肩から指先までの「上肢」は、日常生活のあらゆる動作に関わる重要な部位です。書字や食事、身だしなみを整える、スマートフォン操作など、私たちの生活は上肢の機能に大きく依存しています。
大垣中央病院の整形外科では、こうした上肢に関わる様々な痛み、しびれ、動きの制限、変形などの症状に対して、専門的な診療を行っています。
こんな症状はご相談ください
以下のような症状でお悩みの方は、当院整形外科にご相談ください。
- 肩や腕を上げると痛い
- 夜間に肩や腕が痛くて眠れない
- 肩が固まって動かしにくい
- 肘の外側や内側に痛みがある
- 手首を動かすと痛みがある
- 指が引っかかる感じがする
- 指が曲がったまま伸びない
- 親指の付け根が痛い
- 手のひらに硬いこぶができた
主な上肢疾患
肩関節の疾患
石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)
肩の腱板に石灰(カルシウム)が沈着し、激しい痛みを引き起こす疾患です。特に夜間の痛みが強く、腕を動かせないほどの痛みが生じることもあります。
治療には消炎鎮痛剤の内服や注射療法、超音波ガイド下での石灰吸引などを行います。
肩腱板断裂
肩関節の動きを支える腱板(4つの筋肉の腱)が断裂する疾患です。加齢や外傷が原因となります。肩の痛みや、腕を上げる力が弱くなるなどの症状が現れます。
治療は断裂の程度によって、保存療法から手術まで様々な選択肢があります。
肩峰下インピンジメント症候群
肩を挙げた際に、肩峰(肩甲骨の一部)と上腕骨の間で腱板が挟まれ、炎症を起こす状態です。腕を挙げる動作で痛みが生じます。
治療には姿勢指導、運動療法、消炎鎮痛剤、注射療法などを行います。
五十肩(凍結肩)
肩関節の関節包が炎症を起こし、硬くなることで、肩の動きが制限される疾患です。50歳前後に多いことから「五十肩」と呼ばれます。
治療には消炎鎮痛剤、物理療法、運動療法などを行い、症状の緩和と関節可動域の回復を目指します。
肩峰下滑液包炎
肩峰の下にある滑液包(関節の動きをスムーズにする袋状の組織)に炎症が生じる疾患です。肩を動かした際の痛みや、夜間痛が特徴です。
治療には消炎鎮痛剤、注射療法、物理療法などを行います。
肘関節の疾患
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
肘の外側に痛みが生じる疾患です。前腕の筋肉が付着する部分に負担がかかり、炎症が起こります。テニスのバックハンドストロークなどの動作で痛みが誘発されることが多いですが、テニス選手でなくても発症します。
治療には休息、アイシング、消炎鎮痛剤、装具療法などを行い、難治例では注射や手術を検討します。
上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
肘の内側に痛みが生じる疾患です。前腕の筋肉が付着する部分に負担がかかり、炎症が起こります。ゴルフのスイングなどの動作で痛みが誘発されることが多いですが、ゴルフ選手でなくても発症します。
治療には上腕骨外側上顆炎と同様に、休息や消炎鎮痛剤などを中心に行います。
手首と手の疾患
腱鞘炎(けんしょうえん)
腱とその鞘(さや)に炎症が起こる疾患です。手首や指を動かす際に痛みやひっかかり感が生じます。
代表的なものにドケルバン病やばね指があります。
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
親指の付け根から手首にかけての部分に痛みが生じる腱鞘炎です。特に親指を動かしたり、手首をひねったりする動作で痛みが増強します。
治療には安静、固定、消炎鎮痛剤、ステロイド注射などを行い、必要に応じて手術を検討します。
ばね指(弾発指)
指の屈筋腱とその鞘の間に炎症が起こり、指の曲げ伸ばしの際に引っかかりや「バネ」のような現象が生じます。朝の症状悪化や、進行すると指が曲がったままになることもあります。
治療には安静、消炎鎮痛剤、ステロイド注射などを行い、改善しない場合は腱鞘切開術を検討します。
強剛母指
親指の関節が硬くなり、動きが制限される状態です。特に母指CM関節(手の付け根にある親指の関節)の変形性関節症が進行すると生じることがあります。
治療には装具療法、消炎鎮痛剤、関節注射などを行い、必要に応じて手術を検討します。
マレット変形・槌指(ついし、つちゆび)
指の先端の関節(DIP関節)を伸ばす腱が断裂または付着部から剥がれることで、指先が曲がったままになる状態です。スポーツや作業中の外傷で生じることが多いです。
治療には装具による固定が基本ですが、骨折を伴う場合や保存療法で改善しない場合は手術を検討します。
デュプイトラン拘縮(こうしゅく)
手のひらの筋膜が肥厚・短縮し、指(特に薬指や小指)が次第に曲がってきて伸ばせなくなる疾患です。中高年の男性に多く見られます。
軽度であれば経過観察を行いますが、日常生活に支障がある場合は手術を検討します。
多指症(多趾症)
生まれつき指(または趾)の数が通常より多い先天異常です。余分な指の大きさや形、機能は様々で、完全に形成された指の場合もあれば、小さな突起程度の場合もあります。
治療は、余分な指の状態や機能、美容的な側面を考慮して判断します。通常は手術によって余分な指を切除し、必要に応じて残した指の機能や外観を改善する処置を行います。
手術の時期は、多くの場合6か月から1歳頃が適しています。
診断・検査
当院では、以下のような検査を組み合わせて、正確な診断を行います。
問診・診察

症状の経過や日常生活での困難点を丁寧に聞き取り、的確な診察を行います。
レントゲン検査

骨や関節の状態を評価します。
超音波検査

腱や神経、関節周囲の状態を非侵襲的に評価できます。
MRI検査

必要に応じて、軟部組織の詳細な評価を行います。
電気生理学的検査

神経障害の評価のために、神経伝導速度検査を行うことがあります。
血液検査

炎症の程度や、関連する全身疾患の評価のために行います。
治療方法
多くの上肢疾患は、まず保存療法から開始します。
保存療法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、神経障害性疼痛治療薬など
関節や腱の保護、機能改善のための装具を使用します
ステロイド注射、ヒアルロン酸注射など
- 物理療法(温熱療法、電気療法など)
- 運動療法(ストレッチ、筋力強化、関節可動域訓練など)
- 作業療法(日常生活動作の改善訓練など)
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合や、症状が重度の場合は手術を検討します。
- 関節鏡視下手術:低侵襲で行える関節内の手術です
- 腱板修復術:断裂した腱板を修復します
- 腱鞘切開術:ばね指、ドケルバン病などに対して行います
- 靭帯再建術:断裂した靭帯を修復します
- 関節形成術:変形した関節を修復します
- 関節固定術:重度の関節症などに対して行います
当院では、患者様の状態に合わせて適切な手術方法を選択します。可能な限り低侵襲な手術を心がけ、早期の社会復帰を支援します。