052-228-1280
WEB予約
フラクショナルレーザーは毛穴のお悩みに対する治療に用いられますが、「毛穴が悪化する・効果がない」との情報も見受けられます。実際のところはどうなのでしょうか？
そこで本記事では、フラクショナルレーザーの毛穴への効果を詳しく解説します。
毛穴が悪化する・効果がないと言われてしまう真偽や原因についても触れているため、フラクショナルレーザーで毛穴治療をご検討の方はぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者
小林 智子（こばやし ともこ）
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
フラクショナルレーザーの毛穴への効果
フラクショナルレーザーは毛穴治療を得意とする機器です。細かな針で肌を刺激し熱を加えられるフラクショナルレーザーは、肌の再生を促し熱による引き締め効果を得られるため、毛穴の汚れや開きの改善が目指せます。
Dr.小林智子具体的には、毛穴の開きと黒ずみの改善に効果が期待できます。
毛穴の開きが目立ちにくくなる
フラクショナルレーザーは、肌のコラーゲン生成を活発にしてくれる働きを持っています。コラーゲンが作られると肌がふっくらするため、毛穴の開きが目立ちにくくなる効果が期待できます。
また、熱によって毛穴周辺の肌細胞が引き締められ、毛穴が目立ちにくくなる効果も見込めます。
毛穴の黒ずみの解消
細かなハリでお肌を適度に傷つけると、お肌の自然治癒力が高められ、ターンオーバーが促進されます。新しい肌の生まれ変わりにより古い角質が剥がれていき、毛穴の詰まりや黒ずみの解消を目指せます。
鼻の毛穴にも効果が期待できる
フラクショナルレーザーは頬やおでこだけでなく、鼻にも照射できるため、鼻の毛穴の開きや黒ずみに悩まれている方でも治療していただけます。
施術は何回必要？回数の目安
フラクショナルレーザーで毛穴を解消できる回数は、毛穴は肌の状態によって異なるため一概には言えません。しかし、継続して複数回の治療を進めると、より効果を実感しやすくなるとされています。
効果実感までは3～5回が目安
毛穴の開きや黒ずみがある程度解消されるには、3～5回程度の治療がひとつの目安です。
フラクショナルレーザーは毛穴トラブルだけでなく、シミやニキビ跡など多くの肌治療に用いられますが、毛穴治療は比較的少ない回数で効果が実感できます。（シミやニキビ跡は5～10回の治療が必要とされています。）
1回だけでも効果は得られる？
定期的な照射を3～5回程度で満足のいく結果を実感できる方が多い治療ですが、1回だけの照射でも一定の効果を実感できる方もいらっしゃいます。
完全に毛穴のお悩みが改善されるわけではありませんが、肌触りがなめらかになる、ハリが出るといった具合です。
Dr.小林智子毛穴の状態、どれくらいの仕上がりで満足できるのかによっても必要な回数は異なります。
一般的な経過・ダウンタイム
「フラクショナルレーザーは痛い・ダウンタイムは辛い」というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、毛穴治療によく用いられるノンアブレイティブタイプレーザーは、痛みもダウンタイムもさほど強くありません。（熱感・ゴムではじかれるような痛み。）
今回は、毛穴治療にノンアブレイティブタイプのフラクショナルレーザーを使用した場合の治療経過と、ダウンタイムの様子を解説します。
フラクショナルレーザーの治療経過
ノンアブレイティブタイプのフラクショナルレーザーは、微細な針と65℃以上のマイルドな刺激を与えて肌を刺激する施術であるため、痛みはさほどありません。（アブレイティブタイプは100℃以上の熱を用います。）
また、アブレイティブタイプは麻酔を使用する場合がほとんどである一方、ノンアブレイティブタイプは痛みが少ないため必ずしも必要ではありません。
- 照射当日は軽く赤みがでる
- 赤みは当日～数日で治まる
- 3日～1週間程から効果を実感しやすい
