はじめまして、作業療法士の小坂です。
いきなりですが…
私は、学生の時バドミントンをしていました。(小2~高3、その後はゆる~く打ちたくなった時に、今は時々コーチをしています)
高校生の時、もっと重いスマッシュを打ちたいと思いました。短絡的にも、腕の筋力が弱いからだ!と思い、腕立て伏せを始めました。その結果、始めて早々に肩に痛みが出てしまい一時的にラケットを振れなくなりました。
時は経ち、今は我が子の4人中3人がバドミントンをしています。
ある時、長男(小4)の右肩に痛みが出ました。痛みの部位は、私自身に痛みが出た部位と同じところでした。その部位とは、上腕二頭筋長頭!!
引用画像:肩関節拘縮の評価と運動療法より
この上腕二頭筋長頭は、肩から前腕までついていますが、肩を通るとき 棘上筋と肩甲下筋のすき間を通っています。
棘上筋と肩甲下筋は、肩のインナーマッスルですが、肩のインナーマッスルは全部で4つの筋肉があります。
(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)
それぞれ筋肉の働きもありますが、4つの筋がチームとなり回旋筋腱板として、また、上腕骨頭を引きつける(引き下げる)働きをします。
上腕二頭筋長頭はというと、”肩関節の屈曲”や”肘関節の屈曲”、”前腕の回外”、さらにdepressor(ディプレッサー)という機能があります。Depressorとは、抑圧・抑制・下制・下に引くという意味があるようです。
上腕二頭筋長頭においては下制する・下に引くというイメージをもっていただけると理解しやすいかと思います。
上腕骨頭は肩のアウターマッスルである三角筋などにより常に上方に引き上げられており、逆に上腕二頭筋は常に上腕骨頭を下方に引き下げています。
この上腕骨頭下方押し下げ力、いわゆるdepressor機能は上腕二頭筋長頭だけでなく棘上筋や棘下筋、肩甲下筋を主とした回旋筋腱板も役割を担っています。
回旋筋腱板と上腕二頭筋長頭は上腕骨の大きな回転運動を実現しながらその安定性を確保する構造となっています。その為、どちらかに機能低下がある時には、補い合う関係性にあると言えます。
長男の肩の痛みの原因として考えられたこと
- 繰り返しの腱へのストレス(週6回練習)
- 回旋筋腱板の機能が十分ではない状態(筋力がまだ弱い)の代償として上腕二頭筋長頭が過活動した
以上の事が原因だと考えました。
単純に考えれば、筋力を鍛えた方が良い…?
しかし、小学生から筋トレってどうなのだろうと思う方もいらっしゃると思います。
以下のグラフ、スキャモンの発育型を示したものですが、小学生は神経型(反射神経、バランス能力)が著しく発達する時期です。
さらにこちらをご覧ください。
東大の宮下先生のチャートですが、スポーツに必要な能力の発達過程を示しています。
11歳以下では、神経系が発達するので、いろいろな動きに挑戦して動作を獲得することに適しています。12~14歳の中学生の時期には、呼吸・循環器が最も発達しやすいので、持久系のトレーニングが有効となります。そして、15歳、高校生以降になると筋・骨格系が発達しやすくなるので、筋トレなどはこの頃から開始していきます。
さらに、19歳以上になると体の成長は終わってくるので、スポーツに関しては、総合的な応用力を獲得していく時期となります。
以上のことを踏まえて、小学生は筋力を鍛える!というよりは、“筋肉を収縮させて肩関節の筋肉のバランスを整える”という意味で収縮訓練を行うと良いと思います。
回旋筋腱板のトレーニングを紹介します
★外旋筋★
- ゴムチューブを両手に持って、脇を締めて肘を90°に曲げます。
- 肘は固定したまま、ゴムチューブを真横にひっぱります。
★外転筋★腕を横に上げていくような動作を行います!
〇チューブや軽めの重りを持ってもらいます。小指側が上にくるようにチューブまたは重りを持ちます。
※腕角度は真横に上げた状態から少し斜め前にします。
〇ゆっくりと上げ下げを繰り返していきましょう。
※棘上筋は肩関節を外転していく際に下から40°まで上げたところが一番使われるので上まで上げる必要はないです!!
長男の場合は、回旋筋腱板のストレッチと上記の収縮訓練を行い、痛みはなくなりました。痛みがでないように、予防として継続した収縮訓練が必要だと思っています。
スポーツを頑張っているみなさん、筋力をつけようとアウターマッスルばかりトレーニングすると、かえって痛みが出てしまうこともあるかも…インナーマッスルがしっかり働くように収縮を入れ、筋肉のバランスを整えると良いと思います!(私と長男の経験より)
ご拝読ありがとうございました。
次回のブログをお楽しみに☆彡