訪問看護(医療保険)で1日2回訪問は可能?条件と料金について解説

訪問看護(医療保険)で1日2回訪問は可能?条件と料金について解説

ご自宅で療養生活を送る中で、ご本人やご家族が体調の変化に不安を感じ、訪問看護の利用回数を増やしたいと考えることがあるでしょう。

医療保険を利用して1日に2回訪問看護を受けられるのか、その際の条件や料金はどうなるのか、疑問を持つ方は少なくありません。

この記事では、医療保険を使った訪問看護で1日2回の訪問がどのような場合に可能になるのか、具体的な条件、料金体系、利用する上での注意点などを詳しく解説します。

目次

訪問看護と医療保険の基本

1日に複数回の訪問看護について知るためには、まず訪問看護サービスと医療保険の基本的な関係性を理解することが大事です。訪問看護は介護保険でも利用できますが、適用される保険によってサービス内容や利用回数の考え方が異なります。

訪問看護とはどのようなサービスか

訪問看護は、病気や障がいを抱えながらご自宅で療養する方のもとへ、看護師や理学療法士、作業療法士などの専門職が訪問し、主治医の指示に基づいて必要なケアを提供するサービスです。

単に医療的な処置を行うだけでなく、利用者の心身の状態を総合的に観察し、自立した生活を支援することが大きな目的です。

血圧や体温測定といった健康状態のチェック、点滴やインスリン注射、褥瘡の処置などの医療的ケア、身体の清潔を保つための清拭や入浴介助、食事や排泄の援助など、生活全般にわたる支援を行います。

また、在宅でのリハビリテーションを通じて身体機能の維持・向上を図ったり、ご家族の介護に関する悩みを聞き、精神的なサポートや具体的な介護方法の指導を行ったりすることも、訪問看護の重要な役割です。

医療保険が適用される訪問看護

訪問看護は、主に医療保険と介護保険の2つの制度を利用できますが、どちらが適用されるかは利用者の年齢や状態によって決まり、医療保険が適用されるのは、まず40歳未満の方です。

また、40歳以上65歳未満の方でも、介護保険の対象となる16の特定疾病に該当しない場合や、要支援・要介護認定を受けていない場合は医療保険の対象となります。

65歳以上の方でも、要支援・要介護認定を受けていない方、認定を受けていても厚生労働大臣が定める特定の疾病等に該当する方や、病状の急性増悪期、退院直後などで主治医から特別訪問看護指示書が交付された場合は、医療保険が適用されます。

医療保険と介護保険の主な違い

項目医療保険介護保険
対象者年齢制限なし(要支援・要介護認定者を除く)65歳以上(要支援・要介護認定者)など
利用限度原則週3回まで(条件により変動)ケアプランの範囲内
指示書主治医からの訪問看護指示書が必要ケアプランに位置づけが必要

介護保険との違い

介護保険と医療保険の最も大きな違いは、目的で、介護保険が日常生活の支援や身体機能の維持を主目的とするのに対し、医療保険は病気の治療や専門的な医療管理が目的です。

介護保険による訪問看護はケアプランに沿って提供されるのに対し、医療保険による訪問看護は主治医の指示書に基づいて行われ、要介護認定を受けている方の場合、原則として介護保険が優先されます。

しかし、末期の悪性腫瘍や神経難病など、厚生労働大臣が定める特定の疾病に該当する場合や、病状が急激に悪化して頻回な訪問が必要になった場合は、一時的に医療保険に切り替わります。

医療保険で1日2回の訪問が認められる条件

医療保険による訪問看護は、原則として週3回までの利用と定められていますが、利用者の状態によっては、1日に2回、あるいは3回といった頻回な訪問が必要になるケースがあります。

ここでは、どのような条件を満たした場合に1日複数回の訪問が認められるのかを解説します。

厚生労働大臣が定める疾病等の利用者

特定の重い疾病や状態にある方は、訪問回数の制限が緩和され、医療保険を使って週4回以上、必要であれば1日に複数回の訪問看護を受けることができます。

このような疾病は、症状の進行が速い、あるいは常に医療的な管理を必要とするなど、在宅での療養生活に高度な専門性が求められるものです。

対象となる疾病には、末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病関連疾患などの神経難病、あるいは在宅で人工呼吸器を使用している状態などが含まれます。

