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美白剤ハイドロキノン使い続けたらどうなる?効果と副作用~使い方・期間・代替成分を皮膚科医が解説。

その美白剤、正しく使えていますか?もしかしたら危険かも!

皆さんこんにちは。皮膚科医の小林智子です。今回は美白成分の「ハイドロキノン」を取り上げたいと思います。ハイドロキノンというのは代表的な美白剤の1つで、大体2%から5%程度のものが処方されることが多いです。

このハイドロキノンは高い美白効果があり、医療機関でもよく処方されるものではあるんですけれども、最近その安全性について議論がなされていて、ヨーロッパなど一部の国ではハイドロキノンが配合された化粧品の取り扱いは禁止されるようになっています。

このような背景もあり、最近ではハイドロキノンは本当に安全なの?どうやって使ったらいいの?他にいい美白成分はないの?というような質問を多く受けます。

今回はそんなハイドロキノンについてその安全性正しい使い方ハイドロキノンに変わる美白成分などについて詳しく解説したいと思います。それでは早速行ってみましょう。

この記事は、こばとも皮膚科院長、皮膚科医の小林智子が運営するYoutubeチャンネル「こばとも先生のスキンアカデミー」内の動画内容を書き起こしたものです。Youtubeでは薬の塗り方・副作用、スキンケア方法、美容施術の種類や効果についてなど、お肌のお悩みを持つ方の少しでも助けになれればと思い動画を公開しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

ハイドロキノンとは

まず、ハイドロキノンとは何か、というところから解説したいと思います。

ハイドロキノンはフェノール化合物の1つで、強い漂白作用があるのが特徴です。ハイドロキノンにはメラニンを作る「チロシナーゼ」という活性を阻害する作用があります。

それにより高い美白効果を認めるんですけれども、先ほどお話ししたように、一部の国ではハイドロキノンが配合された化粧品の取り扱いが禁止されるようになっています。

日本においても、基本的にハイドロキノンはクリニックで処方されるものとなります。

ハイドロキノンの安全性

具体的にどのような安全性の懸念があるかというと、1つは発がん性です。

発がん性について

これまでの報告で、これは動物を用いた実験にはなるんですけれども、高用量のハイドロキノンを経口投与した場合、腎臓の癌だったりあとは白血病というような悪性腫瘍の発生率が上がったというような報告があります。

また、これは試験管での実験なんですけれども、ハイドロキノンには細胞毒性といって細胞のDNAにダメージを与え、それにより発がんのプロモーターになり得るのではないかという風に考えられています。

ただ、こういった発がん性について現時点で人においての報告はありません。なのであくまでもこれらは理論的なリスクという風に言われています。

ただハイドロキノンを広範囲かつ長期間塗った場合、ハイドロキノンが少しずつ体内に蓄積されて、それにより発がんのリスクになり得る可能性があります。

かぶれの副作用

またこういった発がん性のリスク以外にもハイドロキノンにはいくつかの副作用があります。1番多いのが「かぶれ」です。

かぶれを「接触皮膚炎」という風に言うんですけれども、ハイドロキノンを塗ることによって赤みだったりあとは刺激、かゆみというような湿疹の症状を引き起こすことがあります。

こういったハイドロキノンのかぶれは高濃度で特に起こりやすく、刺激性の接触皮膚炎であることが多いです。また、一部の方においてはアレルギー性の接触皮膚炎を引き起こすこともあります。

これは多くの場合、ハイドロキノンそのものというよりかは防腐剤として配合されている亜硫酸塩によってアレルギー反応を引き起こすケースが多いという風に言われています。

もし、かぶれの症状が刺激による場合、休薬することによってまた使えることもあるんですけれども、もしアレルギー反応によるかぶれだったらハイドロキノンを使用することができません。

白斑の副作用

またハイドロキノンには白斑といって色が白く抜けてしまう副作用も報告されています。この白斑の副作用に関しては長期期間塗った場合、そのリスクが高まるという風に言われています。

オクロノーシス

また白斑よりもさらに重篤な副作用として「オクロノーシス」と呼ばれる副作用があります。これは、ハイドロキノンを塗ることによって、かえって色が黒ずんでしまう現象のことを言います。

