【リップでも治らない】がさがさ唇の治し方を皮膚科医が解説！

皆さんこんにちは。皮膚科医の小林智子です。このチャンネルではスキンケアから美容医療 そして皮膚疾患まで肌にまつわる全てのことを発信しています。公式LINEもありますので 是非そちらも登録していただけたらと思います。

今日お話ししたいのは「リップケア」についてです。乾燥シーズンに突入して唇の乾燥が気になるな、という方も多いのではないのでしょうか。普段マスクをしている方もマスクを外した時に唇がガサガサしているとみっともないですよね。

そんな時に重宝するのがリップクリームだと思うんですけれども、リップクリームを塗ってもなかなか唇の乾燥が良くならないと外来で相談を受けることもよくあります。

今回はそんな正しいリップケアについて詳しく解説していきたいなと思います。それでは早速行ってみましょう。

この記事は、こばとも皮膚科院長、皮膚科医の小林智子が運営するYoutubeチャンネル「こばとも先生のスキンアカデミー」内の動画内容を書き起こしたものです。Youtubeでは薬の塗り方・副作用、スキンケア方法、美容施術の種類や効果についてなど、お肌のお悩みを持つ方の少しでも助けになれればと思い動画を公開しています。ぜひチャンネル登録をお願いします！

唇が乾燥しやすい理由

では早速リップケアについて解説したいと思うんですけれども、リップクリームを塗ってもなかなか唇の乾燥がおさまらないのには唇が乾燥しやすい理由があるからです。

まず解剖学的な理由として唇は他の部位と比べて服装が薄く、また毛包や皮脂腺がないため元々乾燥しやすい部位となります。

実際、唇は他の部位と比べて5倍以上水分を失いやすいというようなことも分かっていて、とにかく乾燥しやすい部位です。

また唇は常に外からの刺激にさらされています。具体的には食べ物や飲み物、そして女性の場合はリップなどが挙げられます。

また人によっては自分自身で刺激を作っているケースもよくあります。例えば唇を舐めたりかさぶたができた時にそれを取ったり、食事などの度にティッシュなどでこすったりあとはマスクも刺激のとなり得ます。

このように唇は元々乾燥しやすく、かつ刺激も受けやすいことから、それぞれの対策として保湿をすることとあとは保護することが重要となってきます。

唇の保湿ケアについて

保湿ではリップクリームが有効となります。「リップクリーム」と一言で言っても色々なタイプがあるんですけれども、その中でもおすすめの成分がいくつかあります。

まず1つは「オクルーシブ」。油分で水分の蒸発を防ぐ蓋の役割をする成分のことなんですけれども、具体的にはワセリンやジメチコン、シアバター、脂肪酸などの成分が挙げられます。

またセラミドも有効です。セラミドは細胞間脂質の1つでバリア機能を担っています。唇は元々セラミドが他の部位よりも少なく、リップケアでセラミドを補うことが有効です。

もし唇の乾燥だけでなく、口角炎でもお悩みの方は酸化亜鉛も有効です。

避けた方がいい成分

一方、避けた方がいい成分もいくつかあります。まず1つが「香料」です。香料は人によっては刺激性あるいはアレルギー性のかぶれを引き起こす可能性があります。

あとはミントやシナモンといったようなフレーバーもそういった刺激になり得ると言われています。他に刺激になりやすい成分としてメントールやサリチル酸なども挙げられます。

またリップクリームの中でSPFが配合されているものもあると思うんですけれども、このSPFの成分のうち「オキシベンゾン」と呼ばれるような成分は被れを引き起こすことで知られています。

このようにおすすめの成分と、あとは避けた方がいい成分がそれぞれありますので、リップクリームを選ぶ際はこういった成分も一度確認することをお勧めします。

また近年ではリッププランパーといってカプサイシンなどの成分によって血流を上げて唇をプクッとさせるようなリップが人気なんですけれども、

こういったリップも唇の乾燥に対してはお勧めできません。唇の調子が良い時に使うようにしてください。

唇の乾燥におすすめのアイテム

私が唇の乾燥に対してよく使っているのはこちら、「ワセリン」です。こちら、皆さんも一度は見たことあるヴァセリンだと思うんですけれども、様々なサイズがあって持ち運びしやすいサイズもあります。