主治医が該当すると判断し、訪問看護指示書に記載することで、回数制限なく訪問看護を利用できるようになります。

厚生労働大臣が定める疾病・状態(一部抜粋)

疾病・状態概要
末期の悪性腫瘍がんの終末期で、症状緩和ケアが必要な状態
多発性硬化症・筋萎縮性側索硬化症(ALS)神経難病で、進行に伴い多様なケアが必要
人工呼吸器使用状態在宅で人工呼吸器による呼吸管理を受けている状態

特別訪問看護指示書が交付された利用者

特定疾病に該当しない方でも、主治医が病状の一時的な悪化により、集中的な看護が必要と判断した場合には、特別訪問看護指示書を交付することができます。

指示書が発行されると、交付日から最長14日間、医療保険が適用され、1日に複数回、あるいは毎日の訪問看護が可能です。

急性気管支炎や肺炎などで症状が悪化したとき、退院直後でご自宅での療養環境に慣れず状態が不安定な時期、あるいは終末期で痛みのコントロールなどが頻繁に必要になった場合などが該当します。

この制度は、一時的に状態が悪化した利用者が、入院せずに在宅で療養を続けられるように支えるためのものです。

頻回な訪問が必要となるケース

上記の条件に当てはまる方は、どのような状況で頻回な訪問を必要とするのでしょうか。

病状の急変時はもちろんですが、留置カテーテルの管理が複雑で定期的な洗浄や交換が必要な場合や、褥瘡が悪化して専門的な処置が1日に何度も必要な場合などが考えられます。

また、ご家族の介護負担が大きく、精神的に不安定になっている利用者に対して、日中と夕方の2回訪問して声かけや安否確認を行うことで、本人と家族の双方を支えるといったケースもあります。

利用者の身体的な状態だけでなく、精神的な安定や療養環境全体を考慮して、頻回な訪問の必要性が判断されます。

頻回な訪問を要する方の状態例

  • 退院直後で療養環境に慣れていない
  • 終末期で痛みの管理が頻繁に必要
  • カテーテルの管理が複雑で専門的な処置を要する
  • 精神状態が不安定で、定期的な見守りが必要

1日2回以上の訪問看護の詳細

1日に複数回の訪問看護を受けるためには、特定の条件を満たす必要があります。ここでは、それぞれの条件について、制度の仕組みや利用イメージをさらに詳しく掘り下げて解説します。

20の特定疾病等に該当する場合

厚生労働大臣が定める疾病等に該当する方は、週4回以上の訪問看護が医療保険で認められていて、これは、長期にわたり専門的な医療管理や看護が必須なためです。

パーキンソン病関連疾患では、病状の進行に合わせてリハビリテーションや服薬管理、嚥下機能の評価などが必要になります。

また、在宅で酸素療法を行っている慢性閉塞性肺疾患(COPD)の方であれば、呼吸状態の管理や緊急時の対応が重要です。ケアを切れ目なく提供するために、必要性が認められれば1日に2回または3回の訪問も可能です。

主治医が利用者の状態を総合的に判断し、適切な訪問回数を指示します。

訪問回数制限が緩和される疾病の例

分類疾病名
神経難病パーキンソン病関連疾患、脊髄小脳変性症など
呼吸器疾患慢性閉塞性肺疾患(COPD)で在宅酸素療法を行う場合など
その他後天性免疫不全症候群(AIDS)、皮膚筋炎など

特別訪問看護指示期間中の訪問

特別訪問看護指示書は、主治医が病状の急性増悪や終末期、退院直後などで集中的な訪問看護が必要と判断した際に発行し、指示期間は原則として月に1回、14日間が限度です。

この期間中は、毎日でも訪問看護を利用でき、1日に複数回の訪問もできます。

ただし、気管カニューレを使用している方や、真皮を越える重度の褥瘡がある方など、特に頻回な訪問が必要な状態と認められた場合は、月に2回まで指示書を交付できます。

指示書により、状態が不安定な時期に集中的なケアを受けることで、症状の悪化を防ぎ、利用者が安心して在宅療養を継続できるよう支援します。

特別訪問看護指示書の種類と期間

指示書の種類対象となる状態指示期間
特別訪問看護指示書急性増悪、退院直後など14日以内
気管カニューレ使用者など気管カニューレ、真皮を越える褥瘡など月2回まで、各14日以内

