骨折後の膝が曲がらない

こんにちは。理学療法士の長野浩充です。

日本では現在、オミクロン株が広まりつつあり、感染者数も少し増加傾向にありますが、スポーツ活動は以前に比べて行われています。プロスポーツの観戦者も増えています。

とても喜ばしいことで、当たり前の事が幸せに感じられるようになっています。スポーツはその人の人生を豊かにすると思っています。

スポーツによってケガをして、スポーツをあきらめる事になってしまうことはとても残念でしかたありません。

スポーツ選手に限った事ではないのですが、理学療法士の仕事は、その人の人生の今後を左右すると言っても過言ではないくらいの責任あるものと思っています。

可能な限り、あきらめずに治療していくこと、努力を惜しまないことを続けていきたいと思います。

さて、今回の選手を紹介します。

Kさん 30歳代男性 競技:野球

診断名:大腿骨外後顆骨折

担当セラピスト:長野

Q. 大腿骨外顆骨折とは?
A. 大腿骨にひねりを伴った強力な負荷がかかることによって起こる骨折です。骨折部のズレが小さい場合は、保存療法を選択。ズレが大きい場合は手術療法となります。受傷後は膝を曲げる角度が狭くなったり、痛みが残ることが多いです。

リハビリ内容・セラピストの感想
Kさんは社会人野球の試合中にフライを取ろうとして右足を出したところ、捻ってしまい大腿骨(ふとももの骨)の後外側を骨折しました。(写真①)

レントゲン写真

数日後に手術を施行され、ギプス固定となりました。関節内の骨折ということもあり、安静期間を長く設ける必要がありました。積極的な曲げ伸ばし訓練や体重をかける訓練は約3週後から開始となりました。

その後、約6週後には歩けるようにまで回復したため退院し、以後外来リハビリを現在も継続中です。

膝が曲がる角度の推移(図1)をみるとかなり角度の回復は緩やかで、過去の症例報告などをみても、健側と同じような角度を獲得できたという報告は少ないです。

膝の曲がる角度の推移

現在、私たちのリハビリでは膝の角度の改善を目的に、主に太ももや膝のお皿回りの組織の癒着(くっつき)や硬さを取るストレッチやリラクゼーション(写真②)、重りにより持続的に関節に負荷をかけること(写真③)を重点的に行っています。

ストレッチやリラクゼーション(写真②)
重りにより持続的に関節に負荷をかけること(写真③)

この日のリハビリ前の膝の曲がりは103°、膝の伸びはー13°、リハビリ後の曲がりは108°、伸びはー8°と屈伸ともに5°程度の改善がみられました。(写真④)

リハビリ前、リハビリ後での膝の曲がり・膝の伸びの比較

膝周囲の軟部組織は、受傷や長期の固定により予測よりも癒着がかなりひどく、角度の改善に苦労しています。しかし、毎回のリハビリの少しの改善を積み重ねる事によってより大きな角度を獲得できるようにがんばっています。

また、筋力低下も著しいため、筋力訓練や動作訓練を通して、将来的にはスポーツ復帰が可能と考えています。

時期的に3月の社会人リーグ再開の頃の復帰を目標としていますが、現段階では少し遅れています。Kさんは毎日のように来院されとても努力されています。今後もKさんと一緒に努力を積み重ねていきたいと思います。3月にまた良い報告ができるように精一杯リハビリしていきます。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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