加齢に伴う軟骨のすり減りと変形性膝関節症!膝のクッション機能を守るための知識

膝の軟骨は、年齢を重ねるほど少しずつすり減っていきます。この加齢に伴う変化が長い時間をかけて進むと、やがて変形性膝関節症へとつながっていきます。
すり減った軟骨は自然には元の厚みへ戻りにくく、衝撃を吸収するクッションの働きが弱まってしまいます。だからこそ、早い段階から膝の負担を軽くする心がけが役に立ちます。
なぜ年齢とともに軟骨がすり減るのか、その先で膝に何が起きるのか、進行を遅らせるために毎日できることは何か。中高年の方に知っておいてほしい要点を順にまとめました。
痛みの感じ方や進み方には個人差が大きく、気になる変化が続くときは自己判断せず整形外科で相談すると安心です。
加齢で膝の軟骨がすり減るのはなぜか
年齢を重ねると軟骨がすり減りやすくなるのは、軟骨そのものが生まれ変わる力が加齢で落ちていくためです。長年の使いすぎだけが原因ではなく、組織の質の変化が下地にあります。
軟骨は血管がなく再生しにくい組織
膝の軟骨は、骨の表面をおおう厚さ数ミリの弾力に富んだ組織です。関節が滑らかに動き、曲げ伸ばしのたびに衝撃が吸収されるのは、この薄い層のおかげにほかなりません。
ところが軟骨には血管も神経もリンパも通っていません。栄養は関節を満たす液からしみ込むように届くだけで、傷んでも自分の力で修復するはたらきがとても弱い組織だと分かっています。
すり傷が数日でふさがる皮膚とは、この点が大きく異なります。軟骨は一度削れると元の厚みへ戻りにくく、削れたところがそのまま残って積み重なっていくといえます。
だからこそ、一度傷んだ軟骨を元どおりにするより、今ある軟骨をどう保つかという発想が現実的になってきます。すり減りを遅らせる手立てを早めに知っておくと、後々の膝の状態に差が出てくるでしょう。
加齢で軟骨の水分と弾力が失われていく
軟骨がすり減りやすくなる下地には、加齢による質の変化があります。若いころに比べ、年齢を重ねた軟骨は水分を抱え込む力と、押し返すしなやかさが少しずつ落ちていきます。
軟骨の大部分は水分で、その水を網目のような成分がしっかり抱えることで弾力が保たれています。加齢でこの網目の成分が減っていくと、乾いたスポンジのように弾力が弱まってしまうのです。
軟骨を守り育てる細胞のはたらきも、年齢とともにゆるやかになります。傷んだ部分を作り直す速さが日々の摩耗に追いつかず、すり減りが表面に現れやすくなっていくでしょう。
中高年で変形性膝関節症が増えていく背景
変形性膝関節症は年齢とともに増える病気で、その中心には長年の軟骨のすり減りがあります。六十歳を過ぎると膝に症状をかかえる方の割合が一段と高まると報告されています。
年齢が上がるほど、それまで膝を使ってきた時間も積み重なっていきます。立つ、歩く、階段を上り下りするたびに軟骨はごくわずかにすり減り、その総量が効いてくるわけです。
女性は閉経の前後でこの傾向が強まりやすいことも知られています。ホルモンの変化が関節に影響すると考えられ、同じ年代でも男性より膝の不調を訴える方が多いのが実際です。
若いころと年齢を重ねてからの軟骨を並べると、変化の向きがはっきり見えてきます。
| 項目 | 若いころの軟骨 | 年齢を重ねた軟骨 |
|---|---|---|
| 水分と弾力 | 豊富でしなやか | 減ってこわばりがち |
| 修復する力 | 比較的よくはたらく | ゆっくりで追いつきにくい |
| 表面のなめらかさ | つるつるしている | ざらつきが出てくる |
| 厚み | 保たれている | 少しずつ薄くなる |
