと、輪はひとりでに回り続けてしまうのです。

膝と体重の悪循環

  • 膝が痛くて動きたくなくなる
  • 運動が減って体重が増える
  • 体重が増えて膝の負担が増す
  • 負担が増して痛みが強まる

この輪をどこかで断ち切ることが、膝を守る出発点になります。痛みの少ない運動や、わずかな体重の見直しが、流れを逆向きに変えるきっかけになるでしょう。小さな一歩でも、回り出せば逆の追い風になります。

数字で見る肥満と変形性膝関節症のリスクの関係

肥満と変形性膝関節症の関係は、数字のうえでもはっきり表れています。体重が増えるほど、発症のリスクは急な坂を上るように高まっていきます。感覚だけでなく、集計された結果がそれを示しています。

BMIが上がるほど高まる発症のリスク

体格の目安であるBMIが上がるにつれて、変形性膝関節症のリスクは高まります。ある大規模な分析では、その上がり方は直線ではなく、急な曲線を描くと報告されています。太るほど、リスクの伸び方そのものが加速するのです。

標準的な体格に比べ、太り気味の段階で一段、肥満の段階でさらに大きくリスクが増します。ある一定の重さを超えると、危険度が跳ね上がる印象になるでしょう。数字を追うと、体重の重みがそのまま実感として迫ってきます。

BMIと発症リスクの目安

BMIの目安おおよその相対危険度見方
25前後約1.6倍標準より高くなる
30前後約3.5倍はっきり高まる
それ以上約7倍急に高まる

これらの数字は、体重が膝に与える影響の大きさを物語っています。体格が変われば、膝が背負うリスクも大きく変わるといえるでしょう。あくまで目安ですが、方向性をつかむ手がかりにはなります。

女性でとくに目立つ体重と膝の関係

体重と変形性膝関節症の結びつきは、とりわけ女性で強く表れると報告されています。同じ体格でも、女性のほうがリスクの高まりが目立つ傾向があります。男女で、同じ体重の意味あいが少し違ってくるのです。

背景には、筋肉の量やホルモンの働きなど、いくつかの要因が考えられています。閉経の前後で体の状態が変わることも、関わっているとみられます。年代によって、膝の受けやすさが移り変わっていくのでしょう。

女性で体重が増えてきたときは、膝への影響を早めに意識しておくと役立ちます。数字の傾向を知っておくことが、備えの手がかりになるでしょう。自分の傾向を知れば、先回りして手を打つ余地も生まれます。

リスクは連続的に変わるという見方

肥満かどうかは、ある一線を境にきっぱり分かれるものではありません。BMIが5上がるごとに、リスクはおよそ3割以上ずつ積み上がると報告されています。少しの変化も、確実に膝の危険度へ足されていくのです。

この見方に立てば、少しの体重の変化にも意味があると分かります。太っている人だけの問題ではなく、誰にとっても地続きの話なのです。今の体重がどこにあっても、次の一歩が膝の未来を左右します。

自分の体重が今どのあたりにあるのかを知っておくと、膝との付き合い方が見えてきます。数字を敵にせず、目安として味方につけたいところです。責めるためではなく、守るための道しるべとして使えばよいのです。

肥満と変形性膝関節症の関係をふまえて膝を守るには

肥満と変形性膝関節症の関係が力学と炎症の二本立てなら、体重を整える取り組みは両方に効く手立てになります。無理のない範囲で体重に向き合うことが、膝を守る土台になるのです。機序を知る値打ちは、まさにこの実感にあります。

取り組み力学の道すじへの効き方炎症の道すじへの効き方
体重を整える膝の負担が軽くなる脂肪が出す物質が減る
太ももを鍛える支えが増して安定する直接の影響は小さい
膝にやさしい運動負担を抑えて動ける体を動かして整う

取り組みによって効く道すじは異なりますが、組み合わせると膝を多面的に支えられます。一つに絞らず、いくつかを重ねる発想が役立つでしょう。互いの弱いところを、別の取り組みが補ってくれます。

体重を整えると力学と炎症の両方が軽くなる

体重が減ると、膝にかかる力学的な負担がまず軽くなります。それと同時に、脂肪から出る炎症の物質も少なくなっていきます。外側の重さと内側の炎症が、そろって引いていくのです。

