ライスパワーは、米を発酵させて作るエキスの総称で、保湿などのスキンケアに使います。番号ごとに働きが異なるため、同じ「ライスパワー配合」の製品でも、期待できる効果は同じではありません。
医薬部外品では、No.11は肌が水分を保つ力の改善、No.6は皮脂分泌の抑制、No.11プラスはシワ改善などの効能があります。自分の悩みに合う番号と、製品に表示された効能を確かめることが大切です。
番号ごとの違いと効果の範囲、化粧水や美容液への取り入れ方、敏感肌での注意点を順に説明します。セラミドやヒアルロン酸など、ほかの保湿成分とどう違うかも比べます。
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
ライスパワーとは
ライスパワーは、勇心酒造が開発した米由来の発酵エキスで、同社の商標です。1つの純粋な物質を指す名前ではなく、発酵条件などの異なる複数のエキスがあり、それぞれに番号が付いています。
米と微生物の発酵から生まれるエキス
原料は米です。蒸した米からエキスを抽出し、麹菌・酵母・乳酸菌などを組み合わせて発酵させます。番号によって微生物の種類や組み合わせ、発酵期間が異なると、開発元は説明しています。
開発元によると、研究の始まりは1974年の米の総合利用研究で、2001年にNo.11が医薬部外品の有効成分として認められました。台所で作る米のとぎ汁や日本酒を、そのまま肌に塗るお手入れとは異なります。
ライスパワーは、発酵で生じるさまざまな成分を含む混合物です。用いる微生物や発酵条件によって中身が変わるため、「米由来」「発酵」が同じでも、別のエキスと同じ働きをするとはいえません。
ライスパワー11・6・11プラスの番号別の違い
乾燥が気になるならNo.11、過剰な皮脂が気になるならNo.6というように、番号ごとに働きが違います。数字の大きさは、効き目の強さや配合濃度の順番ではありません。まず目的に合う番号を確認しましょう。
No.11プラスは、No.11と同じ水分保持能の改善に加え、シワ改善の効能を持つ成分です。開発元はNo.7を、油分の足りない肌を整える素材として紹介しています。皮脂を抑えるNo.6とは、目指す方向が異なります。
| 番号 | 主な働き | 効能・区分の見方 |
|---|---|---|
| No.11 | 皮膚水分保持能の改善 | 医薬部外品の有効成分 |
| No.6 | 皮脂分泌の抑制 | 医薬部外品の有効成分 |
| No.11+(プラス) | シワ改善・皮膚水分保持能の改善 | 医薬部外品の有効成分 |
| No.7 | 油分の足りない肌を整える | 上の3種の承認効能とは区別 |
有効成分名と化粧品の表示名称
No.11は、医薬部外品では「ライスパワーNo.11(米エキスNo.11)」、化粧品では「コメエキス」と表示されます。同じNo.11を使っていても、製品の区分によって表示や説明できる効能が変わります。
「コメエキス」と書いてあるだけでは、ライスパワーかどうかや番号までは判別できません。容器や外箱で「医薬部外品」の表示、有効成分の欄、効能・効果を確認し、わからない点は製造販売元へ問い合わせてください。
ライスパワーに期待できる効果
ライスパワーの効果は、番号と製品に認められた効能の範囲で考えます。保湿、皮脂への働き、シワ改善をひとまとめにせず、今のお手入れで補いたい点に合わせて選ぶと、期待とのずれを減らせます。
No.11による皮膚水分保持能の改善
皮膚水分保持能とは、肌が水分を保つ力のことです。No.11は、この力を改善する医薬部外品の有効成分です。水分保持能への働きは続けて使って確かめるもので、塗った直後のしっとり感だけでは分かりません。
肌の表面にある角層では、細胞の間を埋める脂質が水分の蒸発を防ぎます。その一部がセラミドです。開発元は、No.11がセラミドを外から補うのではなく、肌がセラミドをつくるのを促すと説明しています。
セラミドが肌のバリアを支えるからといって、No.11配合製品がどれだけ効くかまでは判断できません。肌が乾く原因や製品の配合によって、使ったときの変化は異なります。
No.6による皮脂分泌の抑制
No.6の承認効能は「皮脂分泌の抑制」です。洗顔で肌表面の皮脂を落とすのとは違い、皮脂が出る量そのものに働きかけます。皮脂には肌を守る働きもあるため、皮脂をなくすことを目標にする必要はありません。
開発元は、成人男女24人が1日2回、7日間使って皮脂量を調べた試験を公表しています。顔の左右で有効成分を含む製剤と含まない製剤を比べ、皮脂分泌の抑制を確認したとする試験もあります。
どちらも特定の製剤で試した結果なので、どの製品でも同じ日数で同じ変化が出るとは限りません。
