何週間たっても引かないしこりは、ニキビではなく粉瘤と呼ばれる別のできものである場合があります。粉瘤は皮膚の下に袋ができて角質がたまる良性のできもので、洗顔やニキビの塗り薬では小さくなりません。
手がかりになるのは、中央に見える黒い開口部、押したときの独特のにおい、そして年単位でゆっくり膨らむ経過です。触ると皮下でころりと動く感触も、ニキビにはあまり見られない特徴といえます。
赤く腫れて痛む段階まで進むと化膿したニキビとの区別は難しくなり、自分で潰せば傷あとが残りやすくなります。判断に迷う時点で皮膚科に相談する目安まで、順を追って整理しました。
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
ニキビと粉瘤は皮膚の中で起きている変化が違う
同じような膨らみに見えても、ニキビは毛穴の詰まり、粉瘤は皮下にできた袋という点で成り立ちが分かれます。治り方の差は、この構造の違いから生まれます。
| 比べる点 | ニキビ | 粉瘤 |
|---|---|---|
| 始まる場所 | 毛穴の詰まり | 皮下にできた袋 |
| たまるもの | 皮脂と角質、膿 | 角質とあぶら |
| 経過の速さ | 数日から数週間 | 月から年の単位 |
| 自然に消えるか | 小さくなる例が多い | 袋が残るため消えない |
| 根本の対処 | 塗り薬や飲み薬 | 袋ごと取り除く手術 |
表の一番下にある差が、悩んでいる方にとって最も切実な部分でしょう。ニキビの治療をどれだけ丁寧に続けても、皮下にできた袋そのものには薬が届かず、しこりの大きさは変わらないためです。
ニキビは皮脂と古い角質が毛穴をふさいで始まる
ニキビの出発点は、毛穴の出口が古い角質で狭くなり、内側に皮脂がたまった状態です。詰まった毛穴の中では皮膚に住みつく細菌が増えやすく、炎症が周囲へ広がると赤い丘疹や膿をもった状態へ進みます。
白ニキビや黒ニキビと呼ばれる段階では、内容物がまだ毛穴の中にとどまり、皮膚の表面から数ミリの浅い深さにおさまっています。皮脂の分泌が落ち着けば、手を加えなくても目立たなくなる例は珍しくありません。
米国皮膚科学会がまとめた診療指針でも、外用のレチノイドや過酸化ベンゾイルといった薬剤が治療の中心に据えられています。毛穴の詰まりをほどき、炎症を鎮める方向へ働きかける薬が土台になるという整理です。
粉瘤は皮膚の下にできた袋に角質がたまり続ける
粉瘤は正式には表皮嚢腫と呼ばれ、本来なら表面にあるはずの皮膚の組織が、袋のかたちで皮下に入り込んだできものです。袋の内側では角質とあぶらが作られ続け、行き場を失ったまま中央にたまっていきます。
押したときに出てくる白っぽいかたまりは、その袋にたまった角質そのものです。密閉された空間で角質がゆっくり分解されるためにおいが強く、ニキビから出る膿とはそもそも性質が異なります。
病理の集計を見ても、皮膚にできる良性の嚢腫のうち表皮嚢腫が最も多く、1160例を調べた報告では全体の74.3%を占めていました。年齢の幅は3歳から91歳までと広がり、平均は37.6歳でした。
袋がある限り自然には消えない
ニキビと粉瘤で最も大きく分かれるのは、その後の経過です。ニキビは原因となる詰まりが解ければ引いていきますが、粉瘤は袋という構造が残るため、中身を押し出しても再びたまってしまいます。
洗顔の見直しや塗り薬で表面の赤みが落ち着いても、皮下の袋そのものは縮みません。数か月から数年かけて少しずつ膨らみ、いつのまにか指の腹にはっきり触れる大きさになっていた、という経過をたどります。
根本から治すには、袋を壁ごと取り除く小さな手術が必要です。中身だけを抜いても壁が残れば同じ場所にたまり直すため、皮膚科では袋を残さず取り切る前提で治療を組み立てます。
粉瘤とニキビの見分け方は中央の黒い点と経過にある
大きさや痛みの強さでは判断がつきません。手がかりになるのは、中央に見える小さな開口部と、そこまで膨らむのにかかった時間の長さのほうです。
中央に黒い点が見えるかどうか
粉瘤の表面をよく観察すると、中央に黒っぽい点が見つかる場合があります。袋が皮膚の表面とつながっている開口部で、へそと呼ばれ、たまった角質が空気に触れて酸化するため黒く見えます。
