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【失敗しない!】皮膚科専門医が教えるクリニックの選び方

皆さんこんにちは。皮膚科医の小林智子です。今回は「クリニック選び」をテーマにお話ししたいな。と思います。

今回、どうして私がこのテーマでお話ししようと思ったかと言うと、私がYouTubeを始めて大体3年ぐらい経つんですけれども、これまで様々な投稿をしてきてそれに対してたくさんのコメントをいただいているんですけれども、その中でも多いなと感じるコメントというのが「ご自身の失敗談」に関するコメントだったんです。

例えば、ニキビ治療などでこれまで受診したクリニックではなかなか良くならなかったというようなものだったり、他にシミの治療についてクリニックでは十分な説明を受けなかった、というようなコメントを非常に多くいただいています。

やはり誰もがクリニックを受診する際は失敗したくない、と思われると思うんですけれども、ではどういったポイントを見ればクリニック選びで失敗しないのかということについて、今回は私の自論も踏まえてご紹介していきたいなという風に思います。では早速行ってみましょう。

この記事は、こばとも皮膚科院長、皮膚科医の小林智子が運営するYoutubeチャンネル「こばとも先生のスキンアカデミー」内の動画内容を書き起こしたものです。Youtubeでは薬の塗り方・副作用、スキンケア方法、美容施術の種類や効果についてなど、お肌のお悩みを持つ方の少しでも助けになれればと思い動画を公開しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

【クリニックの選び方:シミ治療】

今回クリニック選びのポイントについて疾患別にご紹介したいなという風に思うんですけれども、まず最初に取り上げたいのが「シミ治療」です。

シミ治療というのは美容施術の中でも最も多い治療の1つかなと思うんですけれども、シミ治療で受診してご自身のシミが良くなればもちろんハッピーなんですけれども、中にはかえってシミが悪化してしまったというような声を聞くことがよくあります。

で個人的にどういったクリニックは避けたらいいかというと、「診察をしないで回数券の購入を勧めるようなクリニック」は避けた方がいいかなと個人的に思います。

これはよくクーポンサイトに載っているようなクリニックにあるんですけれども、 クリニックの中には最初に回数券を購入していただいて売上を立てていくというようなクリニックもあります。

回数券があること自体は悪いとは思わないんですけれども、その前の診察が疎かなところはどうかなと思います。

なぜなら「シミ」と一言で言っても、例えば「老人性色素斑」だったりあとは「肝斑」だったり、様々なタイプのシミがあって、タイプによって治療方法は全く変わってきます。

私もこれまで多くの患者さんを診ているんですけれども、多くの方が1つのシミだけではなく様々なタイプのシミが混在しているケースも多く、シミ治療というのは実はオーダーメイドが非常に重要になってきます。

中には回数券のスタイルがはまる方もいらっしゃるんですけれども、はまらないというような方も多くいらっしゃいます。

この判断を、最初の診察の時に行うのが非常に重要です。

ろくな診察もせずに回数券を買わせようとするようなところだと、もし治療を受けても改善しないような場合に途中で解約もできないですし、クリニックによっては有効期限が短めに設定されているようなところもあります。これは患者さんにとってお金や時間の無駄につながってしまいます。

ではどういったクリニックがお勧めできるかと言うと、まず回数券があるクリニックに関しては最初に医師による適切な診断が行われ、場合によってはその回数券の購入がキャンセルできるというようなところが大前提として重要かなと思います。

その上でですね、皮膚科の専門医がいるクリニックがおすすめです。

これはなぜかと言うと、一見シミに見えるものの中には例えば「ADM」と呼ばれるようなアザだったり、あとは「日光角化症」と呼ばれるような前癌病変だったりすることがあるからです。

もちろん皮膚科専門医でなくてもこういった診断がきちんとできる方もいらっしゃるかとは思うんですけれども、割合で言うとやはり皮膚科専門医の方がその確率は高いかなと思います。

