膝の内側が腫れて痛い時に考えられる疾患!変形性膝関節症や鵞足炎(がそくえん)の可能性

膝の内側が腫れて痛い時に考えられる疾患!変形性膝関節症や鵞足炎(がそくえん)の可能性

膝の内側が腫れて痛む症状は、変形性膝関節症だけでなく鵞足炎(がそくえん)や半月板損傷など複数の疾患が原因で起こります。40代以降に多い変形性膝関節症では、軟骨のすり減りによって膝の内側に荷重が集中し、腫れや痛みが慢性的に続くことがあります。

鵞足炎は膝の内側やや下方の腱と滑液包に炎症が起きる疾患で、変形性膝関節症と併発しやすい点が特徴です。どちらも放置すると歩行や日常動作に支障が出るため、早めの受診と対処が大切になります。

この記事では、膝の内側が腫れて痛いときに疑われる代表的な疾患の見分け方やセルフケア、治療法について解説します。痛みの原因を正しく把握し、適切なケアにつなげましょう。

目次

膝の内側が腫れて痛い原因は一つではなく複数の疾患が関わっている

膝の内側に腫れと痛みを感じたとき、原因は変形性膝関節症に限りません。鵞足炎や半月板損傷、滑膜炎など複数の疾患が単独または重なり合って症状を引き起こします。

痛みの場所が少しずれるだけで疑われる疾患は変わるため、自己判断で原因を決めつけず、症状の出方を整理して医療機関で確認を受けることが回復への近道です。

変形性膝関節症が膝の内側に腫れと痛みを起こしやすい理由

日本人の膝関節は構造的に内側に荷重がかかりやすく、加齢とともに軟骨がすり減ると内側の関節面に負担が集中します。すり減った軟骨片が関節内で炎症を引き起こすと、関節液が過剰に分泌されて膝が腫れ上がるのです。

初期には「歩き始めだけ痛い」「階段を下りるときだけつらい」といった動作時の痛みにとどまりますが、進行すると安静にしていても鈍痛が続くようになります。50歳以上の方で内側に偏った膝の痛みがある場合、まず変形性膝関節症を疑う必要があるでしょう。

鵞足炎(がそくえん)は膝のやや下の内側が痛む

鵞足とは、太ももの内側から伸びる3本の腱(縫工筋・薄筋・半腱様筋)が脛骨の内側に付着する部分を指します。この付着部の滑液包に繰り返しの摩擦や圧迫が加わると炎症を起こし、膝のお皿よりも2~3cm下の内側に局所的な痛みが出ます。

変形性膝関節症の方では膝のアライメント(骨の並び)が崩れやすく、鵞足部に余計な負担がかかるため併発率が高い点に注意が必要です。ある研究では、変形性膝関節症の患者さんの約20%に鵞足炎が認められたと報告されています。

半月板損傷や内側側副靱帯の炎症による腫れと痛み

半月板は膝関節のクッション役を果たすC字型の軟骨組織で、内側の半月板は外側より損傷しやすい傾向があります。損傷が起きると膝の内側に痛みとともに引っかかり感やロッキング(膝が急に動かなくなる現象)が生じるときがあります。

内側側副靱帯(MCL)は膝の内側を安定させる靱帯ですが、外側からの衝撃やひねり動作で損傷すると腫れと鋭い痛みが出ます。これらの外傷性の疾患は、変形性膝関節症とは痛みの発症パターンが異なり、きっかけとなる動作やケガの有無が診断の手がかりになります。

滑膜炎による関節内の腫れと痛みの広がり

滑膜は関節の内側を覆う薄い膜で、関節液を分泌して軟骨に栄養を届ける働きを担っています。変形性膝関節症が進行すると滑膜に炎症が波及し、関節液が過剰にたまって膝全体がぶよぶよと腫れる状態になることがあります。

滑膜炎を伴う膝の腫れは朝のこわばりが長引きやすく、じっとしていても重だるい痛みが続く点が特徴です。炎症が長期化すると軟骨破壊を促進させるため、腫れが引かない場合は早めに整形外科を受診しましょう。

疾患名痛みの場所主な症状の特徴
変形性膝関節症膝の内側の関節裂隙歩行開始時の痛み、こわばり
鵞足炎膝の内側やや下方階段昇降時の痛み、押すと痛い
半月板損傷膝の内側の関節の奥引っかかり感、ロッキング
滑膜炎膝全体にぶよぶよした腫れ安静時の重だるさ、朝のこわばり

