皆さんこんにちは。皮膚科医の小林智子です。このチャンネルでは国内外の医学論文をもとにスキンケアから美容医療、そして皮膚疾患まで肌にまつわる全てのことを発信しています。
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今日テーマにお話ししたいのはこちら「汗疱状湿疹」と呼ばれる手湿疹の1つを取り上げたいと思います。
この汗疱状湿疹というのは別名汗疱、異汗性湿疹などという風に色々な呼び名はあるんですけれども、このように手のひらや指、足の裏などにブツブツとした強いかゆみを伴う湿疹を認めるのが特徴です。
この汗疱状湿疹は、手湿疹のおよそ5%から20%を占める比較的よく見られる疾患です。なかなか治らない方もいらっしゃって、そういった方は日常生活にも大きな支障をきたす場合があります。
今回はそんな汗疱状湿疹の原因や治療方法など詳しく解説したいと思います。それでは早速行ってみましょう。
この記事は、こばとも皮膚科院長、皮膚科医の小林智子が運営するYoutubeチャンネル「こばとも先生のスキンアカデミー」内の動画内容を書き起こしたものです。Youtubeでは薬の塗り方・副作用、スキンケア方法、美容施術の種類や効果についてなど、お肌のお悩みを持つ方の少しでも助けになれればと思い動画を公開しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
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汗疱状湿疹の症状
まず、汗疱状湿疹の特徴的な症状について解説したいと思います。
汗疱状湿疹の場合、このように小さなブツブツっとした水疱がたくさん手のひらや指、あとは足の裏などに認めるのが特徴です。

このブツブツとした水疱はですね、比較的深いところで起こる水疱だという風に言われていて、破れにくいのが特徴です。
この汗疱状湿疹のこのような症状は、強いかゆみや灼熱感を伴うことがあります。で、慢性的な経過をたどると、こういった水疱からだんだん鱗屑と言って皮がめくれてきたり、あとはヒビが入って亀裂を伴うこともあります。

汗疱状湿疹は、こういった症状を慢性的に繰り返すのが1つ特徴で、大体夏の高温多湿な環境で起こりやすいという風に言われています。
イボとの見た目の違い
この汗疱状湿疹は、一見イボのように見えることもあるんですけれども、イボと比べてこのブツブツの色が透明から少し黄色がかった白色で、一方イボの場合は皮膚の色に近い色を呈することが多いです。


また、汗疱状湿疹の水疱は、人によっては列状に並んで認めることもあります。
こういった所見がイボと大きな鑑別点になるかなと思います。
汗疱状湿疹の原因
次に汗疱状湿疹の原因についてお話ししたいと思います。
汗疱状湿疹は、その名の通り汗が関係しているんじゃないかという風に言われているんですけれども、最近の研究では汗だけでなく、色々な要因が複合的に合わさってできる疾患だという風に考えられています。
遺伝的なもの
内的な要因としてはまず遺伝的な素因が挙げられます。
要は、ご家族に汗疱状湿疹の方がいらっしゃる場合、ご本人もこの汗疱状湿疹になる可能性が高くなります。
アトピー
またもう1つ、アトピー素因もこの汗疱状湿疹の原因に関係してるのではないかという風に言われていて、アトピーがある方は汗疱状湿疹が起こりやすいというような報告もあります。
汗
次に外的な要因なんですけれども、この外的な要因の主な要因としてあげられるのが汗です。実際、汗疱状湿疹の半数程度の方が汗によってその症状が悪化する傾向にあります。
金属アレルギー・洗剤
汗以外の要因としては金属アレルギーも指摘されています。また洗剤などの刺激物の接触も、この汗疱状湿疹の原因になるという風に言われています。
こういった内的な要因と、外的な要因が組み合わさってこの汗疱状湿疹が起こるという風に言われてるんですけれども、個人的な見解としては、バリア機能と呼ばれる外からの刺激から肌を守る機能が低下しやすい方が、そこにさらに刺激や金属アレルギーが加わってそこに汗をかいてしまうとこの汗疱状湿疹になりやすいのではないかという風に思っています。
金属アレルギーとの関連について
これは、汗疱状湿疹に限った話ではないんですけれども、汗を書くと基本的に金属アレルギーの症状は悪化します。
もう少し詳しくお話しすると、例えばネックレスをつけていて普段は問題ないんだけれども、汗をかくと痒くなるという方いらっしゃいませんか?これは汗が金属アレルギーの症状を悪化させてしまっているからです。

