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【3つ】手荒れが改善しない理由を皮膚科専門医が解説

皆さんこんにちは。皮膚科医の小林智子です。このチャンネルではスキンケアから美容医療そして皮膚疾患まで肌にまつわる全てのことを発信しています。公式LINEもありますので、是非そちらも登録していただけたらと思います。

今回取り上げたいのは、手荒れについてです。乾燥しやすい冬の時期になると手荒れの相談が非常に多くなります。カサカサしたり乾燥したりこういった状態を放置すると痒みで寝られなくなったり、あとはひび割れで日常生活にかなり支障をきたしてしまうことがあります。

中にはハンドクリームや手袋によって対策をしているのにも関わらず、なかなか手荒れが改善しないとご相談いただくケースもあります。

今回はなぜ手荒れがなかなか良くならないのか、3つの原因と正しいケア方法について詳しく解説したいなと思います。それでは早速行ってみましょう。

この記事は、こばとも皮膚科院長、皮膚科医の小林智子が運営するYoutubeチャンネル「こばとも先生のスキンアカデミー」内の動画内容を書き起こしたものです。Youtubeでは薬の塗り方・副作用、スキンケア方法、美容施術の種類や効果についてなど、お肌のお悩みを持つ方の少しでも助けになれればと思い動画を公開しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

手荒れを起こしやすい原因

まず手荒れを起こしやすい原因について考えてみたいと思います。手荒れを起こしやすい原因には主に3つあります。

まず1つは手は皮脂が少ないという点があげられます。皮脂はバリア機能の1つを担っていて、外からの刺激に対して肌を守る作用があります。手は元々皮脂が少なく、バリア機能が低下しやすい部位となります。

もう1つの理由は、角層が分厚いという点が挙げられます。手は他の部位と比べて皮膚が硬く厚いというのは皆さんご存知のところかと思いますかと思いますけれども、皮膚が厚いところというのは水分を保持しにくく乾燥しやすい傾向にあります。

3つ目の原因としては、手は常に刺激にさらされているという点が挙げられます。これがやはり手荒れを起こしやすい最も大きな要因かなという風に思うんですけれども、手というのは、手洗いだったりあとは消毒などによって常に刺激にさらされています。

こういった要因から、手荒れというのは非常に身近な疾患となります。

手荒れが改善しない3つの原因

手荒れというのは広い概念ではあるんですけども、大体「手湿疹」のことを指すかと思います。手湿疹の典型的な症状としては、まず最初利き手の指先から乾燥したりカサカサしたりというような症状を認めます。

これが進行すると、乾燥を伴うようになったりガサガサしてひび割れを起こすこともあります。

冒頭でもお話ししたように、手荒れが起こった場合ハンドクリームや手袋などで対策をする方が多いと思います。それにも関わらずなぜなかなか手荒れが改善しないのか主に3つの原因があるかと思います。

保湿が十分にできていない

まず1つ目なんですけれども、1つ目は保湿が十分にできていないということです。手荒れの場合、最初にカサカサとした乾燥症状を認めます。なのでまず最初に保湿を行うことが重要となります。

保湿となるとやはりまず最初ハンドクリームを連想する方多いんじゃないかなと思うんですけども、ハンドクリームをただ塗っているだけでは不十分かもしれません。ハンドクリームなど保湿剤を塗る際に重要になってくるのは、その量と頻度です。

皮膚科では、このようなヘパリン類似物質が配合された保湿剤が処方されることがあります。このヘパリン類似物質以外にも、例えば尿素だったり、あとはセラミドといったような成分が手荒れにおすすめの成分となります。

まず、この保湿剤を塗る量なんですけれども、保湿剤を塗る量としては「フィンガーチップユニット(FTU)」という単位が参考となります。

実際に手に出してみようと思うんですけれども、このように人差し指の第一関節から指先まで出した量で手のひら2枚カバーすることができます。なので手全体を保湿する際はこれより1.5倍から2倍のこれぐらいの量を塗るといいと思います。

塗り方も重要になってくるんですけれども、よくこの手に出した保湿剤を手のひらで十分すり込んでしまう方がいらっしゃいます。そうすると他の場所に十分に塗れなくなってしまいますので、塗る時は手のひらだけでなく指先もですね、このように1本ずつ丁寧に塗るようにしてください。

反対も同じです。このようにまんべんなく保湿剤を塗るようにしてください。

あと保湿剤を塗る頻度なんですけれども、保湿剤については基本的に1日何回塗っても問題はありません。塗るタイミングなんですけれども、夜寝る前と朝は塗っていただきたいなと思います。

なのでおすすめのやり方としては、保湿剤を枕元に置いておいて、スマホなどを触った後、さあ寝るぞというタイミングで保湿剤を塗っていただくと、ベタつきなどそんなに気にならないかなと思います。

あとはできれば朝も塗っていただきたいんですけども、朝は出勤前などに塗っていただくとそれほど仕事などに支障をきたしにくいかなと思いますので、できるだけこまめに保湿剤を塗るようにしてください。