変形性膝関節症で膝の内側が腫れるとき、関節の中では何が起きているのか

軟骨のすり減りだけが痛みの原因ではなく、骨棘(こつきょく)の形成や関節液の貯留、滑膜の炎症など複数の変化が同時に進行しています。こうした関節内の変化を知ることは、治療法の選択や日常のケアにも直結します。

軟骨がすり減ると膝の内側にかかる負担はどう変わるか

健康な膝関節では、厚さ3~5mm程度の関節軟骨がクッションとなり衝撃を吸収しています。加齢や繰り返しの負荷で軟骨が薄くなると、骨同士の距離が近づいて関節の隙間(関節裂隙)が狭くなり、とくに内側への荷重が増加します。

軟骨には血管や神経が通っていないため、すり減り自体は直接的な痛みを生みません。しかし軟骨の破片が関節液中に散らばると、滑膜がそれを異物として認識し炎症反応を起こします。この炎症こそが痛みと腫れの大きな原因です。

骨棘と関節液貯留が腫れを悪化させるしくみ

変形性膝関節症が進むと、関節の縁に骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起が形成されます。骨棘は関節面を広げて荷重を分散しようとする体の防御反応ですが、周囲の組織を刺激して痛みの原因にもなりえます。

関節液は通常2~3mLほど存在しますが、炎症が強まると30mL以上に増えることもあり、膝がパンパンに腫れた状態になります。貯留した関節液が膝蓋骨(お皿の骨)を浮き上がらせると、「膝のお皿がぷかぷかする」と感じる方もいるでしょう。

O脚変形と内側への荷重集中が痛みを加速させる

膝の内側の軟骨がすり減ると脚全体がO脚(内反変形)になりやすく、O脚になるとさらに内側への荷重が増えるという悪循環が生まれます。歩行中の膝にかかる力は体重の2~3倍ともいわれており、体重1kgの増減が膝への負担を大きく左右します。

O脚が進行すると靱帯や腱にもストレスが波及し、鵞足炎やベーカー嚢腫(膝裏の腫れ)を併発するケースが少なくありません。膝の変形が目に見えて進む前に、体重管理と筋力維持を始めることが進行抑制の鍵になります。

  • 立ち上がりや歩き始めに痛みが出る(初期)
  • 膝の曲げ伸ばしでゴリゴリと音がする(中期)
  • 安静にしていても鈍痛が続く(進行期)
  • 膝が完全に伸びない・正座ができない(末期)

鵞足炎(がそくえん)と変形性膝関節症はなぜ併発しやすいのか

変形性膝関節症に伴うアライメント異常が鵞足部への過剰な負荷を招くため、両者は単なる「似た痛み」ではなく、因果関係をもって併発するケースが多い疾患です。

鵞足炎だけを治療しても膝関節の根本的な変形を放置すれば再発を繰り返すため、両方の疾患を見据えた対応が求められます。

鵞足部に負担がかかる姿勢と動作のパターン

鵞足を構成する3本の腱は、膝の曲げ伸ばしだけでなく脚を内側にひねる動作にも関わっています。階段の上り下りや坂道歩行ではこれらの腱が繰り返し擦れ合い、炎症が起きやすくなります。

とくに変形性膝関節症でO脚傾向がある方は、歩行時に膝が内側にぶれるため鵞足部への摩擦が増加します。ランニングやウォーキングの距離を急に増やしたときにも発症しやすいため、運動量の急激な変化には注意しましょう。

鵞足炎の典型的な症状と変形性膝関節症との見分け方

鵞足炎の痛みは、膝の関節の隙間(関節裂隙)よりも2~3cm下の脛骨内側に集中する点が変形性膝関節症との大きな違いです。指で押すと「ピンポイントで痛い」と感じる場合は鵞足炎の可能性が高いといえます。

変形性膝関節症の痛みは動き始めに強く安静にすると和らぎやすい一方で、鵞足炎は階段を上るときや正座から立ち上がるときに鋭い痛みが走ることが特徴です。

ただし両方が同時に存在すると痛みの場所が曖昧になりがちですので、医師による触診や画像検査で正確に区別してもらうことが大切になります。

女性や肥満傾向のある方は鵞足炎のリスクが高い

鵞足炎は女性に多い疾患として知られており、閉経後のホルモン変化による腱の柔軟性低下や骨密度の変化が関与していると考えられています。また、体重が多い方は膝の内側にかかる荷重そのものが大きく、鵞足部への慢性的なストレスが蓄積しやすい傾向があります。