精神科特別訪問看護指示書が出た場合

精神疾患を持つ方の状態が一時的に不安定になった場合、主治医(精神科医)は精神科特別訪問看護指示書を交付することができます。この指示書も、交付日から14日間、医療保険による集中的な訪問看護(精神科訪問看護)の利用を可能にします。

精神科訪問看護では、病状の観察や服薬の確認・管理はもちろんのこと、対人関係の悩みに対する相談援助や、日常生活の自立に向けた支援など、より精神面に特化したケアを提供します。

集中的な関わりを通じて利用者の精神的な安定を図り、症状の再発や悪化を防ぎ、地域社会での生活を継続できるよう支援することが目的です。

緊急時の訪問について

計画された訪問以外にも、利用者の容態が急に変化した際には、緊急訪問を行うことがあり、24時間対応体制をとる訪問看護ステーションと契約している場合、夜間や休日でも電話で相談でき、必要に応じて看護師が自宅へ駆けつけます。

夜間に急な発熱があった、転倒してしまった、カテーテルが抜けてしまったなどの場合に利用でき、看護師が状態を判断し、主治医に報告・相談しながら応急処置を行ったり、救急要請の判断を助けたりします。

この緊急訪問も医療保険の対象です。

訪問看護(医療保険)の料金体系

1日に複数回の訪問看護を利用するにあたり、多くの方が気になるのは料金でしょう。基本となる療養費に、提供したサービスの内容や時間帯、利用者の状態に応じた各種加算が組み合わさって、最終的な自己負担額が決まります。

訪問看護の基本療養費

訪問看護の料金の土台となるのが、訪問看護基本療養費で、訪問する職種(看護師、准看護師、理学療法士など)や、ご自宅での滞在時間によって金額が異なります。

看護師が30分以上1時間未満の訪問を行う場合と、20分未満の短い訪問を行う場合とでは料金が変わります。

また、週の最初の訪問日には初回加算がついたり、同一建物に住む複数人へ訪問する場合に料金が減額されたりと、訪問の状況によっても料金は変動し、基本療養費が、訪問看護サービスの基本的な対価です。

主な訪問看護基本療養費(週3日まで)

項目料金(1割負担の場合の目安)
20分未満の訪問約310円
30分以上1時間未満の訪問約820円
1時間以上1時間30分未満の訪問約1,120円

1日に複数回訪問した場合の料金

1日に2回以上の訪問を行った場合、2回目以降の訪問についても基本療養費がかかります。

ただし、その算定方法は少し複雑です。厚生労働大臣が定める疾病等の方や、特別訪問看護指示期間中の方が1日に複数回の訪問を受ける場合、2回目までは通常の基本療養費、3回目はその半額、4回目以降はさらに低い金額が設定されています。

また、これらの利用者が2時間以上の間隔を空けずに続けて訪問看護を受ける場合には、「難病等複数回訪問加算」という別の料金体系が適用されることもあります。

各種加算の種類と料金

基本療養費に加えて、提供したサービスの内容や時間帯、事業所の体制に応じて様々な加算があります。

24時間連絡・相談できるステーションと契約すると「24時間対応体制加算」がかかり、また、通常の営業時間外である早朝(午前6時~8時)や夜間(午後6時~10時)、深夜(午後10時~午前6時)に訪問した場合には、時間外加算が追加されます。

その他、重症度が高い利用者や、専門的な管理(褥瘡や人工肛門など)を行った場合にも、その内容に応じた加算が算定され、専門的なサービスを評価する仕組みです。

主な加算の種類

  • 24時間対応体制加算
  • 夜間・早朝訪問看護加算
  • 深夜訪問看護加算
  • 複数名訪問看護加算
  • 難病等複数回訪問加算

1日2回訪問した場合の自己負担額シミュレーション

実際に1日2回の訪問看護を利用した場合、自己負担額はどのくらいになるのでしょうか。ここでは、具体的なモデルケースを想定して、料金のシミュレーションを行います。

自己負担割合ごとの料金目安

医療保険の自己負担割合は、年齢や所得に応じて原則1割から3割と定められています(75歳以上の方は所得により1割または2割、現役並み所得者は3割)。同じサービスを受けても、自己負担割合によって窓口で支払う金額は大きく異なります。

