みなさん、こんにちは。
大垣中央病院の理学療法士の稲見と申します。今回はストレッチについてお話しさせていただきます。
運動前のウォーミングアップ、運動後のクールダウンや、セルフケアとしてストレッチを行っている方は多いのではないでしょうか。
また当院にてリハビリを受け「自宅でストレッチを続けていきましょう。」と言われた方もみえると思います。
では実際に自分でストレッチを行う際、どのように行っていますか?何秒間、何回行うか、強度、頻度まで気にして行えていますか?
「インターネットで調べてもたくさんありすぎて何をやっていいかわからない。」や「本当にやり方があっているかわからない。」なんて声を聴くことがよくあります。
せっかく続けているストレッチも効果がなかなか出てこない…。なんてことになってしまってはもったいないと思います。
そこで今回はストレッチについての知識をまとめ、最後に簡単にできる下肢のストレッチをいくつか紹介させていただきます。
【ストレッチについて】特に高齢の方に多いですが、普段からストレッチを行っているがなかなか柔軟性があがらず「本当にストレッチで筋の柔軟性ってあがるの?」と疑問に思う方もみえるとおもいます。
そこではじめにストレッチの効果について文献を一つ紹介させていただきます。
こちらの研究は60秒×2回×3回/週×7週間ふくらはぎの筋肉をストレッチしたものです。
左の図が足関節の可動域、右の図がふくらはぎの筋肉の硬さを表したものです。
2 週目から関節の可動域が向上し、3 週目以降から筋肉の硬さが下がっています。(※文献 1)
こちらの研究は若年者を対象としていますが、70歳以上の方を対象とした研究では60 秒×3回×3日/週×10週で同様の結果が出ています。(※文献 2)ストレッチはこまめにコツコツ続けることが柔軟性を獲得するための近道です。
次に強度についても紹介したいと思います。
高強度群はかなり痛いと感じる程度、通常強度群はほんの少し痛みを感じる程度です。高強度群では可動域・柔軟性共にかなり改善が認められますが通常強度群においても改善は認められています。(※文献 3)強度は自分の体に合わせて調節しても効果はありますので無理せずコツコツ続けましょう。
【まとめ】個人差はありますが若年者がストレッチで筋肉の柔軟性を上げるためには 60 秒×2 回×3 回/週×4 週間、高齢者は 60 秒×3 回×3 回/週×4 週間程度のストレッチを行うのがおすすめです。ただし、無理しすぎず自分に合った強度で行うようにしましょう。
自宅でできるストレッチ紹介
【ジャックナイフストレッチ(もも裏のストレッチ)】
- 首をつかんでしゃがみます
- そのまま立ち上がり、桃浦を伸ばします
【仰向けでできるもも裏のストレッチ】
【お尻のストレッチ】
- ストレッチする側の足を 4 の字に組みます
- ストレッチする側と反対の膝を立てます
- ストレッチする側と反対の大腿を両手で自分の体に引き寄せます
【ふともも前面のストレッチ】
- うつ伏せで寝ます
- 膝を曲げます
以上、4 つのストレッチを紹介しましたが、体勢を保持することが困難な場合やストレッチしたい部位と異なる部位に痛みが出る場合などは、リハビリの先生に相談し自分に合った適切なホームエクササイズを行うようにしましょう。
参考文献
※文献 1 中村ら: Effect of a 4-week static stretch training program on passive stiffness of human gastrocnemius muscle-tendon unit in vivo Eur J Appl Physiol 2012
※文献 2 竹内ら :Acute effects of static stretching on passive stiffness in older adults Archives of Gerontology and Geriatrics 2024
※文献 3 中村ら :Comparison Between High and Low Intensity Static Stretching Training Program on Active and Passive Properties of Plantar Flexors Frontiers in Physiology 2021