なので個人的には皮膚科専門医のクリニックがお勧めです。

さらにそのクリニックに、画像診断機があるとなお良いかなと思います。

画像診断機というのは治療効果や肌の状態などを客観的に評価してくれる機械なんですけれども、シミ治療で例えば数回、治療を受けた後になんとなくご自身では改善効果が分からないなというような時に、この画像診断機が非常に役に立ちます。

もし画像診断機の結果でも改善効果がなかなか認められないというような場合には、医師と一緒にもう1度プランを練り直すことができます。

最後に、シミ治療のオプションがたくさんあるようなところがおすすめです。

1種類しか治療ができないようなクリニックですと、もしその適応でないようなケースでも売上を立てるためにその治療を勧めてくるようなところがあります。なので最低でも、2つか3つのシミ治療のオプションがあるといいかなと思います。

よくシミ治療で使われる機械には「レーザー」と呼ばれるものと「IPL」と呼ばれるものがあります。この2つはシミ治療でよく使われる機械ではあるんですけれども大きく3つ、異なる特徴があります。

まず1つがメラニンを破壊するかしないかという違いで、スポットのシミ取りレーザーについては1回でメラミンを破壊するパワーがあるのに対し、IPLはそこまでのパワーはありません。

なので境界がはっきりとしたようなシミに関しては、1回での効果で言うとスポットのシミ取りレーザーの方が圧倒的に高いです。

次にピンポイントで当てるか全体で当てるかという違いもあります。シミ取りレーザーというのは基本的にそのシミの部分だけにピンポイントで当てる治療方法となります。

一方IPLはシミのある、なし関係なく全顔に当てていきます。なのでIPLは今、目に見えるシミだけではなくいわゆる「シミの予備軍」にも効かせられるというのが1つ特徴です。

最後に赤みの改善効果があるかないかという違いもあります。シミが気になるという方の中には色ムラでシミだけではなく赤みも目立っている方がいらっしゃいます。そういった方はIPLの方が満足度が高いことが多いです。

シミの治療で使われるレーザーというのはメラニンに非常に反応の高い波長を使います。

一方、IPLというのは1つの波長ではなく幅広い波長を採用しているのが大きな特徴で、シミの原因であるメラニンに対して反応の高い波長から赤みの原因であるヘモグロビンに対して高い反応のある波長まで幅広い波長が当てられます。

なのでシミだけではなく、赤みの改善効果もできるというのがIPLの実は最大の特徴かなという風に思います。

特徴レーザー(スポットシミ取り)IPL
メラニン破壊1回でメラニンを破壊するパワーがあるメラニンを破壊するほどのパワーはない
効果の速さ(境界がはっきりしたシミ)1回での効果が圧倒的に高いレーザーほど即効性はない
照射方法シミにピンポイントで照射全顔に照射
治療範囲目に見えるシミのみ目に見えるシミ + シミの予備軍
赤みの改善効果なしあり
使用波長メラニンに高反応の特定波長幅広い波長(メラニン + ヘモグロビンに反応)
適している症状境界がはっきりしたシミシミ + 赤み(色ムラ全般)

なので「シミの治療」と一言で言ってもレーザー治療が適しているか、IPLがより適しているかに関しては一度診察をしてみないとなかなか判断できません。

そういった意味で、最初のアセスメントは非常に重要だということは是非押さえておいていただけたらと思います。

【クリニックの選び方:ニキビ痕治療】

次に「ニキビ痕」についてです。ニキビ痕も実はシミ治療と非常によく似ています。要はニキビ痕と一言で言っても様々なタイプのニキビ痕があって、それによって適切な治療方法も異なってきます。

例えば 「クレーター」と呼ばれるような陥凹性瘢痕の中でも「アイスピック型」と呼ばれるような瘢痕と「ローリング型」と呼ばれるような瘢痕では、その治療方法は大きく変わってきます。

