高齢者になると膝に水が溜まる原因とは?加齢による関節の炎症と適切な処置

膝に水が溜まって腫れた高齢者の膝と、加齢で炎症を起こした関節の断面イラスト

年齢を重ねると膝に水が溜まりやすくなるのは、加齢で関節の内側に炎症が起こり、関節液が過剰に作られるためです。多くの場合、その背景には変形性膝関節症があります。

膝に水が溜まる状態は、それ自体が病名ではありません。関節の中で起きている炎症の結果として現れる、いわば体からのサインだと考えると分かりやすいでしょう。

膝の腫れを年齢のせいと受け流す前に、なぜ水が溜まるのかを知っておくと、慌てずに受け止めやすくなります。

この記事では、年齢とともに膝へ水が溜まる原因を軟骨と炎症の面からひも解き、腫れに気づいたときの適切な処置と、受診を考える目安までを順にお伝えします。

目次

高齢者になると膝に水が溜まる主な原因

膝に水が溜まる直接の原因は、関節をおおう膜が炎症を起こし、関節液を必要以上に作ってしまうことにあります。年齢を重ねた膝では、この炎症が起こりやすい土台ができています。

項目若いころの膝年齢を重ねた膝
関節液の量ごく少量で安定炎症で増えやすい
軟骨の状態厚く弾力がある薄くなりすり減る
回復の早さ数日で落ち着く長引き繰り返す

左の列から右の列へ近づくほど、水が溜まりやすく、そして引きにくくなります。加齢による変化がどこまで進んでいるかで、症状の出方も変わってくるわけです。

膝の関節液はクッションと栄養をになう液体

関節液は、もともと膝の動きをなめらかにするために欠かせない液体です。健康な膝にもわずかに存在し、軟骨に栄養を届けたり、骨と骨がこすれる衝撃をやわらげたりする働きを持ちます。

この液体を作り出しているのが、関節の内側をおおう滑膜という薄い膜です。滑膜は液体を分泌すると同時に、余った分を吸収して量を一定に保っています。

健康な膝では、この分泌と吸収の釣り合いが取れています。だからこそ関節液はごく少量にとどまり、膝はなめらかに動けているといえるでしょう。

つまり関節液そのものは、膝を守るための味方です。問題になるのは、量が増えすぎて膝の中に居座ってしまう状態のほうといえます。

炎症が起きると関節液が過剰に作られる

膝の中で炎症が起こると、滑膜は刺激に反応して関節液をどんどん分泌します。作られる量が吸収される量を上回り、行き場を失った液体が関節の中にたまっていきます。

いわば、蛇口を開いたまま排水が追いつかない状態です。関節液がたまるほど膝の内側の圧が高まり、張りや重さとして感じられるようになります。

変形性膝関節症では、すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し、この炎症を引き起こすと報告されています。炎症と関節液の増加は、切り離せない関係にあるわけです。

たまった水を注射器で抜いても、炎症のもとが残っていればまた溜まります。水を抜くこと自体は原因の解決ではなく、あくまで症状を軽くする手当てだと考えておきたいところです。

高齢になるほど水が溜まりやすくなる背景

年齢を重ねた膝で水が溜まりやすいのは、長年の使用で軟骨が薄くなり、炎症の火種を抱えやすくなっているためです。加齢は膝の変化にもっとも深く関わる要因とされています。

朝起きた直後や動き始めに膝がこわばり、しばらく動かすとほぐれてくる。こうした変化も、加齢とともに膝が抱える炎症のあらわれのひとつかもしれません。

膝の超音波検査を集めた研究では、膝に痛みのある人の約半数に関節液の貯留がみられ、症状のない人より高い割合だったと示されています。加齢に伴う変化が、水の溜まりやすさへ静かに影響していると考えられます。

若い人でもケガをすれば水は溜まります。ただ高齢者の場合は、はっきりした原因がなくても少しずつ溜まる点に違いがあるといえるでしょう。

年齢を重ねると膝の軟骨がすり減っていく仕組み

膝に水が溜まる根っこには、加齢による軟骨のすり減りがあります。軟骨は一度すり減ると自然には元に戻りにくく、その変化が炎症の引き金になっていきます。

軟骨は膝の衝撃をやわらげるクッション

膝の骨の先端は、つるつるした軟骨におおわれています。この軟骨があるおかげで、歩いたり階段を上ったりするたびの衝撃が吸収され、骨どうしが直接ぶつからずにすんでいます。

