訪問看護による膀胱留置カテーテル管理|バルーン交換・膀胱洗浄など

訪問看護による膀胱留置カテーテル管理|バルーン交換・膀胱洗浄など

ご自宅で療養生活を送る中で、膀胱留置カテーテル(尿道カテーテル)を使用することになった患者さんやご家族は、日々の管理に対して多くの不安や疑問を抱えていることでしょう。

尿は毎日作られるため、カテーテルの管理は休みなく続き、トラブルなく過ごすためには専門的な知識と技術が必要です。訪問看護は、そのような在宅での医療処置が必要な方を支えるためのサービスです。

この記事では、訪問看護で受けることができる膀胱留置カテーテルの管理について、内容や注意点、導入のメリットなどを詳しく解説します。

目次

自宅での膀胱留置カテーテル管理と訪問看護の役割

住み慣れたご自宅で安心して療養生活を続けるためには、医療的ケアが欠かせません。膀胱留置カテーテルを使用している場合、尿路感染症やカテーテルの閉塞といったトラブルを未然に防ぐための日々の管理が重要です。

訪問看護は、そのような在宅療養における医療的な課題を解決し、生活の質を維持・向上させるための専門的なサポートを提供します。

医療処置が必要な在宅療養者を支える仕組み

訪問看護とは、病気や障害を持ちながらご自宅で療養されている方のご家庭に看護師などが訪問し、療養生活を送るための支援を行うサービスです。医療保険や介護保険を利用して受けることができます。

主治医が交付する訪問看護指示書に基づき、健康状態の観察、病状悪化の防止・回復、療養生活の指導、医療処置、リハビリテーション、終末期の看護など、多岐にわたるサポートを提供します。

24時間365日対応可能な体制を整えているステーションも多く、夜間や休日の急な体調変化にも対応できるため、在宅療養における大きな安心材料です。

訪問看護師が提供する専門的なケア内容

膀胱留置カテーテルを使用している患者さんに対して、訪問看護師は多角的な視点でケアを提供します。

医療処置としては、定期的なカテーテルの交換(バルーン交換)、必要に応じた膀胱洗浄、尿路感染の兆候の有無を確認する観察などがあります。

また、カテーテルや蓄尿バッグの管理方法、陰部の清拭や洗浄による清潔保持の方法など、ご本人やご家族が日常的に行うケアについての指導も重要な役割です。

さらに、排尿状態だけでなく、全身状態の観察を行い、便秘の予防や食事・水分摂取のアドバイスなど、生活全体を視野に入れたサポートを行います。

訪問看護師による主な支援内容

  • カテーテル交換や膀胱洗浄などの医療処置
  • 尿の性状や量の観察、感染兆候の確認
  • カテーテルや蓄尿バッグの取り扱い指導
  • 陰部洗浄などの清潔ケアの実施と指導
  • トラブル発生時の緊急対応と医師への連携

医師との連携による安全な管理体制

在宅でのカテーテル管理において、訪問看護師は主治医と密接な連携を保ちます。

日々の訪問で観察した患者様の状態や、カテーテル交換時の状況、尿の異常(混濁、血尿など)、発熱などの感染兆候が見られた場合には、速やかに医師に報告します。

医師は報告を受けて、カテーテル管理の方法を変更したり、抗生物質の投与を指示したり、必要に応じて往診を行ったりします。

膀胱留置カテーテルの基礎知識と留置の目的

膀胱留置カテーテルは、自力で尿を排出することが困難な場合に、尿道から膀胱に管(カテーテル)を挿入し、持続的に尿を体外へ排出させるための医療器具です。

バルーンカテーテルとも呼ばれ、排尿障害を持つ患者さんの生活を支える重要な役割を担っています。

尿を排出するための医療器具の仕組み

カテーテルは柔軟性のあるシリコンやラテックスなどの素材で作られており、尿道の太さに合わせて様々なサイズがあります。カテーテルには尿が通る管と、バルーンを膨らませるための滅菌水を注入する細い管の2つの通り道があります。

膀胱内に挿入された後、専用の注射器を使って滅菌水を注入しバルーンを膨らませ固定し、尿は膀胱からカテーテルを通って自然に流出し、接続されたチューブを経由して蓄尿バッグに貯留される仕組みです。

蓄尿バッグには尿の逆流を防ぐ弁が付いており、感染リスクを低減する構造になっていて、溜まった尿はバッグ下部の排出口から定期的に廃棄します。

カテーテル留置が必要となる主な原因と疾患

膀胱留置カテーテルが必要となる主な理由は、尿を出したいのに出せない尿閉の状態や、排尿のコントロールができない高度な排尿障害がある場合です。

男性では前立腺肥大症による尿道の圧迫が原因となることが多くあり、また、脳卒中や脊髄損傷などの神経疾患により、膀胱の収縮機能や尿道括約筋の制御がうまくいかなくなる神経因性膀胱も主な原因の一つです。

