ニキビの飲み薬は、大きく分けて「今ある炎症を鎮める短期決戦用の薬」と「肌質を底上げして再発を防ぐ長期継続用の薬」の2種類があります。
特に抗生物質は、長くても3ヶ月以内を目安に服用を終えることが大切です。ダラダラと飲み続けると耐性菌のリスクが高まり、肝心の時に薬が効かなくなる恐れがあるからです。
一方で、ビタミン剤や漢方薬は体の内側からニキビができにくい土台を作るために、年単位で付き合うケースも珍しくありません。
この記事では、あなたの手元にある薬がどのタイプに属し、具体的にいつまで飲み続けるべきなのか、そして薬だけに頼らずニキビを卒業するための知識を、医師の視点でわかりやすく解説します。
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
ニキビ治療で処方される抗生物質の種類と効果的な飲み方
皮膚科で「赤いニキビ」や「痛いニキビ」の治療として最初に提案されることが多いのが、抗生物質の飲み薬です。これらは、ニキビの原因となるアクネ菌が増えすぎている状態を叩き、炎症を一気に鎮静化させる力を持っています。
主に処方される薬は3つの系統に分かれますが、それぞれ得意な働きや飲む回数、注意点が異なります。ご自身が処方された薬がどれに当てはまるか確認し、正しい服用方法で効果を最大限に引き出しましょう。
ミノサイクリン塩酸塩(テトラサイクリン系)は即効性が高い
ミノサイクリンは、ニキビ治療の第一選択として多くのクリニックで採用されている非常にポピュラーな薬です。
アクネ菌の増殖を抑える力が強く、同時に菌が作り出す炎症物質を減らす抗炎症作用も持ち合わせています。脂溶性が高いため、皮脂腺(ニキビの発生源)によく浸透するのが大きなメリットです。
飲んでから比較的早い段階で赤みが引くのを実感できる方が多いですが、めまいや色素沈着といった特有の副作用が出る場合もあるため、体調の変化には注意を払う必要があります。
ドキシサイクリン塩酸塩(テトラサイクリン系)は食事の影響を受けにくい
ミノサイクリンと同じテトラサイクリン系に属しますが、副作用の出方が少し異なります。
めまいなどの神経系の副作用はミノサイクリンよりも少ない傾向にありますが、日光過敏症(日焼けしやすくなる)のリスクがやや高めです。
抗生物質の種類と特徴の比較
| 成分名(代表的な製品名) | 主な効果と特徴 | 注意すべき点 |
|---|---|---|
| ミノサイクリン(ミノマイシン等) | アクネ菌への抗菌力が強く、皮脂腺への移行が良い。即効性が期待できる。 | めまい、ふらつきが出ることがある。長期服用で皮膚や爪への色素沈着リスクあり。 |
| ドキシサイクリン(ビブラマイシン等) | 抗菌作用と抗炎症作用のバランスが良い。めまいの副作用は少なめ。 | 光線過敏症(強い日焼け)のリスクがあるため、服用中は紫外線対策が必要。 |
| ロキシスロマイシン(ルリッド等) | 副作用が少なく胃腸に優しい。抗炎症作用が長く持続する。 | 抗菌力自体はテトラサイクリン系よりやや穏やか。 |
効き目はミノサイクリンと同等に高く、1日1回〜2回の服用で済むため、飲み忘れが心配な方にも選ばれやすい薬です。食事の影響を受けにくいため、生活スタイルに合わせて服用しやすいのも特徴の一つです。
ロキシスロマイシン(マクロライド系)は副作用が穏やか
テトラサイクリン系の薬が体質に合わない場合や、アレルギーがある場合に使われることが多いのがマクロライド系の薬です。
抗菌作用の強さはテトラサイクリン系に比べるとマイルドですが、副作用が少なく、胃腸への負担も比較的軽いのがメリットです。
また、炎症を抑える作用が長く続くため、じっくりと炎症を鎮めたい場合や、他の薬との飲み合わせを考慮する場合に選択肢に入ります。妊娠中や授乳中の場合でも、慎重な判断の上で処方されるケースがあります。
抗生物質の飲み薬はいつまで?やめどきのサインと耐性菌リスク
抗生物質はあくまで「火事(炎症)を消すための放水活動」であり、火事が収まった後も水をまき続ける必要はありません。適切なやめどきを見極め、次のステップへ進む勇気を持つことが、健康な肌を取り戻す鍵となります。
急性期の炎症が治まる「3ヶ月」が一つの目安
日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されている通り、抗生物質の服用期間は原則として「3ヶ月以内」が望ましいとされています。多くの場合、服用開始から2週間〜1ヶ月程度で赤みや腫れが引き始めます。
3ヶ月経っても効果が実感できない場合は、漫然と続けるのではなく、薬の種類を変えるか、全く別の方法を検討する必要があります。効果がないのに飲み続けるのは体にとって負担になるだけでなく、治療の機会損失にもつながります。