その表面は氷の上のようになめらかで、摩擦がほとんど生じません。この滑らかさこそが、膝を長年動かし続けられる支えになっているわけです。

軟骨には血管が通っていません。そのため栄養は関節液から受け取っており、傷んでも自力で修復する力が弱いという弱点を抱えています。

厚みのある軟骨は、体重の何倍もの力を受け止めるほど丈夫です。しかし、その丈夫さも年齢とともに少しずつ削られていくのが実際のところでしょう。

年齢とともに水分が減り弾力が失われる

軟骨の弾力は、内部にたっぷり含まれた水分によって保たれています。年齢を重ねると、その水分やタンパク質の質が変わり、クッションとしての弾力が落ちていきます。

加齢に伴う軟骨の研究では、細胞の老化や酸化のダメージが積み重なり、修復する力が衰えることが分かってきました。若いころのように傷が埋まらず、すり減りが表面から進んでいきます。

すり減りは何十年もかけて少しずつ進むものです。だからこそ、痛みや腫れとして表に出るのは、変化がある程度進んでからになりやすいといえます。

弾力を失った軟骨は、同じ動作でも受けるダメージが大きくなります。長く歩いた日に膝が重く感じるのは、こうした変化の表れかもしれません。

すり減った軟骨のかけらが刺激になる

すり減った軟骨は、細かなかけらとなって関節の中に散らばります。このかけらが滑膜を刺激し、炎症を呼び起こす引き金になっていきます。

関節の中に異物があると、体はそれを片づけようとして炎症の反応を起こします。その反応の一部として、滑膜が関節液を多めに分泌してしまうわけです。

軟骨のすり減りが進むと起きやすいこと

  • 立ち上がりや歩き始めの痛み
  • 膝の腫れや水のたまり
  • 曲げ伸ばしのときの引っかかり
  • 膝がまっすぐ伸びにくい感覚

これらは軟骨の傷みと炎症が組み合わさって現れる変化です。ひとつでも心当たりがあれば、膝の中で静かに変化が進んでいる合図と受け取ってよいでしょう。

膝に水が溜まる引き金になる関節の炎症

膝に水が溜まる直接の引き金は、関節をおおう滑膜の炎症です。この炎症が続くと、水が溜まっては引き、また溜まるという繰り返しに入りやすくなります。

関節をおおう滑膜が炎症で腫れる

滑膜は、関節を袋のように包み込んでいる薄い膜です。炎症が起きると膜自体が腫れ、赤みや熱を帯びて、関節液を過剰に分泌する状態へ切り替わります。

腫れた滑膜は表面積が広がり、ますます多くの関節液を送り出してしまいます。膜が厚ぼったくなるほど、膝の張りも強く感じられるようになるでしょう。

炎症を起こした滑膜からは、痛みや腫れを強める物質が放出されると報告されています。膝が熱っぽく感じられるのは、この反応が起きているひとつの表れです。

滑膜の炎症は、変形性膝関節症の進み方とも関わることが分かってきました。単なる軟骨のすり減りだけでなく、膜の炎症が症状の重さを左右すると考えられています。

変形性膝関節症と滑膜の炎症のつながり

年齢を重ねた人の膝に水が溜まる背景では、変形性膝関節症がもっとも多い原因とされています。軟骨のすり減りと滑膜の炎症が、互いを巻き込みながら進んでいく病気です。

初期には立ち上がりや歩き始めだけ痛み、休むと和らぐのが特徴といえます。進むにつれて水がたまりやすくなり、動かせる範囲もせまくなっていきます。

近年の考え方では、変形性膝関節症は骨や軟骨だけの問題ではなく、滑膜や靭帯を含む関節全体の病気としてとらえられています。膝をひとつの臓器のように見る見方といえるでしょう。

