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ベピオ・ディフェリン・エピデュオの違いは?皮膚科で処方されるニキビ塗り薬の使い分け

ベピオ・ディフェリン・エピデュオの違いは?皮膚科で処方されるニキビ塗り薬の使い分け

皮膚科で処方される代表的なニキビ治療薬である「ベピオ」「ディフェリン」「エピデュオ」。名前は聞いたことがあっても、違いや自分の肌への適性が分からず悩んでいませんか?

この記事では、3つの薬の成分的特徴や効果の現れ方、副作用への対処法、具体的な使い分けについて、専門的な視点から分かりやすく解説します。

ニキビの種類や肌質に合わせて正しい薬を選び、適切なケアを行うことが、繰り返す肌トラブルを断ち切り、自信の持てる素肌を取り戻すための第一歩です。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

ニキビの種類によって使い分ける薬の選び方とは?

ニキビの症状は、毛穴が詰まり始めたばかりの初期段階から、炎症を起こして赤く腫れ上がった状態まで人それぞれ異なります。皮膚科を受診した際に処方される薬が、なぜその薬なのか疑問に思った方もいるでしょう。

実は、ベピオ、ディフェリン、エピデュオといった主要な外用薬は、それぞれ得意とするニキビのタイプや作用するポイントが少しずつ異なります。

自分の現在の肌状態を正しく把握し、その状態に最も適した薬を選択することが治療の近道となります。

白ニキビや黒ニキビに効果的な薬はあるの?

白ニキビや黒ニキビは、医学的には「面ぽう(コメド)」と呼ばれるニキビの初期段階です。この段階ではまだ炎症は起きておらず、毛穴に皮脂や角質が詰まっている状態です。

この詰まりを解消することが治療のカギとなります。ディフェリンゲルに含まれるアダパレンという成分は、角質の異常な角化(厚くなること)を抑制する働きを持っています。

その作用で毛穴の入り口が塞がるのを防ぎ、詰まった皮脂を排出させやすくします。つまり、ディフェリンゲルは「詰まりを取る」ことに特化しています。

そのため、白ニキビや黒ニキビが中心の肌荒れに対して非常に有効な選択肢となります。ベピオゲルもピーリング作用を持っているため、毛穴の詰まりを改善する効果が期待できますが、角質調整作用に関してはディフェリンが優れています。

初期のニキビを放置すると、アクネ菌が増殖して赤ニキビへと悪化してしまいます。白ニキビや黒ニキビの段階で外用薬を使用し、毛穴の詰まりをリセットする働きかけは、将来的な重症化を防ぐために極めて重要です。

赤ニキビや炎症が強い場合に選ぶべき薬

毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤く腫れた状態が赤ニキビです。触れると痛みを感じたり、熱を持ったりする場合もあります。

この段階になると、単に毛穴の詰まりを取るだけでなく、アクネ菌を殺菌し、炎症を鎮める作用が必要です。ここで力を発揮するのがベピオゲルです。

ベピオゲルの主成分である過酸化ベンゾイルは、強力な酸化作用によってアクネ菌を殺菌します。抗生物質とは異なり、耐性菌ができにくいという大きなメリットがあります。

さらに、エピデュオゲルは、ディフェリン(アダパレン)とベピオ(過酸化ベンゾイル)の両方の成分を配合した合剤です。毛穴の詰まりを解消しながら強力に殺菌も行います。

そのため、炎症が強く、数も多い重症のニキビに対して高い効果を発揮します。炎症が激しい場合は、まずはエピデュオゲルやベピオゲルで炎症を叩くのが一般的です。

その後、症状が落ち着いてきたら維持療法としてディフェリンゲルやベピオゲル単体に切り替えるといった使い分けもよく行われます。

ニキビ跡の赤みを残さないためにできること

多くの人が悩むのが、ニキビが治った後に残る「赤み」や「色素沈着」、そして最悪の場合は「クレーター(凹凸)」です。これらは、炎症が長引いて皮膚の組織がダメージを受けるのが原因です。