なのでニキビ痕でクリニックをお探しの方は、治療オプションがたくさんあるところから選ばれることをお勧めします。

反対に、1つの治療方法をやたらと勧めてくるようなところは、果たして本当に効果があるかなと疑問に感じてしまいます。

あと、ニキビ痕で受診される方の中にはニキビも併存している方が少なくありません。

もしニキビがある方は、保険でそのお薬を出してくれるようなところがいいかなと思います。なので保険も自費も両方やっているようなクリニックから選ばれるとよりいいのではないかなと思います。

【クリニックの選び方:赤み治療】

次に赤みに関してです。赤みで悩まれてる方最近多いかなという風に思うんですけれども、赤みに対してこういったクリニックは良くないなという風に思うのは、赤みに対してとにかくまずレーザーを勧めてくるようなクリニックです。

実は「赤み」と一言で言っても様々な原因があります。そういったものの中には、保険治療での改善が認められるようなものもあります。

例えば「酒さ」と呼ばれる赤ら顔の原因の1つである疾患があるんですけれども、この酒さのブツブツに関しては「ロゼックスゲル」と呼ばれるようなお薬が保険適用で有効です。

酒さに関しては詳しく解説している動画があるんですけれども、程度の差はあれど酒さがベースにあるような方は実は非常に多いのではないかなと思います。

やはり赤みに関しても、保険と自費を両方やっているクリニックがより安心できるかなと思います。

あと赤みの治療で言うと「Vビーム」だったり「IPL」が適応になってくるんですけれども、いずれの治療でも赤みの改善は回数がかかることが多いです。なのでシミ治療よりも、その改善効果が分かりにくい傾向があります。

赤みの治療で通院するには、そのクリニックに画像診断機があるとよりいいかなと思います。ご自身では赤みの改善効果が分からなくても、画像診断機で見てみると意外と改善効果を認めるケースが非常に多いです。

改善効果が分かると、ご本人の治療に対するモチベーションにもつながるかなと思います。なので赤みの治療で通院を検討されている方は、こういった点も考慮していただくといいのではないかなと思います。

【クリニックの選び方:毛穴治療】

最後に毛穴についてです。毛穴に関して、個人的にこれは良くないなと思うクリニックの特徴としては、「毛穴=ダーマペンやポテンツァ」というようにマニュアル化されているようなところです。

毛穴というのは実は非常に奥が深く、毛穴が目立つ原因には様々なものがあります。

例えば、その中に過剰な皮脂が原因で毛穴が開いている方がいらっしゃるんですけれども、そういった方にいくらダーマペンやポテンツァをしてもなかなか毛穴は改善しません。

要は、その原因に対してアプローチをしなくてはいけません。

過剰な皮脂に関しては、例えばスキンボトックスだったり、トレチノインと呼ばれるようなお薬が有効です。こういったアセスメントを最初に適切に行うことで、その後のダーマペンやポテンツァが生きてきます。

あとは毛穴でお悩みの方の中には、毛穴の周りの炎症によって毛穴が目立ってしまっているという方がいらっしゃいます。

これは先ほどお話ししたような酒さの方などがそうなんですけれども、酒さというのは毛穴の周りの炎症が1つ特徴で、酒さの治療をすることによって自然と毛穴の目立ちも改善してきます。

他にも毛穴が目立つ原因が「毛」である方もいらっしゃいます。こういった毛穴周りの炎症だったり毛の存在を確認するためには、ダーモスコピーが1つ有効です。私も毛穴の相談でいらした方には、必ずこのダーモスコピーを使っています。

毛穴というのは、繰り返しになりますが非常に奥が深いです。なので毛穴の治療=ダーマペンやポテンツァという風な単純なものではないということは是非、頭の中にとどめておいていただけたらと思います。

ということで以上が私が思うクリニック選びのポイントでした。もし皆さんもクリニック選びで気をつけていることなどがありましたら是非コメント欄で教えていただけますと嬉しいです。ということで 今回の動画は以上です。それでは〜。

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医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

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