黒ニキビの詰まりも同じように黒く見えますが、こちらは毛穴そのものが広がった状態で、まわりに盛り上がりを伴いません。点の周囲に1センチ前後のドーム状の膨らみがあれば、粉瘤を疑う場面です。
もっとも、開口部がはっきりしない粉瘤も少なくありません。背中や首すじでは毛穴に紛れて点が見えにくく、しこりの手触りと膨らんできた経過を合わせて判断していきます。
押したときに出てくる中身とにおい
押すと白っぽいペースト状のものが出て、独特の強いにおいがするなら、粉瘤の疑いが濃くなります。ニキビから出る膿は黄白色で、においを伴う場合もありますが、ここまで際立ちません。
ただし、押し出す行為そのものが袋を傷めます。出口を無理に広げると内容物が皮下へ漏れ、翌日から赤みと痛みが一気に強まる展開もよく見られます。
においや中身の性状は、診察の場で医師に伝える手がかりです。自分で押して確かめるより、いつからどのように変わってきたかを言葉で説明するほうが、診断の助けになります。
数週間から数年かけて少しずつ大きくなる
時間の流れは、ふたつを分ける最も分かりやすい指標といえます。ニキビは数日で膨らみ、1〜2週間もあれば形を変えていきますが、粉瘤は月単位、年単位でゆっくりと育っていきます。
去年からある気がする、少しずつ大きくなってきた、といった感覚は、粉瘤を強く示唆する材料になります。217例を集めた報告では、放置された結果10センチに達した例まで記録されていました。
一方で、いったんできた粉瘤が小さくなる場面はほとんどありません。育つ速さがゆるやかなので、本人が変化に気づくまで何年もかかり、人に指摘されて初めて意識する例も目立ちます。
- 中央の黒い開口部(へそ)
- 押すと出る白いかたまりと強いにおい
- 月から年の単位でゆっくり膨らむ経過
- 指で押すと皮下で左右に動く手触り
- 同じ場所で何度も腫れを繰り返す
五つのうち三つ以上が当てはまるようなら、ニキビとは別のできものとして見立てを立て直したほうが早く片づきます。塗り薬を足すより、しこりが何であるかを確かめる方向へ進む場面です。
触った感触とできる場所から絞り込む粉瘤の特徴
指で押したときに皮膚の下でころりと動けば、粉瘤らしい所見です。できやすい部位にもはっきりした偏りがあり、触れたときの感触と合わせて見ていくと、かなり絞り込めます。
皮膚の下でころころ動くしこり
粉瘤は袋ごと皮下にあるため、上の皮膚をつまむと一緒に持ち上がり、押すと下の組織の上をすべるように動きます。芯があるように硬く感じられ、まわりとの境目もはっきりしています。
炎症を起こしていないニキビは、これよりずっと浅い層にとどまっており、指で動かせるほどの塊にはなりません。どの深さで起きている変化なのかが、触れたときの印象を分けています。
超音波検査では、粉瘤は境界のはっきりした楕円形の低エコー像として写り、内部に角質による点状の反射が混じります。血流の信号を伴わない点も、破れていない粉瘤の特徴として報告されています。
背中・耳のうしろ・首すじにできやすい
できる場所にも傾向が出ます。1160例を調べた集計では表皮嚢腫が背中に多く、頭頸部を含めた上半身が中心という結果でした。耳のうしろ、首すじ、肩、頬など、皮脂の分泌が多い部位と重なります。
ニキビも同じ範囲にできるので、部位だけで区別はつきません。ただ、顔全体に大小さまざまな発疹が散らばっているのか、一か所だけ大きなしこりが残っているのかで、見え方は大きく変わります。
217例を扱った報告でも頭頸部が最多で、乳房や耳下腺のように珍しい部位の記録が含まれていました。普段ニキビができない場所に単発の膨らみが残るなら、別のできものを疑う場面といえます。
できやすい部位と見え方の傾向
| 部位 | ニキビの見え方 | 粉瘤の見え方 |
|---|---|---|
| 頬・あご | 小さな発疹が複数並ぶ | 単発のしこりが残る |
| 背中 | 広い範囲に点在する | 一か所だけ盛り上がる |
| 耳のうしろ | できにくい | 気づかれず育ちやすい |
| 首すじ | 摩擦で悪化しやすい | 襟が当たって痛む |