右の列へ進むほど、軟骨はすり減りやすい状態に近づいていきます。加齢そのものは止められないとしても、負担を減らす工夫で進み方をゆるやかにする余地は十分にあります。
軟骨のすり減りで失われる膝のクッション機能
軟骨がすり減って怖いのは、膝が本来もっているクッションの働きが弱っていくからです。衝撃を受け止める層が薄くなるほど、その負担は下の骨や周りの組織に回っていきます。
軟骨と半月板が衝撃を吸収する仕組み
膝には、体重や着地の衝撃をやわらげる二重の備えがあります。骨の表面をおおう軟骨と、その骨のあいだにはさまる半月板が、力を受け流すクッションの役目をはたしています。
歩くときでさえ膝には体重の数倍の力がかかるといわれています。階段の上り下りや小走りではその力はさらに大きくなり、軟骨と半月板が分散させてくれるおかげで骨は守られています。
クッションが十分にはたらいているうちは、多少の無理をしても膝はなかなか痛みを出しません。なめらかな軟骨の表面が、静かで動きやすい膝を陰から支えているといえるでしょう。
軟骨のクッションは、意識されないほど当たり前にはたらいてくれる存在です。その恩恵は失われて初めて実感されることが多く、だからこそ早めに気づいて守っておく価値があるといえます。
すり減ると骨どうしが近づき負担が増す
軟骨がすり減っていくと、上下の骨のあいだにあった隙間がだんだん狭まっていきます。レントゲンでこの隙間の狭さを見れば、すり減りがどこまで進んだかがおおよそ読み取れます。
隙間が狭くなると、膝を動かすたびに骨と骨が近い距離でぶつかるようになります。クッションが薄い分だけ衝撃が骨に直に伝わり、関節の一部分に力が集中してしまうのです。
力が一か所に偏ってかかると、その場所の軟骨がさらに削れる悪い流れが生まれます。すり減りが次のすり減りを呼ぶような形で、変化がじわじわと進んでいくといえます。
骨棘や炎症が痛みを生む
すり減りが進むと、削れた軟骨のかけらが関節の中に散らばることがあります。これが刺激となって関節を包む膜に炎症が起き、腫れやこわばり、熱っぽさとして表に現れてきます。
骨どうしがぶつかる負担が続くと、骨は身を守ろうとして縁にトゲのような出っぱりを作ります。これが骨棘と呼ばれるもので、関節の動きを妨げたり痛みの引き金になったりします。
痛みの強さと軟骨のすり減り具合は、必ずしも一致するわけではありません。すり減りが目立っても痛みが軽い方もいれば、その逆の方もいて、感じ方には大きな幅があるといえます。
クッションがはたらく膝と、すり減りが進んだ膝の違いを並べて整理します。
| 項目 | クッションが保たれた膝 | すり減りが進んだ膝 |
|---|---|---|
| 骨のあいだの隙間 | ゆとりがある | 狭くなっている |
| 歩いたときの衝撃 | 吸収されて分散する | 骨に直に伝わる |
| 関節の炎症 | 起きにくい | 腫れや熱をもちやすい |
この違いは一日で生まれるものではなく、長い年月をかけて少しずつ広がっていきます。だからこそ、早い時期からの心がけが、のちの膝の状態を左右する差になってあらわれるでしょう。
加齢以外に軟骨のすり減りを早める要因
すり減りの速さを決めるのは、年齢だけではありません。体重や筋力、膝の使い方といった加齢以外の要因が重なると、軟骨は年齢の数字以上に傷みやすくなっていきます。
| 要因 | 膝への影響 | 見直しの方向 |
|---|---|---|
| 体重の増加 | 一歩ごとの負担が増える | 少しずつ減量する |
| 筋力の低下 | 衝撃を吸収しきれない | 太ももを中心に鍛える |
| 膝の使い方 | 一部分に力が集中する | 正座や深い曲げを控える |
