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サブシジョンは、従来の治療ではなかなか改善が見られなかった「手ごわいニキビ跡」に効果が期待できる治療方法です。
しかし、サブジョンはまだまだメジャーな治療ではないため、その効果や実感の過程をご存じない方も多いですよね。
本記事では、サブジョンの効果はいつからいつまでなのか？持続期間、何日後から効果を実感できるのかなどについて詳しく解説しています。
この記事の執筆者
小林 智子（こばやし ともこ）
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
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サブシジョン治療で改善できる症状
Dr.小林智子サブシジョンは、海外では20年以上前から行われているポピュラーなニキビ跡治療です。日本ではまだ認知度がさほど高くないものの、海外では研究が数多く行われており、その効果も実証されています。
クレーター状のニキビ跡、水ぼうそうの跡、傷跡
サブシジョンは主に凹凸のあるクレーター状のニキビ跡を解消する目的で行われますが、水ぼうそうの跡や傷跡の治療にも用いられています。
皮膚を内側から押し上げる治療方法であるため、毛穴やほうれい線を目立たなくさせる効果も期待できます。
ただし、あくまでもサブシジョンは皮膚の萎縮や陥没によって起こってしまった皮膚の凸凹にアプローチする治療方法であるため、皮膚の盛り上がりやたるみが原因の凹凸にはあまり効果がない点にはご留意ください。
サブシジョンの仕組みを改めて確認
皮膚は大きく分けると外側から表皮、真皮、皮下組織の3層にわかれています。
表皮に損傷が起こったとしても、跡を残さず治癒しますが、真皮と皮下組織が損傷してしまった場合には「瘢痕組織（はんこんそしき）」という硬い組織が作られるようになっています。
また、皮膚は損傷すると縮みながら治癒していく性質を持っているため、ニキビや肌トラブルを繰り返すことで皮膚が硬く縮んで陥没していってしまいます。
これがニキビの炎症後におこるクレーター状のニキビ跡です。
重度の火傷や怪我の治癒後に皮膚が引きつれたようになってしまうのも、ニキビ跡と同じように皮膚の収縮が原因です。
Dr.小林智子サブシジョンでは、針を使って縮んでくっついた瘢痕組織を切り離し、皮膚を上へと押し上げることで凹凸を解消できるようになっています。
サブシジョンと他のニキビ跡治療の違い
クレーター状のニキビ跡治療には、ダーマペンやフラクショナルレーザー、ポテンツァなどがあります。いずれも表皮や真皮に人工的に損傷をあたえて傷の自然治癒効果でニキビ跡を解消しようという施術です。
もちろん一定の効果は見込めるものの、皮膚深部まで影響しているニキビ跡を解消するには限界があります。
また、皮膚の引きつれが原因の陥没瘢痕に対してまではアプローチできないのが実際のところです。
サブシジョンの効果が出るまでの期間と実感できるタイミング
サブシジョンの効果が感じられるタイミングは、真皮内の瘢痕組織が切り離された時、また、真皮内での自然治癒効果によりコラーゲンとエラスチンが生産されて皮膚がふっくらする時にも効果を感じられます。
施術直後から何日後から変化が現れるのか
瘢痕組織が切り離された施術直後からお肌が押し上げられたような効果を感じる方もいらっしゃいます。
しかし、治療によるダウンタイムで多少の腫れやむくみが起こるケースも少なくないため、変化を感じだすのは施術後1週間くらいとお考えください。
いつから効果を実感できる？
コラーゲンやエラスチンは施術後数週間から1ヶ月程度かけてだんだんと生成されるため、本格的な効果の実感は1ヶ月程度が目安です。
針を刺して組織を切り離す際にできた傷を治癒させるために肌細胞が活性化する。その際にコラーゲンやエラスチンの生成が活発になる。
サブシジョンの一般的な治療回数と持続期間
Dr.小林智子サブシジョンの治療回数については個人差があるため一概には言えませんが、満足のいく結果を得られるためには複数回の施術が必要となるケースが多いです。
何回で目標の改善が得られる？
回数の目安としては2～4回で、施術後の経過にもよりますが4週間間隔を開ければ次の施術を受けられます。
しかし、中には1回の施術で十分な効果を感じて治療を終結される方もいらっしゃいます。
サブシジョン治療の中でもニキビ跡は比較的少ない1～3回ほどで十分に皮膚が持ち上がるとされており、特にコメカミや頬のくぼんだ部分の効果は出やすい印象を受けます。
効果はいつまで持続する？
サブシジョンで切り離された瘢痕組織が再び癒着してしまわない限り、凸凹の改善は持続されます。
一旦サブシジョン治療で切り離した部分が時間の経過とともに再結合してしまうこともあれば、治療した部位に新たに炎症ができてしまい、再び瘢痕組織が形成されたり皮膚が縮んだりするパターンも考えられます。
特にニキビは同じ場所に繰り返しできる特質があるため、ニキビを根本から解消しないと、いたちごっこになってしまう可能性があります。
ヒアルロン酸注入との併用で得られる相乗効果
サブシジョンはヒアルロン酸と併用すると、いちだんとその効果を感じやすくなるとされており、これは海外で行われている数々の研究でも証明されています。