赤ニキビが減り、新しいニキビができにくくなったら
鏡を見て、「赤いニキビが平らになってきた」「新しいニキビができるペースが落ちてきた」と感じたら、それは減薬や中止を検討するポジティブなサインです。
この段階まできたら、飲み薬の力を借りる段階から、塗り薬で良い状態をキープする「維持療法」へとシフトチェンジします。
完全にニキビがゼロになるまで飲み続ける必要はありません。ある程度落ち着いたら塗り薬へバトンタッチするのが賢い治療戦略です。徐々に飲む回数を減らしながら様子を見る方法もありますので、医師と相談しながら進めましょう。
抗生物質からの卒業を考えるべきタイミング
- 顔全体を触ったときに、ボコボコとした盛り上がりが減り、平坦になってきた。
- 新しい赤ニキビができる頻度が、以前よりも明らかに減った。
- 服用を開始してから3ヶ月が経過しようとしている。
- 塗り薬(外用薬)を併用していて、肌が塗り薬に慣れてきた。
耐性菌のリスクを避けるためにスパッとやめる
長く飲み続けることの最大のリスクは「耐性菌」の出現です。
耐性菌とは、薬に慣れてしまって抗生物質が効かなくなった菌です。ニキビの原因菌だけでなく、体に常在する他の菌まで耐性を持ってしまう可能性があります。
もし耐性菌が増えてしまうと、本当にニキビが悪化した時や、あるいは別の感染症(肺炎や膀胱炎など)にかかった時に、使える薬がなくなってしまう恐れがあります。
将来の自分の健康を守るためにも、医師と相談の上、ダラダラ飲みを卒業しましょう。
ビタミン剤や漢方薬の効果と抗生物質との決定的な違い
抗生物質が「菌を攻撃する武器」だとしたら、ビタミン剤や漢方薬は「城壁を強化する資材」のようなものです。
即効性は抗生物質に劣りますが、副作用のリスクが低く、長期間服用しても体に負担がかかりにくいのが特徴です。
「ニキビができにくい体質」へと根本から変えていきたい方にとって、これらは非常に心強いパートナーとなります。直接ニキビを治すというよりは、肌の代謝を助けたり、皮脂バランスを整えたりする「サポーター」として活躍します。
皮脂をコントロールし肌代謝を促すビタミンB群
ニキビ治療で頻繁に処方されるのがビタミンB2とB6です。これらは「脂質の代謝」に深く関わっており、過剰な皮脂分泌をコントロールする働きがあります。皮脂はニキビ菌の餌になるため、この餌を減らして間接的にニキビを防ぎます。
また、肌のターンオーバー(生まれ変わり)を正常に保つ作用もあり、毛穴詰まりの予防にも役立ちます。食事だけで必要な量を毎日摂取するのは意外と難しいため、薬として安定的に補給すると肌の基礎体力を底上げできます。
炎症後の赤みや色素沈着を防ぐビタミンC
ビタミンC(アスコルビン酸)は、ニキビそのものへの効果というよりは、ニキビ跡のケアに力を発揮します。抗酸化作用によって活性酸素のダメージから肌を守り、炎症が悪化するのを防ぎます。
代表的なビタミン剤・漢方薬の役割
| 種類・名称 | 期待できる主な働き | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| ビタミンB2・B6 | 皮脂分泌の抑制、皮膚や粘膜の健康維持、ターンオーバーの正常化。 | Tゾーンがテカりやすい人、脂性肌の人、食生活が乱れがちな人。 |
| ビタミンC(シナール等) | 抗酸化作用、メラニン抑制、コラーゲン生成促進。 | ニキビ跡の赤みやシミが気になる人、紫外線ダメージを受けやすい人。 |
| 十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ) | 化膿を抑える、皮膚の解毒作用、初期の赤ニキビの鎮静。 | 赤ニキビができ始めた人、化膿しやすい体質の人。 |
| 清上防風湯(セイジョウボウフウトウ) | 顔の熱や炎症を取る、赤みを鎮める。 | 顔が赤くなりやすい人、思春期ニキビのように勢いのあるニキビの人。 |
さらに、メラニンの生成を抑える働きがあるため、ニキビが治った後の茶色いシミ(色素沈着)を残りにくくしてくれます。コラーゲンの生成も助けるため、ニキビによる肌の凹みを予防する効果も期待できます。
体質改善を目指す漢方薬のアプローチ
「生理前に必ず悪化する」「冷え性で血の巡りが悪い」「胃腸が弱くて抗生物質が飲めない」といった方には、漢方薬が適しています。
西洋薬がピンポイントで症状を抑えるのに対し、漢方は体全体のバランスを整えると、結果として肌トラブルを解消しようとします。
例えば、ホルモンバランスの乱れには「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」、膿を持ったニキビには「排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)」などが選ばれます。
