毛穴の黒ずみの原因と正しい除去・ケア方法を皮膚科専門医が解説

「毛穴の黒ずみの対策をしているのに、効果がない、どうにもならない！」こんな悩みを持つ方は、もしかすると、誤った対策をしている可能性があります。

毛穴の黒ずみは、正しいケアや対策さえ行えばだんだんと改善していきますが、間違ったケアをしてしまうと逆に悪化します。

本記事では、毛穴の黒ずみについて、原因や正しい除去方法、ケア方法について皮膚科専門医が解説しています。毛穴の黒ずみにお悩みの方はぜひ参考にしてください。

毛穴の黒ずみの原因

毛穴の黒ずみは詰まった皮脂が酸化したもの

皮脂や角質が混ざり合ったものを角栓（かくせん）といい、角栓が毛穴に詰まって酸化してしまうと、毛穴が黒ずんで見えます。

毛穴の詰まりは、ターンオーバーの乱れや過剰な皮脂分泌で起こりやすくなります。

体質的な問題もありますが、生活習慣の乱れや間違ったスキンケアで毛穴が詰まってしまい、黒ずみを招いてしまっている可能性があります。

間違ったお手入れで悪化する可能性も

毛穴の黒ずみをケアしようと思ったとき、どうしても角栓を取り除こうと躍起になってしまいがちです。

しかし、毛穴パックやスクラブを使った毛穴の黒ずみの除去は、かえって毛穴が目立ってしまったり、新たな黒ずみを生み出してしまったりする可能性があり、お手入れとしてはおすすめできません。

【フィジカルピーリング】 物理的な力で皮脂や角質を剥がす方法
毛穴パック	表面的な角栓は除去できるものの、有効成分を押し入れる際にかえって毛穴を開かせてしまう。 刺激による皮膚炎症が起こり、色素沈着が新たな黒ずみを生み出すおそれがある。
スクラブ	刺激による皮膚炎症が起こり、色素沈着が新たな黒ずみを生み出すおそれがある。

毛穴の黒ずみ＝ニキビ？

「皮脂の詰まり」と聞いて、ニキビを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は毛穴の黒ずみはニキビと同類のお悩みに分類されるケースが多く、ニキビ治療に処方される薬は、毛穴の詰まりや黒ずみ治療にも用いられます。

炎症が起こっていないニキビの初期段階はコメドと言われますが、このコメドが酸化して黒ずんだものが、まさに毛穴の黒ずみと言われるものです。

海外では、ブラックヘッドと呼ばれ、毛穴の黒ずみはコメドに分類されています。

毛穴の黒ずみを除去する正しいケア・治し方

また、「皮脂をためない」「適切なターンオーバーを促し、余分な角質がたまらないようにする」この2つも大切です。

毛穴の黒ずみを除去する正しいケア・治し方には、次のような方法があります。

正しい洗顔とクレンジング

毛穴の黒ずみを取りたい場合、へたらないたっぷりの泡を使って優しく顔を洗うようにします。

毛穴の皮脂を取ろうとして、ゴシゴシ洗ってしまうと、肌に炎症を起こして逆効果になってしまうため厳禁です。

しっかり泡が立っていれば、きちんと皮脂を吸着してくれるため、むやみに擦る必要はありません。

クレンジングも同様に、なるべく毛穴の刺激とならないよう、優しく行います。

毛穴の黒ずみに有効な洗顔料を選ぶ

毛穴の黒ずみにはピーリング剤となる成分を配合した洗顔料の選択も助けとなります。ただし、フィジカルピーリングに分類されるスクラブを使った洗顔料はNGです。

黒ずみにアプローチした洗顔であれば、ケミカルピーリングに分類される、サリチル酸を配合した洗顔料を選ぶようにしてください。

サリチル酸には脂溶性があり、毛根と親和性が高い成分でもあります。毛穴の深部にまで有効成分が行き届き、毛穴の皮脂を取り除いてくれます。

また、サリチル酸の他に、過酸化ベンゾイルが配合されているものもおすすめです。

有効成分を取り入れる

毛穴の詰まりや黒ずみは有効成分を配合した医薬部外品や、皮膚科での薬でも改善が望めます。

具体的には次のような有効成分があります。

毛穴の黒ずみに有効な成分

レチノール	最も黒ずみに効果がある成分。皮脂の分泌を抑制し、ターンオーバーを促す。
ナイアシンアミド	皮脂の分泌の抑制、コラーゲンの生成、バリア機能の改善など幅広い働きを持つ。
ビタミンＣ	皮脂の分泌の抑制、コラーゲンの生成、メラニンの抑制で色素沈着にも有効。
アゼライン酸	皮脂の分泌の抑制、抗炎症効果を持つ。妊娠中の方も使用できる。

毛穴の黒ずみに効果的なケアを動画（YouTube）で解説

皮膚科での毛穴の黒ずみ治療

毛穴の黒ずみには、皮膚科で行える美容医療を取り入れる方法もあります。

皮膚科の毛穴黒ずみ治療

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を用いて古い角質や毛穴の汚れを除去し、毛穴の黒ずみを含む様々な肌悩みにアプローチする治療法です。