つまり、ニキビ跡を残さないためには、いかに早く炎症を鎮めるかが勝負となります。エピデュオゲルなどの強力な外用薬を早期に使用し、炎症を一気に抑え込むケアは、ニキビ跡の予防に直結します。

「薬が強そうだから」と躊躇して弱い薬で様子を見ている間に炎症が長引けば、それだけ跡が残るリスクは高まります。皮膚科医が最初からしっかりとした効果のある薬を勧める理由はここにあります。

現在のニキビを治すだけでなく、将来の肌のきれいさを守るためでもあるのです。適切なタイミングで適切な強さの薬を使うことが、美肌への最短ルートです。

症状別の推奨薬剤の目安

ニキビの状態推奨される主な薬剤期待できる主な作用
白ニキビ・黒ニキビ
(毛穴詰まり)
ディフェリンゲル
ベピオゲル
角質剥離作用により毛穴の詰まりを改善し、コメドを排出させる
赤ニキビ
(軽度〜中等度の炎症)
ベピオゲル
デュアック配合ゲル
過酸化ベンゾイルによる殺菌作用でアクネ菌を叩き、炎症を鎮める
赤ニキビ・紫ニキビ
(重度の炎症・難治性)
エピデュオゲル毛穴詰まり改善と強力な殺菌作用のダブル効果で、激しい炎症を抑え込む

ベピオゲルの特徴と知っておきたい副作用への対策

ベピオゲル(成分名:過酸化ベンゾイル)は、世界中で広く使われているニキビ治療のスタンダードな薬剤です。日本でも認可されて以来、ニキビ治療の現場を大きく変えました。

抗生物質のように使い続けると効かなくなるという心配がほとんどなく、長期間にわたって使用できる点が大きな強みです。しかし、その効果の反面、使い始めには刺激を感じることも少なくありません。

殺菌作用とピーリング効果がニキビに効く理由

ベピオゲルがニキビに効く最大の理由は、そのユニークな作用機序にあります。過酸化ベンゾイルは肌に塗られると分解され、フリーラジカルという活性酸素を発生させます。

この活性酸素が、ニキビの原因となるアクネ菌の膜構造を破壊し、菌を死滅させます。この作用は非常に強力かつ即効性があり、アクネ菌が変異して耐性を持つ隙を与えません。

さらに、ベピオゲルには「ピーリング作用(角層剥離作用)」もあります。古くなった角質を剥がれやすくして、毛穴の詰まりを取り除きます。

「菌を殺す」と「毛穴を開く」の2つの働きかけを同時に行えるのです。これにより、今ある赤いニキビを治すだけでなく、これからできる新しいニキビの予防にもつながります。

ベピオゲル使用時に気をつけたいポイント

  • 漂白作用に注意する
    髪の毛や服、枕カバーなどに付着すると色が抜ける場合があるため、就寝前の使用や着替えには気を配る必要があります。
  • 紫外線対策を行う
    使用中は肌が敏感になりやすいため、日中は日焼け止めを使用し、直射日光を避ける工夫が大切です。
  • 保管方法を守る
    未開封の状態や一部のジェネリック医薬品を除き、基本的には25度以下での保存が推奨されるため、冷蔵庫での保管が必要な場合があります。

使い始めに起こりやすい赤みやヒリヒリ感への対処

ベピオゲルを使用し始めてから数日〜2週間以内に、多くの人が「肌が赤くなる」「ヒリヒリする」「乾燥して皮がむける」といった症状を経験します。

これは副作用というよりも、薬が効いている証拠とも言える反応ですが、不快感が強いと使用を中断したくなるかもしれません。これらの症状を和らげるためには、保湿を徹底することが最も大切です。