テカリが減っても、開いた毛穴や黒ずみまで改善するとは限りません。ニキビが繰り返しできる場合や痛みを伴う場合は、皮脂へのお手入れだけで対応しようとせず、皮膚科で原因に合った治療を相談しましょう。
No.11プラスによるシワ改善
No.11プラスには、皮膚水分保持能の改善とシワ改善の2つの効能があります。開発元は2023年に、この成分を配合した製剤でシワ改善の認可を取得したと公表しています。No.11の承認効能に、シワ改善は含まれません。
公表試験では、20〜80歳の男女60人が1日2回、8週間使用しました。顔の左右に有効成分を含む化粧水と含まない化粧水を塗り、目尻のシワを比較する方法で、シワの深さなどの改善が確認されています。
変化を感じるまでの期間は人によって違います。シワの状態や使う製品によって、使い続けたときの実感は異なります。
米由来のほかの成分とライスパワーの違い
米由来成分には、米ぬかや米でんぷんなど、性質の異なる素材があります。米でんぷんを入れた入浴で、肌から水分が逃げにくくなるかを確かめた研究もありますが、ライスパワーとは別の素材です。
| 気になる点 | 確認する内容 | 期待を広げすぎない点 |
|---|---|---|
| 乾燥 | No.11の水分保持能改善 | 皮膚の病気の治療とは別 |
| 過剰な皮脂 | No.6の皮脂分泌抑制 | 毛穴縮小を意味しない |
| シワ | No.11プラスのシワ改善 | No.11全般に当てはめない |
ライスパワーの使い方とスキンケアへの取り入れ方
ライスパワーを取り入れるときは、目的に合う製品を選び、表示された量や順番を守って使います。化粧水と美容液を重ねれば効き目が増すとは限らないため、まずは今のケアに1品を加える程度から始めましょう。
化粧水・美容液・クリームの選び方
ライスパワーは、化粧水、美容液、クリームなどに配合されています。美容液だからといって、有効成分の濃度が高いとも、効果が強いとも限りません。薬用の効能を求める場合は、製品の区分と効能表示を一緒に確認してください。
使用感も、毎日続けるうえで大切です。広い範囲へなじませやすいもの、乾く部分へ塗りやすいものなど、肌状態や使う場所に合わせて選びます。すでに刺激なく使えている保湿剤を、すべて入れ替える必要はありません。
朝夜の順番とやさしい塗り方
使う時間帯や順番は、製品の説明に従ってください。洗顔後に使う場合は、タオルで水分をやさしく押さえ、肌が乾ききる前に保湿します。導入用の美容液のように化粧水より前に使うものもあるため、いつも化粧水の後とは限りません。
肌へ強く擦り込まず、手のひらや指でやさしく広げましょう。表示より量や回数を増やしても、その分だけ効き目が増すとはいえません。乾燥や刺激の有無を見ながら、無理なく続けられるお手入れに整えます。
| 場面 | 使うときの目安 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 使い始め | 新しい製品は1品ずつ | 赤み・かゆみ・刺激 |
| 洗顔後 | 擦らず、やさしく塗布 | 製品指定の量と順番 |
| 継続中 | 肌状態に合わせて調整 | 乾燥やべたつきの変化 |
相性の良い保湿ケアと刺激のあるケア
水分を保つ成分と、油分で水分の蒸発を防ぐ成分は、組み合わせると保湿の働きを補い合います。ライスパワー配合の化粧水だけでつっぱるときは、使い慣れた乳液やクリームを足し、乾燥しやすい部分を補う方法があります。
ただし、働きが補い合うからといって、別々の製品を重ねたときの効果や安全性が試験で確かめられているわけではありません。製品同士を手のひらで混ぜず、それぞれの説明どおりに使いましょう。
ライスパワー全般で特定成分との併用を一律に避けるよう示した情報は見当たりませんが、製品の注意書きには従ってください。一方、ピーリングやスクラブなど刺激を感じやすいケアを同時に増やすと、どれが肌に合わないのか分かりにくくなります。
ライスパワーを使う際の注意点
ライスパワーが米由来であることは、刺激やアレルギーが起きない保証にはなりません。成分単体の説明だけでなく、製品全体の配合と自分の肌状態を見て使うかどうかを決め、異常が出たときは使用を中止してください。
副作用・刺激のリスク
化粧品を使うと、赤み、かゆみ、ヒリヒリ感などが出ることがあります。原因はライスパワーとは限らず、香料や防腐剤などほかの配合成分が関係する場合もあります。天然由来という表示だけで安全性は決まりません。
使い始めは目立たない狭い範囲で試し、塗った直後だけでなく、その後の肌の変化にも注意しましょう。狭い範囲で異常がなくても、顔全体に使ったり使い続けたりすると反応が出ることがあります。