| 過去のけが | 傷んだ面が残りやすい | 無理をせず経過をみる |
どれも一つや二つは心当たりがあるものばかりです。これらは互いに絡み合い、重なるほど負担が積み上がりますが、一つ減らすだけでも膝を守る側に働いてくれます。
体重が膝にかける負担
体重は、軟骨のすり減りに最も強く影響する要因の一つです。歩くだけで膝には体重の数倍の力がかかるため、ほんの少しの増加でも膝にとっては大きな上乗せになってしまいます。
太りぎみの方が体重を落とすと、膝の痛みや動きにくさが和らいだとする研究があります。数キロ減らすだけでも、膝にかかる負担はそれ以上の割合で軽くなると考えられています。
急にやせる必要はありません。食事の見直しと軽い運動を組み合わせ、月に少しずつ落としていくやり方のほうが、膝にも体にも無理がなく続けやすいでしょう。
周りの人と比べて一喜一憂する必要はありません。今の体重から少し軽くすること、その一歩こそが膝の軟骨を守る確かな行動につながっていくといえるでしょう。
筋力の低下と衝撃の吸収
膝を支える筋肉が弱ると、軟骨のすり減りは進みやすくなります。太ももの前側の筋肉は着地の衝撃を吸収する働きをもち、この力が衰えると負担がじかに関節へ伝わるためです。
膝を伸ばす筋力が弱い人ほど、その後に変形性膝関節症を起こしやすいという報告があります。筋力は加齢とともに自然に落ちていくので、意識して保つ心がけがものをいってきます。
裏を返せば、筋肉は年齢を重ねてからでも、鍛えれば応えてくれる部分です。膝の軟骨そのものは戻せなくても、それを支える力なら取り戻せる見込みが十分にあります。
膝の使い方や過去のけが
日々の膝の使い方も、すり減りの速さに大きく関わってきます。正座や和式トイレのように膝を深く曲げる姿勢は、関節の一部分に強い力が集まりやすい使い方だといえます。
若いころのスポーツや事故で半月板や靭帯を痛めた経験も、のちの変形性膝関節症につながる場合があります。傷んだ面が残り、そこを起点にすり減りが広がりやすくなるためです。
O脚のように脚の形にくせがある場合も、膝の内側へ負担が偏りがちになります。自分の膝がどんな条件を抱えているかを知っておくと、気をつけるべき点が見えてきます。
膝のクッション機能を守る運動と軟骨への負担の減らし方
膝のクッション機能を守るうえで、運動はやめるよりも続けるほうが理にかなっています。動かさずにいると膝を支える筋肉が落ち、かえって軟骨への負担が増えてしまうからです。
太ももの筋肉を鍛えて軟骨の負担を減らす
膝を守る運動の柱になるのは、太ももの前側の筋肉を鍛えることです。この筋肉がしっかり衝撃を受け止めてくれる分だけ、軟骨に回っていく負担が軽くなっていきます。
あお向けで脚をまっすぐ伸ばし、ゆっくり持ち上げて下ろす運動なら、膝を深く曲げずに筋肉を働かせられます。痛みの出にくいやり方で、家の床でも取り組みやすい方法です。
いすに腰かけて片脚ずつ膝を伸ばす動きも手軽です。回数を急いでこなすよりも、伸ばしきったところで数秒とめる意識をもつほうが、筋肉にはよく効いてくれるでしょう。
取り入れやすい筋トレの例
- あお向けで脚を伸ばして上げ下げする
- いすに座って片脚ずつ膝を伸ばす
- 壁を背にして浅く腰を落とす
- かかとの上げ下げでふくらはぎも使う
どれも痛みが強い日には無理に続けないほうがよいでしょう。少ない回数から始め、膝の様子をみながら日をかけて増やしていくと、安全に続けられます。
膝にやさしい有酸素運動の選び方
筋トレとあわせて、膝への負担が少ない有酸素運動を組み合わせると効果が高まります。運動によって膝の痛みや動きにくさが和らいだとする研究は、数多く積み重なっています。
