052-228-1280 WEB予約 LINE予約

【赤ら顔・酒さ】赤みを悪化させる成分、おすすめの成分を紹介

なんだかこの化粧品を使うと肌の赤みが悪化するなぁ…。そんな経験ありませんか?
もしかしたらそれ、NG成分かもしれません。

皆さんこんにちは。皮膚科医の小林智子です。このチャンネルでは国内外の医学論文をもとにスキンケアから美容医療、そして皮膚疾患まで肌にまつわる全てのことを発信しています。

公式LINEでは限定情報も配信していますので、是非そちらも登録していただけたらと思います。

今日はですね、酒さのスキンケアをテーマにお話ししたいと思うんですけれども、酒さの患者さんの中でも特に質問が多いスキンケアのご相談は「この成分は大丈夫なんですか?どうなんですか?」というような質問です。

酒さの方のスキンケアのポイントはいくつかあるんですけれども、今回はそんな赤ら顔 “酒さ”のスキンケア成分を中心に詳しく解説していきたいと思います。それでは早速いってみましょう。

目次

赤ら顔「酒さ」とは

まず、酒さの方の場合、肌はどういった状態になっているのかというところから少しですね、皮膚科学的な視点でお話ししたいと思います。

毛包で起こる慢性の炎症疾患

そもそも酒さというのは毛穴、これを毛包という風に言うんですけれども、毛包で起こる慢性の炎症疾患です。

酒さとは、毛穴(毛包)で起こる慢性の炎症疾患

慢性に炎症が繰り返されることによって、肌のバリア機能は低下しやすいという風に言われています。

肌の中の水分量が低下しやすい状態に

もう少し具体的にお話しすると、肌のバリア機能が低下してしまうとどうなるかと言うと、肌の中から水分が蒸発しやすい状態になってしまいます。

それにより、肌の1番表面にある角層というところの水分量が低下しやすい傾向にあるという風に言われています。

酒さでは、角層の水分量が低下しやすい傾向にある

酒さの方の中には、皮脂の分泌量が低い方もいらっしゃれば一方で多い方もいらっしゃいます。

ただ、肌の中で水分量は低下しやすいというのは共通しているという風に言われていて、それによりバリア機能の低下を伴うことが多いです。

肌のpHがアルカリ性に傾きやすい

また酒さの方の場合、肌のpHがアルカリ性に傾きやすいというようなことも指摘されています。

私たちの肌というのは元々弱酸性に保たれているんですけれども、アルカリ性に傾いてしまうとどういったことが起こるかと言うと、まず1つは肌の常在環境と言って肌にはたくさんの菌があるんですけれども、その環境が乱れやすくなってしまいます。

肌の常在環境が乱れやすくなってしまいます

また肌がアルカリ性に傾きやすくなると、「カリクレイン(KLK5)」と呼ばれるプロテアーゼ酵素が活性しやすくなり、これが角層を分解してしまい、よりバリア機能の低下を招いてしまうという風に言われています。

こういったことによって酒さの方は敏感になりやすいという風に言われていて、人によってはちょっとした刺激によって赤みだったり、あとはひりつき感、そして火照りといったような症状が悪化してしまう方が多くいらっしゃいます。

酒さのスキンケアのポイント

以上のことから、酒さの方の場合は超敏感肌としてスキンケアは対応していく必要があります。

酒さのスキンケアのポイント

洗顔は優しく、弱酸性の洗顔料で

具体的にどういったことがスキンケアでポイントになってくるかと言うと、まず洗顔においては、なるべく優しく行うということが重要になってくるんですけれども。

それだけでなく、先ほどお話ししたように酒さの方では肌がアルカリ性に傾きやすい傾向にありますので、できるだけ弱酸性の洗顔料を用いていただくのがおすすめです。

できるだけシンプルなケアを。紫外線対策もわすれずに

また保湿においては、その方の肌質にあったアイテムを選ぶというのが最も重要ではあるんですけれども、できるだけシンプルに行うというようなことがポイントになってきます。

