【こんなことにも！】レチノールの意外な使い方を皮膚科専門医が解説

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今回取り上げたいのは「レチノール」です。レチノールは近年非常に人気の美容成分の1つで、実際にスキンケアに取り入れているという方も多いのではないのでしょうか。

そんなレチノールなんですけれども、アンチエイジングに最強の成分だという風に言われていて、シワの改善やハリの改善などエイジング目的で取り入れてる方が多いのではないかなと思います。

実はレチノールはそういったエイジング以外にも様々な効果が期待できる成分です。今回はそんなレチノールの、顔のエイジングサイン以外の使い方について3つご紹介したいなと思います。それでは早速いってみましょう。

この記事は、こばとも皮膚科院長、皮膚科医の小林智子が運営するYoutubeチャンネル「こばとも先生のスキンアカデミー」内の動画内容を書き起こしたものです。Youtubeでは薬の塗り方・副作用、スキンケア方法、美容施術の種類や効果についてなど、お肌のお悩みを持つ方の少しでも助けになれればと思い動画を公開しています。ぜひチャンネル登録をお願いします！

レチノールとは

まず、そもそもレチノールとは何かというところから少し復習したいなと思います。

レチノールというのはビタミンAの一種です。レチノール以外にも医薬品のトレチノインだったり、あとはレチナール、パルミチン酸レチノールなどのレチニルエステルなどもビタミンAの一種です。

これらをまとめて「レチノイド」という風に言います。

レチノイドには肌の新陳代謝である「ターンオーバー」を促進する作用があります。

それにより毛穴詰まりを改善し、ニキビの予防だったり、あとは毛穴の目立ちを目立たせなくするような効果があります。また、肌のキメを整えて肌の質感を高める効果もあります。

またレチノイドには、真皮にあるコラーゲンやエラスチン、それからヒアルロン酸といったようなものの産生を促す作用もあります。それによって肌の弾力性、すなわちハリを改善したり、あとはシワの改善効果をもたらします。

それだけでなく、レチノイドには抗炎症作用があり、紫外線ダメージを軽減する効果もあります。

このような作用によりレチノイドは「最強のアンチエイジング成分」だという風に言われてるんですけれども、それ以外の使い方もあります。

レチノールの意外な使い方その１「毛孔性苔癬」

その1つが、毛孔性苔癬です。毛孔性苔癬というのは、いわゆる二の腕のブツブツに代表されるような、毛穴に一致したブツブツとした丘疹を認める疾患です。

原因は不明という風に言われてるんですけれども、何かしらの原因によって角層という皮膚表面のところが蓄積して盛り上がっている状態のことを言います。

遺伝的な要素が大きく、およそ3〜4割程度で家族歴を認めます。それ以外にもアトピー性皮膚炎というような疾患だったり、あとは妊娠をきっかけに発症することもあります。

この毛孔性苔癬なんですけれども、ブツブツとした盛り上がりに対しては角質を融解するような成分が有効です。

具体的にはサリチル酸や乳酸といったようなピーリング成分だったり、あとはアゼライン酸と呼ばれるような成分が挙げられます。

あとは尿素も有効です。尿素については以前詳しく解説している動画があるんですけれども、尿素は高濃度の場合、角質を融解する作用があります。

市販でも20%の尿素が売られてるんですけも、この20%尿素は二の腕のブツブツに対して改善効果が期待できます。

このような角質を融解する成分に加えて、レチノイドも有効です。具体的には0.025%のトレチノインが毛孔性苔癬の改善効果をもたらしたというような報告もあります。

この毛孔性苔癬が1番多く見られるのは二の腕なんですけれども、それ以外にも背中や太もも、それからフェイスラインにも認めることがあります。

このフェイスラインに認める毛孔性苔癬を「顔面毛孔性紅斑黒皮症」という風に言うんですけれども、要は同じ疾患のことで、毛穴がフェイスラインに目立つなというような方は意外にこの毛孔性苔癬の可能性があります。こういったケースではレチノイドが有効です。

トレチノインはレチノイドの中でも最も効果発現が早いという風に言われている成分なんですけれども、その反面副作用として皮剥けや赤みといったような症状も認めやすい傾向にあります。

