こんにちは。理学療法士の長野浩充です。
私は、理学療法士として様々な病気やケガ、人生を経験している方々と触れ合っています。もちろん性格も違います。そのため、情報をなるべくたくさん聴取して、その人にあったリハビリを提供するように心がけています。
また、患者さんから学べる事は多く、探求心をもって仕事に励んでいます。これからもそのスタンスは変えずに、患者さんとの出会いを大切にしていきたいと思っています。
さて、今回の選手を紹介します。
D君 10歳代男性 競技:ハンドボール
診断名:肘内側側副靭帯損傷
担当セラピスト:長野
Q. 肘の内側側副靭帯損傷とは?
A. 肘の内側の靭帯(写真①)が部分断裂もしくは完全に断裂した状態です。野球選手のようなオーバーハンドスポ―ツに多いケガです。投球動作を反復して、内側の靭帯が引っ張られ続けて肘への負担が大きくなり、断裂することがあります。また、肘に強い外反力が加わることで、損傷することもあります。保存療法では、治療期間はおよそ3ヶ月程度、手術療法は完全復帰に約1年程度かかることもあります。
リハビリ内容・セラピストの感想
O君は、ハンドボールの練習中、相手のシュートブロックに入った時に、ボールに手がはじかれ、肘が外へ反り返ってしまったため、肘の靭帯をケガしました。
靭帯は、骨と骨をつなぎ関節を形作っています。また靭帯には関節の可動域を制限する働きもあり、今回損傷した肘内側側副靭帯は主に肘関節の外への動きを制限する働きをします。
O君は、ケガをしてから2週間ギプス固定をして、靭帯を安静に保ちました。その後、リハビリが開始されました。ギプスが外れた直後は、肘関節の動きが悪く、関節が硬くなっていたため、靭帯に負荷を加えないように可動域訓練中心に行いました。
現在は、受傷後5週経過しましたが、肘の可動域は健側と同様になってきました。筋トレは損傷した肘の靭帯の負荷を軽減させるための筋肉(尺側手根屈筋、浅指屈筋)を鍛えるトレーニングを主に行っています。(写真②③)
また投球時には肩の可動域が悪いと肘の靭帯の負荷が増大すると言われており、D君には肩の硬さもみられたため(写真④)、肩のストレッチも行っています。(写真⑤)
さらに今回受傷した時のシュートブロック時の肩と肘をしっかりと固定する筋トレも行っています。(写真⑥)
そして、肘の装具(写真⑦)も処方されたため、装具をして軽いゴムボールのキャッチボールも始めています。(写真⑧)
まだ、時期的に靭帯は完全に治ってはいないため、靭帯に負荷をかけすぎないように注意しながらトレーニングを慎重に行っていくことが重要になります。
今後はブロック時の筋肉の使い方や筋肉の反応速度を高めるようなトレーニングも追加していき、再発予防に努めていきたいと考えています。さらに復帰の前には下半身・体幹などのトレーニングも追加していき、万全の状態で競技復帰できるようにリハビリしていければと思います。