そのため水が溜まる症状は、変形性膝関節症の一部として現れるケースが少なくありません。水だけを追いかけるより、膝全体の状態を確かめる姿勢が役に立ちます。

炎症と水が互いを呼ぶ悪循環

やっかいなのは、炎症と水の関係が悪循環になりやすい点です。炎症が水を増やし、増えた水が膝の中の圧を高めて、さらに滑膜を刺激するという流れが生まれます。

膝がぱんぱんに張ると、痛みで動かすのがつらくなります。動かさない日が続くと太ももの筋肉が落ち、膝を支える力が弱まって負担が増えていきます。

痛みをかばって片脚に頼ると、反対の膝にも負担が回ります。一方をかばううちにもう一方まで痛めてしまう流れは、なんとか避けたいところです。左右のバランスを保つ意味でも、早めに手を打つ値打ちがあります。

この輪をどこかで断ち切ることが、症状を落ち着かせる手がかりになります。炎症をしずめ、膝を支える力を保つ工夫が、繰り返しを防ぐ方向へ働くでしょう。

水がたまると膝の曲げ伸ばしが重くなる

関節の中に水がたまると、膝は内側から押し広げられた状態になります。そのため曲げ伸ばしのたびに突っ張るような重さを感じ、動かせる範囲もせまくなりがちです。

階段を下りるときや、椅子から立ち上がる一瞬に重さが目立ちます。膝が言うことをきかない感じは、水の量が増えているひとつの手がかりかもしれません。

正座やしゃがみ込みがしづらくなるのは、この張りが原因のひとつです。膝の裏に水が回ると、ふくらはぎのあたりまで突っ張って感じる方もいます。

年齢のほかに膝に水が溜まる原因を後押しする生活の要因

膝に水が溜まる下地は年齢だけで決まるわけではありません。体重や筋力、過去のケガといった要因が重なると、同じ年齢でも膝の負担は大きく変わってきます。

要因膝への影響見直しの糸口
体重の増加歩くたびの負担が増える少しの減量でも軽くなる
筋力の低下関節がぐらつきやすい太ももを保つ運動
過去のケガ傷んだ部分が弱点になる無理な動作を避ける

これらは互いに絡み合っています。ひとつを整えると別の要因もゆるみやすく、膝全体の負担を下げる方向へつながっていくでしょう。

体重が増えると膝の負担が跳ね上がる

膝は歩くたびに体重の何倍もの力を受け止めています。体重が増えれば、その力もそのまま膝にのしかかり、軟骨のすり減りや炎症を後押ししてしまいます。

階段の上り下りでは、膝に体重の数倍もの力がかかるとされています。ふだんの一歩ごとの負担が積み重なることを思えば、体重の意味は小さくありません。

高齢者の膝の発症要因を調べた研究では、肥満や過去のケガ、女性であること、そして加齢が、繰り返し関わる要因として挙げられました。なかでも体重は、自分で手を打てる数少ない要因です。

大きく痩せる必要はありません。わずかな減量でも膝が一歩ごとに受ける力は目に見えて減り、腫れの起こりにくい膝へ近づいていくでしょう。

太ももの筋力が落ちると関節がぐらつく

膝を支えているのは、太ももの前側にある大きな筋肉です。この筋力が落ちると膝が不安定になり、関節へかかる衝撃を受け止めきれなくなります。

太ももの筋力が弱い人は、膝の発症する危険が高まると報告されています。年齢とともに筋肉は自然に減るため、意識して保つ心がけが膝を守るうえで役立ちます。

太ももの前側に手を当てて力を入れると、筋肉の張りが確かめられます。以前より硬さが乏しいと感じるなら、支える力が落ちてきた目印かもしれません。片脚で立ってふらつくかどうかも、ひとつの目安になります。

