電気療法 ~なんで電気を使うの?~

こんにちは!理学療法士の松岡です。

今年は寒い時期が長かったですが少しずつ暖かくなり、涙とくしゃみが止まらない季節が来ましたね。毎年、前年の花粉量の何倍と聞きますがどこまで増えるんでしょうね?

さて、今回は当院のリハビリ機器をご紹介します。

当院のリハビリには、徒手療法と物理療法を用いています。

徒手療法とは、セラピストが手で行うマッサージやリラクゼーション、運動などのことです。当院の理学療法士や作業療法士が手で行うため、患者様にとても評判が良いです。

では、物理療法とは?

『電気・温・寒熱・水・光線・力などの物理的エネルギーを生体に対応することによって、その機能の活性化と恒常性の維持・改善などを図ること』と定義されています。

簡単に言うと、自然界や人工的な物理的エネルギー(電気、温熱、水etc.)を使うことによって、骨や筋肉や血流などに影響を与えて身体を良くしようとすることが物理療法なのです。

他院でもよく使用されていますので、皆様に一番馴染みがある物理療法は電気ではないかと思います。ですので、今回は電気療法についてご紹介したいと思います。

当院で使用している電気機器はこちらです。

目次

痛みの軽減を目的とした機器

干渉波
干渉波
IVIS
IVIS
低周波
低周波

ℚ.なぜ電気をかけると痛みが軽減されるのでしょうか?

門制御理論(gate control theory)内因性オピオイド系が関係しているとされています。

人の身体には、痛みを脳に伝達する神経と細胞があります。それらを通じて痛みの情報が脳に入ることで痛みを感じます。そこで、痛い部位に電気をかけると痛みを伝達する神経と細胞の働きを抑えることができるため痛みを感じにくくなります。これを門制御理論(gate control theory)と呼びます。

また、電気をかけることにより身体の中で内因性オピオイドという物質が放出され、体内のある物質と結合することで、鎮痛効果のあるモルヒネに似た作用をもたらされるといわれています。以上のことで痛みが軽減されます。

ℚ.なぜ電気をかけると筋力低下や麻痺などが改善されるのでしょうか?

通常、筋肉は脳からの電気刺激によって収縮します。ですが、脳卒中や骨折などで寝ている期間が長くなったり、麻痺などが生じると筋肉がやせ細ったり、脳からの刺激が筋肉に伝わらなくなります。

そこで、電気刺激を脳からではなく皮膚から直接筋肉に伝えることによって筋肉を収縮させることができます。使いづらくなった筋肉も強制的に筋力強化することができるため、筋力低下や麻痺などに有効です。

その機器が当院で使用でき、様々な研究や病院で使用されているIVISです。

(原 行弘:機能的電気刺激を用いた脳 可塑性を生かすニューロリ ハビリテーション 参照)
(原 行弘:機能的電気刺激を用いた脳 可塑性を生かすニューロリ ハビリテーション 参照)

IVISの特徴は、①装着・操作が簡単で毎日長時間使用可能、②脳から筋肉への電気刺激がスイッチになっている、③筋肉に対して脳からの電気刺激の測定と機器からの電気刺激を同時に行うため誤動作がないことです。

つまり、手首を反らす動作をする場合は、通常脳から手首を反らす筋肉に電気刺激が送られますが、その電気刺激を機器が受信して、同時に機器からも手首を反らす筋肉に電気刺激を送るため効率よく筋力強化や麻痺改善のトレーニングを行うことができるのです。

また、電気に関連して当院では脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation: SCS)の手術も実施しています。

ℚ.脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation: SCS)とは?

微弱な電気を脊髄に流すことによって痛みを和らげる治療法です。対象となる方は様々で、脊椎手術後の神経性の痛み、腰部脊柱管狭窄症、末梢神経障害の痛み、脊髄損傷、脳卒中後の痛みなど、他にもたくさんあります。

(図・文 一般社団法人 日本定位・機能神経外科学会参照)
(図・文 一般社団法人 日本定位・機能神経外科学会参照)

この治療は、手術を行い電極を体に埋め込みます。トライアル期間があるため、効果が感じられなかったり、治療が不要になった際は元の状態に戻すこともできます。

痛みを和らげることで、これまで服用していた薬を減らし、副作用の軽減も期待できます。電気の力で少しでも安定した活動的な生活を送る事を目指す治療です。

様々な機械があるように周波数帯や電気の強さなどによって、対象者や電気治療の効果が変わります。

なお、ペースメーカーを装着されている方や妊婦、皮膚疾患、傷口などには使用できません。気になる方は、ぜひ当院のリハビリとともにリハビリスタッフにご相談ください。

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医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

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