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「その症状もしかしたら酒さかもしれません」
皆さんこんにちは。皮膚科医の小林智子です。このチャンネルではスキンケアから美容医療そして皮膚疾患まで肌にまつわる全てのことを発信しています。
今日テーマにお話ししたいのは赤ら顔、酒さについてです。酒さに関しての動画はこれまでいくつか出してるわけなんですけれども、よく質問いただくのが「私のこの症状は酒さですか」というようなご相談です。
私のクリニックでは毎日たくさんの酒さの患者さんがいらっしゃるんですけれども、外来でよく聞く症状を今回は5つまとめてみました。
もしこの5つの項目がたくさん当てはまるという方はもしかしたら酒さかもしれません。是非今回の動画を参考に自分が酒さかどうかを今一度確認していただけたらと思います。
この記事は、こばとも皮膚科院長、皮膚科医の小林智子が運営するYoutubeチャンネル「こばとも先生のスキンアカデミー」内の動画内容を書き起こしたものです。Youtubeでは薬の塗り方・副作用、スキンケア方法、美容施術の種類や効果についてなど、お肌のお悩みを持つ方の少しでも助けになれればと思い動画を公開しています。ぜひチャンネル登録をお願いします！
この記事の執筆者
小林 智子（こばやし ともこ）
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
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ケース１「お風呂の後の赤みが残りやすい、戻りにくい」
先生ちょっとこれ見て欲しいんですけど。最近ずっと赤いんですよ。特にお風呂上がりとか本当にひどくて。
今までお風呂上がりって出て数分で赤み引いてたのに最近なんか30分ぐらいずっと赤いんですよね。ずっと恥ずかしい人みたいになっちゃってて困ってるんですよ。
「お風呂の後の赤みが残りやすい、戻りにくい」というような声です。
「酒さ」と一言で言っても様々な症状があるんですけれども、中でも最も頻度が高いのが赤み（紅斑）という症状です。
この赤みの症状なんですけれども酒さの場合、最初は出たり引いたりしていたものがだんだんと進行するに伴って赤みが持続するようになってきます。
この赤みが持続するというのを、最も認めやすいのがお風呂上がりです。
お風呂上がりは誰しもが少しは顔が赤くなることあるかなと思うんですけれども、酒さの方の場合その赤みがなかなか引かなくなってきます。
このように今まで引いていたような赤みがなかなか戻りにくくなってきたというような方は、1つ酒さの可能性があります。
ケース２「ちょっとしたことで、ほてりやすい」
すいません、ちょっとほてっちゃって…
「ちょっとしたことでほてりやすい」という症状です。
先ほどお話ししたように酒さの方の中には赤みを認める方が多いんですけれども、それ以外で多い症状が火照りです。
この火照りはその方によっても少しずつ異なるんですけれども、ちょっとしたことでその症状を引き起こします。よくあるのが寒暖差、それからマスク、紫外線、アルコールなどです。
この火照りはなぜ起こるかと言うと、血管が大きく関与しています。少し難しい話にはなるんですけれども、酒さの方の場合神経血管調節に異常を認めます。
異常をきたすとどうなるかというと炎症が起こりやすくなったり、あとは血管が拡張しやすくなったりします。
それ以外にも、酒さの場合神経系の異常だったり、あとはカテリジンペプチドの異常も認めるというような報告もあります。
こういったメカニズムによって酒さの場合火照りを認めるんですけれども、火照り以外に、例えば刺激というような症状も酒さの方の場合多くの方が経験します。
例えばお化粧品で刺激を感じやすかったり、あとはマスクなどの摩擦によって刺激を感じやすくなるというような声をよく聞きます。
なので、酒さの患者さんの多くは自分は敏感肌だと自覚している方が多いです。
また酒さの方の場合、火照りだけでなくむくみを伴うことがよくあります。これはカテリジンなどの抗菌ペプチドの活性化によって血管の透過性が亢進するためという風に考えられています。
簡単に言うと、血管を構成する壁の細胞が緩くなって液体が漏れやすい状態になっているというのが特徴です。それによって酒さの場合むくみも認めます。
寒暖差などによって火照りを認めやすかったり、刺激を感じやすい、むくみやすいというような方は酒さの可能性があります。
ケース３「赤みに加えて毛穴が気になる」
