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【肝斑・美白内服薬】トラネキサム酸、ずっと飲み続けて大丈夫?

肝斑の飲み薬、ずっと飲んでるけど大丈夫?

皆さんこんにちは。皮膚科医の小林智子です。今回お話したいのはこちら。トラネキサム酸の飲み薬についてです。

トラネキサム酸というと美容に詳しい方ですと、肝斑に使う薬ねとすぐに連想される方も多いのではないかなと思います。肝斑というのはシミの1つで、30代以降のアジア人女性によく見られる頬骨などに左右対象に認める色素沈着のことを言います。

肝斑というのは単にメラニンが沈着しているだけでなく、真皮というところに炎症細胞が集まっていたり、あとは血管増生をもたらしたりすることによって、その治療は非常に厄介だという風に言われています。

そんな中で最近注目集めているのがトラネキサム酸です。

実際肝斑に対して、トラネキサム酸は非常によく効果があるお薬として、今では肝斑治療においてトラネキサム酸は非常に重要なポジションを果たしているのではないかなと思います。

実際肝斑と診断された方も、このトラネキサム酸を処方されたことがある方も多いのではないかなと思います。

今回はそんなトラネキサム酸の飲み薬についてよくいただく質問を中心に詳しく解説したいなと思います。それでは早速行ってみましょう。

この記事は、こばとも皮膚科院長、皮膚科医の小林智子が運営するYoutubeチャンネル「こばとも先生のスキンアカデミー」内の動画内容を書き起こしたものです。Youtubeでは薬の塗り方・副作用、スキンケア方法、美容施術の種類や効果についてなど、お肌のお悩みを持つ方の少しでも助けになれればと思い動画を公開しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

トラネキサム酸とは

まず、そもそもトラネキサム酸とは何かというところから少し解説したいなと思います。トラネキサム酸というのは抗プラスミン薬の1つです。

具体的にはプラスミノゲンからプラスミンに変わるところを阻害することによって、メラノサイトというメラニンを作る細胞の活性化を抑える働きがあります。

少し難しい説明になりましたが、要はトラネキサム酸はメラニンを作らせにくくするお薬です。

実際これまで、非常にたくさんの文献で、トラネキサム酸は肝斑に対して単独または他の治療と併用することで肝斑の改善効果をもたらすことが分かっています。

では実際どれぐらいでその効果が出るかと言うと、平均で2〜3ヶ月かかるという風に言われています。

私のクリニックにも肝斑の患者さんが多くいらっしゃるんですけども、早いと1ヶ月を過ぎたあたりから肝斑の改善効果を感じられるケースが多いです。

トラネキサム酸の肝斑に対する内服量

次に飲む量なんですけれども、これまでの報告で、1日あたり500mg以上を摂取することで肝斑の改善効果がもたらされるというようなことが分かっています。通常、トラネキサム酸は1錠あたり250mgのことが多いです。

中には1錠500mgのものもあるんですけども、多くの場合こちらのようにトラネキサム酸250mgが処方されることがほとんどではないかなと思います。なので1日あたり2錠以上が有効ということになります。

ではこのトラネキサム酸は肝斑の方全員に効果があるかと言うと、大体の方は効果を感じられることが多いんですけれども、肝斑の中でも特に表皮性の肝斑の方に効きやすいのではないかなと思います。

少し詳しい話にはなるんですけれども、肝斑には主に3パターンあって表皮性真皮性それから表皮性と真皮性が合わさった混合性があります。

多くの方がこのうち混合性であることが多いんですけれども、混合性の方の中でも表皮性の変化が大きい方は特にこのトラネキサム酸の改善効果が認められやすい傾向にあります。

トラネキサム酸の肝斑に対する有効性は日本が最初に報告したんですけども、最近では海外を中心にトラネキサム酸の報告が非常に増えていて、世界的にもトラネキサム酸の飲み薬は肝斑治療のゴールドスタンダードになりつつあります。

トラネキサム酸の飲み薬が出る前は、ハイドロキノンやトレチノイン、それから海外ではステロイドが合わさったお薬がよく処方されるんですけれども、そういった塗り薬でなかなか良くならない方は、特にこのトラネキサム酸の飲み薬が処方されるケースが多いのではないかなと思います。

日本においては、トラネキサム酸の飲み薬とハイドロキノンなどの塗り薬が同時に処方されるケースが多いかな、という印象です。

トラネキサム酸の副作用について

次にトラネキサム酸の副作用についてですが、副作用に関して最も多い報告は下痢や吐き気といったような消化器症状です。

ただこういった副作用は軽度であることがほとんどです。さらに重徳な副作用としては血栓症のリスクが挙げられます。この血栓症の副作用がトラネキサム酸の飲み薬の場合、1番ネックになってくるのではないかなと思います。