激しい運動は要りません。椅子に座って膝をゆっくり伸ばす動きや、軽い散歩を続けるだけでも、支える力を保つ助けになるでしょう。

若いころのケガや脚の形も影響する

若いころに半月板や靭帯を傷めた膝は、その部分が弱点として残ります。年齢を重ねてから、そこを起点に軟骨のすり減りが進むケースも珍しくありません。

過去のケガをはっきり覚えていない方もいます。若いころに部活動や仕事で膝を酷使した経験があれば、それも下地になっているかもしれません。

脚の形も膝の負担に関わります。日本人に多いO脚では、膝の内側へ体重が偏ってかかり、内側の軟骨が先にすり減りやすい傾向があります。

日々の動作のくせが負担を積み重ねる

ふだんの何気ない動作も、膝への負担として積み重なります。深くしゃがむ、正座を長く続ける、重い荷物を持って階段を下りる動作は、膝の中の圧を高めがちです。

床に座る暮らしより、椅子とベッドの暮らしのほうが膝はいくらか楽になります。和式のトイレより洋式を選ぶだけでも、膝を曲げる角度は浅くなります。

すべてを変える必要はないものの、痛みが出やすい動作を知っておくと避けやすくなります。小さな見直しの積み重ねが、膝の炎症を遠ざける方向へ働くといえます。

膝に水が溜まるときに現れる腫れやこわばりのサイン

膝に水が溜まると、腫れや重だるさ、曲げ伸ばしのしにくさとして現れます。左右の膝を見比べると、たまっているほうがひとまわり膨らんで見えることが多いでしょう。

膝がぼってり腫れて熱っぽさを帯びる

水がたまった膝は、お皿のまわりがぼってりと丸みを帯びてきます。骨の輪郭がぼやけ、反対側の膝と比べると膨らみの差が分かりやすくなります。

ズボンや靴下のあとが片方だけ強く残る、というかたちで気づく方もいます。むくみと違い、膝そのものが膨らんでいる点が見分けの手がかりになるでしょう。

腫れは一日の中でも変わります。長く歩いた夕方に強まり、朝は少し引いている、という波を感じる方も多いようです。日によって膨らみ方が違うのも、水がたまったり引いたりしている表れといえます。

炎症を伴うと、触れたときにほんのり熱を感じるときもあります。両手で左右の膝を包むように触れ、温度の差を確かめてみると気づきやすいものです。

正座やしゃがむ動作がつらくなる

膝の中が水で満たされると、曲げられる範囲がせまくなります。正座やしゃがみ込みで奥が突っ張り、途中で止まってしまう感覚が出てきます。

床の物を拾う、和式トイレを使うといった動作もしづらくなります。日常の中で曲げにくさを感じる場面が増えたら、水のたまりを疑ってよいでしょう。

反対に、膝をまっすぐ伸ばしきれない場合もあります。伸ばそうとすると裏側が張り、力を抜いたときに軽く曲がったままになることがあるためです。

こうした動きの制限は、水の量が増えるほどはっきりしてきます。日によって曲げやすさが変わるなら、水がたまったり引いたりしている表れかもしれません。

お皿を押すとぷかぷか浮く感じ

水がたまっているかどうかは、膝のお皿を軽く押すと見当がつきます。指で押し下げたとき、お皿がぷかぷかと浮き沈みするように感じたら、下に水がある合図です。

確かめ方水が少ないとき水が多いとき
左右の見た目差がわかりにくい片方が丸く膨らむ
お皿を押す浮きを感じにくいぷかぷか沈む
曲げ伸ばしやや突っ張る大きく制限される

あくまで自分で気づくための目安であり、正確な量までは分かりません。強く押すと痛みが増すこともあるため、確かめるときはそっと触れる程度にとどめておきたいところです。

膝に水が溜まるときの適切な処置と受診の目安

膝に水が溜まったときは、まず安静と冷やして炎症をしずめるのが基本です。腫れや熱が強いとき、日を追って悪化するときは、早めに整形外科へ相談すると安心につながります。