フェイスラインは特にそういった副作用を認めやすいので、個人的にはトレチノインよりもレチナールやレチノールというような化粧品に配合されるレチノイドがおすすめです。

こちらのHALSKINのLipo-Aセラムはレチナールが0.1%配合された美容液なんですけれども、レチナールは化粧品の中では最もトレチノインに近いアクティブな成分です。

こういった成分を毛孔性苔癬にうまく取り入れていただくといいのではないかなと思います。

個人的には顔面毛孔性紅斑黒皮症の方に対してはこういった化粧品に配合されるレチノイドと、それからたまにサリチル酸などのピーリング成分を取り入れていただくことをお勧めしています。

こちらは、ダーマシューティカルズというスキンケアブランドのCLRローションと呼ばれるピーリング成分が配合された美容液です。こちらはサリチル酸に加えてグリコール酸や乳酸といったようなピーリング成分が配合されています。

レチノールの意外な使い方その２「薄毛」

続いてレチノイドが有効なケースとして、薄毛が挙げられます。要は、AGAや女性の場合「FPHL」と呼ばれるような状態の薄毛です。

このAGAではホルモンが主にに関係していて、特に「テストステロン」と呼ばれる物質が毛包でジヒドロテストステロン（DHT）と呼ばれる物質に変換されると、毛のサイクルを短くして毛を細く短くしてしまうことが知られています。

毛のサイクルというのは正常期、退行期、休止期という3つのフェーズに分かれるんですけも、このうち正常期がグンと短くなってしまうので相対的に毛が抜けやすい状態になってしまいます。このAGAは遺伝的な素因が大きいという風に言われています。

当院では遺伝子検査も行っていて、ある程度そのリスクを予想することもできます。

遺伝的な要素に加えて頭皮に慢性的な炎症や酸化ストレスがあったりするとさらにその薄毛のリスクが高まるという風にも言われています。また最近では過剰な皮脂分泌も薄毛に関係しているのではないかという風に言われています。

この薄毛の症状に対してまずおすすめなのが「ミノキシジル」です。

ミノキシジルについては以前の動画で詳しく解説している動画がありますので是非そちらもご覧になっていただきたいんですけれども、血管を拡張する作用や毛包期を調整する作用があるという風に言われています。

薄毛の方に対しては当院でもまずこちらのミキキシジルの外用を勧めてるんですけれども、このミノキシジルに加えてお勧めしたいのが「レチノイド」です。

これまでの報告で、レチノイドは発毛速度を高め、毛包期の成長期を延長することで発毛効果を促すことが分かっています。

こちらのミノキシジルとレチノイドを併用することによって、単独よりもより高い効果が期待できるということも分かっています。

具体的には5%のミノキシジル外用を1日2回と5%のミノキシジルに加えて0.01%のトレチノインを1日1回塗布した場合で同等の効果が得られたというような報告もあります。

なので私も普段こちらの5%のミノキシジルを使っているんですけれども、こちらを塗る時にこちら0.1%のレチナールを一緒に塗るようにしています。

このレチナールはトレチノインとどれぐらい効果が違うのかについてよく質問を受けるんですけども、これまでの報告で0.1%のレチナールと0.1%のトレチノインがほぼ同等の効果だったというような報告があります。

なのでほぼトレチノインと同じくらいの効果があるのではないかなと思います。薄毛が気になる方はミノキシジルに加えて是非レチノイドも一緒に取り入れていただけたらと思います。

レチノールの意外な使い方その３「からだのエイジングケア」

そして最後にお勧めしたいのが「からだのエイジングケア」です。顔にレチノールを塗ってる方多いと思うんですけども、是非そのレチノールをからだにも塗るようにしてください。具体的にぜひ塗っていただきたいのは首と手の甲です。

これらの部位はですね、よく年齢が現れるという風に言われています。なので手に出したレチノールを一緒に首に塗っていただいて、かつ手の甲にも塗るようにしてください。

こういった毎日の積み重ねが10年後、20年後に大きな差となって現れますので、是非今まで塗ってなかったというような方は今日から取り入れるようにしてください。

エンディング

ということで以上の3つが顔以外のレチノイドのおすめの使い方でした。是非今日の動画を参考にレチノイドを顔以外にも塗るようにしてください。

今回の動画が少しでも参考になったなと思ったらいいねボタンやチャンネル登録ボタンを押していただけますと嬉しいです。ということで今回の動画は以上です。それでは〜。