同じ場所で何度も腫れを繰り返す
同じ位置で腫れと小康を繰り返すなら、袋が残ったままだと考えられます。抗菌薬や切開でいったん治まっても、壁がある限り角質は再びたまり、数か月後に同じ場所が膨らんできます。
ニキビも治ったあとに同じ毛穴で再発しますが、しこりの輪郭までそっくり同じ形で戻る例はまれです。腫れ方まで再現されるようなら、粉瘤を疑う根拠になります。
袋を取り除く手術では、壁を残さず摘出できたかどうかが再発を左右します。646例を追った報告では全体の再発率が10%未満で、そのうち約半数が1年以内に起きていました。
赤く腫れて痛むときの粉瘤は化膿したニキビとよく似ている
炎症を起こした粉瘤は、赤み・熱感・強い痛みという点で化膿したニキビとほとんど同じ見た目になります。分かれ目は、腫れる前にしこりがあったかどうかです。
| 見ている点 | 炎症を起こした粉瘤 | 化膿したニキビ |
|---|---|---|
| 腫れる前の状態 | 動くしこりが長くあった | 前ぶれは数日と短い |
| 腫れの広がり | 一か所が硬く盛り上がる | 周囲にも発疹が混じる |
| 出てくるもの | 強いにおいの角質と膿 | 黄白色の膿 |
| 治まったあと | 同じ場所が再び腫れる | そのまま落ち着く例が多い |
袋が破れて周囲に炎症が広がる
炎症性粉瘤では、袋の壁が破れて内容物が周囲の組織へこぼれ出ています。角質は体にとって異物であり、免疫の細胞が集まって強い反応が起こるため、短時間で赤く硬く腫れ上がります。
細菌の感染が主役とは限らない点が、この腫れの特徴でしょう。皮膚科では感染ではなく炎症や破裂という言葉を選ぶ医師が多く、177人を対象にした調査でも用語の使い分けに差が出ていました。
実際の診療では抗菌薬が広く使われており、同じ調査で皮膚科医の94%、一般医の84%が処方を選んでいました。腫れが強いときには、切開して内容物を出す処置を組み合わせます。
赤く腫れる前に、しこりはありましたか?
判断の分かれ目は、赤く腫れる前の状態にあります。何か月も前から動くしこりがあり、あるとき急に痛みだしたのなら、粉瘤が炎症を起こしたと考えるのが自然でしょう。
化膿したニキビは、わずか数日のうちに赤い発疹から膿をもった状態へと一気に進んでいくのが普通です。前ぶれとなるしこりの期間が短く、周囲に別のニキビが混じっている点も違います。
超音波の画像で見ると、破れた粉瘤は輪郭がぎざぎざに乱れ、境目がぼやけて血流の信号も増えてきます。46例を比べた研究でも、破れていないものとの差がはっきり示されていました。
抗菌薬だけでは袋は消えない
抗菌薬や切開で痛みが引いても、鎮まったのは炎症だけであり、袋そのものは皮下にそのまま残ります。腫れが治まってから、あらためて摘出を相談する流れが一般的です。
炎症が強い時期は周囲の組織がもろく、境目もはっきりしないため、その場で袋をきれいに取り切るのは難しくなります。落ち着くまで数週間おいてから手術を組む判断もよく行われます。
痛みが強い、熱が出た、腫れが急に広がるといった変化が重なるようなら、その日のうちに受診したほうが安全です。放置すれば膿のたまる範囲が広がり、結果として傷あとも大きくなりがちです。
粉瘤やニキビのしこりを自分で潰すと傷あとが残りやすい
早く治したい気持ちがあっても、自分で潰すやり方は勧められません。押し出した拍子に炎症が深いところまで広がり、色素沈着やへこみとして長く残る危険が高まるためです。
強く押すと炎症が皮下へ広がる
指や器具で強い圧をかけると、皮下の袋は簡単に破れます。破れた壁から角質が散らばると、もとのしこりよりずっと広い範囲で炎症が起こり、痛みも長引きます。
ニキビでも同じ理屈が働きます。毛穴の壁が内側で裂けると、皮脂や角質が真皮に漏れ出し、赤みの引きにくい硬い結節へ変わっていきます。
皮膚の深い層まで傷んだ部位は、もとの構造に戻りません。表面が治ったように見えても、真皮のコラーゲンが失われた場所は、へこみとして年単位で残り続けます。
細菌が入り込んで膿がたまる
自分で開けた傷口は、外から細菌が入る通り道になります。爪や器具に付いた菌が皮下へ持ち込まれると、痛みを伴う膿の塊へ発展し、切開が必要な状態まで進む場合もあります。