汗をかくと、表面の金属がイオン化されて溶け出してきます。さらに、汗をかくと皮膚表面が蒸れて柔らかくなるんですけれども、この柔らかくなった皮膚というのは様々な物質が侵入しやすい状況になります。
イオン化された金属が、柔らかくなった皮膚の場合容易に浸透するようになって、それによって免疫応答が起こり炎症が起こります。
炎症が起こることによって、痒くなったり赤くなったりいわゆる湿疹の症状を認めるようになるわけなんですけれども、実際に汗疱状湿疹でもこういった金属アレルギーと汗の関係が指摘されています。
診断
次に診断についてです。まずイボとの鑑別なんですけれども、先ほどお話ししたように典型的な所見によって、イボと汗疱状湿疹は大体見た目だけで判断つくことがほとんどです。
注意したいのはカビによる感染症の場合です。
手の場合もカビが感染することがあるんですけれども、そういった場合、正常の皮膚が炎症を起こして汗疱状湿疹のような見た目になることがあります。
もしカビの感染が疑わしい場合は、こちらの顕微鏡を使ってカビがいないかどうかを確認します。このように、汗疱状湿疹と他の皮膚疾患を完別することが多いです。

治療法
次に治療方法についてご紹介したいと思います。
ステロイドの塗り薬
汗疱状湿疹の基本は湿疹のお薬となります。そのためまずはステロイドの塗り薬が処方されます。
ステロイドの塗り薬は、このように強さによってランク分けされています。

手の場合は、ある程度強いステロイドではないとなかなか効果を発揮することが難しく、基本的にベリーストロングやストロングゲストクラスのステロイド外用薬が処方されることが多いです。

またこれは適用外使用にはなるんですけれども、海外ではタクロリムスと言って商品名はプロトピックという風に呼ばれるんですけれども、こういったお薬が使用されるケースもあります。

紫外線療法
難治性の場合は、紫外線療法といって炎症を抑える紫外線の波長を照射するというような治療方法もあります。私のクリニックでもこういったエキシマライトと呼ばれる機械を使っています。

汗を止めるお薬
またですね、汗によって症状が悪化するというなよう方は、汗を止めるお薬というのも有効です。
まず保険のお薬としてこちら、アポハイドローションと呼ばれるお薬があります。

こちらは保険適用になるお薬なんですけども、こちらの項目のうち2つ以上当てはまる方はこのアポハイドローションを保険で処方することができます。

ボトックス注射
また保険適用外の治療にはなるんですけれども、ボトックスの注射も手汗に対して有効です。実際、こういった手の汗を抑えるお薬を使って汗疱状湿疹が改善したというような報告もいくつかあります。
汗をかきやすい方は、こまめに拭き取ることも重要です。
全身型の金属アレルギーについて
それでもなかなか改善しないっていうような方は、金属アレルギーを確認するのも1つ有効かなと思います。金属アレルギーを確認するには「パッチテスト」と呼ばれる検査が必要となります。
汗疱状湿疹の場合、特に注意していただきたいのは陽性になった金属が含まれている食品についてです。
金属アレルギーは、肌につくことによって湿疹といったような症状を引き起こすことが多いんですけれども、それだけでなく全身型の金属アレルギーと呼ばれる症状もあります。
これは金属が含まれた食品などを摂取することによって、それが体の中で吸収されてアレルギー症状を引き起こすというような症状を言うんですけれども、汗疱状湿疹の場合、この全身型の金属アレルギーがその症状に関係しているのではないかという風に考えられています。
日本人に多い金属アレルギーは、ニッケル、コバルト、クロムの3つです。これらの金属は食品で言うと豆類や香辛料、それからチョコレート、ココアといったような食品に多く含まれています。

なので、もし汗疱状湿疹でお悩みの方で、パッチテストがこれらの金属で陽性になった場合、チョコレートや豆類といったような食品はできるだけ控えていただいた方が無難です。

なかなか手の湿疹が治らないというような方は、金属アレルギーのパッチテストを1つお勧めします。
エンディング
ということで今回は、汗疱状湿疹についてその原因から治療方法まで詳しく解説しました。
もし、こういったイボのようなプツブツがあって強いかゆみを伴うというような方は汗疱状湿疹の可能性があります。是非早めに皮膚科でご相談ください。
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