ある症例対照研究では、外反膝(X脚)の変形が鵞足炎のリスクを約5倍に高めるという報告もあります。膝の変形と体重管理に同時に取り組むことが、鵞足炎の予防と再発防止に直結するといえるでしょう。

リスク要因影響の内容
外反膝(X脚)変形鵞足部への摩擦・牽引力が増大
肥満(BMI 25以上)膝の内側への荷重が慢性的に上昇
変形性膝関節症の併発アライメント異常が鵞足に波及

膝の内側が腫れて痛いときに考えられるその他の疾患

「膝の内側が痛い=変形性膝関節症」と思い込みがちですが、関節リウマチや痛風、感染性関節炎といった全身性の病気が膝に現れている場合もあります。とくに急激な発症や発熱を伴う腫れでは、早急な鑑別診断が必要です。

関節リウマチによる膝の内側の腫れと痛み

関節リウマチは免疫の異常で滑膜に炎症が起きる自己免疫疾患です。膝だけでなく手指や足趾など複数の関節に左右対称の腫れと痛みが出るケースが多く、朝のこわばりが30分以上続くのが特徴です。

変形性膝関節症との大きな違いは、血液検査でリウマトイド因子(RF)やCRP(炎症マーカー)が陽性になる点です。膝の腫れに加えて手のこわばりや全身のだるさを感じたら、リウマチの専門医にも相談してみてください。

痛風や偽痛風が膝に発作を起こすケース

痛風は尿酸結晶が関節に沈着して起こる炎症で、足の親指に起きるイメージが強いものの、膝関節に発作が出る場合もあります。偽痛風(ピロリン酸カルシウム結晶沈着症)は膝に起こる頻度が高く、突然の激痛と腫れが発生します。

いずれの場合も発作時は関節が赤く熱を持ち、触ると強烈な痛みがあります。「昨日まで何ともなかったのに突然膝がパンパンに腫れた」という経過であれば、結晶性の関節炎が疑われるため、速やかに受診しましょう。

感染性関節炎は見逃すと危険な急性疾患

細菌が関節内に侵入して起きる感染性関節炎は、膝に高度な腫れ・発赤・熱感・激痛をもたらします。38度以上の発熱を伴う方が多く、放置すると数日で軟骨が破壊されるため、緊急の治療が求められる疾患です。

皮膚の傷や手術後、糖尿病や免疫力が低下している方はリスクが高まります。膝の腫れに発熱が重なった場合は自宅での様子見をせず、当日中に医療機関を受診してください。

疾患名発症のしかた注意すべき随伴症状
関節リウマチ徐々に複数の関節に広がる手指のこわばり、全身倦怠感
痛風・偽痛風突然の激痛と腫れ関節の発赤と熱感
感染性関節炎急速に悪化する腫れと痛み発熱(38度以上)

膝の内側の腫れと痛みに対する検査と受診のタイミング

2週間以上続く膝の内側の痛みや、目に見えて膝が腫れている状態は、自然に治ることを待つよりも整形外科での検査を受けたほうが安心です。早期に原因を特定できれば、治療の選択肢も広がります。

まずはレントゲンで骨と関節の隙間を確認する

レントゲン(X線)検査は、関節裂隙の狭小化や骨棘の有無、骨の変形を確認するための基本的な検査です。立った状態で撮影すると、荷重がかかった際の関節の狭まり具合がより正確にわかります。

ただしレントゲンでは軟骨や半月板、靱帯などの軟部組織は映りません。画像で異常が見当たらないのに痛みが強い場合は、別の検査が追加されることがあります。

MRI検査で半月板損傷や滑膜炎を詳しく診る

MRI(磁気共鳴画像)検査は、軟骨・半月板・靱帯・滑膜といった軟部組織を詳細に描出できる検査です。半月板損傷の診断精度は内側で約90%とされており、レントゲンだけではわからない膝内部の状態を把握するうえで有用な手段といえます。

鵞足炎の診断には超音波(エコー)検査も活用されます。エコー検査は短時間で行えて被曝もなく、滑液包の腫れをリアルタイムで確認できるため、初回の受診時にも実施されやすい検査です。

関節穿刺で関節液の性状を調べる場合

膝に大量の関節液がたまっている場合、注射器で関節液を抜く「関節穿刺」を行い、液の色や透明度、細菌の有無、結晶成分を分析することがあります。この検査は痛風・偽痛風・感染性関節炎といった緊急性の高い疾患の鑑別に有効です。