ただ、1番小さいものは個人的に使いにくいので最近ではこちら、リップタイプのヴァセリンもよく使っています。

また特に日差しが強い時はSPFが配合されたリップクリームも必須です。唇は元々メラノサイトが少なく、紫外線ダメージを受けやすい部位です。要は唇はシミができやすい部位となります。

私がよく使っているSPF配合のリップはこちら。メンソレータムの「メルティクリームリップ」です。こちらはSPF25、PA＋＋＋でセラミドも配合されています。何よりドラッグストアでどこでも買えますし、保湿力が高いので重宝しています。

こういったリップはつける回数にも注意していただくことをお勧めします。要はこまめにつけるようにしてください。何かを飲んだり食べたりするとすぐにリップは取れてしまいます。

特に食べる時などにお勧めなのはこちらのワセリンです。ワセリンは保湿作用だけでなく、保護作用もあります。なのでこれを食事の前に塗っていただくことによって、食事の刺激から唇を守ってくれる効果があります。

私はこちらのセラミドが配合されたSPF配合リップに、こちらのヴァセリンを重ねて塗っています。こういったリップクリームを塗ってもなかなか症状が改善しない場合は、治らない根本的な原因が潜んでいる可能性があります。

保湿しても治らない原因

まず1つは刺激です。先ほど申し上げたように唇は刺激を受けやすい部位なんですけれども、自分自身で知らず知らずのうちに唇を舐めてしまってる方が一定数いらっしゃいます。

唇を舐める行為というのは刺激となり、悪化すると湿疹に発展してしまいます。

唇を舐めることによってできる湿疹を舌舐め皮膚炎、英語ではlick dermatitisという風に言うんですけれども、特徴としては唇をだんだん超えて赤みや痒みが出てくることが多いです。

また、他の疾患が原因となっているケースもあります。例えばカンジダなどのカビによる感染症があると、リップクリームを塗ってもなかなかその症状は改善しません。

またシェーグレン症候群という膠原病が合併していると、シェーグレン症候群の場合、全身の乾燥症状を引き起こしますので唇の乾燥症状も引き起こします。そういった場合は血液検査などが必要になってきます。

同じくアトピー性皮膚炎もバリア機能の低下により唇が乾燥しやすい状態となります。

アトピー性皮膚炎の場合、ただ唇が乾燥するだけでなく「口唇炎」という湿疹症状に発展してしまうケースが良くありますので、リップクリームを塗ってもなかなか改善しない方は皮膚科で一度相談されることをお勧めします。

栄養障害と唇の荒れ

また、栄養障害によっても口の乾燥を引き起こします。よくあるのは「亜鉛欠乏」です。亜鉛というのは唇などの粘膜の形成に非常に重要な栄養素の1つです。

血清の亜鉛値の基準値は80〜130mg/dlなんですけれども、潜在的に亜鉛欠乏があるとそれ以下の60〜80mg/dlとなり、60mg/dlより低いと亜鉛欠乏と診断されます。

亜鉛欠乏が疑われる方は血液検査が1つ有効となってくるんですけれども、亜鉛の値は日内変動があり午後で高く、朝で低く出る傾向がありますので、朝一で採血されることをお勧めします。

また同じくビオチンの欠乏があると亜鉛欠乏となりやすいということも分かっていますので、もし亜鉛欠乏がある場合は亜鉛と一緒にビオチンも摂ることをお勧めします。

もし血液検査によって亜鉛欠乏と診断された場合は、ノベルジンなどの保険適用のお薬もあります。

まとめ

以上のことをまとめるとリップケアにはまず「保湿」と「保護」が重要となり、保湿はもちろん、リップクリームが有効なんですけれども、ワセリンで保護したりなるべく触ったり舐めたりしないというように保護にも気をつけていただくとより早く乾燥症状が良くなるかなと思います。

またそれでも改善しない場合は、他の合併症などが潜在している可能性がありますので1度皮膚などで相談されることをお勧めします。

ということで、今回の動画を参考に是非1度正しいリップケアを意識していただくことをお勧めします。今回の動画が少しでも役に立ったなと思ったらいいねボタンやチャンネル登録ボタンを押していただけますと嬉しいです。ということで今回の動画は以上です。それでは〜。