日本語では「外因性組織褐変症」という風に言うんですけれども、これまでの報告によるとこのハイドロキノンによるオクロノーシスのリスクファクターにはいくつかあり、まず1つは色黒の方、それから長期期間、これは具体的には年単位を超えた長い期間塗った場合のことを言うんですけれども、こういった長期期間塗った場合、それから高濃度を塗った場合に、このオクロノーシスのリスクが高まるという風に考えられています。

このようにハイドロキノンにはいくつか副作用はあるんですけれども、高い美白効果があることには変わりなく、今でも多くのクリニックでこのハイドロキノンが採用されています。

ハイドロキノンの使い方

ハイドロキノンを効果的に使うためには、適切な使用が非常に重要になってきます。次に、適切な使用とは何かについて解説したいと思います。

試用期間は3ヶ月から6ヶ月程度にとどめる

まず大前提として押さえていただきたいのが「使用期間」です。先ほどお話ししたような白抜けだったりあとは色がかえって黒ずんでしまうオクロノーシスのリスクは長期期間塗った場合に特にそのリスクが高まるという風に言われています。

ハイドロキノンの効果は大体4%程度だと数ヶ月で認めることが多いです。これが塗り続ければ塗り続けるほど効果は高まるかというと残念ながらそういうわけではなく、大体半年程度でハイドロキノンの美白効果は頭打ちになることが多いです。

そのためハイドロキノンの使用期間は3ヶ月から6ヶ月程度にとどめることが推奨されています。

部分的に開始する

またかぶれが心配だというような方は、最初部分的に始められることをおすすめします。

心配な方は「パッチテスト」と言って、顔ではなく腕などに少し塗ってみて赤みなどが出ないかどうかを一度確かめるのがより確実かなと思います。

また、刺激性の接触皮膚炎を抑えるためには保湿も重要で、保湿をしてからハイドロキノンを部分的に塗るというような使用方法が推奨されています。

徐々に塗る頻度を高める

ハイドロキノンを塗る頻度というのも重要で、最初は毎日ではなく数日おきに塗ってみて少しずつ塗る頻度を高めていくのも刺激性の接触皮膚炎を抑える1つのテクニックとなります。

UVケアを徹底する

また、ハイドロキノンはメラニンの産生を抑制することでトータルのメラニンの量を減らす作用があります。

そのため、これはどんな美白剤でもそうなんですけどもハイドロキノンを使う際は必ずUVケアを徹底するようにしてください。

正しいハイドロキノンの塗り方

あと、意外に知らないのがハイドロキノンの塗り方です。ハイドロキノンは基本的に夜1回の使用が推奨される成分です。

塗る順番としては洗顔後、化粧水や乳液などで肌を整えた後、肝斑などの色素沈着やシミが気になるところにピンポイントでハイドロキノンを塗っていきます。

もしレチノールなどをお使いの方はレチノールを先に塗った後、ハイドロキノンをスポット的に塗っていきます。

ハイドロキノンが使えない方

次にハイドロキノンが使えないケースをお伝えしたいと思います。まず1つが妊娠中や授乳中の方です。

ハイドロキノンは妊娠中や授乳中の安全性について現時点で確立されておらず、基本的には使用を控えることが推奨されています。

ハイドロキノンはそもそも経皮吸収率と言って体内に吸収される割合が高い成分なんですね。そういった意味からも妊娠中やあとは授乳中の方はハイドロキノン以外の美白成分を使うのがおすすめです。

またハイドロキノンと併用ができない成分があります。それは「過酸化ベンゾイル」と呼ばれる成分です。

過酸化ベンゾイルはニキビのお薬に配合されている成分で、具体的にはこちらのベピオデュアック配合ゲル、それからエピデュオがあります。

これらのお薬とハイドロキノンは併用ができません。そのためニキビ治療でこれらのお薬を使っている方はハイドロキノン以外の美白成分が推奨されます。

ハイドロキノンの代替成分

最後にハイドロキノンに替わるおすすめの美白成分をいくつかご紹介したいと思います。

ハイドロキノンはメラニンの生成を抑制する成分です。高い美白効果を期待する場合、ハイドロキノンと同じくメラニンの生成を抑制する成分が個人的にはおすすめです。

アゼライン酸

具体的にはまず1つ、「アゼライン酸」が挙げられます。これまでの報告で15%から20%程度のアゼライン酸はメラニンの生成を抑制する効果があるというようなことが分かっています。

