こんにちは、理学療法士の森です。皆さんは四大骨折が何かを知っていますか?四大骨折とは、高齢者に特に多く、日常生活(ADL)低下や寝たきりにつながりやすい代表的な4つの骨折です。
その4つとは、「大腿骨近位部骨折」「脊椎圧迫骨折」「上腕骨近位端骨折」「橈骨遠位端骨折」です。聞きなれない方も多いと思いますが、特にこの中でも脊椎圧迫骨折となる方が当院では多く受診されています。
そのため今回は、四大骨折と呼ばれる中でも脊椎圧迫骨折について紹介します。
脊椎圧迫骨折はなぜ起こるのか
「転んでいないのに、背中や腰が痛くなった」、「年のせいかなと思っていたら、実は圧迫骨折だった」と思うことはないでしょうか?
脊椎圧迫骨折とは、主に骨粗鬆症の高齢者が、尻もちや転倒、あるいは前かがみ動作など軽微な負荷で背骨(椎体)が押しつぶされる骨折です。(図1)しかし、転んでいないのに折れているという経験をされる方もいると思います。
実は、脊椎圧迫骨折は、起き上がり動作や寝返りでも起こりうる可能性があるのです。骨粗鬆症の高齢者が勢いよく起き上がることで背骨に強い負荷がかかり、脊椎圧迫骨折のリスクを1.6倍も上げてしまうのです。

図2はMRI画像であり、第1,2腰椎の椎体圧迫骨折です。図3も同様の箇所です。椎体の前方がつぶれ、脊柱管にも影響を及ぼしています。そのため腰痛以外にも脚の痺れる、筋力低下を引き起こすといった症状もみられます。

なぜ高齢者に多いのか
高齢者に多い理由としては、骨粗鬆症になるためです。骨は年とともに「作る力」より「減る力」が強くなります。骨は古い骨を壊し、新しい骨を作ることを常に続けています。そのため、高齢者になるにつれ骨密度が下がり骨粗鬆症となります。
また、女性は女性ホルモン(エストロゲン)が閉経後に急激に減ります。そのため骨を守る力が弱くなる結果骨粗鬆症となり、脊椎圧迫骨折となるのです。
骨粗鬆症は骨強度が下がることで骨折リスクが増大します。骨強度とは、骨密度と骨質の2つの要因からなり、骨密度は骨強度のほぼ70%、残りの30%は骨質からなります。骨質は、微細構造、骨代謝回転、微小骨折、骨組織の石灰化度などのことです。
ほかにも歩かない、寝ている時間が長い、外出が少ないといった運動不足が骨への刺激が入らずに骨が細くなっていきます。さらに、ビタミンDやカルシウム、たんぱく質といった栄養素の不足も骨を弱くさせる原因となります。(図4)

放っておくとどうなるのか
脊椎圧迫骨折となることで背骨の前の方がつぶれることが多いとされています。そのため、背中が丸くなる、息がしにくくなる、転びやすくなるといったことが起こる可能性が高くなります。
骨粗鬆症性椎体骨折はコルセットなどの外固定の有無にかかわらず、自然に椎体がくさび状に変形するなど変形を残して治療することが多いと報告もあります。
特に姿勢が悪くなる方が多くいらっしゃると僕は感じています。

日常でできる予防
ひとつは歩くことです。歩くことは骨への刺激となり骨への栄養供給となります。そのため骨を強くするためにも歩くことが重要となります。では何歩歩くとよいのか疑問も持たれる方もいると思います。
厚生労働省の調査では、成人が日常生活における歩数の目標値は男性9,200歩、女性8,300歩です。一方高齢者では、日常生活における歩数目標値は男性6,700歩、女性5,900歩です。まずは家の周りを歩くなどして習慣にしていきましょう

床から物を拾うときに膝を曲げる
床から物を拾う際に腰から曲げることで脊椎には大きな負荷がかかることとなります。そのため、腰から曲げるのではなく膝を曲げることで物を拾うようにしましょう。

重量のある物を持つときに姿勢
まずは重たいものは避けるようにしましょう・しかし、どうしても重たい物を運ぶことや持ち上げることがあると思います。その際には身体にできるだけ近づけることで脊椎へのストレスは軽減され脊椎圧迫骨折を予防できます。

まとめ
いかがだったでしょうか?脊椎圧迫骨折は高齢者には特に起こりやすい骨折であり、気が付かないうちに起こる骨折でもあります。今回紹介した予防は普段からの意識が重要となります。
ふとした時に受傷されるケースも少なくありません。日頃から脊椎を守るためにも運動をしていきましょう。また、脊椎圧迫骨折をされると寝返りや起き上がり時に痛みが伴うことが多くあります。
痛みなく寝返りや起き上がり、歩くなど日常生活動作の指導も行っております。気になるからはぜひ大垣中央病院へお越しください。
参考文献
- 折茂肇:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版 骨粗鬆症の予防と治療ガイダンス作成委員会
- 身体活動・運動 厚生労働省