穿刺によって関節内の圧力が下がるため、抜くだけでも痛みが軽減することが少なくありません。医師が必要と判断した場合に行われる検査ですので、過度に怖がる必要はないでしょう。

受診の目安となるセルフチェック

  • 膝の内側の痛みが2週間以上続いている
  • 膝が目に見えて腫れていて触ると熱い
  • 痛みで階段の上り下りや正座が困難
  • 夜間やじっとしているときにも痛む
  • 膝に引っかかり感やガクッと崩れる感覚がある

変形性膝関節症と鵞足炎の痛みを和らげる治療とセルフケア

運動療法と体重管理が痛み軽減の柱であり、薬物療法や注射療法はそれらを補う位置づけです。手術を行わなくても日常生活に支障のないレベルまで改善できるケースは多いため、まずは保存的な治療から取り組むことが推奨されます。

太ももの筋力を鍛えて膝への負荷を減らす運動療法

大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)を強化すると、膝関節を安定させて軟骨への直接的な負荷を減らせます。椅子に座ったまま膝をゆっくり伸ばして5秒保持する「膝伸ばし体操」は、痛みが強い方でも取り組みやすい運動です。

股関節周囲の筋力トレーニングも膝の安定性を高めるうえで有効であることが複数の研究で報告されています。1日10~15分程度のトレーニングを毎日続けることが、週に1回長時間運動するよりも効果的でしょう。

体重管理が膝の内側の腫れと痛みに与える影響

体重が1kg減ると、歩行時に膝にかかる負荷は約3kg軽くなるともいわれています。食事の見直しと適度な運動を組み合わせ、無理のない範囲で減量に取り組むことは、膝への直接的な負担軽減になります。

急激なダイエットは筋肉量を落としてかえって膝の不安定性を高めてしまうため、月に0.5~1kg程度のペースを目安にしてください。

薬物療法と注射療法で炎症と痛みを抑える

消炎鎮痛剤の外用薬(湿布やゲル)は、胃腸への負担が少なく手軽に使える点で初期の痛み対策に適しています。痛みが強い場合は内服の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が処方されますが、長期連用は胃粘膜への影響があるため主治医の指示に従いましょう。

膝関節へのヒアルロン酸注射は、関節液の粘度を補い軟骨表面の摩擦を軽減する目的で行われます。鵞足炎に対しては、局所へのステロイド注射が強い痛みを素早く和らげる選択肢となることがあります。

治療法対象期待される効果
運動療法軽度~中等度の膝痛筋力強化による関節安定化
外用消炎鎮痛剤膝の痛み全般局所の炎症と痛みの軽減
ヒアルロン酸注射変形性膝関節症関節内の潤滑改善
ステロイド注射鵞足炎・急性炎症短期間での強い消炎効果

膝の内側の腫れと痛みを悪化させないための日常の工夫

膝に優しい生活習慣を意識するだけで、痛みの悪化を防ぎ治療効果を高められます。特別な器具や費用をかけなくても今日から始められる工夫を取り入れてみてください。

膝を冷やすか温めるかは症状の段階で使い分ける

腫れが強く熱を持っているときは氷のうやアイスパックで15~20分冷やし、炎症を鎮めるのが基本です。一方で、慢性的なこわばりや動き始めの痛みには入浴やホットパックで温めると筋肉がほぐれて楽になるケースが多くなります。

冷やすべきか温めるべきか判断に迷ったら、「触って熱い=冷やす」「触って冷たい・こわばる=温める」と覚えておくとよいでしょう。

正座やしゃがみ込みを減らして膝への負荷を抑える

正座やしゃがんだ姿勢は膝の内側に大きな圧力をかけるため、変形性膝関節症や鵞足炎を悪化させやすい動作です。椅子の生活を取り入れたり、和式トイレから洋式トイレに切り替えたりするだけでも、膝への累積的な負担は大幅に減ります。

床の物を拾うときは片膝をつくか、股関節から屈むようにすると膝を深く曲げずに済みます。日常の小さな動作の工夫が、長い目で見たときに膝の状態を大きく左右するのです。

サポーターや杖の活用で歩行中の安定性を高める

膝用サポーターは関節を外側から支えて安定感を高め、歩行時の不安を軽減します。締め付けが強すぎると血流を妨げるため、指1本が入る程度のゆとりを持たせて装着してください。

