はじめまして、作業療法士の坪井です。皆さんは
「最近、肩を動かすと痛くなってきた……」
「腕が上がらなくなった……」
「夜に肩が痛くて寝られない……」
このような症状でお悩みではないですか?
これらの肩の痛みや動かしにくさの原因の一つに肩関節周囲炎があります。
一般的に「四十肩」「五十肩」と呼ばれており
- 髪を整える
- 服を着替える
- 背中に手をまわす
など日常生活のさまざまな場面で影響を及ぼします。
そこで今回は、肩関節周囲炎の原因や症状、具体的にどんなことをすると良いのかお伝えしていきますので是非、最後までご覧ください。
そもそも肩関節周囲炎とは・・・
日常生活では「四十肩」「五十肩」と呼ばれることが多々ありますが、これらは「肩こり」「ぎっくり腰」と同じ俗語であり、正式な病名が「肩関節周囲炎」になります。
中年以降、特に50歳代に多くみられ、その病態は多彩です。
関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などは加齢とともに血流や柔軟性が低下したり修復力が変化します。
そこに肩を使い続けることや、負担がかかることで組織に炎症が生じます。また、肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります。
肩関節周囲炎は広義の意味で上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性肩板炎、肩峰下滑液包炎などの肩周囲の疾患を含んでいる場合もあります。

主な症状
主症状は3種類に分類される痛みと運動制限です。
1.安静時痛―何もしていなくても痛い
腕を下ろしている時や椅子に座っているだけでもジンジン、ズキズキと痛みを感じる事があります。
肩関節周囲炎の初期に多いです。
2.動作時痛―肩を動かすと痛い
洗濯物を干す、服を着替えるなどの動作をしたときに痛みが出ます。他にも骨と骨の間の隙間が狭くなり、中の腱が挟まれることで痛みを誘発することもあります。
3.夜間痛―夜になると痛い
炎症によるプロスタグランジンなどの物質が増加し痛みを感じる神経が過敏になります。睡眠中は同じ姿勢が続くため肩に圧迫や引っ張られる力が加わりやすくなります。そのため、日中では気にならない程度の痛みも夜間は強く感じるようになります。
運動制限
頭より高いところに手が届かない、髪が結べない、腰まで手が回せないなどの制限が起こります。動かすと痛むからと言って動かさないままにしていると筋肉や腱、関節包が拘縮してしまい思うように動かせなくなってしまいます。
病期について
肩関節周囲炎の病期は炎症期→拘縮期→回復期の流れを辿ることが多いとされています。
1.炎症期
比較的強い痛みが特徴的です。先ほどご説明した夜間痛が出現したり、安静時にも痛みを感じるなどの症状が見られます。数日から数週間、長い方は数ヶ月続くこともあります。
この時期の積極的な運動は症状を長引かせてしまうことがあるので軽めのストレッチで筋肉の緊張をほぐしたり、電気やホットパックで痛みを抑えることが推奨されています。
2.拘縮期
この時期は強い痛みが落ち着き、運動制限が目立つようになります。炎症も軽減してくるため徐々に運動を行い、筋力改善や可動域の向上を目指します。併せて早期からの疼痛軽減、拘縮の進行を和らげるために自主トレを行うこともあります。
3.回復期
痛みや運動制限が次第に改善していき回復に向かう時期です。主症状は拘縮期と同様に運動制限であり、負荷のかけた筋力訓練や徒手的な可動域訓練を中心にリハビリを行います。
日常生活でも手を使用していくことで回復が促進されますので積極的に動かして行きましょう。ごく稀ですが回復期でも拘縮が残る場合は手術が検討される事があります。
夜間痛に対して
夜間痛は当院でも多くの患者様が悩まされている症状の一つです。この痛みを和らげるためには、ポジショニング(寝るときの姿勢)がかなり重要になってきます。
①なぜポジショニングが重要なのか
夜間は寝ている間に痛い側を下にして肩を圧迫していたり、腕が体から離れた状態で長時間固定される事が起こりやすいため痛みを感じやすくなります。
そのため、寝ている間に肩へかかる圧迫や牽引を減らし、肩周囲の筋肉がなるべくリラックス出来る位置を作ることがポイントです。
②良いポジション
肩に痛みが少なく、無理な力が加わらない位置を探します。仰向けの場合は肘から前腕の下に枕を入れる方法です。ここに枕やクッションを入れると肩に腕の重さがかかりにくくなります。また、肘を軽く曲げることで楽になる人もいます。
悪いポジション
代表的なのは痛い方の肩を下側にして寝る事です。体重で圧迫されるため痛みは強くなる事があります。
また、脇を広げて体から離した状態も関節包や筋肉に負荷がかかるため痛みに繋がりやすいです。
④枕を入れる場所

- 痛い側の肘の下に枕やクッションを入れ、肩より少し高くする
- 肘は軽く曲げてお腹に乗せる
- お腹の上にクッションを入れて前腕を支える
この時に注意したいポイントは肩の真下にクッションを入れないことと、肘の位置を高くしすぎないことです。肩の真下に入れると持ち上げすぎてしまったり、力が入ってしまう事があります。
また、肘を高くしてしまうと肩がすくんでしまうため自然に支えられる位置が理想です。
自主トレについて
肩の痛みが強い時期には、肩に力を入れずに行える「振り子運動」がおすすめです。

- 足を前後に開きます
- 肩の力を抜き、痛い方の腕を前に垂らしながら、ゆっくりおじぎをします(椅子や机に手を突くと楽です)
- 身体を前後に揺らし、腕を振り子のように動かします(30秒程度)
- これを10回繰り返します
拘縮期で肩の動きが制限される時期は「棒体操」が有効です。

- 両手で棒を持ちます
- 健康な方の手で棒を上げて行き、痛みのある方も同時に動かします
- 肩が痛くならないところまであげたら、ゆっくり下ろします
- これを10回繰り返します
最初は回数を少なめにし、徐々に回数を増やして行きます。肩幅より長めの棒(タオルで代用可能)を使用し痛みのない方の手の力を借りて動かす事ができるため脱力した状態で肩の可動域を広げる事ができます。
痛みが大幅にほぼ消失した回復期では、「筋力トレーニング」を進めていくことが重要です。
下の写真は肩のインナーマッスルである棘下筋と小円筋を鍛えられます。

- 仰向けで脇を締め、肘を90度に曲げます
- 肘を体につけたまま手を外側に開いて行きます
- 開いたところで少し止めてからゆっくり戻します
- これを10回繰り返します
肩のインナーマッスルは腕を動かす際に、上腕骨頭を適切な位置で保持する作用があります。しかし、インナーマッスルの筋力が低下すると、この作用が破綻するため肩周囲の組織に負担がかかるようになります。
今回はゴムバンドで実施しましたが、ゴムバンドが無ければ使わなくなったストッキングでも代用できます。
終わりに
肩関節周囲炎は「頑張って運動をすれば早く治る」というわけではありません。痛みが強い時期に無理な運動をすると、炎症が増悪する場合があります。
- 痛みが強い時期(炎症期)→ 軽めの運動を行う
- 肩が硬い時期(拘縮期)→ 動く範囲を広げる
- 回復してきた時期(回復期)→ 筋力をつける
というように肩の状態に合わせて適切な病期に併せた適切な運動を行う事が重要になります。
また、肩の痛みが続く場合や夜間痛が強い場合は自己判断で運動を続けず医療機関を受診するようにして下さい。
次回のブログもお楽しみに