まずは安静と冷やして炎症をしずめる

腫れて熱を持っている膝には、休ませることと冷やすことが向いています。炎症が強い時期に無理をすると、水がさらに増えてしまうおそれがあります。

冷やすときは、保冷剤をタオルで包んで15分ほど当てる方法が扱いやすいでしょう。皮膚を傷めないよう、直接氷を当てるのは避けたほうが安全です。

冷やしたあとに膝が軽く感じるなら、炎症が関わっているひとつのサインです。逆に温めたほうが楽な場合もあり、その日の膝の様子で使い分けると無理がありません。

ただし安静は数日を目安にとどめます。長く動かさないままだと筋力が落ち、かえって膝を弱らせてしまうため、腫れが引いてきたら少しずつ動かしていきます。

家庭でできる膝への負担の減らし方

炎症が落ち着いてきたら、膝への負担を日常の中で減らす工夫が生きてきます。無理のない範囲で体を動かし、支える筋力を保つことが繰り返しの予防につながります。

杖やサポーターを使うのも、膝をかばう手立てのひとつです。痛む時期だけでも取り入れると、動くときの不安がやわらぐでしょう。

日常で取り入れやすい工夫

  • 椅子とベッド中心の暮らしにする
  • 深くしゃがむ動作を控える
  • 太ももを鍛える軽い運動を続ける
  • 体重をゆるやかに整える

これらは一度にそろえなくてかまいません。続けやすいものから始め、膝の様子を見ながら少しずつ広げていくと、無理なく習慣にできるでしょう。

水は自分で抜いてもよいのでしょうか?

膝の水を自分で抜くことはできませんし、してはいけません。関節に針を刺す手当ては、清潔な環境と技術が要るため、医療機関で行うものだと考えてください。

水を抜くと膝の張りは楽になりますが、それは症状への手当てにすぎません。抜いた水の色や濁りを調べると、炎症の程度や原因を探る手がかりにもなります。

透明でさらさらした水もあれば、濁って粘り気のある水もあります。見た目の違いが、膝の中で何が起きているのかを知る材料になるわけです。

抜くと癖になると耳にするときがありますが、たまるのは炎症が続いているためです。抜いたから溜まるのではなく、もとの炎症を落ち着かせることが繰り返しを減らす近道といえます。

受診をすすめたい膝の状態

自分での手当てで様子を見てよい場合と、早めの受診が向く場合があります。腫れや痛みの強さ、続いている日数を目安に、迷ったら整形外科で診てもらうのが確実です。

膝の様子目安となる行動
軽い腫れで数日で薄れてきた安静と冷却を続けて様子を見る
腫れが1週間以上引かない整形外科の受診を検討する
強い痛みや熱・赤みを伴う早めに受診する
歩けないほどの痛みがあるその日のうちに受診する

受診の際は、いつから腫れたか、痛みがどう変わったかを伝えられると診察が進みやすくなります。膝の様子をメモに残しておくと、言葉にしにくい変化も伝えやすいものです。

とくに急に強く腫れて熱を持つ場合は、変形性膝関節症以外の原因が隠れているケースもあります。年齢のせいと決めつけず、続く腫れは一度きちんと確かめておくと安心でしょう。

よくある質問

膝に水が溜まるのは年齢のせいだけですか?

年齢は大きな要因ですが、それだけではありません。体重の増加や太ももの筋力低下、若いころのケガなどが重なることで、水は溜まりやすくなります。

加齢そのものは止められませんが、体重や筋力は自分で整えられます。年齢のせいと片づけず、手を打てる要因から見直していくと膝の負担は減らせるでしょう。

膝に水が溜まると自然に治ることはありますか?

軽い炎症であれば、安静にするうちに水が引くこともあります。無理をせず膝を休ませ、冷やして過ごすうちに腫れが薄れていく場合は珍しくありません。

ただし炎症のもとが残っていると、また溜まって繰り返します。1週間ほど経っても引かないときや繰り返すときは、原因を確かめておくほうが安心です。

膝に水が溜まるときは動かさないほうがよいですか?

腫れて熱を持っている時期は、無理に動かさず休ませるほうが向いています。炎症が強いときに歩き回ると、水がさらに増えることがあるためです。

とはいえ、ずっと動かさないのも考えものです。腫れが引いてきたら、太ももを鍛える軽い運動から少しずつ再開すると、膝を支える力を保てます。

膝に水が溜まると変形性膝関節症なのでしょうか?

高齢の方で水が溜まる場合、変形性膝関節症が背景にあることは多いといえます。ただし、ほかの関節の病気やケガでも水は溜まります。

水が溜まるという事実だけで病名は決まりません。原因を見分けるには、膝の状態を診てもらい、必要に応じて検査を受けることがすすめられます。

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この記事を書いた人

臼井 大記のアバター 臼井 大記 大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

日本整形外科学会認定専門医

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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