洗顔後、すぐに薬を塗るのではなく、まずは化粧水や乳液でしっかりと肌を保湿し、その上からベピオゲルを塗るようにしてください。

また、最初は顔全体ではなく、ニキビのある部分にのみ少量塗布し、肌が慣れてきたら徐々に範囲を広げるといった工夫も有効です。

刺激が強すぎる場合は、塗ってから15分〜30分後に洗い流す「ショートコンタクト療法」という方法もありますので、主治医に相談してみましょう。

ベピオが向いている肌質やニキビの状態

ベピオゲルは、特に「赤ニキビができやすい人」や「これまでの抗生物質の塗り薬では効果が実感できなかった人」に適しています。

また、耐性菌のリスクがないため、ニキビができやすい体質で、長期間にわたって予防的に薬を使いたい人にも向いています。ただし、非常に稀ですが「接触皮膚炎(かぶれ)」を起こす体質の人もいます。

塗った直後ではなく、数時間から翌日にかけて強い赤みや腫れ、痒みが出た場合はアレルギーの可能性があります。この場合は直ちに使用を中止し、医師の診察を受ける必要があります。

ディフェリンゲルは毛穴の詰まりをどう改善するのか?

ディフェリンゲル(成分名:アダパレン)は、ビタミンA誘導体に似た構造を持つ薬剤です。ニキビの根本的な原因である「毛穴の詰まり」に直接働きかけて、ニキビのできにくい肌質へと導きます。

一見、地味な作用に見えるかもしれませんが、ニキビ治療においては「守り」であり「攻め」でもある重要な役割を担っています。

角質の肥厚を抑えて新しいニキビを防ぐ働き

健康な肌は、ターンオーバー(生まれ変わり)によって古くなった角質が自然に剥がれ落ちていきます。しかし、ニキビができやすい肌では、角質が厚くなりやすく、毛穴の出口を塞いでしまいます。

そこに皮脂が溜まると、コメド(面ぽう)が形成されます。ディフェリンゲルは、表皮の角化細胞にある受容体に結合し、角層が厚くなるのを抑制します。

さらに、すでに厚くなってしまった角質を薄くし、毛穴の入り口を広げる働きもあります。これにより、詰まっていた皮脂がスムーズに排出され、ニキビの種が消えていきます。

目に見える赤いニキビだけでなく、手で触ると感じるザラつきや小さなプツプツ(微小面ぽう)も改善するため、肌全体の質感が滑らかになります。

乾燥や皮むけが起きたときの正しいスキンケア

ディフェリンゲルもベピオゲルと同様に、使い始めに「随伴症状」と呼ばれる副作用が出やすい薬です。主な症状は、皮膚の乾燥、皮むけ(落屑)、赤み、ヒリヒリ感です。

これらは角質を薄くする作用に伴って生じるもので、多くの場合は使用開始から2週間程度でピークを迎え、その後徐々に落ち着いていきます。この時期を乗り切るためには、洗顔と保湿の見直しが必要です。

洗顔料は洗浄力が強すぎないマイルドなものを選び、熱いお湯ではなくぬるま湯で優しく洗います。ゴシゴシ擦るのは厳禁です。

保湿剤は、ノンコメドジェニック(ニキビになりにくい処方)のテスト済み製品を選び、普段よりもたっぷりと使うようにしましょう。乾燥がひどい目元や口元は避けて塗る、あるいはワセリンなどで保護してから薬を塗るのも一つの方法です。

ディフェリンを継続することで期待できる肌の変化

ディフェリンゲルの効果は、数日ですぐに現れるものではありません。まずは毛穴の詰まりが解消され、新しいニキビができにくくなるまで、最低でも3ヶ月程度は継続することが推奨されます。

根気よく使い続けると、ニキビが減るだけでなく、肌のキメが整い、毛穴が目立ちにくくなるという嬉しい変化も期待できます。

長期的に使用すると、ニキビ跡の凹凸がなだらかになったり、肌の透明感が増したりといったエイジングケアに近いメリットを感じる患者さんもいます。一時的な副作用に挫けず、長い目で見て肌を育てる意識が大切です。

