ガラクトミセス培養液は、酵母に似た微生物ガラクトミセスを発酵させ、そのろ過液を取り出した発酵由来のスキンケア成分です。アミノ酸や有機酸、ビタミン、ミネラルなどをやわらかく含みます。
化粧水や美容液に配合され、うるおいやキメ、毛穴の印象をととのえる目的で使われることが多い成分です。発酵コスメの代表格として知られ、成分表示では「ガラクトミセス培養液」と記載されます。
この記事では、ガラクトミセス培養液とは何かという基本から、期待できる効果、使い方、注意点、似た成分との違いまで、皮膚科専門医監修のもとエビデンスに触れながらわかりやすく解説します。
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
ガラクトミセス培養液とは何かをわかりやすく解説
ガラクトミセス培養液は、ガラクトミセスという微生物の発酵ろ過液で、成分表示名は英語でGalactomyces Ferment Filtrateと表記されます。発酵の過程で生まれた水溶性の成分を含む、うるおい重視のスキンケア素材です。
酵母様の微生物ガラクトミセスを発酵させたろ過液
ガラクトミセスは、酵母によく似た性質をもつ微生物のグループです。この微生物を培養液の中で発酵させ、微生物の体そのものを取り除いてろ過した液体が、ガラクトミセス培養液になります。
発酵という工程を経ることで、もとの原料にはなかった成分が新たにつくられたり、大きな分子が細かく分解されたりします。日本酒づくりに通じる発酵の文化から生まれた成分としても紹介されることがあり、発酵コスメの代表的な素材の一つです。
発酵で生じた低分子の成分は肌なじみがよいとされ、化粧水のようなみずみずしいテクスチャーの製品に向いています。とろみのある使い心地の製品に配合されることもあります。
アミノ酸や有機酸、ビタミン、ミネラルを含む
ガラクトミセス培養液には、アミノ酸や有機酸、ビタミン類、ミネラルといった水溶性の成分がやわらかく含まれます。単一の有効成分というより、発酵で生まれた複数の成分が混ざり合った天然由来の混合物と考えるとイメージしやすいでしょう。
発酵に関する総説では、微生物の働きによって高分子の物質が低分子の構造へと変わり、アミノ酸や有機酸、ポリフェノールなどが増えることが報告されています。こうした成分の組み合わせが、うるおいをとどめる働きを支えていると考えられています。
アミノ酸は肌のうるおいを保つ天然保湿因子の材料にもなる成分です。発酵由来のこうした成分が、肌表面をやわらかくととのえる手助けをすると考えられています。
ガラクトミセス培養液の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 由来 | 酵母様の微生物ガラクトミセスの発酵ろ過液 |
| 成分表示名 | ガラクトミセス培養液(Galactomyces Ferment Filtrate) |
| 主に含む成分 | アミノ酸、有機酸、ビタミン、ミネラル |
| 性状 | 水溶性の液体 |
| よく使われる製品 | 化粧水、美容液、シートマスク |
医薬部外品の有効成分ではなく化粧品成分として使われる
ガラクトミセス培養液は、美白や抗炎症を目的とした医薬部外品の有効成分として認可されているものではなく、一般的な化粧品成分として配合されます。肌をととのえ、うるおいを保つ目的で使われる素材という位置づけです。
そのため、この成分そのものが特定の効能効果をうたえるわけではありません。あくまで肌の調子を保つスキンケアの一部として、心地よく使うことを前提に考えるとよいでしょう。
ガラクトミセス培養液に期待できる効果
ガラクトミセス培養液に期待できる効果の中心は、うるおいを保つ保湿と、キメや毛穴の印象をととのえる働きです。研究では、肌のバリア機能を支える方向の作用や抗酸化に関わる働きも報告されています。
うるおいを守る保湿とキメへの働き
ガラクトミセス培養液に含まれるアミノ酸や有機酸などの水溶性成分は、角質層のうるおいを保つ手助けをすると考えられています。発酵で低分子化した成分が肌になじみ、しっとりとした使い心地につながります。
キメがととのった肌は、光をやわらかく反射してなめらかに見えます。うるおいで満たされることでキメの見え方がととのい、乾燥によるごわつきがやわらぐことが期待されます。
ガラクトミセス培養液を配合した製品を長期間使った観察研究では、肌のうるおいの高まりとともに、キメや肌の見た目の評価が良い方向に変化したことが報告されています。日々のうるおいケアを支える成分といえるでしょう。
肌のバリア機能を支える方向の作用
近年の基礎研究では、ガラクトミセス培養液が肌のバリア機能に関わる仕組みへ働きかけることが示されています。表皮の細胞を用いた実験で、うるおいの保持に関わるフィラグリンというたんぱく質の産生を高める方向の作用が報告されました。