そのため非常によく聞かれるのが、このトラネキサム酸の飲み薬をいつまで飲んだらいいのか、あるいはずっと飲み続けても大丈夫なのかというような質問を非常に多くいただきます。

まずトラネキサム酸と血栓症の関連性についてなんですけれども、トラネキサム酸は月経の多量出血に対して処方されるケースがあるんですけれども、こういった場合肝斑で処方される1日500mgよりも圧倒的に多い量を処方されることが多く、例えば1日あたり15gといったような量を処方されることがあります。

このように大量に投与された場合、血栓症のリスクが上がるというような報告が過去にあります。

肝斑に対して長期に内服する安全性

では肝斑の時のように少量で投与された場合はどうかというと、実はこれまでの報告で、トラネキサム酸と血栓症の関連性については明らかにはなっていないというのが現状です。

具体的には1日あたり1000mgのトラネキサム酸を1年程度投与した場合は、その血栓症のリスクは上がらなかったというような報告もあります。

また、1日あたり500mgの量を24週投与した場合も、凝固系の異常は認められなかったという報告もあります。

そのため一定期間における肝斑に対するトラネキサム酸の投与は、安全性においては比較的高いのではないかなと思います。

ただ1年以上、要は2年3年といった長期投与におけるトラネキサム酸の安全性については確立されていないのが現状です。

トラネキサム酸というと市販で売られている「トランシーノ」があるんですけれども、トランシーノは1日あたり750mgのトラネキサム酸が配合されていて、「8週間プログラム」が提唱されています。

これは8週間超えて飲んではいけないということではないんですけれども、安全性の試験が8週間で設定されていたことによるのではないかなと思います。

先ほどもお話ししたように、肝斑に対するトラネキサム酸の効果は早ければ1ヶ月程度、平均で2〜3ヶ月かかることが多いので、8週間プログラムではちょうど効果を感じられる方が多いタイミングなのではないかなと思います。

肝斑に対するトラネキサム酸の投与というのは、あくまで美容的な目的となります。

なので個人的な意見としては、トラネキサム酸の飲み薬は美白剤などの外用を併用しながら肝斑の悪化時や、あとは紫外線が強い時期といったように最小限にとどめる飲み方がいいのではないかなと思います。

その他内服する際の注意点

また、トラネキサム酸を内服される際は必ずスクリーニングが必要になってきます。

具体的には血栓症の既往や家族歴がある方、また低用量ピルを内服されているような方はトラネキサム酸を内服することができません。

トラネキサム酸が飲めない場合

また、これまでの報告で喫煙、肥満、それから貧血といったような項目も血栓症のリスクになるのではないかという風にも言われています。そういった方はトラネキサム酸の内服ではなく外用がおすすめです。

これまでの報告で、一定以上の濃度であればトラネキサム酸の外用も肝斑の改善効果が期待できることが分かっています。トラネキサム酸が配合されているアイテムは世の中に実はたくさんあります。

まずはこちら。ドラッグストアで手軽に手に入るトラネキサム酸といえば「白潤」です。こちらの白潤美白化粧水にはトラネキサム酸に加えてビタミンC誘導体やハトムギエキスなども配合されています。

プチプラで非常に使いやすい製品ではないかなと思います。

また、ドクターズコスメではこちら。ナビジョンDrが人気です。こちらはTAホワイトエマルジョンなんですけれども、トラネキサム酸に加えて資生堂の独自の美白成分である4MSKも一緒に配合されています。

このようにポンプ式になっていて使いやすいのもお気に入りポイントです。

また私のクリニックではオリジナルでこちら。TAジェルクリームを作っています。こちらは市販の濃度ではない5%のトラネキサム酸が配合されていて、かつ4%のナイアシンアミドも配合されているのが特徴です。

肝斑の方だったり、あとはトラネキサム酸は赤ら顔に対しても効果があると言われていますので、赤ら顔酒さの方にも非常に好評いただいています。個人的にトラネキサム酸は内服と外用をうまく使い分けるといいのではないかなと思います。

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エンディング

ということで今回はトラネキサム酸の飲み薬について詳しく解説させていただきました。このチャンネルではスキンケアから美容医療、そして皮膚疾患まで肌にまつわる全てのことを発信しています。

公式LINEもありますので是非そちらも登録していただけたらと思います。今回の動画が少しでも参考になったなと思ったらいいねボタンやチャンネル登録ボタンを押していただけますと嬉しいです。ということで今回の動画は以上です。それでは〜。

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医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

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