こんにちは。理学療法士の長野浩充です。
オリンピックがもうすぐ開催されますね。前代未聞のコロナ渦での開催ということで、どんなイベントになるのか想像もつきませんが、不安半分、楽しみ半分といったところでしょうか。日本という国や人を信じたいと思います。
私は、ブログを書く時に、感動したスポーツ選手の名言を毎回紹介してきました。今日からは私が日々感じていることや大切にしていることを書いていこうと思います。
理学療法士は、患者様に触れ、会話し、治療をする仕事です。入院や外来、訪問の患者様、若年者から高齢者の方まで幅広い年齢の方と接しているのですが、最近よく思うのは、大事なことは今の状態がどれだけ悪いかということではなく、今の状態からどれだけ前に進もうとしているかだと思います。
病気やケガをしてしまった方は、今現在の状態を受け入れられず、悩み、将来の不安を強く感じます。しかし、自分のためにそこから少しずつ必ず前を向かなければなりません。どんな重い病気やケガでも受け入れ、前を向いている方は良い人生を送れると思いますし、周りの人を幸せにする力があると思います。
理学療法士は患者様が前向きな気持ちになるようにサポートしていく仕事でもあると感じています。
では今回の選手を紹介したいと思います。今回のケガは私もケガしたことのある足の小指の骨折です。
Oさん 10歳代女性 競技:薙刀(なぎなた)
診断名:第5中足骨骨折 担当セラピスト:長野
Q. 第5中足骨骨折とは?
A. 足の小指の骨折の事です。別名Jones骨折です。足を内側にひねったときに小指に急激な負荷がかかり骨折します。骨が疲労して骨折することもあります。骨折部位は血流が乏しく、骨がくっつきにくく、偽関節(折れた骨がくっつかずに異常な関節を形成してしまうこと)になりやすいだけでなく、いったん治っても再骨折しやすいという特徴をもっています。早期に確実な復帰を必要とするアスリートにおいては手術が選択される事が多いです。競技復帰にかかる期間は、保存療法では約3ヶ月、手術療法では約2ヶ月です。
リハビリ内容・セラピストの感想
Oさんは今回、薙刀(なぎなた)の部活中ではなく、学校の体育のバトミントン中に小指の骨を骨折しました。骨がくっつき始めるまでギプス固定を2週間しました。
そのため足首は硬くなり、お尻や太もも、ふくらはぎの筋肉はやせ細ってしまいました。ギプスが外されてからは骨のくっつきを妨げないように、ストレッチや筋力訓練を行い、徐々に柔軟性や筋力を取り戻していきました。
しかし、1ヶ月が経った頃に、部活中に足首を何度もひねってしまい、骨折部に痛みを再発させていました。レントゲン上、骨のくっつきがみられなかったため、部活動を痛みがない範囲で行うように指導しました。
その後、痛みをみながら足首を捻らないような筋力訓練(写真①)やつま先からの踏み込み訓練(写真②)、ステップ練習(写真③)を集中的に行いました。踏み込み動作訓練は通常かかとから接地するのですが、薙刀の競技特性上、つま先接地で行ないました。
そして競技再開には必ず、骨折した小指が巻き込まれないようにするためのテーピングとアンクルクロスを徹底して行うように指導しました。写真はOさん自身でテーピングを巻いたものです。かなり上手になっています(^^♪(写真④)
現在は、多少の痛みは残存していますが、骨はレントゲン上でくっつきを認め、テーピングをして全力で競技に取り組むことができています。競技中に足首をひねることもなくなりました。
今回、折れた骨がなかなか順調にくっついてこなかった原因として、大会が近かったため、筋力が回復していない状態で競技復帰を中途半端にしてしまったことが考えられます。パフォーマンスも低下していました。
またOさんに足首をひねると再骨折をする可能性があるとしっかり伝えきれていませんでした。ひねるリスクがある状態(筋力が不十分な状態)で競技復帰をしてしまったことは良くなかったと思います。
今は骨折する前から痛みがあったシンスプリントのケアをしながら競技を続けている状態ですが、前向きに全力で競技に参加することができているためホッとしています。
そして大会の報告を聞いたり、将来の話なども話したりするようになり保護者のような気持ちになっています。(笑) 良い形で、リハビリを終えられるように今後もサポートしていきたいと思います。
Q.当院のスポーツリハビリはいかがでしたか?
A. 早くケガを治すために、色々なトレーニングや対策を一緒に考えて下さり、安心して競技を続ける事ができたので、とてもよかったです。