マイクロニードル（ダーマペン）

マイクロニードルはダーマペンとも呼ばれる施術で、肌に微細な針で穴を空け、微細な炎症を起こして肌の再生を促進させます。

仕組みや効果はフラクショナルレーザーと似ているものの、ダーマペンの方が痛みと副作用リスクが少ない点が特徴です。

また、針で穴を空けた部分に美容液を浸透させる治療を並行して行えるため、ダーマペンと美容成分による相乗効果が期待できるメリットもあります。

ボトックス

ボトックスは、ボツリヌス毒素という薬剤を注射することで、毛穴の黒ずみを含む様々な肌悩みにアプローチする治療法です。

シワ治療として広く知られていますが、近年では毛穴治療にも効果があると注目されています。

イオン導入（ケアシス）

イオン導入は、微弱な電流を利用して、ビタミンC誘導体などの美容成分を肌の奥深くまで浸透させる治療法です。

また、「ケアシス」は、従来のイオン導入よりも浸透効果が約20倍とされる、エレクトロポレーションの機器です。

美容成分を肌の奥深くまで浸透させ、肌のターンオーバーを促進させます。ターンオーバー促進により古い角質が除去され、毛穴の黒ずみやくすみが改善されます。

ジュベルック注射

ジュベルック注射は、PDLLA（ポリDL乳酸）という成分を肌に注入することで、毛穴の黒ずみを含む様々な肌悩みにアプローチする治療法です。

ジュベルック注射に含まれるPDLLAは、体内で徐々に分解されていきます。その過程で、コラーゲン生成を促進する物質が放出されます。

コラーゲンは肌の弾力に関わる重要な繊維であり、その量が増えることで、毛穴の開きやくすみ、小じわの改善や、肌の弾力回復により毛穴を引き締めます。

トレチノイン外用

トレチノイン外用は、ビタミンA誘導体であるトレチノインを肌に塗布することで、毛穴の黒ずみを含む様々な肌悩みにアプローチする治療法です。

ニキビ治療薬として広く知られています。

ハイドロフェイシャル（ウォーターピーリング）

水流とピーリング剤で毛穴に詰まった汚れや皮脂を浮かせて黒ずみをとる方法です。普段の洗顔では落としきれない汚れや皮脂まで毛穴の奥からきれいにできます。

洗浄と同時に美容成分を導入できるため、美肌効果が期待できるのもハイドロフェイシャルの大きな特徴です。

副作用やダウンタイムがほとんどなく、肌が弱い方が気軽に利用できるほか、他の治療との併用も可能です。

フラクショナルレーザー

フラクショナルレーザーは、細かな点状の熱を肌に与え、微細な炎症を起こして肌の再生を促します。

肌のターンオーバーが活発になり、古い角質の除去や過剰な皮脂分泌の改善に役立ちます。コラーゲンやエラスチンの生成を促し、毛穴が引き締まる効果も期待できます。

痛みを感じやすく、炎症による色素沈着のリスクがある点がデメリットです。

ソフウェーブ

ソフウェーブは、超音波を利用して、毛穴の黒ずみを含む様々な肌悩みにアプローチする美容医療機器です。

従来のハイフ治療器とは異なり、真皮層全体に均一な熱エネルギーを届けられるのがソフウェーブ最大の特徴です。

真皮層はコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力に関わる重要な繊維が存在する層であり、ソフウェーブはこの層に的確にアプローチすることで効果をもたらします。

毛穴の黒ずみには脱毛も有効？

毛穴の黒ずみかと思っていたものが、実は「毛」だったというケースは珍しいお話ではありません。

毛穴から生えている毛が黒ずみに見える場合には、医療脱毛による脱毛が有効です。顔の産毛のお手入れはサロンでも行っていますが、サロンでは永久脱毛できない点には注意が必要です。

毛を根本から除去する永久脱毛は皮膚科での医療脱毛でしかできないため、根本的に黒ずみを解消したい方は皮膚科による医療脱毛を受けるようにしましょう。

ただ、顔の毛は色素が薄く脱毛しにくい部位であるため、他の部位よりも回数が必要になる可能性が高いです。

まとめ～毛穴の黒ずみがどうにもならない！とお悩みの方へ

毛穴の黒ずみは、毛穴に詰まった皮脂や角質が混ざり合い、角栓になったものが酸化して黒くなる現象が原因です。

毛穴パックやスクラブなどで無理矢理に取り除こうとすると、炎症で黒ずみが悪化する可能性があるため、たっぷりの泡で皮脂や汚れを落とすほか、皮脂や余分な角質を溶かしてくれるサリチル酸を配合した洗顔料を用いるのも有効です。

どうしても黒ずみがとれにくい部位は、皮膚科で治療する方法もあります。

毛穴の黒ずみについてよくある質問

参考文献

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