副腎皮質機能低下症

副腎皮質機能低下症

副腎皮質機能低下症とは、ホルモンを生成・分泌する副腎の皮質がうまく働かなくなり、体の代謝や電解質のバランス、ストレスへの対応などに不調が生じる状態です。

この病気になると慢性的に疲れやすくなるだけでなく、血圧の低下や食欲不振、体重減少などが表れやすくなります。生活の質が大きく低下し、進行すると急性副腎不全と呼ばれる重症状態を引き起こす場合があり、迅速な治療が重要です。

そこで、早期発見のためにも病型や症状、原因、さらに検査法などの正しい知識を身につけ、疑わしい兆候を見逃さないようにすることが大切になります。

目次

副腎皮質機能低下症の病型

副腎皮質機能低下症の病型は、主に原発性(アジソン病とも呼ばれる場合がある)、続発性、そして三次性といった形に分けられることが多いです。これらの分類は、障害が起こる部位や原因の違いによって区別されます。

原発性副腎皮質機能低下症とは

原発性の場合、障害が副腎そのものに生じ、副腎皮質が自己免疫反応や結核、出血などによって直接的にダメージを受け、コルチゾールやアルドステロンといった重要なホルモンを十分に作れなくなることが特徴です。

日本では自己免疫性の副腎皮質破壊が主な原因になっているケースが多く、自己免疫反応によって副腎の細胞が長期的に損なわれることで徐々にホルモン分泌機能が低下します。

続発性副腎皮質機能低下症

続発性は、脳の下垂体に原因があり、下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が何らかの理由で不足し、結果的に副腎が十分に刺激されなくなることでホルモン生成が少なくなります。

下垂体の腫瘍や外科的な処置、頭部放射線照射の影響などによってACTHが減少すると、副腎が不活発になり副腎皮質機能低下症が起こることがあります。

三次性副腎皮質機能低下症

三次性は視床下部の障害が関わり、視床下部で生成される副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の不足により下垂体からのACTH分泌が減り、それに続いて副腎の機能も下がるという流れです。

また、長期間ステロイド薬を内服していた場合に、薬物による負のフィードバックが視床下部や下垂体の機能を弱め、ステロイドを急激に中断したときに三次性として表面化することもあります。

病型による特徴の違い

原発性と比べて続発性や三次性では、アルドステロン不足が起こりにくい傾向があり、電解質異常(特にナトリウムやカリウムの乱れ)が目立ちにくいことがあります。

しかし、コルチゾールが不足するためにだるさや倦怠感が強く出るケースは多く、それぞれの病型に応じた検査・診断が重要です。

副腎皮質機能低下症の病型

  • 原発性:副腎皮質そのものの障害
  • 続発性:下垂体の障害によるACTH不足
  • 三次性:視床下部の障害、または長期ステロイド使用による負のフィードバック

それぞれの病型によって特徴的な検査所見や臨床症状が異なります。

副腎皮質機能低下症の分類と主な原因

病型主な原因特徴
原発性自己免疫性、副腎出血、結核などコルチゾールだけでなくアルドステロンも不足しやすい
続発性下垂体腫瘍、放射線治療などACTH減少でコルチゾール不足がメイン
三次性視床下部障害、長期ステロイド療法からの急な中断CRH不足や負のフィードバックに起因する

副腎皮質機能低下症の病型を理解することは、治療方針を決定するうえでも重要ですが、具体的な症状や生活への影響についても知っておくと、早期に気づいて対処しやすくなります。

症状

副腎皮質機能低下症の症状は、全身に及ぶ多様なものがあり、ホルモンバランスが乱れるため、平常時とは違う体調不良を繰り返すことが多く、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

慢性的な疲労感と倦怠感

最も多く報告される症状の1つとして、はっきりとした原因が思い当たらないのに強い疲労感を覚えることが挙げられます。

朝起きたときからすでに疲れている、少し動いただけで極端にだるくなる、といった不調が長引くため、仕事や学業、家事に集中しづらくなる場合もあります。

また、肉体的な疲れだけでなく、集中力や思考力の低下といった精神的な側面に影響が及ぶ人もいるので、注意が必要です。

食欲不振と体重の減少

コルチゾール不足は食欲のコントロールに影響を与えやすく、食事をしてもおいしさを感じにくかったり、量を摂れなかったりし、体重が徐々に落ちていき、やせが進行する恐れがあります。