ディフェリンゲル使用時の経過イメージ

時期肌の状態と対処法期待できる効果
使用開始〜2週間
(反応期)
赤み、乾燥、皮むけがピークになることが多い。保湿を徹底し、刺激が強い場合は隔日使用にするなど調整する。まだ目に見える変化は少ないが、肌内部で角質の調整が始まっている。
1ヶ月〜3ヶ月
(改善期)
副作用が徐々に落ち着き、肌が薬に慣れてくる。新しいニキビができにくくなるのを感じ始める。毛穴の詰まりが減少し、白ニキビや黒ニキビが改善。肌のザラつきが取れてくる。
3ヶ月以降〜
(維持期)
トラブルの少ない安定した肌状態になる。ニキビができても治りが早くなる。ニキビ跡の赤みが薄くなり、肌質全体の改善を実感できる。予防のために継続使用が望ましい。

エピデュオゲルは重症ニキビにどれくらい効果がある?

エピデュオゲルは、ニキビ治療薬の中でも特に強力な作用を持つ薬剤として位置づけられています。なかなか治らない難治性のニキビや、顔全体に広がってしまった重度のニキビに悩む人にとって、エピデュオゲルは最後の砦とも言える希望の光です。

ベピオとディフェリンの成分を配合した強み

エピデュオゲルの最大の特徴は、これまで紹介した「ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)」と「ディフェリンゲル(アダパレン)」の2つの有効成分があらかじめ配合されている合剤である点です。

過酸化ベンゾイルによる強力な「殺菌作用」と、アダパレンによる「角質調整・毛穴詰まり改善作用」を併せ持っています。これらが相乗効果を発揮するため、単剤で使用するよりも高い治療効果を実現します。

具体的には、アダパレンが毛穴を開いて過酸化ベンゾイルの浸透を助け、開いた毛穴の奥深くにいるアクネ菌を効率よく殺菌します。

それぞれの薬を別々に塗る手間も省けるため、塗り忘れや塗りムラを防ぐことにもつながります。毎日のケアがシンプルになることも、治療を継続する上で大きなメリットと言えます。

刺激が強い薬だからこそ注意したい塗り方と量

2つの強力な成分が入っているということは、それだけ肌への刺激も強くなる可能性があるということです。エピデュオゲルは、ベピオやディフェリン単体よりも、乾燥やヒリヒリ感、赤みといった副作用の発現率が高い傾向にあります。

そのため、自己判断でたっぷりと塗るのは危険です。医師の指示に従い、米粒大や小豆大といった適量を守りましょう。最初はニキビのある部分だけに限定して塗り、肌の反応を見ながら徐々に範囲を広げていく慎重さが求められます。

また、目の周り、唇、小鼻のキワなどの皮膚が薄い部分は避け、誤って付着しないように注意しましょう。もし激しい痛みや腫れが出た場合は、無理をせず休薬し、医師に相談してください。

薬剤成分の比較まとめ

薬剤名配合成分殺菌作用毛穴詰まり改善刺激の強さ
ディフェリンゲルアダパレンなし強い中程度
ベピオゲル過酸化ベンゾイル強い中程度中程度
エピデュオゲルアダパレン

過酸化ベンゾイル
強い強い強い

治療効果を実感できるまでの期間と経過

エピデュオゲルは作用が強力な分、効果が現れるのも比較的早いと言われています。個人差はありますが、使用開始から1ヶ月程度で炎症性ニキビ(赤ニキビ)の減少を実感できる人が多いです。