自分の体質(証)に合ったものを選ぶと、ニキビ以外の不調も同時に改善する場合があります。
重症ニキビの切り札「イソトレチノイン」の強力な効果と注意点
これまで紹介した抗生物質やビタミン剤、塗り薬を使ってもどうしても治らない、あるいは治ってもすぐに再発してしまう「難治性ニキビ」。
そんな深い悩みを抱える方にとって、最後の砦とも言える強力な飲み薬が「イソトレチノイン(アキュテインやロアキュタンなど)」です。
日本では厚生労働省の認可が降りていないため保険適用外となりますが、欧米ではニキビ治療のスタンダードとして広く使われています。その効果は劇的ですが、同時に知っておくべきリスクも存在します。
皮脂腺そのものを縮小させる強力な作用
イソトレチノインの最大の特徴は、ニキビの原因である「皮脂腺」を退縮させ、物理的に小さくしてしまう点です。皮脂の分泌が強制的に止まるため、アクネ菌が住めない環境になり、毛穴の詰まりも解消されます。
さらに、角化(皮膚が硬くなる)の異常も正常化するため、ニキビができるプロセス全体をブロックします。
1クール(約5〜6ヶ月)飲みきると、服用終了後も数年単位でニキビができない状態が続く方が多く、「ニキビの完治」に最も近い薬と言われています。
服用中は絶対に避妊が必要な理由
非常に効果が高い反面、最も注意しなければならないのが「催奇形性(さいきけいせい)」です。妊娠中にこの薬を服用すると、胎児に深刻な影響を与える可能性が極めて高いことがわかっています。
そのため、服用中および服用終了後の一定期間(通常は1ヶ月〜半年程度)は、厳重な避妊が必要です。
女性だけでなく、男性もパートナーへの影響を考慮し、医師の指示を厳守することが求められます。献血もできない期間があるため、社会的なルールを守る必要もあります。
乾燥や肝機能への影響にも配慮を
皮脂を強力に止めるため、副作用として全身の乾燥がほぼ必発します。唇のひび割れ、ドライアイ、肌のカサつきなどは、保湿ケアで対策する必要があります。リップクリームや目薬、高保湿のボディクリームは必須アイテムとなります。
また、稀に肝機能の数値が上がったり、中性脂肪が増えたりする場合もあるため、服用中は定期的な血液検査を行い、体の内側の状態をモニタリングしながら治療を進めます。
医師の管理下で正しく使えば、人生を変えるほどの効果が期待できる薬です。
飲み薬の副作用は?体に合わない時の具体的な対処法
どんなに優れた薬にも、主作用(期待する効果)があれば、必ず副作用のリスクも潜んでいます。「薬だから多少の不調は我慢しなきゃ」と無理をするのは禁物です。
副作用のサインを早期に発見し、適切に対処すると重篤なトラブルを防げます。
胃腸障害は食後の服用で軽減できることも
抗生物質を飲んで「胃がムカムカする」「お腹が緩くなる」「吐き気がする」といった症状を感じる方は少なくありません。抗生物質は悪い菌だけでなく、お腹の中の良い菌(腸内細菌)にも影響を与えてしまうためです。
こうした症状は、空腹時を避けて食後にたっぷりの水で服用すると和らぐ場合があります。
それでも辛い場合は、整腸剤を一緒に処方してもらったり、胃に優しいタイプの薬に変更してもらったりすることが可能です。医師に相談する際は、「いつ、どのような症状が出たか」を具体的に伝えるとスムーズです。
めまいやふらつきが出たら運転は控える
特にミノサイクリン(ミノマイシン)で起こりやすいのが、浮遊感やめまいといった症状です。耳の奥にある平衡感覚をつかさどる部分に薬が影響するために起こります。
もし服用後にフワフワする感覚や立ちくらみを感じたら、すぐに服用を中止してください。そのまま車の運転や高所での作業を行うのは大変危険です。
薬を止めれば速やかに症状は消失しますが、無理をして飲み続けるメリットはありません。自分に合った別の薬に変えてもらうことが、治療継続のポイントです。
すぐに医師へ相談すべき副作用のサイン
- 服用後に激しい胃痛や嘔吐が止まらない。
- 全身に蕁麻疹(じんましん)が出たり、呼吸が苦しくなったりした。
- 立っていられないほどの強いめまいや頭痛を感じる。
- 日光に当たった部分が異常に赤く腫れ上がり、水ぶくれになった。
アレルギー反応には即座に対応を
稀ですが、薬に対して体が過敏に反応し、全身に発疹が出たり、息苦しくなったりするアレルギー反応(アナフィラキシーなど)が起こるケースがあります。「なんとなく痒いな」と思って放置していたら、急激に悪化する場合もあります。
服用を始めてからいつもと違う皮膚の異常や体調の変化を感じたら、自己判断せずにすぐに処方医に連絡するか、救急外来を受診することが大切です。
過去に薬でアレルギーが出た経験のある方は、必ず診察時に伝えておくことが事故を防ぐ第一歩です。
飲み薬と塗り薬は併用したほうが早く治るの?