さらにアルドステロンが足りない場合は、電解質の異常によって吐き気や嘔吐をともなうことがあり、栄養摂取が難しくなるケースもあります。

低血圧と立ちくらみ

アルドステロンはナトリウムを血中に保つ働きを担うホルモンであり、不足すると血圧を維持するのが難しくなります。

原発性副腎皮質機能低下症の方は低血圧に悩まされ、立ち上がったときにふらつきやすい、外出時に意識が遠のくような感覚を覚えるなどの日常的な危険が生じやすくなります。

こまめに休憩を取らないと、最悪の場合には意識を失うリスクもあるので注意が必要です。

皮膚色の変化

原発性では、ACTHが過剰に分泌される反応としてメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)も増えやすくなるため、皮膚や粘膜が褐色化することがあります。

特に手のひらのしわや歯ぐきなどに色素沈着が顕著にあらわれ、色の変化は周囲の人にもわかるほどはっきりしてくるケースもあるため、見た目の面でも悩みを抱えることが少なくありません。

副腎皮質機能低下症によくみられる症状

  • 強い倦怠感や疲労感
  • 食欲不振と体重減少
  • 低血圧や立ちくらみ
  • 皮膚の褐色化(特に原発性)

上記のような症状が続く場合には、早期に医療機関を受診し、必要な検査を受けてください。

症状と病型の特徴

症状原発性続発性・三次性
倦怠感・疲労強く出ることが多い強く出ることが多い
食欲不振・体重減少目立ちやすい目立つ場合も多い
低血圧・立ちくらみアルドステロン不足により顕著起こる場合もあるが程度は軽め
皮膚の褐色化MSH増加による色素沈着が見られやすいほとんど見られないケースが多い

副腎皮質機能低下症の原因

この病気の原因は、自己免疫機序による副腎破壊や下垂体・視床下部の障害など多岐にわたり、また、長期間のステロイド服用後の急な中断によっても発症することがあるため、予期せずトラブルを抱えるケースが少なくありません。

自己免疫性疾患

日本では、アジソン病と呼ばれる原発性副腎皮質機能低下症の主要な原因として、自己免疫反応による副腎皮質の破壊が挙げられます。

これは免疫システムが誤って副腎の細胞を攻撃し続けることで、時間をかけて機能が低下していくメカニズムで、甲状腺機能の異常など、他の自己免疫疾患と併発する例もあるので、トータルでの体調管理が必要です。

感染症や副腎出血

結核や真菌感染などによって副腎組織が損なわれることがあり、これがきっかけでホルモン分泌能力が落ちるケースもあります。

また、重症感染症や外傷による副腎出血(ウォーターハウス・フリーデリクセン症候群)によって、急性の機能障害が起こる場合もあるため、病歴や既往症、感染の有無に注意することが大切です。

下垂体や視床下部の障害

脳腫瘍や外科手術、放射線治療などによって下垂体や視床下部が機能を失うことがあり、結果として副腎を刺激するホルモンが不足し、続発性・三次性の副腎皮質機能低下症を起こします。

脳に関係する疾患は多くの場合専門的な治療が必要であり、ステロイド補充と並行して根本原因へのアプローチが考えられます。

ステロイド薬の中断

長期間ステロイド薬を使用していると、視床下部-下垂体-副腎系の負のフィードバック機構によって、身体が自力でステロイドホルモンを生成する力を弱めることがあります。

その状態で急に薬をやめると、身体が十分なステロイドを作り出せず、副腎皮質機能低下症として症状が表面化することがあるため、ステロイドの使用を中止する際には医師の指導のもとで徐々に減量することが重要です。

副腎皮質機能低下症の原因

  • 自己免疫性副腎障害
  • 結核や真菌感染などの慢性炎症による副腎組織の破壊
  • 副腎出血による急性機能不全
  • 下垂体・視床下部の障害
  • 長期ステロイド使用後の急な中断