また酒さの方では、紫外線によってその症状が悪化してしまう方が多くいらっしゃいます。なのでスキンケアにおいては、日焼け止めを用いてしっかり紫外線から肌を防御することが重要です。

Dr.小林智子

その上で、もしブツブツっとしたような丘疹があるような方などは、皮膚科での塗り薬だったり飲み薬といったようなメディケーションを追加していくというようなことが基本となってきます。

これらが基本的なスキンケアの大きなポイントになってくるんですけれども、さらに具体的に使うアイテムにおいてはどういった成分を避けた方がいいのか、また逆にどんな成分を取り入れたらいいのかについて次にお話ししたいと思います。

酒さのNG成分

まず避けた方がいい成分についてです。これまでの報告で赤ら顔、酒さの方で避けた方がいいと言われているような成分がいくつか指摘されています。

アルコール・メントール

まず1つがアルコールやメントールといったような成分です。

これらは収斂化粧品と呼ばれるような使うと少しスースーするようなアイテムに配合されていることがあるんですけれども、角質層にある脂質を溶解し、バリア機能を低下させてしまう可能性があります。

なので、基本的に酒さの方はアルコールやメントールといったような成分は避けた方が無難です。

香料

また酒さの方は香料についても注意が必要です。これは特定の香料を指すわけではないんですけれども、酒さの患者さんの場合、香料が刺激になってしまうケースが多々あります。

Dr.小林智子

なので基本的に化粧品においては、無香料のものを選んでいただくのをお勧めしています。

角質ケアも注意が必要

また角質ケアも注意が必要だという風に言われています。

「角質ケア」と一言で言っても、ピーリング成分などによる科学的な角質ケアと、スクラブなどによる物理的な角質ケアがあります。

酒さの患者さんの場合は物理的な角質ケア、例えばスクラブやあとは酵素洗顔といったようなものはゴシゴシと摩擦になってしまいますし、かつバリア機能の低下をもたらしやすいものになりますので避けるようにしてください。

酒さの方は、スクラブや酵素洗顔など、物理的な角質ケアは避けるようにしてください

一方、ピーリング成分による角質ケアについてはどうかというと、これも基本的には注意が必要です。

特にクリコール酸などに代表されるアルファヒドロキシ酸だったり、あとはサリチル酸に代表されるβヒドロキシ酸と呼ばれるようなピーリング成分は、酒さの方の場合刺激になってしまうケースがあります。

もちろん濃度などにもよるかなと思うんですけれども、酒さの患者さんの場合は刺激の少ないピーリング成分、例えばグルコノラクトンと呼ばれるようなPHA(ポリヒドロキシ酸)がおすすめです。

酒さの患者さんの場合は刺激の少ないピーリング成分、例えばグルコノラクトンと呼ばれるようなPHA(ポリヒドロキシ酸)がおすすめです。

角質ケアできるアイテムに関してはよく洗顔アイテムに配合されていることが多いかなと思います。洗顔においては先ほどお話ししたように優しく行う必要があります。

なのでこういったアイテムは避けて、できるだけ優しい弱酸性の洗顔料を用いるようにしましょう。

アルカリ性の石鹸は避ける

またこれも同じく洗顔に関することなんですけれども、アルカリ性の石鹸は避けた方が無難かなと思います。

酒さの方ではなく、肌が正常な方に関しては石鹸を用いても、すぐにまた肌が弱酸性に戻るので問題になるケースはほとんどないんですけれども。

やはり酒さの患者さんの場合、元々肌がアルカリ性に傾きやすいことが分かっていますので、石鹸というアルカリ性のアイテムを使うことによってより肌のバリアが低下してしまう可能性があります。

(一部の)界面活性剤

また界面活性剤にも注意が必要で、例えばラウリル酸ナトリウムと呼ばれるような強い界面活性剤においては、これもやはり肌のバリアを低下してしまう可能性があるので注意が必要かなと思います。