ダウンタイムの様子
ノンアブレイティブタイプのフラクショナルレーザーには、ダウンタイムがほとんどなく、施術後は照射部が少し赤くなる程度です。赤みは長引かず次第に消えていきます。
照射後3日くらい経つと、肌のなめらかさやハリ感を感じられるようになるでしょう。
赤みや熱がある場合は保冷パックで冷やす
施術後の赤みや火照りが気になる場合は、冷却パックで冷やすと早く治りやすいです。
ただし、長時間強く当ててしまうとかえって悪化してしまう可能性があるため、タオルやガーゼなどに包んで、数秒おきに優しく当てるようにしてください。
ダウンタイム中に気を付けたい点
ダウンタイム中は、肌の刺激になる摩擦や紫外線をできるだけ避けて過ごすようにします。
基本的にフラクショナルレーザー照射当日はメイクができないため、メイクがしたい場合は翌日以降から刺激の少ないメイクを心がけてください。
フラクショナルレーザーで毛穴が悪化するってホント？
「フラクショナルレーザーで毛穴が悪化した」という話を見かけることがありますが、フラクショナルレーザー自体は毛穴治療に用いられる施術です。
Dr.小林智子ただ、施術にともなう一時的な副作用や間違ったアフターケアにより、毛穴が悪化してしまう場合があります。
基本的には毛穴のお悩みを解消するための治療法
フラクショナルレーザーが持つコラーゲン生成や肌細胞の働きを活性化させる働きは、いずれも毛穴トラブルの解消に一役買ってくれるものです。
よって、問題なく施術ができれば、毛穴の黒ずみや開きは良くなっていくものと考えて問題ありません。
フラクショナルレーザーで毛穴が悪化する原因
フラクショナルレーザーで毛穴が悪化してしまう原因として考えられるのは、刺激や熱に肌が負けてしまって炎症反応がおこるケース、炎症後におこる毛穴の色素沈着などが考えられます。
また、フラクショナルレーザーが原因で肌のバリア機能が低下してしまい毛穴トラブルが起るケースもあります。
いずれも一時的な副作用によるものであるため、次第に落ち着いていきます。
こうした状況は、肌の状態や体調によっても左右されやすいため、医師と相談しながら、レーザーの出力を調節していきます。
フラクショナルレーザーが毛穴に効果ないと言われる理由
Dr.小林智子フラクショナルレーザーが毛穴に効果がないと言われる理由の多くは、照射回数の少なさや個人差によるところが大きいです。
照射回数が少ない
フラクショナルレーザーは継続的に行うことで、だんだんと肌状態が良くなっていき、毛穴トラブルの改善が解消していく治療です。
1回の治療効果は限定的なものであるため、回数が少ないうちには効果を感じにくい場合もあるかもしれません。
毛穴の状態や感じ方の違い
毛穴の開きが強い方や黒ずみが濃いほど治療回数を多く必要とする傾向があります。
重い毛穴トラブルを持っている方ほど、少ない回数だと効果を感じにくいため、継続的な治療がすすめられます。
また、人の感じ方にも個人差があるため「どれくらいの仕上がりで満足できるか」によっても効果の感じ方に差が出ると考えられます。
アフターケアが不十分
フラクショナルレーザーにはダウンタイムや副作用があるため、照射後のアフターケアが不十分だときちんとした効果が得られません。
照射後は一時的に肌や毛穴が敏感になっているため、保湿や紫外線対策を行い、刺激を避けたスキンケアやメイクを心がけるようにしてください。
フラクショナルレーザーとダーマペンの違い – 毛穴にはどっちが良い？
フラクショナルレーザーとダーマペンはどちらも微細な針で肌を傷つけ、コラーゲンの生成や自然治癒力を活性化させる効果があるものです。
いずれも毛穴治療に効果があるものですが、「熱を使うか・使わないか」の点で大きく異なります。
一般的にダーマペンよりもフラクショナルレーザーの方がダウンタイムや副作用、痛みが強くでるとされていますが、これはアブレイティブタイプのフラクショナルレーザーに限ったお話です。