原因を特定するためには、血液検査やホルモン負荷試験、画像検査などを総合的に組み合わせ、病歴や症状との関連を見極めます。

原因別の特徴

原因主な特徴
自己免疫性他の自己免疫疾患を合併することがある
感染症や副腎出血結核、真菌、重症感染症などで副腎組織が損なわれる
下垂体・視床下部の障害脳腫瘍、外科的処置、放射線治療などによるACTHやCRH不足
ステロイド中断負のフィードバックが働いた状態で急に薬をやめる

検査・チェック方法

この病気の診断では、血液検査や画像検査を用いながら副腎や下垂体、視床下部の状態を包括的に評価します。症状の重さや病型によっては、特殊な負荷試験を行う必要があるため、経験豊富な医師や専門外来での受診が大切です。

血液検査によるホルモン測定

血液検査では、コルチゾールやACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の濃度をチェックし、ホルモンが不足しているかどうかを客観的に判断します。

原発性の場合にはACTHが高値、コルチゾールが低値となり、続発性・三次性の場合はACTH自体も低値になりやすいという傾向があります。

また、アルドステロンやレニンの値、電解質異常(ナトリウムやカリウム)の有無も確認することで病型を推察することが可能です。

負荷試験(ACTH刺激試験など)

副腎皮質の予備能力を調べるために、ACTH刺激試験を行うことがあり、人工合成されたACTHを投与して、一定時間後にコルチゾールの変化を測定することで、身体がどの程度のステロイドホルモンを作り出せるかが分かります。

原発性では反応が著しく低いままである一方、続発性や三次性の程度に応じて少しの上昇がみられる場合もあります。

画像検査による原因検索

原発性の場合、副腎自体に異常があるかどうかを確認するため、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)を副腎の部位に対して行うことが多いです。

結核や出血痕、腫瘍などが見つかったときは、それらに対処するための追加検査や治療が考えられ、続発性や三次性の疑いがあるときには、下垂体や視床下部を中心に画像検査を行い、脳腫瘍や器質的な病変の有無を精査します。

日常的なチェックポイント

疲労感がいつもより強いと感じる、体重が急に減った、立ちくらみが増えたなど、日常生活の変化に敏感になることで早期発見につながるケースもあります。

異常な発熱や感染時に、通常の対処法では回復しにくい場合も副腎皮質機能低下症を疑うきっかけとなるため、普段の健康状態の変化をメモしておくのは有効です。

副腎皮質機能低下症の検査

  • 血中コルチゾールおよびACTH値の測定
  • ACTH刺激試験
  • 副腎や下垂体・視床下部の画像検査
  • 電解質(Na、K)や腎機能の確認

検査を組み合わせることで、病型や重症度、根本原因を総合的に把握できます。

検査方法と特徴

検査方法特徴
血液ホルモン検査コルチゾール、ACTH、アルドステロン、レニンなどを測定し、病型を推定
ACTH刺激試験副腎のホルモン産生予備能を確認し、機能低下の有無を明確にする
CTやMRI副腎の形態異常、下垂体・視床下部の病変(腫瘍など)を画像で確認
血液一般検査電解質異常や貧血などの付随するトラブルを把握

副腎皮質機能低下症の治療方法と治療薬について

主な治療は不足しているホルモンを補う薬物療法であり、症状の重さや原因によって用いられる薬の種類や組み合わせは変わります。

薬物投与によって症状のコントロールが可能になる場合が多く、生活の質を大きく改善できる見込みがあります。

ステロイド補充療法

コルチゾールが不足している場合には、ヒドロコルチゾンやプレドニゾロンなどのステロイド薬を用いて補充します。

副腎が作るホルモン量の自然なリズムを模倣するように朝に多めに投与し、夕方には減らすといった方法をとることが多く、医師が患者ごとに細やかに用量を調整します。

ミネラルコルチコイド補充

原発性の副腎皮質機能低下症でアルドステロンが不足している場合は、フルドロコルチゾンなどのミネラルコルチコイド薬を併用して、ナトリウムやカリウムのバランスを整えます。