結論から言うと、飲み薬と塗り薬の併用は、ニキビを最短で治すための「黄金ルート」です。飲み薬が体の内側から炎症の火を消すのに対し、塗り薬は肌の表面から毛穴の詰まりを取り除き、直接菌を叩きます。
内と外からの挟み撃ち作戦によって、片方だけで治療するよりも圧倒的に治療スピードが上がり、仕上がりもきれいになります。医師が両方を処方するには、明確な理由と相乗効果への期待があるのです。
塗り薬は「毛穴の詰まり」を解消する鍵
抗生物質の飲み薬は炎症には強いですが、「毛穴の詰まり(面ぽう)」を取り除く力は弱いです。ニキビの始まりは毛穴が詰まることですから、ここを解消しない限り、炎症が引いてもまたすぐに新しいニキビができてしまいます。
アダパレン(ディフェリン)や過酸化ベンゾイル(ベピオ)などの塗り薬は、角質を剥がして毛穴を開通させる作用があり、新しいニキビができるのを防ぐ役割を担います。飲み薬で今ある敵を倒し、塗り薬で敵の侵入経路を塞ぐイメージです。
内服・外用・施術の役割分担イメージ
| アプローチ方法 | 主な攻撃対象 | 治療における役割 |
|---|---|---|
| 飲み薬(内服) | 深い部分の激しい炎症、増殖したアクネ菌。 | 大火事になっている炎症を急速に消火する。 |
| 塗り薬(外用) | 毛穴の詰まり、皮膚表面の菌、微細なニキビ。 | ニキビの発生源を断ち、再発を防ぐ維持療法の主役。 |
| 美容施術(ピーリング等) | 蓄積した角質、ターンオーバーの乱れ、ニキビ跡。 | 治療のスピードアップと、肌質そのものの改善・美肌化。 |
相乗効果で飲み薬の服用期間を短縮できる
併用療法の大きなメリットの一つは、抗生物質を飲む期間を短くできる点です。
塗り薬をしっかり使うと肌の状態が早く安定するため、結果として飲み薬への依存度を下げられます。これは耐性菌のリスクを減らすことにも直結します。
「塗るのが面倒だから飲むだけで済ませたい」と考える方もいますが、実は急がば回れで、両方しっかり使うことが薬離れへの一番の近道なのです。ニキビができにくい肌質を作るには、塗り薬の継続が欠かせません。
美容施術との組み合わせでさらなる効果も
保険診療の薬だけでなく、ケミカルピーリングやイオン導入といった美容皮膚科の施術を組み合わせるのも有効です。
古い角質を積極的に取り除くピーリングは、塗り薬の効果を高め、薬の浸透を良くします。また、高濃度ビタミンCのイオン導入などは、炎症によるダメージの回復を早めます。
「結婚式までに治したい」「どうしても跡を残したくない」といった明確な目標がある場合は、薬プラスアルファの施術を取り入れるのが賢い選択です。
薬の効果を高め、再発を防ぐために日常生活でできることは?