具体的なアイテムとしてはこちら、DRXのAZAクリアがあります。

こちらは20%のアゼライン酸が配合されたクリームです。またこちらのアゼライン酸は妊娠中や授乳中でも安心してお使いいただける成分です。

アゼライン酸には美白効果だけでなくニキビの改善効果もあります。

そのため炎症性のニキビだったりあるいは赤いニキビ跡、茶色いニキビ跡が混じっているような方はこちらのアゼライン酸が非常に使いやすいかなと思います。

コウジ酸

もう1つ、ハイドロキノンに替わるおすすめの成分があります。それは「コウジ酸」です。私がコウジ酸を好きな理由にはいくつかあるんですけれども、まず1つが高い安全性です。

一時、コウジ酸について危険な成分なのではないかという風に言われていた時期もあったんですけれども、その後たくさんの研究がなされ、コウジ酸が危険だというようなことは否定されています。

そのため、コウジ酸は妊娠中でも安心してお使いいただけます。

またコウジ酸には美白効果以外の効果というのもあって、具体的には抗酸化作用や抗糖化作用が挙げられます。

紫外線を浴びると皆さんご存知のようにメラニンが作られてシミができてくるんですけれども、それだけでなく紫外線というのは酸化ストレスや糖化ストレスを加速させ、シワやたるみというようなエイジングも加速させてしまいます。

紫外線はエイジングサインも加速させてしまいます

コウジ酸配合美容液について

そういった一連の紫外線ダメージにトータルでアプローチしてくれるのがコウジ酸です。

私はHALSKINというスキンケアブランドを監修してるんですけれども、以前から美白化粧品を作りたいという風に思っていて、もし作るなら絶対コウジ酸がいいと思っていました。

それから色々と交渉を重ねてついにこの度、コウジ酸が高配合された美白化粧品をローンチすることが決まりました。それがこちらです。

HALSKINコジクリアセラムという美白美容液です。

こちらはコウジ酸以外にビサボロールや同じく美白効果のあるナイアシンアミドなどが配合されていて、より美白にトータルでアプローチしてくれるような処方となっています。

また、肌のバリア機能をサポートする成分としてセラミドやパンテノールといったような成分も配合されています。テクスチャーは手に出してみると、このようにどちらかというとさっぱりとしたテクスチャーです。

実際に肝斑治療などで通院していただいている患者様に何人か使用していただいたんですけれども、皆さんその美白効果を感じられた上にテクスチャーが気に入ったという風に言っていただけました。

実際の効果なんですけども、こちらをご覧ください。こちらはコジクリアセラムを1ヶ月使用していただいたビフォーアフターで、ご覧のように1ヶ月でくすみやシミの改善効果があることがお分かりいただけるかと思います。

コジクリアセラムをモニターに30日間使用してもらい、ビフォーアフターをこばとも皮膚科で撮影
※日中は必ず日焼け止めを使用。肌が慣れるまで赤み・乾燥が出る可能性があります。
※赤みやヒリつきが続く場合は使用を中止し皮膚科医に相談してください。

こちらの商品についてはまた改めて動画で詳しく解説する予定です。発売は4月を予定しています。是非楽しみにしていてください!

→2025年4月25日 ドクターズコスメブランド「HAL SKIN」より、高濃度のコウジ酸を主成分に、ビサボロールやパンテノール、セラミドなど肌を守る成分も贅沢に配合した美白美容液「コジクリアセラム」を発表いたしました。詳しくはこちらをご覧ください。

エンディング

ということで今回は美白成分のハイドロキノンについて詳しく解説させていただきました。このように私のチャンネルではスキンケアから美容医療、そして皮膚疾患まで肌にまつわる全てのことを発信しています。

公式LINEもありますので是非そちらも登録していただけたらと思います。今回の動画が少しでも参考になったなと思ったらいいねボタンやチャンネル登録ボタンを押していただけますと嬉しいです。ということで今回の動画は以上です。それでは〜。

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医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

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