先生、今日は毛穴の相談に来ました。この辺の毛穴が気になって今までダーマペンとか10回ぐらいやったんですけど全然改善しないんですね。どうすれば良くなりますか？
「赤みに加えて毛穴が気になる」という症状です。これはよく美容の相談であるんですけれども、美容の相談のお悩み事に”毛穴”という風にあって、よくよくお話を伺うと酒さだった、というようなケースがよくあります。
酒さの場合は、実は赤みに加えて毛穴が目立ちやすくなるという特徴があります。
これはなぜかと言うと、酒さという病気は毛穴で起こる炎症だからです。そのためこのようなダーモスコピーで見てみると、酒さの場合、毛穴の拡大とあとは毛穴周りの赤みを認めます。
よく毛穴の治療というとピーリングだったり、あとはフラクションレーザーといったようなレーザー治療を勧められるケースが多いんですけれども、もし酒さの場合、そういった治療を繰り返し行ってもなかなか毛穴の改善は認められません。
毛穴目立ちの原因が酒さである場合、やはりまず酒さの治療が優先されます。もし赤みに加えて毛穴目立ちも気になる、という方は酒さの可能性があります。
ケース４「顔の赤みが顔の中央に強い」
先生〜赤みがね、眉間がなんかずっと赤いんですよね。よく見るとこの辺も赤いんですけど今まで薬とか塗ってもなかなか良くならなくて何ですか？
「顔の赤みが顔の中央に強い」という症状です。
顔の赤みをもたらす疾患は、酒さ以外にもたくさんあります。例えば接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、膠原病、これ以外にもまだまだたくさんあります。
その中でも酒さの方の赤みの出方の特徴としては、Tゾーンだったり、あとは頬の内側といった顔の「中央」に強く出る傾向があります。
また、赤みのところをよく触ってみると、湿疹がある場合はガサッとしたり、あとは苔癬化と言って盛り上がるような症状を時間が経つと認めるようになります。
一方、酒さの方も長期間赤みを認めるケースが多いんですけれども、そういった方は触ってみてもガサッとしたり盛り上がるような症状は認められにくいかなと思います。
このように同じ顔の赤みでも、赤みの出方だったりあとは触った感じは疾患によっても異なります。
もし顔の赤みが顔の中央に強く出ていたり、あるいは触ってもざらっとするような触感ではない場合、酒さの可能性があります。
ケース５「赤みだけでなくブツブツを認める」
先生〜今日ニキビかなと思って来たんですけど、なんか赤いのは元々あるんですけど最近なんかこの辺になんかプツプツってあるんですよね。
そんなに今までニキビとかできるタイプじゃなかったんですけど、これってやっぱニキビですかね？
「赤みだけでなくブツブツを認める」という症状です。
酒さの方の中には、赤みだけでなくブツブツを認めるケースがよくあります。
このブツブツのことを医学的に「丘疹」という風に言うんですけれども、この丘疹にはニキビダニが1つ大きく関与しているという風に言われています。
ニキビダニというのは、元々私たちの肌に生息している虫の一種なんですけれども、普段ですね正常の場合、特に悪さをすることはありません。
ただ酒さの方の場合、慢性の炎症によって皮膚のバリアが低下したり、あとは肌の常在環境が悪化したりします。
そうするとニキビダニが相対的に増えてそこで炎症をもたらし、さらにバリア機能を低下させたりと、酒さの症状の悪循環をもたらします。
この悪循環を断ち切ってくれるのがお薬です。具体的にはこういった塗り薬だったり、あとは飲み薬が効きます。
保険が適用されるのはこちら、「ロゼックスゲル」という塗り薬です。こちらは0.75%のメトロニダゾールが配合されています。それ以外にもこちら、アゼライン酸だったりあとはイベルメクチンなどがあります。
これらはいずれも増えたニキビダニにアプローチしたり、あとは抗炎症作用があるお薬です。
どのお薬が適用かどうかについては詳しく解説している動画もありますので、是非そちらも参考にしていただけたらと思います。
エンディング
以上の5つが外来でよく聞く酒さの症状でした。この5つのうち多くが該当するという方は、酒さの可能性がありますので是非早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
酒さに関してはこれまでにも多く動画で発信しています。概要欄にリンクがありますので是非そちらからチェックしていただけたらと思います。
公式LINEもありますので是非そちらもご登録いただけたらと思います。今回の動画が少しでも役に立ったなと思ったらいいねボタンやチャンネル登録ボタンを押していただけますと嬉しいです。ということで今回の動画は以上です。それでは〜。