「薬を飲んでいるから、夜更かししてもお菓子を食べても大丈夫」ということはありません。薬はあくまでマイナスをゼロに戻す手助けをするものであり、あなたの体を作るのは毎日の食事や睡眠です。
生活習慣が乱れたままだと、どんなに良い薬を使っても効果は半減し、薬をやめた途端にリバウンドしてしまいます。薬の効果を底上げし、ニキビを繰り返さない強固な肌を作るための生活スタイルを見直してみましょう。
腸内環境と肌はリンクしている
「肌は内臓を映す鏡」と言われるように、腸内環境の悪化はダイレクトに肌荒れにつながります。便秘が続くと、排出されるべき毒素が体内に回り、それが皮膚から出ようとしてニキビを悪化させる場合があります。
食物繊維や発酵食品を積極的に摂り、腸をきれいに保つことは、高価な美容液を使う以上に大切です。
また、抗生物質の服用中は腸内細菌のバランスが崩れやすいため、意識的にヨーグルトや納豆、整腸剤などでケアすることが望まれます。
血糖値の急上昇「糖化」を防ぐ食事
甘いものや炭水化物の摂りすぎで血糖値が急激に上がると、インスリンというホルモンが大量に出ます。このインスリンは皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を増やしてしまう作用があります。
さらに、余分な糖がタンパク質と結びつく「糖化」は、肌のくすみや炎症の治りを遅くする原因になります。
完全に断つ必要はありませんが、食べる順番を野菜からにしたり(ベジファースト)、低GI食品を選んだりと、血糖値を穏やかに保つ工夫がニキビ改善を後押しします。
ニキビ治療中に特に意識して避けたい食品・習慣
- スナック菓子やジャンクフードなど、酸化した油を多く含む食品。
- 清涼飲料水や菓子パンなど、急激に血糖値を上げる高糖質な間食。
- 寝る直前のスマートフォンの使用(ブルーライトによる睡眠の質の低下)。
- 顔を触る癖、汚れた枕カバーの使用、マスクの長時間着用による蒸れ。
睡眠は最高の「天然の美容液」
肌の修復や再生が行われるのは、私たちが寝ている間です。特に眠り始めの深い睡眠中に分泌される成長ホルモンは、ダメージを受けた皮膚細胞を治すために必要不可欠です。
睡眠不足が続くと、この修復タイムが確保できず、さらにストレスホルモンの影響で皮脂が増えるという悪循環に陥ります。
「薬を飲んでいるのに治らない」という方の多くが、実は睡眠不足を抱えています。質の良い睡眠をとることは、どんな薬にも勝る治療行為なのです。
よくある質問
- ニキビ跡に対して抗生物質の飲み薬は効果がありますか?
-
残念ながら、抗生物質は「現在進行形の炎症(赤みや腫れ)」を抑える薬であり、すでに炎症が終わってしまった後の「ニキビ跡(凹みや茶色いシミ)」を治す効果はありません。
ニキビ跡の改善には、ビタミン剤の内服や、ピーリング、レーザー治療などの別のアプローチが必要です。まずは抗生物質で新しいニキビを作らせないことが、ニキビ跡をこれ以上増やさないための第一歩となります。
- ニキビ治療用の抗生物質を服用中にお酒を飲んでも大丈夫ですか?
-
基本的に、抗生物質の服用前後の飲酒は控えることが推奨されます。アルコールによって薬の分解や吸収が影響を受け、効果が弱まったり、逆に副作用が強く出たりする可能性があるからです。
特に肝臓への負担を考えると、治療期間中は休肝日を設けるか、飲酒量を控えめにすることが、早く治すためにも賢明な判断と言えます。
薬の種類によっては、アルコールとの併用が禁忌の場合もあるので、医師に確認しましょう。
- イソトレチノインを服用し始めてからどのくらいでニキビへの効果が出ますか?
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個人差はありますが、多くの患者様が服用開始から1ヶ月〜2ヶ月程度で皮脂の減少や新しいニキビの減少を実感されます。
ただし、服用初期の数週間は「好転反応」として一時的にニキビが悪化するときがあります。
これは肌の奥の汚れが排出される過程で起こる現象ですので、自己判断で中止せず、医師の指示通りに服用を続けると次第にきれいな肌へと変化していきます。焦らずじっくりと取り組む姿勢が大切です。
- 処方されたビタミン剤と市販のサプリメントを一緒に飲んでも問題ないですか?
-
ビタミンCやB群などの水溶性ビタミンであれば、余分な分は尿として排出されるため、大きな問題になるケースは稀です。
しかし、ビタミンAなどの脂溶性ビタミンを含むサプリメントを重複して摂取すると、体内に蓄積して過剰症を引き起こすリスクがあります。
また、成分によっては薬の吸収を妨げる場合もあるため、普段飲んでいるサプリメントがある場合は、必ず診察時に医師やお薬手帳で提示し確認してもらいましょう。
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