ご自身の保険証には自己負担割合が記載されていますので、事前に確認しておくことが大事です。例えば、総医療費が10,000円の場合、1割負担の方なら1,000円、3割負担の方なら3,000円が自己負担額となります。

自己負担割合別・1か月の料金シミュレーション例

※特別訪問看護指示書が交付され、週5日、1日2回(1回60分)の訪問を利用し、24時間対応体制加算を含んだ場合の概算です。

総医療費(10割)1割負担の場合3割負担の場合
約300,000円約30,000円約90,000円

高額療養費制度の活用

医療費の自己負担額が高額になった場合、家計の負担を軽減するために高額療養費制度があります。

1か月の医療費の自己負担額(入院・外来・訪問看護などを合算)が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。

上限額は年齢や所得によって異なりますが、例えば、70歳以上で住民税非課税世帯の方であれば8,000円です。

訪問看護の利用料もこの制度の対象となりますので、負担が大きくなる場合は、加入している公的医療保険(健康保険組合や市区町村など)に忘れずに申請しましょう。

多くの場合、初回のみ申請が必要で、以降は自動的に払い戻される仕組みになっています。

公費負担医療制度について

国や地方自治体が、特定の疾病や状態にある方の医療費を助成する公費負担医療制度もあります。

指定難病や小児慢性特定疾病の医療費助成、精神疾患の治療に対する自立支援医療(精神通院)、あるいは生活保護を受けている方の医療扶助などが該当します。

制度を利用できる場合、医療保険の自己負担分がさらに軽減されたり、無料になったりすることがあります。対象となるかどうかは、お住まいの市区町村の担当窓口や保健所、病院の医療ソーシャルワーカー、主治医などに確認してください。

複数の制度を併用できる場合もあります。

1日2回の訪問看護を依頼する際の注意点

頻回な訪問看護は、在宅療養を続ける上で大きな支えとなりますが、利用を開始する前に確認し、準備しておくべき点がいくつかあります。

主治医やケアマネジャー、訪問看護ステーションとしっかり情報を共有し、円滑にサービスを受けられる体制を整えることが重要です。

主治医との連携の重要性

1日2回以上の訪問看護を受けるには、主治医による訪問看護指示書、特にその必要性を明記した指示書(特別訪問看護指示書など)の発行が不可欠です。

そのためには、ご本人やご家族が感じている不安や、現在の症状、日常生活での困りごとなどを、診察の際に正確に主治医に伝える必要があります。

「いつから、どのような症状が出ているか」「どんな時に不安を感じるか」「家族の介護負担はどの程度か」などをメモにまとめておくと、伝え漏れを防げます。

日頃から主治医と良好な関係を築き、病状について何でも相談しやすい環境を作っておくことが大切です。

ケアプランとの調整

介護保険を利用して他のサービス(デイサービスや訪問介護など)も受けている場合は、全体のサービス計画を管理する担当のケアマネジャーとの連携も大事です。

医療保険による訪問看護の回数が増えることで、1日のスケジュールが過密になったり、他のサービスの利用に影響が出たりする可能性があります。

ケアマネジャーに状況を説明し、医療と介護のサービスが重複せず、かつ連携して一体的に提供されるよう、ケアプランを調整してもらう必要があります。

訪問看護師が医療処置を行った後に、訪問介護員が食事の介助に入るといったスムーズな連携が、在宅療養の質を高めます。

訪問看護ステーションの選び方

1日複数回や緊急時の対応を依頼する場合、訪問看護ステーションの体制が整っているかどうかが非常に重要なポイントです。

事業所の規模や看護師の人数、24時間対応が可能か、特定の疾病や医療的ケア(例えば、がん看護や小児看護など)に対する経験が豊富かなどを事前に確認しましょう。

複数のステーションから話を聞き、それぞれの特徴を比較検討することが大切です。

ウェブサイトで情報を集めたり、ケアマネジャーに相談したりして、ご自身やご家族の状況に最も合い、信頼できる事業所を選ぶことが、安心して在宅療養を続けるための鍵となります。

