牽引について

こんにちは!1年間で9㎏体重が増えてしまったリハビリの安田です。患者様にも減量が必要な方に減量を促せれるように今年の目標は体重を60㎏台にすることです!

さて、今回は当院の「牽引治療」についてご紹介したいと思います!

まず、牽引治療とは何か。牽引とは身体を牽引するという刺激を用いた物理療法です。基本的には脊椎(背骨)の牽引療法があり頸椎・腰椎の牽引に分けられます。

では牽引の効果についてご紹介します。

牽引では骨の間隔を拡げ、神経根(図1)や椎間板(図2)にかかる圧力を軽減することで、軽度の変形・変異の矯正、椎間孔の拡大、痛みの緩和だけでなく、血行不良や硬くなった筋肉をほぐす作用も期待できます。

図1病気が見えるvol7 脳・神経253Pより
図1病気が見えるvol7 脳・神経253Pより
図2病気が見えるvol7 脳・神経251Pより
図2病気が見えるvol7 脳・神経251Pより

どのような方に処方される特徴があるのかについて説明していきます。

頸椎牽引では頚椎症、頚部から手、腕にかけて痛みやしびれが生じる疾患のほか、急性期を過ぎた頚椎椎間板ヘルニアや、頸肩腕症候群、頚椎脊柱管狭窄症、頚椎症性神経根症、変形性頚椎症の方に処方されます。

また、牽引する強さは患者様の症状、体型、体重、牽引後の患者様とのお話から決めていきます。引っ張る力は体重の1/10~1/5の範囲が目安となり、頭部をベルトで固定してゆっくりと牽引していきます。

頸椎の機械的伸長には最低10㎏が必要とされていますが、頸椎軟部組織の間歇伸展・ポンピング効果を期待する程度の症状に対して7~8㎏程度で十分とされています。

ポンピング効果とは筋肉や組織に刺激を与え、血液の循環を促すことで組織の炎症や浮腫を軽減し、治癒を促進させ筋肉の硬さやこりの改善を促す方法です。

腰椎牽引では腰椎椎間板症、お尻から足にかけての痛みやしびれがあらわれる疾患や、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎脊柱管狭窄症、腰椎すべり症に対して処方されます。

引っ張る力は体重の1/5~1/2の範囲が目安となり、骨盤にベルトを装着してゆっくりと牽引していきます。牽引方向としては骨盤の後側に牽引力を作用させ骨盤の後傾を得るため、約20°~30°斜め上に牽引します。

また、骨盤の前傾と腰椎の前彎を減少させるため両下肢を三角枕など使用し、股・膝関節を曲げて必要があります(腰椎牽引風景を参照)。腰椎牽引では耐えられない安静時痛、動けないほどの体動時痛では非適応となります。

※牽引療法適用外の方

リウマチ性関節炎、感染症、頸部血管疾患、骨粗鬆症、 骨転移した癌患者、または脊髄の損傷。子宮頸部の手術直後や子宮頸部が不安定な場合

~牽引風景~

〈頸椎牽引〉
〈頸椎牽引〉
〈腰椎牽引〉
〈腰椎牽引〉

牽引では椎間孔の拡大による神経生理学的な効果があり、¹⁾平山らは運動療法によって柔軟性や筋力の改善も図っていることで牽引療法による効果を実感しやすくなるとの研究結果もでています。

当院では牽引の他、電気療法や温熱療法を使用する治療があり、物理療法は外来リハビリで処方されている患者様なら外来リハビリ時間内であれば予約なしでも受けることができます!

また、電気療法を紹介しているブログもありますので是非他のブログもご覧ください!

参考文献

1)平山 和哉,他:腰椎牽引療法の効果を実感する患者の特徴.東北理学療法学,第28号,32-36,2016年.

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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