特に低血圧や電解質異常が顕著な方にとっては、この補充が欠かせず、投与量の微調整によってむくみや高血圧にならないように注意が必要です。

原因に応じた追加治療

原発性の場合、自己免疫機序が強く働いているケースでは、自己免疫性の病気に対処する免疫調節薬の検討が必要になることがあります。

また、続発性や三次性の原因が脳腫瘍の場合には、腫瘍に対する外科治療や放射線治療を検討し、視床下部や下垂体の機能回復を目指すことが考えられます。

感染や出血による副腎損傷が原因なら、その根本にある病巣に対処しないと新たな悪化リスクが残ります。

急性副腎不全時の治療

強いストレス下や感染症にかかった際など、急性副腎不全(アジソンクリーゼ)を発症すると、低血圧やショック状態になり、生命の危険が迫ることがあります。

この場合、静脈注射による高用量のステロイド投与や点滴による十分な水分・電解質補正が必要であり、救急処置として迅速に対応することが必要です。

副腎皮質機能低下症の主な治療法

  • ステロイド薬(ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン)によるコルチゾール補充
  • フルドロコルチゾンなどのミネラルコルチコイド薬によるアルドステロン補充
  • 脳腫瘍や感染症など原因疾患へのアプローチ
  • アジソンクリーゼなど重症急性期への緊急対応
薬剤名用途・特徴注意点
ヒドロコルチゾンコルチゾール補充の基本薬朝夕の投与バランスに留意
プレドニゾロン中長期的なコルチゾール補充副作用を定期的にチェック
フルドロコルチゾンミネラルコルチコイド補充(主に原発性向け)血圧や電解質の管理が重要
免疫調節薬自己免疫性の場合に検討されることがある感染リスクなどに注意

副腎皮質機能低下症の治療期間

治療期間は病型や原因、患者のライフスタイルによって大きく異なることがありますが、多くのケースでは継続的なホルモン補充が必要となる場合が多いです。

副腎自体の機能が回復しにくい場合や、下垂体・視床下部の障害が永続的な場合には、一生涯にわたるステロイド補充療法が視野に入ります。

原発性の場合

原発性では、副腎組織が不可逆的に損傷していることが少なくありません。そのため、副腎が自力で十分なホルモンを作り出すことが難しく、一生にわたってステロイドとミネラルコルチコイドを補充する必要があるケースがあります。

ただし、日常的なストレスの度合いや感染症への対策を上手に管理しながら薬の量を調整すれば、比較的安定した生活を送れることが多いです。

続発性や三次性の場合

下垂体・視床下部の病変が原因の場合でも、病気の進行具合や治療法によっては、ホルモン補充を続けないといけない場合があります。

脳腫瘍が摘出され、下垂体や視床下部の機能が完全に回復すればステロイド補充をやめることができるかもしれませんが、それには一定の期間がかかる可能性があります。

術後や放射線治療後に定期的な検査を行い、副腎機能が戻ったかどうかを確認することが重要です。

急性期から慢性期への移行

急性副腎不全で入院治療を受けた後も、しばらくは高用量のステロイドが必要となり、その後徐々に維持量に下げていくことが一般的です。

特にストレスが加わる場面(発熱や手術など)では、ステロイド量を一時的に増やす判断がなされる場合もあります。

こうした調整を怠ると症状の再燃を引き起こすリスクがあるため、医師や医療スタッフとの定期的なコミュニケーションが不可欠です。

日常生活への注意

治療期間は長期にわたることが多いため、薬をきちんと服用すること、ストレスを極力避ける生活スタイルを目指すこと、定期的な受診や検査を続けることが必要です。

自己判断で薬を減量・中止すると急性悪化を招く場合があるため、主治医の指導に従う姿勢がとても大切になります。

治療期間と対応策

  • 原発性:多くは長期的、一生涯の補充が必要
  • 続発性・三次性:原因疾患が解決すれば回復の見込みもあるが、時間がかかることが多い
  • 急性期(アジソンクリーゼ)後:高用量ステロイドを段階的に減量し維持療法へ移行
  • 長期管理:定期受診と生活習慣の整備が大切