赤ら顔・酒さにおすすめの洗顔料
HALSKINのスキンウォッシュ

例えばこちら、HALSKINのスキンウォッシュなんですけれども、こちらは弱酸性でできているだけでなく界面活性剤はアミノ酸系のものを使っています。

Dr.小林智子

アミノ酸系の方が比較的肌の負担は少なく刺激にもなりにくいかなと思いますのでこういったアイテムをうまく活用していただくといいのではないかなと思います。

ヘパリン類似物質

続いて注意が必要な成分は、ヘパリン類似物質です。

で、ヘパリン類似物質が配合されているものには例えばこちら、医薬品のヒルドイドだったり、あとは最近ではドラッグストアなど市販のアイテムでも、このヘパリン類似物質が配合されているものが増えているかなと思います。

ヒルドイドソフト軟膏

ヘパリン類似物質というのは、抗凝固因子のヘパリンに類似した構造を持つムコ多糖類です。

このヘパリン類似物質には抗炎症作用があったり、あとはヒューメクタントと言って肌の中で水分を蓄えてくれるような保湿作用があるため、よくアトピー性皮膚炎など乾燥を伴うような湿疹症状の方に処方されるケースが多いです。

一方でヘパリン類似物質には血行を促進する作用があり、酒さの方の中には赤みや火照りといったような症状が悪化してしまう方が一定数いらっしゃいます。

ヘパリン類似物質の中には先発品からあとは後発品まで色々な製品があるんですけれども、中でも先発品であるこのヒルドイドに関してはそういった報告が多い印象です。

酒さの方でも色々な症状があるんですけれども、特に紅斑毛細血管拡張型といって赤みがメインになってくるような酒さの患者さんの場合は、こういったヘパリン類似物質は避けた方が無難かなと思います。

先ほどお話ししたように、ヘパリン類似物質はヒューメクタントとして保湿作用を発揮します。

Dr.小林智子

同じヒューメクタントでも例えばヒアルロン酸、あとはグリセリンといったような成分は特に酒さの赤みの悪化というような報告はありませんので安心してお使いいただけるかなと思います。

酒さに推奨される成分

次に、酒さの方に推奨される成分をご紹介したいと思います。

まず1つがバリア機能の低下を改善してくれるような成分です。具体的にはセラミドといったような成分がまず挙げられます。

セラミド

セラミドというのは肌のバリア機能を担う細胞間脂質の主成分で、肌本来のバリア機能を高めてくれる作用があります。

セラミドが配合されている化粧品は最近あるんですけれども、中でも個人的におすめなのがセラミドだけでなく、他の細胞間脂質の成分であるコレステロールだったり、あとは脂肪酸といったような成分がバランスよく配合されているような製品です。

例えばこちら、エストラのアトバリア365クリームという保湿クリームがあるんですけれども、こちらはセラミドだけでなく、先ほどお話ししたコレステロールや脂肪酸といったような細胞間脂質の成分をバランスよく配合しているのが特徴です。

Dr.小林智子

セラミドもナノカプセル化したセラミドになりますので、より肌の奥までアプローチしてくれる効果が期待できるのではないかなと思います。

ナイアシンアミド

同じくバリア機能を改善する成分としてナイアシンアミドもおすすめです。

ナイアシンアミドというのはビタミンB3のことで、様々な肌の効果が期待できる成分なんですけれども、その1つに先ほどお話ししたセラミドの産生を促す効果があることが分かっています。

またナイアシンアミドは刺激にもなりにくい成分なので、敏感肌である酒さの方にも比較的安全に使いやすい成分かなと思います。

もちろん、市販のものの中にはナイアシンアミドが高濃度配合されているものもあり、高濃度の場合は少し刺激に感じてしまう可能性があります。

ナイアシンアミドは水溶性の成分で、比較的どういったアイテムにも配合しやすい成分です。

もしかしたら美容液などの場合は、そういった高濃度のものがあるかもしれませんので、例えば化粧水で取り入れてみたり、あとはクリームで取り入れてみたりするといいのではないかなと思います。