おすすめは、水中歩行や自転車こぎのように体重が膝に乗りきらない運動です。浮力やサドルが体を支えてくれるため、関節をいたわりながらでも心肺をしっかり動かせます。
ウォーキングを選ぶなら、平らな道を選び、底にクッション性のある靴をはくと膝が楽になります。長い時間を一度に歩くより、短い時間を何回かに分けるほうが続けやすいでしょう。
大切なのは、きつさよりも続けられるかどうかです。息が少しはずむくらいの強さを目安に、好きな運動を無理なく生活へ組み込んでいくと、膝を支える力が保たれやすくなるでしょう。
正座や深いしゃがみを避ける動作の工夫
膝を深く曲げる姿勢を減らすだけでも、軟骨への負担はずいぶん変わってきます。正座や和式の姿勢は膝の一部分に力が集まりやすく、すり減りを早める向きに働いてしまうためです。
床に座る暮らしを、いすやベッドを使う暮らしへ切り替えるのも一つの手です。立ち座りの多い台所や玄関に手すりや台があると、膝をいたわりながら動けます。
重い荷物を持って階段を下りる動きも、膝には強い負担をかけます。荷物を小分けにする、手すりを使う、一段ずつ下りるといった工夫で、日々の衝撃はやわらいでいきます。
軟骨のすり減りを進ませない毎日の生活習慣
特別なことをしなくても、毎日の暮らし方しだいで軟骨のすり減りはゆるやかにできます。体重、体の冷え、足もとの選び方の三つは、今日からでも見直せる身近な要因です。
体重管理が膝を守る近道
膝を長く保ちたいなら、体重を整えることが遠回りのようでいて近道になります。一歩ごとにかかる負担が軽くなり、軟骨がすり減っていく勢いをおさえられるからです。
食事は量を一気に削るより、揚げ物や甘い飲み物を少し控えるところから始めると続きます。腹八分を心がけ、よくかんでゆっくり食べるだけでも、食べすぎは防ぎやすくなっていきます。
体重計に毎朝乗る習慣も、小さな変化に早く気づく助けになります。増えたら少し戻す、その小さな調整の積み重ねが、膝の負担を左右していくことになるでしょう。
数字が増えても、あわてて食事を抜くのは考えものです。極端な制限は長続きしにくく、筋肉まで落ちて膝に響くこともあるため、ゆるやかな調整のほうが向いているといえます。
冷えを防いで膝の血流を保つ
膝まわりの冷えも、すり減りを進ませないためには見逃せない点です。冷えて血の巡りが落ちると、軟骨に栄養を運ぶ関節の環境が整いにくくなってしまうためです。
夏の冷房や薄着で膝を冷やしすぎないよう、ひざ掛けや長めのボトムスで守ると楽になります。入浴で体の芯までゆっくり温める時間も、血の巡りを保つ助けになってくれるでしょう。
温めると痛みが和らぐ方が多い一方、膝が腫れて熱をもっているときは、冷やしたほうが楽なこともあります。自分の膝がどちらで楽になるかを目安に使い分けると、無理なく過ごせます。
靴選びと歩き方で衝撃をやわらげる
足もとの選び方も、膝に届く衝撃の大きさを左右します。底がすり減った靴やかかとの高い靴は着地の衝撃をうまく逃がせず、膝への負担をかえって増やしてしまいます。
クッション性があり、かかとを包んでしっかり支える靴を選ぶと膝が楽になります。中じきで足裏のアーチを補ってやると、脚全体のバランスも整いやすくなっていくでしょう。
歩くときは大股になりすぎず、足の裏全体で着地する意識をもつと衝撃がやわらぎます。急がず一定のリズムで歩くほうが、膝にとってはやさしい歩き方だといえます。
暮らしの中で見直せる点を、避けたい習慣と膝を守る工夫にあわせて整理します。
| 見直すところ | 避けたい習慣 | 膝を守る工夫 |
|---|---|---|
| 体重 | 間食や甘い飲み物が多い | 腹八分とこまめな計測 |