実際に日々施術を行っていても、ヒアルロン酸施術を同時に行うと、1回の施術でかなりの効果を実感される方が多い印象を受けます。
ヒアルロン酸が助けになるしくみ
針で癒着している繊維を切ると、縮んで凹んでいた部位が上に押し上げられると同時に、今まで皮膚組織があったスペースに隙間のようなものができてしまいます。
もちろんこのままでも皮膚の押し上げ効果を実感できはしますが、このスペースにヒアルロン酸を埋めてあげることで皮膚の沈み込みを予防したり瘢痕組織との再癒着を防いでくれたりする効果が期待できます。
ヒアルロン酸は半年ほどで身体に吸収され消失してしまいますが、半年のうちに皮膚の再生が進み、新しい皮膚祖組織が隙間を埋めてくれるため効果は持続されます。
Dr.小林智子ヒアルロン酸の併用は、より深い陥没にお悩みの方に向いていると言えます。
永久的な効果維持のために
サブシジョンの効果をできるだけ長く持続させるためには、アフターケアやホームケアが重要です。
施術のみで得られる効果の限界
サブシジョンは瘢痕組織を形成していたり皮膚が萎縮したりしてできた陥没や凹みであれば、基本的にはどのようなニキビ跡や傷にも一定の効果が見込めます。
しかし、瘢痕組織や皮膚の萎縮の度合いには個人差があるため、一見同じように見える凹みであっても、瘢痕組織や萎縮が少ない場合はサブシジョンの効果をあまり感じられない場合があります。
同じニキビ跡でも効果の違いや限界がある
例えば、クレーター状のニキビ跡には、形状別にボックスカー型・ローリング型・アイスピック型の3種類があります。
このうちローリング型は瘢痕形成と組織の萎縮がおこりやすいタイプのニキビ跡であるため、サブシジョンを行うと効果を感じやすいです。
対して、ボックス型は損傷が表皮部分で留められているケースが多く瘢痕形成が少ないニキビ跡であるためサブシジョンの強味を十分に発揮すができません。
（どちらかというと表皮近くにアプローチするダーマペンやフラクショナルレーザーが向いています。）
アイスピック型に関しては、損傷が真皮深くや皮下組織にまで到達しているため、サブシジョンで皮膚を引き上げることはできても完全になめらかにするのは難しいです。
瘢痕形成が少ないケース、傷が深すぎるケースには効果の限界がある
サブシジョンの効果をしっかりと発揮できるのは、瘢痕と萎縮が起こってできた陥没に対してです。
それ以外の原因でできた陥没（表皮の損傷、毛穴トラブル、たるみなど）にはあまり効果がない点には注意しましょう。
また深すぎる損傷にも効果の限界があります。
長期的な効果維持に必要なケア
サブシジョンの効果を長期的に維持できるか否かは、一度切り離した瘢痕組織が再癒着しないかどうかにかかっています。
再癒着を予防するためには、サブシジョンで開けた隙間にヒアルロン酸を注入してあげる方法があります。
ヒアルロン酸は半年ほどで身体に吸収されていますが、その期間のうちに新しい皮膚細胞が置き換わってくれ効果が長期的に維持されるしくみです。
ヒアルロン酸はサブシジョンと併用すると凹みをより押し上げる効果もあるため、相乗効果と長期維持の両面で優れた効果を発揮してくれます。
より良い肌質を保つためのアフターケア
自宅でサブシジョンの効果を維持しより良い肌質を保つためには、炎症やニキビができにくい肌質の維持を心がけることです。
生活習慣やスキンケアに気をつけるのはもちろんのこと、肌を良好な状態に導いてくれる有効成分を配合したスキンケア剤を使う試みも有効でしょう。
例えば、アゼライン酸やレチノールを配合した化粧水や乳液を使ったり、ベピオゲルやベピオローションをスキンケアに取り入れる方法もあります。
ドラッグストアにもこういった有効成分を配合した化粧品が売っているほか、皮膚科でも販売しているところがあります。
| 有効成分 | 効果 |
|---|---|
| アゼライン酸 | 抗炎症効果、毛穴の詰まりの予防 |
| レチノール | ビタミンAの一種。シミやシワの改善。ターンオーバーやコラーゲン生成を促す。 |
| ベピオ・ベピオゲル | アクネ菌の増殖を抑える、ピーリング作用により毛穴の詰まりを改善する。 |
まとめ
サブシジョンは、従来では改善が見られなかったクレーター状のニキビ跡や水ぼうそうなどの傷跡をなめらかにする効果が期待できる治療です。
皮膚が損傷した際におこる硬化や萎縮を原因とする引きつれが原因で起こっている陥没や凹みに有効です。
基本的には切断した組織が再癒着しない限り効果が永続的とされていますが、再癒着の可能性も決して低くはありません。
再癒着の予防方法にはサブシジョンと同時にヒアルロン酸を注入する方法、炎症や肌トラブルを再発させないようなスキンケアや生活習慣などが挙げられます。
より有効なスキンケアに取り組みたい場合は、皮膚でも処方可能なアゼライン酸やレチノール、ベピオを使った積極的な方法もあるため、ご興味のある方は皮膚科で相談してみるのもよいでしょう。
Dr.小林智子サブシジョンの治療にご興味のある方は、お気軽にご相談ください。
サブシジョン（ニキビ跡・クレーターの治療）｜こばとも皮膚科｜栄駅（名古屋市栄区）徒歩2分
参考文献
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