温めたり繰り返し圧をかけたりすると、内容物が横へ押し広げられ、炎症の及ぶ範囲がさらに拡大します。腫れが引くまでの日数も、触らなかった場合より延びがちです。
顔の中央付近は血管が豊富で、炎症が広がりやすい部位にあたります。腫れが強い、押すとずきずきするといった変化が出たら、自己処置を続けず皮膚科へ相談する場面です。
潰したあとに残る色素沈着とへこみ
炎症が強いほど、色素沈着や陥凹した瘢痕が残りやすくなります。24,649人分のデータを統合した解析では、ニキビの患者のおよそ47%に瘢痕が生じていました。
同じ解析では、男性、家族歴、そして重症度が瘢痕の危険因子に挙がっています。中等症で2.34倍、重症では5.51倍という数字が示され、炎症の強さが跡の残りやすさに直結していました。
触らずに早く治療へつなげる方針が、結果として跡を減らします。粉瘤の場合も、炎症を起こす前の小さいうちに摘出したほうが、切る範囲は狭く、傷も目立ちにくくなります。
- 押しても中身が出ず硬いまま
- 数週間たっても大きさが変わらない
- 同じ場所が何度も腫れて痛む
- 赤みと痛みが日ごとに強まる
四つのどれかひとつでも当てはまるなら、手を出す前に診察を受けたほうが、結局は遠回りになりません。潰したあとの傷を治すより、袋を計画的に取るほうが仕上がりは整います。
粉瘤と間違えやすいできものには脂肪腫やせつもある
ニキビでも粉瘤でもないしこりは、ほかにもあります。毛包炎やせつ、脂肪腫といったできものは経過や手触りが少しずつ違い、治療の進め方も変わってきます。
毛包炎とせつは毛穴から始まる炎症
毛包炎は毛穴の入り口に細菌が入り、小さな赤い膨らみや膿疱ができた状態です。ひげそりや衣類の摩擦をきっかけに現れやすく、多くは数日から1週間ほどで自然に落ち着いていきます。
せつは毛穴よりもさらに深い部分まで炎症が及び、押すと飛び上がるほど強く痛む硬い塊になるのが特徴です。まわりの皮膚まで赤く広がって熱をもつ点で、単なるニキビとは勢いが違います。
どちらも袋の構造をもたないため、炎症が引けば跡形なく治まる場合が大半です。ただし同じ場所で何度も繰り返すようなら、下に粉瘤が隠れていないかを確かめる値打ちがあります。
脂肪腫は柔らかく開口部がない
脂肪腫は脂肪の細胞がゆっくり増えてできる良性の腫瘍で、粉瘤よりもさらに深い層に位置しています。柔らかく、境目がぼんやりしていて、押しても痛みを感じないのが典型です。
中央の開口部がなく、押しても中身は出てきません。においを伴わず、ある日急に赤く腫れて痛みだす展開もまれで、粉瘤とはこの点ではっきり分かれます。
超音波の画像では、脂肪腫は皮膚と平行に走る縞模様をもった細長い像として写り、輪郭も平たく見えます。低エコーで内部に点状の反射が混じる粉瘤とは、画像の上での印象がはっきり違うはずです。
まれに悪性の腫瘍が隠れている
数は多くないものの、皮膚の腫瘍が硬いしこりとして現れる場合もあります。急に硬くなった、出血する、潰瘍になって治らないといった変化があるときは、早めの診察が要ります。
長く放置された粉瘤から悪性の変化が生じた報告も、少数ながら知られています。頻度としては低いとはいえ、年単位で大きくなり続けるしこりをそのまま放っておく理由にはなりません。
触診だけで判断がつかないときは、超音波や病理の検査で確かめます。しこりの中身と広がりを画像で確かめたうえで、どこまで切除するかを決めていく流れが一般的です。
| できもの | 手触り | 経過の特徴 |
|---|---|---|
| 粉瘤 | 硬く皮下で動く | 年単位で大きくなる |
| 脂肪腫 | 柔らかく境目が曖昧 | ゆっくり広がる |
| 毛包炎 | 小さく浅い | 数日で落ち着く |
| せつ | 硬く強く痛む | 1〜2週間で改善する |
| ニキビ | 浅く小さい | 数日から数週間で変わる |
治らないしこりで皮膚科を受診する目安と粉瘤の手術
3週間たっても引かないしこりは、ニキビ以外の見立ても含めて一度診てもらう価値があります。粉瘤なら早いうちに摘出したほうが、傷あとも小さくすみます。
どんな変化があれば受診を急ぐ?