ステロイドなどの塗り薬が塗れていない

次に手荒れがなかなか改善しない2つ目の原因なんですけども、それはステロイドなどの塗り薬が塗れていないということが挙げられます。

保湿剤を塗ってもなかなか症状が改善しなかったり、あと痒みを認めるような場合は、すでに湿疹に発展してしまっている可能性が高いです。

そういった場合は、ステロイドなどの塗り薬が必要になってきます。ステロイドはこのようにその強さによって5段階に分類されています。このうち市販で買うことができるステロイドの強さというのはストロング以下となります。

手というのは薬の吸収率が比較的低い部位となります。具体的には腕の吸収率を1とした場合、手のひらの吸収率は0.83だというようなデータもあります。

要はですね、薬が浸透しにくく効きにくい部位となりますので、手荒れがひどい場合は、ある程度強いステロイドの塗り薬が必要になってくることが多いです。

皮膚科ではこちら、ベリーストロングのお薬だったり、あとは最も強いストロンゲストのお薬が処方されることがあります。なので市販のステロイドの塗り薬を塗ってもなかなか改善しない方は、皮膚科でこういったお薬を処方していただく方がいいかなと思います。

悪化要因が除去できていない

最後にですね手荒れがなかなか改善しない原因3つ目なんですけれども、3つ目は悪化要因が除去できていない可能性があります。

手荒れの悪化要因には様々あります。多いのは洗剤や消毒などなんですけれども、こういったものは一般的に刺激性の接触皮膚炎を起こします。

これはどういった方でもなり得るかぶれの一種なんですけれども、洗剤や消毒など健常な状態だと刺激にはならないけれども、乾燥したりバリア機能が低下している場合刺激となって、手荒れを起こすということがあります。

なので保湿剤でバリア機能を強化しつつ、適宜手袋などを使っていただいて手を保護していただくことが重要となります。

一方、一部の方はラテックスなどによって、アレルギー反応によるアレルギー性接触皮膚炎を起こしてしまっている方がいらっしゃいます。そういった方は原因物質を完全に除去する必要があります。

なのでなかなか手荒れが改善しないというような方は、パッチテストなどの検査が有効になってくる可能性があります。

パッチテストは疑わしいアレルゲンを直接肌につけて48時間、また72時間後に赤くなったり水疱ができたりしていないかどうかを判定する検査となります。同じくかぶれをチェックする検査としてプリックテストなどもあります。

手荒れでご相談に来られる方の中には「異汗性湿疹」と呼ばれる疾患だったり、あとは「掌蹠膿疱症」と呼ばれるような疾患の方がいらっしゃいます。この異汗性湿疹や掌蹠膿疱症は金属アレルギーが原因であることがあります。

金属アレルギーもパッチテストでどういった金属が原因か知ることができますので、難治性の手荒れでお困りの方は1度パッチテストを受けられるといいかもしれません。

また比較的稀ではあるんですけれども、食品などを取り扱う方の中に、タンパク質接触皮膚炎の方もいらっしゃいます。このタンパク質接触皮膚炎は原因のアレルゲンが肌に付着して数分程度で痒みや赤みを伴うことが特徴です。

タンパク質接触皮膚炎の場合、パッチテストやスクラッチテストが陰性となることもあります。アトピーで合併する例が多いという報告もありますので、もし思い当たるなというような方は一度皮膚科で相談されることをおすすめします。

手荒れを悪化させないためのポイント

最後に手荒れを悪化させないために気をつけていただきたいポイントをいくつかご紹介したいなと思います。

手洗いの温度

まず最初は手洗いの温度です。寒くなってくると手洗いの際、その温度を上げてしまう方がいらっしゃいます。40℃を超えるような高い温度で手を洗った場合、保湿成分などの流出によって乾燥を悪化させてしまう可能性があります。

なので手を洗う際は、できるだけぬるま湯で行うようにしてください。

これはお風呂の時も同様で、お風呂も高い温度の場合乾燥の原因となりますので、冬でも39℃程度で入ることをおすすめします。

手を洗ったあとは完全に手を乾かす

次にですね手を洗った後の話なんですけれども、手を洗った後は完全に手を乾かすようにしてください。タオルなど拭かずパパッと自然に乾燥させようとすると、水分が急激に蒸発して乾燥の原因となります。

手を洗った際は必ずペーパータオルやタオルなどで手を拭くようにしてください。できれば手を拭いた後は保湿剤による保湿をセットで行っていただくといい かと思います。

保湿はこまめに行う

同じくですね保湿をする際はこまめに行うようにしてください。ハンドクリームの中でもベタつきが強いものからさらっとしているものまで様々なテクスチャーがあります。

なので日中などは仕事などに支障がないようにさらっとしたテクスチャーのものを選んで、夜はワセリンなどベタッとするようなものに切り替えていただくのがおすすめです。

水洗いが多い方は手袋で手を保護する

また水洗いなどが多い方は手袋で手を保護するようにしてください。元々水仕事が多いという方は、できるだけ水仕事をまとめて行うといいかと思います。

このように日常生活で手荒れを予防するポイントというのはいくつかありますので是非できるところから気をつけていただけたらと思います。

ということで今回は手荒れについてなかなか改善しない理由と正しいケア方法について解説させていただきました。今回の動画が少しでも参考になったなと思ったらいいねボタンやチャンネル登録ボタンを押していただけますと嬉しいです。ということで今回の動画は以上です。それでは〜。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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