使用を避けた方がよい人
その製品でかぶれたことがある人や、配合成分へのアレルギーを指摘されている人は使用を避けてください。米の食物アレルギーがある場合も、加工されたエキスなら問題ないと自己判断せず、医師や製造販売元へ確認しましょう。
傷、ただれ、強い赤みのある場所へ、新しいスキンケアを試すのは控えます。湿疹の治療中や肌の状態が不安定なときは、使っている製品や成分表示を診察で見せて、続けてよいかを相談しましょう。
化粧品・医薬部外品と処方薬の違い
化粧品は肌を健やかに保つなどの日常のお手入れに使い、医薬部外品は承認された効能の範囲で使います。処方薬は病気の診断に基づいて医師が選びます。薬用と書かれた製品も、湿疹などの治療薬の代わりにはなりません。
濃度だけで化粧品と処方薬を比べることもできません。目的や配合、効果の確かめ方が違い、ライスパワーの配合量も番号や製品によって変わります。治療中の塗り薬がある場合は、塗る順番も含めて医療機関で相談してください。
- 使った後に赤み・かゆみ・ヒリヒリ感が出たら、使用を中止する
- 同じ製品でかぶれたことがある人や、配合成分へのアレルギーを指摘された人は使用を避ける
- 傷・ただれ・強い赤みのある場所では、新しいスキンケアを試すのを控える
- 治療中の塗り薬を薬用の製品で置き換えず、塗る順番も含めて医療機関に相談する
ライスパワーと似た成分との違い
ライスパワーと一般的な保湿成分は、原料や働きが異なります。どちらが上かを決めるより、水分を保つ、蒸発を防ぐ、肌を整えるという働きと、自分が使う製品の効能を照らし合わせることが大切です。
セラミドとの違いは補う成分と働きかける成分
セラミドは、角層の細胞間脂質を構成する成分です。セラミド配合の保湿剤は、外から脂質を補うものです。No.11は皮膚水分保持能の改善を目的とするエキスで、セラミドそのものではありません。

「セラミド配合」と書かれていても、働きは製品ごとに異なります。種類やほかの脂質との組み合わせ、製剤中での状態も関係します。No.11と比較するときも、成分名だけで保湿力の優劣は決められません。
ヒアルロン酸・グリセリンとの違い
ヒアルロン酸は、水分を抱え込む性質を持つ保湿成分です。化粧品では肌のうるおいを保つために使いますが、塗る化粧品と注入する製剤は使い方も目的も異なります。No.11の承認効能とも同一ではありません。

グリセリンも水分を引き寄せて保つ成分で、角層の水分量やバリアに関係します。一般的な保湿成分も、肌の表面を一時的に濡らすだけのものではありません。肌に合う製品を使い続けることにも意味があります。

| 成分 | 主な性質・働き | ライスパワーとの違い |
|---|---|---|
| セラミド | 角層の細胞間脂質の一部 | 脂質を外から補う |
| ヒアルロン酸 | 水分を抱え込む | 水分を保つ成分を直接補う |
| グリセリン | 水分を引き寄せて保つ | 発酵エキスでなく単一の成分 |
| ガラクトミセス培養液 | 発酵由来の化粧品成分 | 用いる微生物や成分組成が異なる |
ガラクトミセス培養液との違い
ガラクトミセス培養液も、微生物の発酵を利用する化粧品成分です。ただし、ライスパワーとは製法や成分組成が異なります。同じ発酵由来というだけで、No.11やNo.6と同じ承認効能があるとはいえません。

ガラクトミセス培養液についても、皮膚バリアへの働きを調べた研究があります。ただ、その結果がライスパワーにも当てはまるわけではありません。「発酵エキス」など似た説明を見かけても、どの成分や製品で試した結果なのかを確かめる必要があります。
まとめ
ライスパワーは、番号ごとに異なる働きを持つ米由来の発酵エキスです。番号、製品の区分、表示された効能の3点は、保湿・皮脂・シワのどれを目的にした製品かを見分ける目安になります。
- No.11には、肌が水分を保つ力(皮膚水分保持能)を改善する効能がある
- No.6には、皮脂分泌を抑える効能があるが、開いた毛穴や黒ずみまで改善するとは限らない
- No.11プラスには、水分保持能の改善とシワ改善の効能があり、No.11の効能にシワ改善は含まれない
- 製品を選ぶときは、医薬部外品かどうかと表示された効能を容器や外箱で確かめる
- 米由来でも刺激やアレルギーが起きないとは限らず、赤みやかゆみが出たら使用を中止する
気になる症状がある場合は皮膚科を受診してください。
よくある質問
参考文献
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