痛みが強い時期は杖の使用もためらわないでください。痛い膝と反対側の手に杖を持つと、膝への荷重を約20~30%分散できるとされています。杖を使うことは弱さの表れではなく、膝を守るための賢い選択です。

ウォーキングや水中運動は膝に優しい有酸素運動

適度な有酸素運動は体重管理に加えて、関節周囲の血流を促し軟骨への栄養供給を助ける効果が期待できます。水中ウォーキングは浮力によって膝への荷重が陸上の約3分の1に減るため、痛みがあっても取り組みやすい運動です。

ウォーキングの場合は平坦な道を選び、1回20~30分程度から始めましょう。痛みが増すようであれば無理に歩き続けず、翌日に痛みが残らない程度の距離にとどめるのが長く続けるコツです。

運動の種類膝への負荷推奨頻度
水中ウォーキング小さい週2~3回・30分程度
平地のウォーキング中程度毎日20~30分
自転車こぎ小さい週3~4回・20分程度

よくある質問

変形性膝関節症で膝の内側が腫れて痛いとき、自宅でできる応急処置はありますか?

膝の内側が腫れて熱を持っている場合は、氷のうやアイスパックをタオルに包んで15~20分ほど患部に当てると炎症を和らげやすくなります。冷やした後は膝を心臓より高い位置に上げて安静にすると、腫れが引きやすいでしょう。

市販の消炎鎮痛成分を含む湿布やゲルを塗布するのも一時的な痛みの緩和に役立ちます。ただし腫れが何日も引かない場合や痛みが強まる場合は、自己判断で様子を見続けず整形外科を受診してください。

鵞足炎(がそくえん)の痛みは安静にしていれば自然に治りますか?

軽度の鵞足炎であれば、原因となった動作(ランニングや階段昇降など)を一時的に控え、アイシングと安静を続けることで数週間のうちに改善する方もいます。痛みが引かないまま無理に動き続けると慢性化しやすいため、初期の段階でしっかり休ませることが大切です。

一方で、変形性膝関節症を併発している場合は膝のアライメント異常が鵞足部に負荷をかけ続けるため、安静だけでは根本的な解決にならないことがあります。痛みが2~3週間以上続くようであれば、医療機関でリハビリや注射療法を含めた治療を検討してもらうのがよいでしょう。

膝の内側の腫れが変形性膝関節症によるものか鵞足炎によるものか、自分で見分ける方法はありますか?

完全な自己診断は難しいものの、痛む場所である程度の目安をつけることはできます。膝のお皿の内側あたり(関節の隙間のライン上)が痛む場合は変形性膝関節症の可能性が高く、そこから2~3cm下の脛骨の内側を指で押して強い痛みがあれば鵞足炎が疑われます。

ただし両方の疾患が同時に起きている方も珍しくないため、自己判断に頼りすぎないことが大切です。痛みの位置や腫れ方がはっきりしない場合は、整形外科で触診やエコー検査を受けて正確な診断を得るようにしてください。

変形性膝関節症で膝の内側が痛いとき、ウォーキングは続けてもよいですか?

痛みが軽度で、歩行後に腫れや痛みが悪化しない範囲であればウォーキングを続けても問題ないとされています。運動療法は変形性膝関節症の痛みを軽減し身体機能を向上させる効果が多くの研究で確認されているため、過度に安静にする必要はありません。

ただし歩いた翌日に腫れが増したり痛みが残ったりする場合は、距離やペースを減らしてください。平坦な道を選ぶこと、クッション性の高い靴を履くこと、痛いときは無理せず休むことを守れば、ウォーキングは膝に負担をかけすぎない良い運動になるでしょう。

膝の内側の腫れと痛みがあるとき、整形外科を受診する目安はどの程度の期間ですか?

膝の内側の痛みが2週間以上続いている場合や、腫れが引かずにむしろ大きくなっている場合は、早めに整形外科を受診することをおすすめします。安静やセルフケアで改善しない痛みは、関節内部で何らかの異常が進行している可能性があるためです。

膝の腫れに加えて発熱がある場合、急に膝が動かなくなった場合、または夜間に眠れないほどの痛みが生じた場合は、2週間を待たずにできるだけ早く医療機関を受診してください。早期の診断と対処が、症状の長期化や悪化を防ぐうえで大切になります。

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この記事を書いた人

臼井 大記のアバター 臼井 大記 大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

日本整形外科学会認定専門医

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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