| 冷え | 薄着で膝を出す | ひざ掛けと入浴で温める |
| 足もと | 底のすり減った靴 | クッション性のある靴 |
すべてを一度に変える必要はありません。取り組みやすいものを一つ選び、無理のない形で習慣に変えていくほうが、結局は長く続いていきます。
変形性膝関節症が気になるときの受診の目安と検査
膝の違和感が続くようなら、早めに整形外科で相談するのが安心です。変形性膝関節症は進み方に個人差が大きく、自己判断で様子をみすぎると、打てる手がせまくなることがあります。
| 膝の様子 | 目安となる動き方 |
|---|---|
| 数日で軽くなってきた | 運動と保温を続けて様子をみる |
| 二週間たっても続く | 整形外科で相談する |
| 腫れや強い痛み・水がたまる | 早めに受診する |
| 急に動かせない・熱をもつ | その日のうちに受診する |
目安はあくまで目安で、当てはまるかどうかは体調や持病によっても変わってきます。迷ったときは早めに相談するほうが、結果として遠回りを避けやすいといえます。
受診の目安になる膝の変化
痛みや動きにくさが二週間ほど続くようなら、受診を考える一つの目安になります。立ち上がりや歩き始めのこわばりが長引く、階段の下りがつらいといった変化は見過ごせません。
膝が腫れて熱をもつ、水がたまってふくらむ、急に強く痛むといった場合は、早めの相談が向いています。放っておくと動くのがつらくなり、暮らしの幅までせばまりかねません。
朝のこわばりが長く続く、左右で腫れ方が明らかに違うといったときは、別の関節の病気が隠れているケースもあります。気になる症状はメモに残して持参すると、診察がスムーズに運びます。
レントゲンでわかる軟骨のすり減り
受診すると、多くの場合はまずレントゲンで膝の状態を調べます。軟骨そのものは画像に写りませんが、骨のあいだの隙間の狭さから、すり減りの程度をおおよそ読み取れます。
隙間の狭さや骨棘の有無をもとに、進み具合をいくつかの段階に分けて評価していきます。同じ段階でも痛みの感じ方は人それぞれで、画像だけで重さが決まるわけではありません。
必要に応じて、半月板や靭帯の状態をくわしく調べるためにMRIを使うこともあります。どの検査をどこまで行うかは、症状と生活への影響を見ながら医師が判断していきます。
検査の結果は、これからの付き合い方を決めるための出発点になります。数値や画像に一喜一憂しすぎず、今の膝に何ができるかを医師と一緒に考える材料として受け取るのが安心です。
保存療法という選択と医師との相談
変形性膝関節症の多くは、手術に頼らない保存療法から取り組んでいきます。運動や体重管理、痛み止めや装具などを組み合わせ、膝の負担を減らして進行をゆるめていく進め方です。
どの方法が自分に向くかは、進み具合や年齢、暮らし方によって変わってきます。合うやり方を医師と相談しながら決めていくと、納得したうえで無理なく続けやすくなるでしょう。
痛みが強く生活に大きく響く段階に入れば、手術という手立ても選択肢に入ってきます。まずは今の膝の状態を正しく知ることが、次の一歩を選ぶための足がかりになります。
よくある質問
- 変形性膝関節症ですり減った軟骨は元に戻りますか?
-
すり減った軟骨が自然に元の厚みへ戻ることは、残念ながら期待しにくいのが実際です。軟骨は血管をもたず、自分の力で修復するはたらきがとても弱い組織だからです。
ただ、戻らないからと悲観することはありません。筋力をつけて負担を減らし、体重や暮らしを整えていけば、進み方をゆるやかにして痛みをおさえていく余地は十分にあります。
- 変形性膝関節症のときは膝を動かさないほうがよいですか?