実際の研究でも、体重を減らすと膝の負担と炎症の両方が改善し、痛みや動きやすさが良くなったと報告されています。一つの取り組みが、二つの道すじに同時に届くのです。だからこそ、減量は膝にとって重みのある一手になります。

力学と炎症をまとめて和らげられる方法は、そう多くありません。体重への働きかけは、その数少ない選択肢の一つだといえるでしょう。二つの道すじに橋をかけるような役割を、果たしてくれます。

急がず無理のない範囲で体重を減らす

体重を減らすといっても、急な絶食や極端な方法は体を痛めやすいものです。膝を守るはずの取り組みで、別の不調を招いては本末転倒になります。焦りは、しばしば遠回りのもとになります。

食事の内容を少し見直し、膝に負担の少ない運動を組み合わせていくやり方が続けやすいでしょう。水の中での歩行や、いすに座って行う運動などが向いています。膝をかばいながらでも、動く道はいくつもあります。

わずかな減量でも、膝の負担と炎症を和らげる助けになります。焦らず長く続けることが、結果として大きな差につながっていきます。ゆっくりでも進み続けるほうが、膝には優しい歩みだといえます。

気になるときは整形外科に相談する目安

膝の痛みや違和感が続くときは、自己判断で我慢せず整形外科に相談すると安心です。今の膝の状態を知ることが、対策を選ぶ出発点になります。分からないまま抱え込む時間こそ、いちばんの負担かもしれません。

体重と膝の関係は人によって異なり、原因の重なり方もさまざまです。専門家と一緒に、自分に合った膝の守り方を考えていけます。同じ肥満でも、力学と炎症のどちらが強いかは人それぞれなのです。

肥満と変形性膝関節症のつながりを理解しておけば、日々の選択の意味が変わってきます。体重への向き合い方が、これからの膝を静かに支えてくれるでしょう。知っていることそのものが、膝を守る力になります。

よくある質問

変形性膝関節症と肥満には、どのくらい強い関係があるのですか?

体重が増えるほど、変形性膝関節症のリスクは急に高まると分かっています。太り気味の段階でも標準より上がり、肥満になるとその差はさらに大きくなります。

背景には、体重による膝への負担と、脂肪が出す炎症の物質という二つの働きがあります。単なる体重の問題にとどまらない、根の深いつながりだといえます。

肥満だと、なぜ体重を支えない手の関節まで変形しやすくなるのですか?

増えた脂肪組織が、炎症を起こす物質を出して全身をめぐらせるためだと考えられています。血流に乗った物質が、体重を支えない関節にも影響を届けます。

この点は、肥満の影響が力学的な負担だけではないことを示しています。膝の変形も、全身の状態の一部として見えてくるのです。

少しだけ体重を減らしても、変形性膝関節症の膝に意味はありますか?

わずかな減量でも、膝にとっては大きな助けになります。ある研究では、体重を1kg減らすと歩行の一歩ごとの膝の負担がおよそ4kg分軽くなると報告されています。

さらに脂肪が減ることで、炎症を起こす物質も少なくなっていきます。力学と炎症の両方に効く点が、減量の心強いところだといえるでしょう。

すでに変形性膝関節症がある場合でも、肥満を改善する意味はありますか?

すり減った軟骨が元に戻ることは難しいものの、体重を整える意味は十分にあります。膝の負担と炎症をおさえると、痛みや進行をやわらげる助けになります。

無理のない範囲で体重に向き合うことが、今ある膝を長く保つ支えになります。まずは続けやすい方法から始めるとよいでしょう。

変形性膝関節症の予防として、肥満はどのくらい気にかけるべきですか?

体重は自分で働きかけられる数少ない要因ですから、早めに気にかける価値があります。BMIが上がるほど発症のリスクが積み上がると分かっています。

痩せている必要はなく、無理のない範囲で体重を保つことが膝を守ります。気になる変化があれば、整形外科で相談すると安心につながります。

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この記事を書いた人

臼井 大記のアバター 臼井 大記 大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

日本整形外科学会認定専門医

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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