3ヶ月ほど継続すると、炎症ニキビだけでなく非炎症性ニキビ(白ニキビなど)も大幅に減少し、肌全体の印象が大きく変わることが期待できます。

ただし、最初の数週間は副作用との戦いになるケースもあります。この期間を「肌が生まれ変わるための準備期間」と捉え、諦めずに続けましょう。

副作用が辛い場合は、保湿剤を先に塗る、1日おきに塗るなど、医師と相談しながら使用頻度や方法を調整すると継続が可能になります。

他の薬で治らなかった場合の選択肢としての可能性

これまで抗生物質の塗り薬や飲み薬、あるいはベピオやディフェリン単体で治療をしてきたけれど、思うような効果が得られなかった。そんな「難治性ニキビ」に対して、エピデュオゲルは次のステップとして提案される場合が多い薬です。

特に、中等症から重症のニキビに対して高い推奨度を誇ります。今までニキビ治療を諦めていた人や、再発を繰り返して疲れてしまった人でも、エピデュオゲルに切り替えると劇的に改善するケースは少なくありません。

強力な武器であるからこそ、専門医の指導のもとで正しく使いこなし、ニキビのない肌を目指しましょう。

妊娠中や授乳中でも使えるニキビ治療薬はあるの?

妊娠中や授乳中はホルモンバランスが大きく変化するため、これまでニキビに悩んだことがなかった人でも肌荒れを起こしやすくなります。

しかし、お腹の赤ちゃんや母乳への影響を考えると、普段使っていた薬をそのまま使い続けてよいのか不安になることでしょう。実際、ニキビ治療薬の中には妊娠中の使用が禁忌とされているものがあります。

ディフェリンやエピデュオの使用を避けるべき理由

結論から言うと、ディフェリンゲルおよびエピデュオゲルは、妊娠中または妊娠している可能性のある女性は使用することができません。これらの薬に含まれる「アダパレン」という成分は、ビタミンA誘導体の一種です。

ビタミンA誘導体を大量に経口摂取した場合、胎児に奇形が生じるリスクがあることが知られています。もちろん、塗り薬として皮膚から吸収される量は微量であり、実際に胎児への影響が出たという明確な報告が多いわけではありません。

しかし、安全性を最優先するため、動物実験での結果などを踏まえて「使用禁忌」と定められています。妊活中の場合も、念のため使用を控えるか、排卵期以降は使用を中止するなどの配慮が必要です。

妊娠中でも比較的安心して使える外用薬の選択肢

では、妊娠中はニキビ治療を諦めなければならないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。妊娠中でも使用可能な薬は存在します。

例えば、「ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)」は、妊娠中の使用に関する安全性が比較的高いと考えられています。ただし、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用する」という慎重投与の扱いになっていますので、必ず医師の判断を仰いでください。

また、昔から使われている「抗生物質の塗り薬(ダラシンやアクアチムなど)」や「イオウ製剤」なども、必要に応じて処方されるときがあります。

さらに、漢方薬やアゼライン酸といった選択肢もあります。アゼライン酸は海外では妊婦への使用が認められている国も多く、刺激も少ないため注目されています。

日本ではまだ化粧品扱いの場合が多いですが、クリニックによっては取り扱いがあります。

医師に相談する際に伝えておくべき大切な情報

皮膚科を受診する際は、必ず問診票に記入するか、口頭で「妊娠している」「授乳中である」「妊娠の可能性がある」ことを伝えてください。これによって、処方できる薬の選択肢が大きく変わります。

また、つわりで匂いに敏感になっている場合や、肌が普段より敏感になっている場合もあります。そうした体調の変化も併せて伝えると、より肌に優しく、ストレスなく使える薬を選んでもらえるでしょう。

自己判断で市販薬を使う前に、まずは専門家に相談することが、母子ともに安全に肌トラブルを解決する一番の方法です。

妊娠・授乳期のニキビケアのポイント

  • 使用NGの薬を把握する
    ディフェリンゲル、エピデュオゲル、一部の飲み薬(イソトレチノイン、ミノサイクリン、ドキシサイクリンなど)は避ける必要があります。
  • スキンケアを重視する
    薬に頼りすぎないよう、低刺激な洗顔料での優しい洗顔と、十分な保湿ケアを基本にします。
  • 生活習慣を見直す
    十分な睡眠、バランスの取れた食事、便秘の解消など、内側からのケアもニキビ予防に大切です。