この働きには、アリル炭化水素受容体(AhR)と呼ばれる、表皮の健やかさに関わる受容体が関係すると考えられています。培養細胞の研究では、ガラクトミセス培養液がこの受容体を介してバリア関連の遺伝子の働きを高めることが確認されています。
別の研究では、表皮の細胞どうしの結びつきを支える方向の変化も報告されています。ただしこれらは細胞レベルの基礎研究が中心で、肌の病気を治療するものではなく、あくまで健やかな肌を保つ土台を支える働きとして捉えることが大切です。
赤みやゆらぎを落ち着かせる抗炎症の働き
ガラクトミセス培養液は、加齢とともに進む肌の炎症をやわらげる方向の作用でも注目されています。表皮の細胞を用いた研究では、炎症をしずめる働きをもつたんぱく質を増やし、炎症に関わる分子を抑える変化が報告されています。
こうした抗炎症の働きは、加齢による慢性的な炎症をやわらげる意味で抗インフラメイジングとも呼ばれます。うるおいとあわせ、赤みやゆらぎが気になる肌の土台を支える働きが期待されています。
ガラクトミセス培養液は、皮脂や毛穴の印象、明るさの感じ方に着目した研究でも取り上げられています。この成分を含む製品を用いた臨床研究では、キメや毛穴、皮脂の分泌、明るさの評価に良い方向の変化がみられたと報告されました。
毛穴の目立ちは、皮脂の量やキメの乱れ、乾燥など複数の要因が重なって生じます。うるおいで肌をととのえることが、毛穴の印象をなめらかに見せる手助けになると考えられています。
くすんで見える肌は、乾燥や角層の乱れが背景にあることが少なくありません。ガラクトミセス培養液には抗酸化に関わる働きも報告されており、うるおいとあわせて肌の明るい印象を支える方向で注目されています。ただし効果には個人差があります。
ガラクトミセス培養液に期待される主な働き
| 期待される働き | 関わる要素 | 特徴 |
|---|---|---|
| 保湿・キメ | アミノ酸、有機酸 | 角質層のうるおいを保ちなめらかに見せる |
| バリアの補助 | フィラグリン、AhR | 基礎研究でバリア関連の働きを支えると報告 |
| 毛穴・皮脂の印象 | うるおい、抗酸化 | 臨床研究で評価の変化が報告される |
ガラクトミセス培養液の使い方とスキンケアへの取り入れ方
ガラクトミセス培養液は、化粧水や美容液としてスキンケアの早い段階で取り入れやすい成分です。使い方のコツは、洗顔後の清潔な肌に、うるおいをなじませるように重ねることです。
化粧水や美容液などどんな製品に入っている?
ガラクトミセス培養液は、みずみずしい化粧水や美容液、シートマスクといった水分の多い製品に配合されることが多い成分です。とろみのある使用感の製品や、発酵由来をうたうスキンケアで見かけることが少なくありません。
配合量は製品によって異なり、成分表示の上位に記載されているほど多く含まれる傾向があります。全成分表示で「ガラクトミセス培養液」の位置を確認すると、目安をつかみやすいでしょう。
洗顔後の早い段階でなじませる使い方のコツ
化粧水タイプの場合は、洗顔後すぐの肌になじませるのが基本です。手のひらかコットンにとり、顔全体にやさしく広げてから、手で軽く押さえるように含ませると、うるおいがなじみやすくなります。
朝晩どちらにも使えますが、そのあとに乳液やクリームなどの油分でうるおいのふたをすると、水分が保たれやすくなります。ガラクトミセス培養液は水溶性のため、油分でとどめる工程と組み合わせると心地よく使えます。
一度にたくさん使うより、適量を丁寧になじませ、肌の様子を見ながら毎日続けるほうが向いています。発酵由来の成分は使い心地の好みが分かれることもあるため、自分の肌に合うか確かめながら取り入れましょう。
| タイミング | 使い方の目安 |
|---|---|
| 洗顔後すぐ | 清潔な肌になじませて土台をととのえる |
| 化粧水のあと | 乳液やクリームなど油分でうるおいのふたをする |
| 朝と夜 | 適量を丁寧に重ね毎日続ける |
相性のよい成分と気をつけたい組み合わせ
ガラクトミセス培養液は水溶性のうるおい成分のため、うるおいを抱えるタイプの成分と自然に組み合わせやすいのが持ち味です。ヒアルロン酸で角質層に水分を抱え込み、そのうえで油分のふたを重ねる流れは理にかなっています。

保湿の土台づくりでは、角質層のうるおいを守るセラミドとも組み合わせやすい成分です。水分を与えるガラクトミセス培養液と、うるおいをとどめるセラミドは、役割が重ならず相性がよいといえます。

明るい肌印象を目指すケアでは、ナイアシンアミドやビタミンC、トラネキサム酸といった成分と併用されることもあります。それぞれ働き方が異なるため、肌の様子を見ながら組み合わせるとよいでしょう。
