ロコモって?

こんにちは、理学療法士の池井です。暑い日が続いていますね。

皆様いかがお過ごしでしょうか?僕は休みや仕事終わりに涼しいジムで筋トレに勤しんでおります。病院で見かけた際には褒めてあげてください、少し照れながらも喜びますので(笑)。

皆様も熱中症に気をつけながら運動をして健康維持、怪我の予防をしてくださいね!

さて、皆様は「ロコモ」という言葉をご存知でしょうか?

当院にポスターが貼られており、通院されている方は目にしたことがあるのではないでしょうか。

私事ではありますが、今年の1月にロコモコーディネーターの資格取得研修会に参加し、ロコモコーディネーターの資格を取得しました。そこで学んだ「ロコモ」に関する知識を皆様に共有できればと思います。

図1
ロコモコーディネーター資格認定のバッジ

そもそも「ロコモ」とはロコモティブシンドロームの略称であり、和名では運動器症候群と言います。このロコモの定義というのが、「運動器の障害により移動機能の低下をきたした状態」です。運動器とは骨、筋肉、関節などを指します。

「ロコモ」が進行すると要支援、要介護となるリスクが高くなります。支援、介護が必要になった主な原因が下の表の通りです。要支援となった方のじつに35.4%が運動器関連の障害が原因なのです。

図2
ロコモコーディネーター資格取得研修会資料より

上記の表で要支援、要介護両方で3位なのが骨折・転倒ですが、その原因となりうるのが「骨粗鬆症」です。

「骨粗鬆症」は我が国では約1300万人の方が罹患しています。特に女性の患者様が多く、50代から有病率が急激に増加します。

骨粗鬆症が原因で起こる運動器疾患で特に多いのが、「脊椎圧迫骨折」と「大腿骨頚部骨折」です。それでは、この2つの骨折の疫学と生命予後についてお話ししていきます。

はじめに「脊椎圧迫骨折」について、圧迫骨折は80歳以上の20人に1人が受傷されており、70歳から有病率が急激に増加します。

「脊柱圧迫骨折」の生命予後を60歳以上の方を対象に10年間追跡した研究があり、骨折なしでは生存率86%、骨折1、2個は76%、3個以上になると50%まで低下します。

次に「大腿骨頚部骨折」について、大腿骨頚部骨折は年間約18万人が受傷されています。1年生存率は80%ですが、5年生存率で見ると女性40%、男性20%と大きく低下します。

また、受傷後1年で受傷前同様に歩行ができた方は25%であり、大多数が歩行レベルを落としています。このことから考えられるのが、再び転倒→骨折を再発→歩行レベル低下→…という悪循環です。

その結果、寝たきりなどになり、生存率が低下してしまうのです。2つの骨折に共通して言えるのは、骨折は一度受傷すると再発のリスクが高くなり、再発のたびに生活レベルの低下、死亡リスクが増加するということです。

では転倒・骨折の原因は何か…ですよね。その原因は主に2つあり、「静止バランス能力」と「下半身の筋力低下」です。

まず「静止バランス能力」について、皆さん自分の子どもの頃を思い出してください。うんうん、可愛かったですよねー…じゃなくて!何も掴まらずに立っていれるようになったのって、歩けるようになった後ですよね。

つまりじっと立っている方が難しいんです!老化は難しいことからできなくなっていきますので、静止バランス能力の低下がロコモ判定のサインとなります。

これは片脚立ちの時間で簡単に調べることができます。ロコモ判定の基準は20秒とされています。さて、皆様は20秒片脚立ちできますか?ぜひ試してみてください。

続いて「下半身の筋力低下」のサインとして、立ち上がりの困難さ、歩くスピードの低下があります。

これらの検査として立ち上がりテスト2ステップテストがあります。これらの概要を載せておきますのでこちらも試してみてください。加えて、ロコモ25の質問項目も載せておきます。ぜひ採点してみてください。

図3
図4
図5

ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトより

簡単に行えるロコチェックも載せておきます。当てはまるものはありませんか?こちらも併せてチェックしてみましょう!

図6
ロコモコーディネーター資格取得研修会資料より

続いて「ロコモ」の予防について、予防するにはやっぱり運動です!「ロコモ」予防のためにロコモーショントレーニング(ロコトレ)という体操があり、スクワット片脚立ちの2つがあります。

図7
ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトより

また、ロコトレプラスとして踵上げフロントランジがあります。

踵上げは10〜20回(できる範囲)3セット、フロントランジは5〜10回(できる範囲)3セットが目安です。

図8.9
踵上げ
フロントランジ

どうでしたか?「ロコモ」とはなんなのか、原因、判断基準、予防のための運動を知っていただけましたでしょうか?少しでも皆様の一助になれば幸いです。

皆様も僕のようにジムに行こうとまでは言いませんが、ロコトレは自宅で手軽にできますので少しずつでも運動習慣を身につけ、少しでも長く怪我なく健康に生活していけるよう一緒に頑張っていきましょう!

当院にはロコモコーディネーターの資格取得者がリハビリテーション科スタッフでは僕含め3名、看護師さん、栄養士の先生などを含め複数名在籍していますので、ロコモやロコトレでご不明な点があれば大垣中央病院のスタッフにお気軽にお声掛けください、お待ちしてます!

ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト:

ロコモONLINE | 日本整形外科学会公式 ロコモティブシンドローム

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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