ノンアブレイティブタイプであれば、むしろダーマペンよりも肌を傷つけにくく、痛みも感じにくいです。（ダーマペンは表皮を傷つけますが、ノンアブレイティブタイプのフラクショナルレーザーは表皮へのダメージが少ないことから。）
※当院ではノンアブレイティブタイプレーザーを使用しているため、今回は「ダーマペンとノンアブレイティブタイプのフラクショナルレーザー」を比較してお話を進めていきます。
両者の特性を理解して自分に合う方を選択しよう
フラクショナルレーザー（ノンアブレイティブタイプ）は微細な針での刺激に加え、肌に熱を伝えられるため、熱による肌や毛穴への引き締め効果が期待できます。
肌をキュッと引き締めるような仕上がり感が好みな方は、フラクショナルレーザーの方が向いているかもしれません。
一方、ダーマペンは熱は利用しないものの、ピーリング剤やトラネキサム酸など美容成分を持つ薬剤を併用した施術ができる特徴を持ちます。
例えば、ニキビにお悩みの方はニキビ炎症を抑える薬剤を併用して効果を高める、肝斑をお持ちの方は肝斑をケアするトラネキサム酸を併用して治療を行うなどの選択肢があります。
Dr.小林智子肌状態や理想とする仕上がり感を考慮して、検討されるとよいでしょう。迷われた場合はお気軽にご相談ください。
フラクショナルレーザーが向いている方、ダーマペンが向いている方
以下では、フラクショナルレーザー（ノンアブレイティブタイプ）とダーマペンの比較、向いている方の特徴をまとめています。治療を検討する上での参考にしてみてください。
| フラクショナルレーザー ※ノンアブレイティブタイプ | ダーマペン | |
|---|---|---|
| 熱の利用 | 〇 | ✕ |
| 薬剤の併用 | ✕ | 〇 |
| ダウンタイム・副作用 | ダーマペンより弱い | フラクショナルレーザーより強い |
| 痛み | ゴムではじかれるような痛み、熱感 | 針で刺されるチクチクとした痛み |
| 治療間隔 | 1ヶ月～数ヶ月 | 3～4週間 |
- 肌が引き締まるような仕上がりを期待したい
- 肌のハリのアップもしたい
- ダウンタイムをより短くしたい
- 肝斑がある
- 炎症中のニキビにも悩んでいる
- 薬剤を組み合わせて治療したい
まとめ
フラクショナルレーザーは毛穴トラブルに効果がない・悪化すると耳にすることがあるものの、毛穴トラブルの治療を得意とする機器です。
具体的には、毛穴の開きや黒ずみ改善などに効果が期待できます。
1ヶ月～数ヶ月ごとに3～5回ほどの治療を行えば満足のいく結果を得られる方が多く、1回でも限定的ではありますが、ある程度の実感を得られます。
また、ノンアブレイティブタイプのフラクショナルレーザーであれば、副作用やダウンタイムの影響をさほど受けずに治療を行え、痛みも感じにくいです。
「効果がない・悪化する」と言われる理由としては、照射回数が少なく効果がまだ出ていない、照射後のアフターケアが不十分なために炎症や色素沈着が起ってしまうケースなどが考えられます。
また、毛穴トラブルが重度な場合はより回数が必要になるため、少ない回数だと、なかなか満足のいく効果が得られない方もいらっしゃるかもしれません。
フラクショナルレーザーは複数回治療を行って効果がだんだんと見えてくるものであるため、長い目で見る継続的な治療とお考えください。
参考文献
CHO, Soo Ick, et al. Evaluation of the clinical efficacy of fractional radiofrequency microneedle treatment in acne scars and large facial pores. Dermatologic Surgery, 2012, 38.7 pt1: 1017-1024.
JUN-TAE, Kim, et al. Study on effect of Skin Pore using Laser and Microcurrent Treatment. Research Journal of Pharmacy and Technology, 2018, 11.11: 4862-4865.