薬の効果を最大限に引き出すための正しい塗り方と順番

どんなに優れた薬でも、使い方が間違っていればその効果は半減してしまいます。逆に、正しい手順と方法で塗ると、副作用のリスクを抑えつつ、治療効果を最大限に高められます。

「ただ塗ればいい」と思わず、毎日のスキンケアの流れの中で、どのように薬を取り入れるべきかを確認しましょう。

洗顔後のスキンケアと薬を塗るタイミング

ニキビ治療薬を塗るタイミングは、基本的に「洗顔後、保湿ケアを行った後」が推奨されます。以前は「洗顔直後の清潔な肌に塗る」と言われることもありましたが、今では考え方が変わってきています。

ベピオやディフェリンなどの刺激が強い薬の場合、洗顔直後の無防備な肌に塗ると刺激が強すぎることが分かっているからです。

まずは洗顔で汚れや余分な皮脂を優しく落とします。その後、化粧水、乳液、クリームなどで肌をしっかりと保湿し、肌のバリア機能を整えます。保湿剤が肌に馴染んでから、最後にニキビの薬を塗布します。

この順番を守ると、薬の成分が急激に浸透するのを防ぎ、赤みやヒリヒリ感を和らげるクッションの役割を果たしてくれます。

顔全体に塗る場合とポイント使いする場合の違い

薬の塗り方には、ニキビができている部分だけに塗る「スポット塗布(点状塗布)」と、ニキビができやすいエリア全体に塗る「面回し塗布(広範囲塗布)」の2種類があります。

抗生物質の塗り薬などは、菌がいる場所にだけ作用させたいのでスポット塗布が基本です。

しかし、ベピオ、ディフェリン、エピデュオのような「予防効果」も併せ持つ薬は、面で塗るのが重要です。今見えているニキビだけでなく、その周りにある目に見えない「予備軍」も一緒に治療するためです。

ただし、使い始めの時期や副作用が辛い時はスポット塗布から始めましょう。肌が慣れてきたら徐々に、おでこ全体、頬全体、顎全体といったように範囲を広げていくのが賢い進め方です。

保湿剤を先に塗ることで副作用を軽減するテクニック

先ほども触れましたが、保湿剤を先に塗るのは副作用対策の要です。特に、乾燥肌の人や敏感肌の人は、クリームや乳液などの油分を含む保湿剤で膜を作ってから薬を塗ると良いでしょう。

「保湿剤の上から塗って薬の効果が落ちないの?」と心配になるかもしれませんが、多くの研究で、保湿をしてもニキビ治療薬の効果は大きく損なわれないことが示されています。

むしろ、副作用による痛みで治療を中断してしまうリスクの方が問題です。快適に治療を続けるためにも、保湿ファーストの習慣を身につけてください。

塗り方の手順ステップ

手順行うことポイント
1. 洗顔たっぷりの泡で優しく洗う擦らないように注意。ぬるま湯ですすぐ。
2. 保湿化粧水・乳液・クリーム肌全体をしっかり潤し、薬の刺激から守る土台を作る。
3. 塗布ニキビ治療薬を塗る指先に適量を取り、擦り込まずに優しく広げるように塗る。
4. 手洗い手を洗うベピオなどは漂白作用があるため、最後に必ず手を洗う。

治療を途中でやめずに続けるためのモチベーション維持

ニキビ治療はマラソンのようなものです。数日でゴールにたどり着くケースは稀で、数ヶ月、時には年単位での継続が必要になります。

しかし、途中で「効果がない気がする」といった理由で脱落してしまう人が多いのも事実です。きれいな肌を手に入れるために、どのようにモチベーションを維持し、治療を継続すればよいのでしょうか。