ステーション選びのポイント

  • 24時間365日の連絡・相談体制
  • 緊急時訪問の可否
  • 主治医や他の医療機関との連携実績
  • 専門性の高い看護師の在籍状況

訪問看護の利用開始までの流れ

実際に訪問看護サービス、特に1日複数回の訪問を希望する場合、どのような手順を踏むのでしょうか。ここでは、相談から契約、サービス開始までの一般的な流れを説明します。

主治医やケアマネジャーへの相談

まず最初の行動は、かかりつけの主治医や担当のケアマネジャーに相談することです。

現在の体調や生活状況、「こんなことで困っている」「こういうケアが必要だと思う」といった内容を伝え、訪問看護の利用回数を増やしたい旨を伝えます。

専門家の視点から、その必要性や利用できる制度、地域の訪問看護ステーションの情報などについてアドバイスをもらえます。医療保険での頻回訪問には主治医の医学的な判断が重要になるため、正直な気持ちを伝えることが第一歩です。

訪問看護ステーションとの面談

利用したい訪問看護ステーションが決まったら、ステーションの管理者や担当看護師との面談を行い、利用者と事業所がお互いを理解するための重要な機会です。

利用者の心身の状態、療養環境、家族の介護力、サービスに対する希望などを詳しく話し合います。ステーション側からも、提供できるサービス内容や料金、緊急時の対応、個人情報の取り扱いなどについて詳しい説明があります。

この時に、不安なことや疑問に思うことはすべて質問し、解消しておきましょう。

面談時に確認すべきこと

  • 具体的なケアの内容
  • 訪問する看護師の担当制
  • 緊急時の連絡方法と対応
  • 料金の詳細と支払い方法

必要書類の準備と契約

サービス内容や条件について双方で合意したら、正式な契約手続きに進み、利用には、主治医が作成する「訪問看護指示書」が必ず必要です。

これは通常、ステーション側から主治医に依頼して準備し、利用者は、健康保険証や各種医療費受給者証など、自己負担割合を確認できるものを準備します。

ステーションから提示される契約書や重要事項説明書の内容をよく確認し、納得した上で署名・捺印し、契約完了後、訪問スケジュールを調整し、サービスの利用開始となります。

契約に必要な主な書類

書類名発行元役割
訪問看護指示書主治医看護内容を指示する
健康保険証保険者(市区町村など)保険資格を確認する
契約書訪問看護ステーションサービス内容を合意する

訪問看護(医療保険)の1日2回訪問に関するよくある質問

家族の希望だけで1日2回来てもらうことはできますか?

ご家族の希望だけでは、1日2回の訪問は認められません。

医療保険を利用した頻回な訪問看護は、あくまで主治医が利用者の病状から必要性を医学的に判断し、訪問看護指示書(特に特別訪問看護指示書)を交付することが前提となります。

まずは、かかりつけの主治医に現在の状況を詳しく相談してください。

1日2回の訪問は、毎日利用できますか?

主治医が必要と判断し、特別訪問看護指示書などが交付されている期間中は、毎日利用することも可能です。例えば、退院直後で状態が不安定な1週間や、終末期で症状緩和ケアを集中的に行う時期などが該当します。

具体的な訪問スケジュールは、主治医の指示と訪問看護ステーションとの相談の上で、利用者の状態に合わせて決定します。

夜間や早朝に2回目の訪問をお願いすることもできますか?

24時間対応体制をとっている訪問看護ステーションであれば、早朝や夜間、深夜の訪問にも対応しています。ただし、通常の時間帯とは別に、夜間・早朝加算や深夜加算といった追加料金が発生します。

料金については、契約する訪問看護ステーションにご確認ください。

1回の訪問時間はどのくらいですか?

訪問時間は、利用者の状態や必要なケアの内容によって異なりますが、一般的には30分から1時間30分程度です。

医療保険の場合、20分未満の短い訪問も認められています。1日に複数回訪問する場合は、それぞれの訪問で必要なケアを効率的に行うため、1回あたりの時間を調整することもあります。

以上

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