はじめまして、作業療法士の山浦蓮華です。
以前、國枝先生のブログにて『作業療法士、作業療法』について紹介されていましたね。とはいえ、「結局何をする人なの?」と思っている人も少なくないと思います。
そもそも私たちリハビリ職は国家資格を取得し、働いています。
作業療法士の資格を持つ人数は2022年時点で約10万人と言われています。こうして数だけを聞くと「意外と多いんだな~」と感じませんか?
しかし、一方で理学療法士の数は約19万人と作業療法士の約2倍!…
こうしてブログを書きながら「作業療法士ってまだまだ少ないな…」と思います。
…ですが!!
オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏によると2030年までになくならない職業ランキングの第6位に作業療法士がランクインしているんです!
やはりどれだけ賢いAIも所詮は機械。相手にするのが『人』になると感情までは、まだ上手く汲み取れないのでしょうね。これからAIが普及して、色々な仕事がAIに奪われると言われている時代にこのような結果は嬉しい限りです。
ではこの後は作業療法士の具体的な仕事内容や実際のリハビリについてご紹介しようと思います。
作業療法士について
まず作業療法士についておさらいです。
作業療法とは“病気やけがなどによって、食べたり、お風呂に入ったり、仕事をしたり、遊んだり、買い物をしたり、料理をするなどが難しくなっている人を対象に、こころとからだの働きを回復すること、悪くならないようにいまの状態を保つことの手段として「作業」を行う。
日本作業療法協会より引用
これ↑が作業療法です。
人によって出来ないと困ること、やりたいこと、好きなことは絶対に違うのでお話をしながら「あなたがあなたらしく生活するために何が必要か」を知って作業療法をしていきます。
すべての作業についてお話したいところですが、日が暮れてしまうので当院で最も多い「骨折などの整形疾患」に対する作業療法に絞ってご紹介します。
けがをした日を基準に「急性期」「回復期」「生活期」という3つの段階にざっくりと分けてリハビリをします。これに関しては理学療法も同じ考え方です。
急性期
まずはベッドから起きる、座る、移動する、立つ練習をします。
すべての動作はここから始まると言っても過言ではない大切なリハビリです。もちろん関節の動きを広げたり、筋力訓練も行います。
↑これが理学療法士と混同する理由でしょうか ?
回復期
生活するために必要なトイレ動作、お風呂に入る、身だしなみを整える、料理をする、お出かけをする練習をします。「できないと困ること」や「したいこと」ができるように練習します。
生活期
住み慣れた場所で生活し続けられるように買い物に行く練習をしたり、趣味がまたできるように練習をしたり…とその人がその人らしく生活を続けることができるように支援します。
近所のお友達と井戸端会議。これだって大切な作業だと思います。
話をする体力や脚力がないと楽しい時間は過ごせませんよね?
次に皆さんがよりイメージしやすいように実際の患者様のリハビリ内容について紹介します。
Aさん、90歳代の女性です。ご自宅で転倒した際に首の神経を一部損傷し、上半身のしびれや筋力低下が残っています。加えて、元々膝が変形しており膝の曲げ伸ばしや、歩くことで足に痛みが出てしまう状態です。
この方の思いの一つが「私はお風呂が好きなんや、湯船に浸からな入った気がせーへん」
私ともう一人の理学療法士とでご自宅を訪問し、この思いを叶えるためにリハビリを行いました。
まずは、お風呂に入るために必要な膝、手の動きを維持すること、必要な筋力をつけることに取り組みました。具体的には膝は100°、手は直径約4㎝の手すりが握れる可動域を目標にしました。
次にお風呂場でお湯をはらない状態での浴槽をまたぐ練習。
どこにつかまって、どっちの足から浴槽に入るといいか。家族は何をどう手伝えばいいか。細かい動作の手順やご家族様へのアドバイスを専門職としての知識や経験をもとにお伝えし、何度も練習を行いました。
それでも
- こんなところまで足があがらない
- つかまるところがないと怖い
との声があったので、この患者さんの手の可動域からどこに手すりを付けるといいか、何㎝の台を使えば足への負担がないかを考え、導入しました。
実際に下の写真のような福祉用具をレンタルしていただきました。
『そうしてすぐにできるようになりました!』と言いたいところですが、
やはり繰り返しの練習は必要です。
何度も何度も模擬練習を行って数週間後に「お風呂入れたわ、気持ちよかった」と嬉しい報告をいただくことができました。
これはあくまでも一例です。お風呂の練習以外にもたくさんのリハビリを行っています。
最後に…
作業療法士、作業療法についてまた少し知っていただけましたか?
私自身もまだまだ毎日「作業療法ってなんだろう、どんなことができるかな?」と日々悩みながら楽しく仕事をしています。
“好きこそものの上手なれ”
まずは皆さんの好きなことを教えてください。それが作業療法への入り口です。
それでは次回のブログもお楽しみに~