赤みと痛みが日ごとに強まる、熱をもつ、押すと波打つように柔らかい部分があるといった変化は、袋が破れて炎症が広がっているしるしです。数日以内の受診が望まれます。
発熱を伴う、腫れが手のひら大まで広がる、糖尿病などで感染に弱い事情があるといった場合は、より早い対応が要ります。夜間や休日に相談できる窓口を調べておくと安心でしょう。
一方、痛みがなく大きさも変わらないなら、慌てる場面ではありません。予定を合わせて日中の外来を受け、いつからあるかを伝えたうえで経過と手触りを診てもらう流れで十分でしょう。
受診までの目安となる変化
| しこりの様子 | 受診までの目安 |
|---|---|
| 赤く腫れて痛みが強まる | 数日以内 |
| 熱をもち、柔らかい部分がある | 数日以内 |
| 発熱を伴う | 当日から翌日 |
| 3週間以上変わらない | 予定を合わせて日中の外来 |
| 少しずつ大きくなっている | 1〜2か月以内 |
診察で医師が確かめる点
診察ではまず、いつからあるのか、大きさがどう変わったのか、腫れを繰り返していないかを尋ねます。経過の情報は、触診だけでは分からない部分を補う大切な材料です。
続いて開口部の有無、動きやすさ、硬さ、深さを順に触って確かめ、必要に応じて超音波を当てます。境界や内部の様子、血流の有無を画像で見ると、判断の精度が上がります。
それでも判断に迷う場合には、摘出した組織を病理の検査に出し、顕微鏡の所見をもとに診断を確定させます。良性の嚢腫なのか別の腫瘍なのかを最終的に決めるのは、この段階です。
袋ごと取り除く手術と傷あと
粉瘤の治療は、袋を壁ごと摘出する小さな手術です。局所麻酔をかけ、皮膚を紡錘形に切開して取り出す方法と、小さな穴から袋を引き出すくりぬき法があります。
両者を比べた研究では、くりぬき法の傷は平均0.73センチ、紡錘形の切開では2.34センチでした。傷が小さいほど治りも早く、目立ちにくい仕上がりになります。
ただし壁を残せば再発します。646例の追跡で全体の再発率は10%未満でしたが、背中や耳では13%前後とやや高く、部位によって難しさが変わる点も示されていました。
よくある質問
- 粉瘤は自然に治りますか?
-
袋の構造が皮下に残るため、自然に消える例はほとんどありません。中身を押し出しても壁から角質が作られ続けるため、時間がたてば同じ場所に再びたまってしまいます。
根本から治すには袋ごと摘出する手術が要ります。炎症を起こす前の小さいうちに取ったほうが、切る範囲は狭くてすみ、あとに残る傷も目立ちません。
- 粉瘤とニキビは大きさで見分けられますか?
-
大きさだけでは判断がつきません。ニキビでも炎症が強ければ1センチ近くまで腫れますし、粉瘤も数ミリのうちは目立たないためです。
手がかりになるのは経過のほうです。数日のうちに形が変わるならニキビ寄りで、月単位や年単位でゆっくり膨らんでいるようなら粉瘤を疑います。
- ニキビの塗り薬を粉瘤に使っても効果はありますか?
-
塗り薬は毛穴の詰まりや皮膚の表面に起きた炎症に働くもので、皮下にできた袋の中までは届きません。粉瘤そのものが小さくなる変化は期待しにくいといえます。
赤く腫れて痛みが強い時期には、炎症を抑える目的で塗り薬や飲み薬を使う場面もたしかにあります。ただし症状を和らげる対応であり、袋は皮下に残ったままです。
- 粉瘤を自分で潰すとどうなりますか?
-
袋が破れて角質が周囲の組織へ漏れ出すため、もとのしこりよりずっと広い範囲が赤く腫れ上がります。細菌が入り込めば膿がたまり、切開が必要な状態まで進む場合もあります。
炎症が深いところまで及んだ部位は、色素沈着や陥凹したへこみとして、あとあと残りやすくなります。触らずに受診したほうが、結果として跡は目立ちません。
- 粉瘤の手術のあと、傷あとはどのくらい残りますか?
-
切開の大きさによって変わります。小さな穴から袋を引き出すくりぬき法では傷の長さが平均0.73センチ、紡錘形に切開する方法では2.34センチと報告されています。
いったん炎症を起こして大きく腫れたあとでは、周囲の組織ごと取り除く範囲が広がってしまいます。小さいうちに相談したほうが、仕上がりは整いやすくなります。
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