治療期間に影響する要因

要因影響
病型(原発性・続発性・三次性)原発性では不可逆的損傷が多く長期療法の可能性
原因疾患の有無(腫瘍、感染など)根本の病気が治癒すれば補充療法が短縮される場合もある
急性不全の有無重症化した場合は長期にわたって用量調整が必要
ストレスや感染リスク増量が必要となる場面が多いと治療期間が延びやすい

副腎皮質機能低下症薬の副作用や治療のデメリットについて

ステロイドやミネラルコルチコイドの投与によって、多くの患者は症状の改善を期待できますが、同時に副作用や治療継続の負担も考えなければなりません。

ステロイド薬の副作用

長期のステロイド使用では、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病などのリスクが高まる可能性があり、また、感染症にかかりやすくなる、皮膚が薄くなって傷つきやすいといった副作用も報告されています。

ただし、副腎皮質機能低下症の場合はコルチゾールの補充が生命維持に欠かせないため、やむを得ず使うという意味合いが強く、副作用を最小限に抑えつつ上手につきあう工夫が大切です。

ミネラルコルチコイドの注意点

アルドステロンを補充するために使われるフルドロコルチゾンは、ナトリウムの再吸収を強める反面、カリウムを排出しやすくしたり、血圧を上昇させたりする可能性があります。

そのため、高血圧やむくみ、低カリウム血症などが起きないよう、定期的に血圧や電解質を測定しながら投与量を調整する必要ことが必要です。

治療の継続負担

一生涯にわたって薬を飲み続ける場合、経済的な面や日常の煩わしさなど、患者さん本人や家族にとってさまざまな負担が生じることが考えられます。

さらに、発熱やストレスの多い場面でステロイド増量が必要になるなど、臨機応変な対応が求められるため、医療スタッフとの連絡や相談体制を維持することが大切です。

感染症のリスク増加

コルチゾールは免疫抑制的に働く側面があるため、補充療法中の患者は通常より感染症にかかりやすくなるリスクがあります。

風邪やインフルエンザだけでなく、肺炎など重篤化する病気も増える可能性があるので、手洗いやマスク着用などの感染予防策を丁寧に行う、ワクチン接種を検討するなどの対応が大切です。

代表的な副作用やデメリット

  • ステロイドによる骨粗鬆症や感染リスクの増加
  • ミネラルコルチコイドによる高血圧やカリウム低下
  • 薬を一生続けることによる負担
  • ストレス増加時の増量対応などの管理の難しさ

副作用と注意点

副作用・デメリット注意点
骨粗鬆症や高血圧、糖尿病定期的な検査で早期発見と対策
むくみや低カリウム血症電解質バランスをこまめにチェック
長期投与による経済的・心理的負担家族や医療スタッフとの連携でカバー
感染症リスクの上昇手洗い・マスク・ワクチンなど予防を徹底

副腎皮質機能低下症の保険適用と治療費

お読みください

以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

ステロイド薬の費用例

ヒドロコルチゾンやプレドニゾロンは1日数錠程度の服用であれば、1か月あたり数百円から数千円程度の自己負担になることが多いです。ただし、症状が重くステロイド用量が増えれば、それだけ費用もかさみます。

ミネラルコルチコイド薬の費用

フルドロコルチゾンなどのアルドステロン補充薬も医療保険の対象で、投与量によって変動しますが、1か月あたり数百円から数千円ほどの自己負担です。

高血圧や電解質異常などのコントロールが難しい場合には、通院頻度が増えて追加の血液検査費などがかかることもあります。

検査費用の目安

血液検査(ホルモン測定を含む)は1回あたり数千円程度、CTやMRIの検査では1万円~2万円程度の自己負担を見込むことが多いです。

入院治療の可能性

急性副腎不全(アジソンクリーゼ)などで救急入院が必要になった場合は、点滴や集中治療などが行われるため、入院日数に応じて入院費用が加算されます。

費用目安

項目自己負担目安(3割の場合)備考
ステロイド薬数百円~数千円/1か月用量や種類で変化
ミネラルコルチコイド数百円~数千円/1か月高血圧などの管理が必要
血液検査1回数千円ホルモン値・電解質などを測定
画像検査(CT/MRI)1万~2万円/1回検査項目や造影の有無により変動
入院治療数万円~病棟や治療内容で差がある


以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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