見た目の悪化(好転反応)を乗り越えるための心構え

治療を開始して間もない頃、一時的にニキビが増えたり、肌荒れが悪化したように感じたりするときがあります。これは、肌の奥に潜んでいたニキビが、薬の作用で表面に押し出されてきた場合などが考えられます。

いわゆる「好転反応」と捉えられるときもありますが、患者さんにとっては不安な時期です。大切なのは、「これは治る過程で起こりうることだ」と事前に知っておくことです。

この悪化は一時的なもので、ここを乗り越えれば肌はきれいになっていきます。不安な場合は独りで悩まず、医師に肌を見せて相談しましょう。

「順調に進んでいますよ」と言ってもらえるだけで、安心感が生まれ、治療を続ける勇気が湧いてくるはずです。

自己判断で中断してしまったときに起こりうるリスク

赤ニキビが治ったからといって、すぐに薬をやめてしまうのは危険です。目に見える炎症が治まっても、毛穴の詰まり(微小面ぽう)はまだ残っている可能性があります。

この段階で治療をやめると、同じ場所に何度もニキビが再発してしまいます。自己判断での中断と再開を繰り返すと、ニキビ跡が増える原因にもなります。

医師から「もう大丈夫」と卒業の許可が出るまでは、薬の回数を減らしながらでも続けることが大切です。「塗らなくてもいい状態」を維持できるようになることが、本当のゴールです。

長期間の使用で得られるツルツル肌への期待

ニキビ治療薬、特にアダパレンや過酸化ベンゾイルを含む薬を長く使い続けると、単にニキビが治る以上のメリットがあります。古い角質が常にクリアな状態に保たれるため、肌の表面が滑らかになるのです。

光をきれいに反射するようになり、いわゆる「むきたまご」のようなツルツルとした質感になります。実際に、治療を1年以上続けた患者さんからは「ニキビができる前より肌がきれいになった」という声も多く聞かれます。

今の辛さは、未来の美肌への投資です。鏡を見るのが楽しみになる日をイメージして、毎日のケアを積み重ねていきましょう。

よくある質問

ベピオゲルやディフェリンゲルはいつまで塗り続ける必要がありますか?

赤いニキビが治まった後も、再発を防ぐ「維持療法」として継続することが重要です。一般的には、新しいニキビができなくなってからさらに3ヶ月から1年程度の継続が推奨されます。

医師の指示に従い、徐々に使用頻度を減らしながら終了のタイミングを見極めます。

エピデュオゲルを塗った後に化粧をしても大丈夫ですか?

基本的に、エピデュオゲルは夜1回のみの使用ですので、翌朝に洗顔をして薬を落とした後であれば、通常通り化粧をして問題ありません。

ただし、治療中は肌が乾燥しやすいため、保湿効果の高い下地を選んだり、肌への負担が少ないミネラルファンデーションなどを使用したりすることをお勧めします。

ディフェリンゲルを使っている間に日焼けをしても平気ですか?

ディフェリンゲルの使用中は角質が薄くなり、肌が紫外線に対して敏感になっています。日焼けをすると、赤みや色素沈着が悪化するリスクが高まります。

外出時は必ず日焼け止めを塗り、帽子や日傘を使用するなど、徹底した紫外線対策を行ってください。

ベピオゲルで脱色してしまった服や寝具は元に戻りますか?

残念ながら、過酸化ベンゾイルの漂白作用によって色が抜けてしまった衣類やタオル、枕カバーなどの色は元に戻りません。

色が抜けて困るものは使用を避けるか、白いタオルを枕に敷く、白いTシャツを着て寝るなどの対策が必要です。

これらの薬は背中や胸のニキビにも使えますか?

はい、顔だけでなく、背中やデコルテ(胸元)のニキビにも使用可能です。

ただし、体の皮膚は顔とは厚さや吸収率が異なる場合があるため、医師から指示された範囲や量で使用してください。また、衣類への脱色には特に注意が必要です。

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