具体的なアイテムとしては、例えばこちら、セタフィルのモイスチャライジングクリームがあります。

こちらはナイアシンアミドが配合されていて、かつプチプラのアイテムです。顔はもちろん全身にもお使いいただけます。こちらのアイテムにはナイアシンアミドだけでなくパンテノールという成分も配合されています。

パンテノール

このパンテノールも酒さの方におすすめの成分の1つです。

パンテノールというのはプロビタミンB5のことを言うんですけれども、肌の保湿作用だったり鎮静作用がある成分です。

保湿作用に関してはヒューメクタントやエモリエントとしての効果があるという風に言われており、それにより肌のバリア機能の改善効果が期待できます。

パンテノールは最近市販のものでも配合されているアイテムが少しずつ増えている印象です。酒さの方はうまく取り入れていただくといいのではないかなと思います。

抗炎症成分

次にお勧めしたい成分が抗炎症成分です。具体的にはアラントインやグリチルリチン酸、それからトラネキサム酸と呼ばれるような成分があげられます。特に私が好きなのがトラネキサム酸という成分です。

トラネキサム酸には抗プラスミン作用といって炎症を抑え、血管の透過性を抑える効果があります。要は酒さの方の赤みを改善する効果が期待できる成分という風に言えます。

それだけでなく、トラネキサム酸には肌のpHを改善する効果だったり、あとは肌の水分蒸散量を抑えてバリア機能を改善する作用があるというようなことも報告ベースで分かっています。

こういった報告というのはトラネサム酸の概要をおよそ5%から10%で行った場合が多いため、個人的には市販の2%程度のものよりも少し濃度の高い5%のものをお勧めしています。

例えばこちら、私のクリニックでオリジナルで作っているTAジェルクリームと呼ばれるトラネキサム酸が5%配合されているジェルクリームがあるんですけれども、こちらのアイテムはよく酒さの方にお勧めすることが多いです。

こばとも皮膚科オリジナル TAジェルクリーム

こちらにはトラネキサム酸だけでなく、先ほどご紹介したナイアシンアミドも4%配合されています。

酒さの患者さんはこういった成分をスキンケアにうまく取り入れていただくといいのではないかなと思います。

エンディングと注意点

以上がですね、酒さの方にNGの成分、あとはOK成分ということでいくつかご紹介させていただいたんですけれども、最後に1つ注意していただきたいことがあります。

先ほどお話ししたように酒さの方で避けた方がいい成分がいくつかあるはあるんですけれども、中にはそういった刺激だけでなくアレルギー反応を特定の成分で起こしてしまう方がいらっしゃいます。

これは特にステロイドなどによって引き起こされた酒さ様皮膚炎の方に多い傾向があるんですけれども、もしアレルギーの場合、どういった肌の状態かに関係なく、いつ塗ってもかぶれの症状を引き起こしてしまうというようなことになります。

こういった場合はパッチテストが有効で、使っていただいてる製品でもできますし、あとは一般的にかぶれやすい成分を調べることもできるんですけれども、直接貼って2日間あるいは3日間そのままにしておいて肌が反応するかどうかを調べるというような検査になります。

もしかぶれの症状があるのかなというような方は、一度皮膚科でご相談されることをお勧めします。

酒さの方のスキンケアのポイントに関しては、また改めて動画で詳しく解説しようかなと思っていますので、是非そちらも楽しみにしていてください。

今回の動画が少しでも参考になったなと思ったらいいねボタンやチャンネル登録ボタンを押していただけますと嬉しいです。ということで今回の動画は以上です。それでは〜。

赤ら顔・酒さの治療|こばとも皮膚科|栄駅(名古屋市栄区)徒歩2分

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次