一方で、レチノールやピーリング作用のある成分を使った直後の肌は敏感になりやすいものです。ガラクトミセス培養液は穏やかな成分ですが、刺激を感じる成分と重ねる場合は、使う順番や量を調整し、肌の反応を見ながら取り入れると安心です。
ガラクトミセス培養液を使う際の注意点
ガラクトミセス培養液は穏やかな成分ですが、発酵由来のためまれに肌に合わない場合があり、初めて使うときの確認が大切です。合わないと感じたときの対処や、化粧品と医療の違いも押さえておきましょう。
まれに肌に合わない場合とパッチテスト
ガラクトミセス培養液は多くの人が心地よく使える成分ですが、発酵由来の混合物のため、まれに赤みやかゆみといった刺激を感じる方がいます。「合わない」と感じる背景には、肌の状態やそのときのコンディションが関わっている場合もあります。
初めて使う製品は、腕の内側などの目立たない場所に少量を塗り、24〜48時間ほど肌の変化をみるパッチテストを行うと安心です。赤みやかゆみ、ヒリつきが出た場合は使用を控えましょう。
使用を控えたほうがよい肌の状態
肌が炎症を起こしている、傷や強い赤みがある、湿疹が出ているといった状態のときは、新しい成分を試すのを控えるほうが無難です。バリアが乱れた肌は刺激を受けやすく、思わぬ反応が起きることがあります。
敏感肌の方や、過去に発酵由来の化粧品で肌トラブルを経験した方は、とくに慎重に始めましょう。少量から試し、肌が落ち着いているタイミングで取り入れると、リスクを抑えやすくなります。
化粧品と医療機関のケアは目的が違う
化粧品に使われるガラクトミセス培養液は、肌をととのえてうるおいを保つ目的の成分です。皮膚の病気を治療する薬とは目的も位置づけも異なり、濃度や使い方の考え方も違います。
インターネットではイボなどへの効果を期待する声も見られますが、イボは医療機関での診断と治療が必要な症状です。ガラクトミセス培養液でのケアに頼らず、気になる症状がある場合は自己判断せず皮膚科で相談してください。
- 初めて使うときはパッチテストで肌の反応を確かめる
- 炎症や傷、湿疹があるときは新しい成分を控える
- 赤みやかゆみが出たら使用を中止する
- イボなど気になる症状は自己判断せず皮膚科を受診する
ガラクトミセス培養液と似た成分との違い
ガラクトミセス培養液は、サッカロミセス培養液やヒト幹細胞培養液など、発酵や培養に由来する成分と混同されがちです。いずれも培養や発酵から生まれる点は共通しますが、もとになる微生物や作り方に違いがあります。
サッカロミセス培養液との違いは由来する微生物
サッカロミセス培養液は、パンや酒づくりにも使われる酵母サッカロミセスを発酵させたろ過液です。ガラクトミセス培養液とは由来する微生物が異なり、発酵で生まれる成分の組み合わせにも違いが出ます。
名前が似ているため混同されやすいものの、別の微生物由来の成分です。どちらも発酵コスメとして使われますが、使用感や肌との相性は製品によって変わるため、実際の使い心地で選ぶのが現実的でしょう。
似た発酵・培養由来成分の比較
| 成分名 | 由来 | 特徴 |
|---|---|---|
| ガラクトミセス培養液 | 酵母様微生物ガラクトミセスの発酵液 | アミノ酸や有機酸を含み保湿・キメに使われる |
| サッカロミセス培養液 | 酵母サッカロミセスの発酵液 | 由来微生物が異なる発酵由来成分 |
| ヒト幹細胞培養液 | ヒト由来細胞を培養した上清 | 培養で生じた成分を含む培養液 |
ヒト幹細胞培養液との違いは作り方の考え方
ヒト幹細胞培養液は、ヒト由来の細胞を培養した際に生じる上清を利用した成分で、微生物を発酵させるガラクトミセス培養液とは作り方の考え方が根本的に異なります。「培養液」という言葉は共通しても、中身は別の成分です。

発酵由来か細胞培養由来かで、含まれる成分も期待される使われ方も変わります。名前の一部が似ているだけで同じものと考えず、全成分表示で正式な名称を確認する習慣が、自分に合った成分選びに役立ちます。
まとめ
ガラクトミセス培養液は、酵母様の微生物を発酵させたろ過液で、アミノ酸や有機酸を含むうるおい重視の発酵由来スキンケア成分です。特徴と注意点を押さえれば、毎日のケアに無理なく取り入れられます。
- ガラクトミセス培養液は微生物ガラクトミセスの発酵ろ過液で、成分表示名はGalactomyces Ferment Filtrate
- アミノ酸や有機酸などを含み、保湿やキメ、毛穴の印象をととのえる目的で使われる
- 基礎研究ではバリア機能を支える方向の作用や抗酸化に関わる働きが報告されている
- 発酵由来のためまれに肌に合わない場合があり、初めて使うときはパッチテストが安心
- イボなど気になる症状がある場合は自己判断せず、皮膚科を受診してください
よくある質問
参考文献
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