持ち上げ動作について

はじめまして、理学療法士の志知想です。

今回は持ち上げ動作による腰痛についてお話させていただきたいと思います。

持ち上げ動作は、日常生活や労働現場などで頻繁に行われる動作です。年末の大掃除などで重いものを持ち上げ、腰を痛めた方は多いのではないでしょうか。

腰椎は、背骨の一部で前方に向かって凸にカーブを描いており、日常生活に大きく関わる大切な部分ですが、上半身と下半身の中間に位置するためどちらからの負荷もかかりやすい部位でもあります。

姿勢によって腰椎椎間板内(背骨を構成する椎骨と椎骨の間にあるクッションの役割を果たす組織)の圧力が増減する可能性があることを示す研究では、立った状態の腰の負担を100とした場合、前かがみでの座位(デスクワークなど)や、腰を曲げての持ち上げ動作では約2倍もの負担が椎間板にかかるとされています。

正しい姿勢での座位や腰に負担が加わらない動作を身に付けることが、腰痛軽減・予防に重要です。

特に、持ち上げ動作を行う際は全身の筋に大きな活動が要求され、腰椎(腰の骨)に大きな圧迫力、張力、剪断力を生じるため腰痛発生リスクの一因となっています。

そこで今回は腰痛発生リスクの一因となっている持ち上げ動作について腰の負担を軽減し、ラクに持ち上げることができるポイントを紹介させていただきます。

重い物をラクに持ち上げるには、次のようなポイントがあります。

目次

1.持ち上げる物と身体との距離をできるだけ近づけましょう

体幹、上肢、荷物などを含めた上半身重心位置と支点となる腰椎との距離(モーメントアーム)が短くなることで腕や背中の筋肉への負担が軽減します!

2.膝を曲げ腰を十分に降ろして荷物を抱え、膝を伸ばすことにより持ち上げましょう

背中はまっすぐにしましょう!

背中が丸いと腰(椎間板)に約2倍の負担がかかります。また、持ち上げ初期は腰部への負担が大きく傷害リスクが高まるため、高い位置にある持ち手を把持して持ち上げることで、腰部への負担を軽減できます。

3.方向転換は体全体で行いましょう

腰椎の回旋可動域は小さく椎間関節(背骨を構成する椎骨同士が繋がっている関節)や椎間円板(椎骨の間に位置する円板状の線維軟骨)は回旋ストレスに弱いため、体幹部分の回旋だけで物を移動させようとすると腰椎への負担が大きくなります。

4.周囲の環境を整えましょう

床に置いた荷物を持ち上げる動作は腰部に負担がかかりやすいため、持ち上げやすい高さ(腰の高さほどの台の上)に荷物を置けるようにスペースを設けましょう。

腰痛がある人は状態を悪化させないために、腰痛がない人も腰痛予防として、ぜひ実践してみてください。

それでは、次回のブログも楽しみにしていてください♪

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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