-
痛いからと動かさずにいると、かえって膝には良くない向きに働いてしまいます。膝を支える筋肉が落ち、軟骨にかかる負担が増えて、すり減りを早めることにつながるためです。
強い痛みや腫れがあるときは休むことも大切ですが、落ち着いてきたら少しずつ動かすほうがよいでしょう。運動で痛みが和らいだとする報告も多く、続けることに意味があります。
- 加齢による軟骨のすり減りは何歳ごろから始まりますか?
-
軟骨のわずかな変化は、はっきりした自覚がないまま中年期から少しずつ始まっているとされます。変形性膝関節症として症状が出やすくなるのは、多くが五十代以降だといわれています。
始まる年齢や進む速さには体重や筋力、膝の使い方などが深く関わり、個人差がとても大きいのが実際です。年齢だけで先を決めつけず、今できる備えを重ねていくことが役に立ちます。
- 変形性膝関節症の軟骨のすり減りにサプリメントは役立ちますか?
-
軟骨の成分を補うとうたうサプリメントは知られていますが、すり減りを確実に防ぐという裏づけは、今のところはっきりしていません。飲む場合も、過度な期待は禁物だといえます。
頼りにしすぎて受診や運動を後回しにするのは、避けたいところです。体重を整え、筋力を保つといった土台づくりのほうが、膝を守る手立てとしては確かだと考えられています。
- 変形性膝関節症で軟骨がすり減ると必ず手術になりますか?
-
すり減りが進んでも、多くの方は手術をせずに付き合っていけます。運動や体重管理、痛み止めや装具といった保存療法で、痛みをおさえながら暮らせる場合が少なくありません。
手術がすすめられるのは、痛みが強く生活に大きく響く段階に至ったときです。どの段階でどう対応するかは一人ひとり違うため、医師とよく相談しながら決めていくと安心です。
References
Sophia Fox, A. J., Bedi, A., & Rodeo, S. A. (2009). The basic science of articular cartilage: Structure, composition, and function. Sports Health, 1(6), 461-468. https://doi.org/10.1177/1941738109350438
Loeser, R. F. (2009). Aging and osteoarthritis: The role of chondrocyte senescence and aging changes in the cartilage matrix. Osteoarthritis and Cartilage, 17(8), 971-979. https://doi.org/10.1016/j.joca.2009.03.002
Martin, J. A., & Buckwalter, J. A. (2002). Aging, articular cartilage chondrocyte senescence and osteoarthritis. Biogerontology, 3(5), 257-264. https://doi.org/10.1023/A:1020185404126
Zhang, Y., & Jordan, J. M. (2010). Epidemiology of osteoarthritis. Clinics in Geriatric Medicine, 26(3), 355-369. https://doi.org/10.1016/j.cger.2010.03.001
Blagojevic, M., Jinks, C., Jeffery, A., & Jordan, K. P. (2010). Risk factors for onset of osteoarthritis of the knee in older adults: A systematic review and meta-analysis. Osteoarthritis and Cartilage, 18(1), 24-33. https://doi.org/10.1016/j.joca.2009.08.010
Øiestad, B. E., Juhl, C. B., Eitzen, I., & Thorlund, J. B. (2015). Knee extensor muscle weakness is a risk factor for development of knee osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis. Osteoarthritis and Cartilage, 23(2), 171-177. https://doi.org/10.1016/j.joca.2014.10.008
Fransen, M., McConnell, S., Harmer, A. R., Van der Esch, M., Simic, M., & Bennell, K. L. (2015). Exercise for osteoarthritis of the knee. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2015(1), CD004376. https://doi.org/10.1002/14651858.CD004376.pub3
Christensen, R., Bartels, E. M., Astrup, A., & Bliddal, H. (2007). Effect of weight reduction in obese patients diagnosed with knee osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis. Annals of the Rheumatic Diseases, 66(4), 433-439. https://doi.org/10.1136/ard.2006.065904