その他、骨盤内の手術後や、意識障害があり厳密な尿量管理が必要な場合、あるいは重度の褥瘡(床ずれ)があり尿失禁による汚染を防ぐ必要がある場合などにも使用されます。

終末期医療において、頻回なオムツ交換やトイレ介助の負担を軽減し、安楽な生活を送るために選択されることもあります。

カテーテルのメリットとデメリット

項目メリットデメリット
排尿管理確実に尿を排出できる常に管が入っている違和感
介護負担オムツ交換やトイレ介助が減るカテーテル管理の手間が増える
衛生面尿失禁による皮膚トラブルを防ぐ尿路感染症のリスクが高まる

長期留置に伴うリスクと合併症の理解

カテーテルは便利な反面、異物を体内に留置し続けることになるため、様々なリスクや合併症を伴い、最も注意が必要なのが尿路感染症です。カテーテルを通して細菌が膀胱内に侵入しやすく、膀胱炎や腎盂腎炎を起こす可能性があります。

発熱、尿の混濁、強い臭いなどがサインとなり、また、カテーテルの刺激による膀胱粘膜の損傷や血尿、膀胱結石の形成、尿道が傷つくことによる尿道狭窄なども起こり得ます。

さらに、カテーテルが詰まって尿が流れなくなる閉塞トラブルや、バルーンの不具合による自然抜去、カテーテルの周囲から尿が漏れるといった問題も発生することがあります。

訪問看護師による定期的なカテーテル交換(バルーン交換)

膀胱留置カテーテルは、長期間同じものを使用し続けると、尿に含まれる成分が結晶化してカテーテル内部や表面に付着し、詰まりの原因となったり、感染の温床となったりします。

また、素材の劣化によりバルーンが破損するリスクも高まるので、定期的に新しいカテーテルに交換する必要があります。

カテーテル交換の頻度とスケジュールの決定

カテーテルを交換する頻度は、使用しているカテーテルの素材や患者さんの尿の状態、感染リスクなどを考慮して医師が決定し、2週間から4週間に1回の頻度で交換することが多いです。

ただし、尿の混濁が強い場合や、結石ができやすい体質の方、詰まりやすい傾向がある方などは、より短い間隔で交換することもあります。

状態が非常に安定している場合は、医師の判断で交換間隔を長くすることもあり、訪問看護師は医師の指示に基づき、計画的に訪問スケジュールを組み、定期的な交換を実施します。

交換頻度を決定する主な要素

要素内容影響
カテーテルの素材シリコン製、ラテックス製など素材により推奨期間が異なる
尿の性状混濁、浮遊物、血尿の有無汚れが強い場合は早めに交換
閉塞トラブルの既往過去に詰まった経験があるか詰まりやすい場合は頻回に交換

自宅で安全に交換を行うための手順と準備

訪問看護師は、ご自宅という環境下でも病院と同様の清潔操作でカテーテル交換を行います。まず、必要な物品(新しいカテーテルセット、滅菌手袋、消毒液、潤滑剤、滅菌水、注射器、防水シート、廃棄物入れなど)を準備し、環境を整えます。

患者さんには楽な姿勢をとっていただき、まず、留置されている古いカテーテルのバルーンの水を抜き、ゆっくりと抜去し、その後、尿道口周囲を丁寧に消毒し、新しいカテーテルに潤滑剤を塗布して、慎重に尿道から膀胱へ挿入します。

尿の流出を確認したら、規定量の滅菌水を注入してバルーンを膨らませ固定し、最後に蓄尿バッグを接続し、カテーテルを太ももや腹部にテープで固定して終了です。

交換時に観察するポイントと異常の早期発見

カテーテル交換は、単に古いものを新しいものに取り替える作業ではなく、訪問看護師は交換の過程で様々な観察を行い、異常の早期発見に努めます。

古いカテーテルを抜去した際には、カテーテルの先端や表面に結石や汚れが付着していないかを確認し、また、尿道口周囲の皮膚に発赤、ただれ、分泌物などの異常がないか、挿入時に痛みや抵抗がないかなどを注意深く観察します。

交換後に排出される尿の色や混濁具合も重要な情報です。もし何らかの異常が発見された場合は、その場で適切な処置を行うとともに、医師に詳細を報告し、今後の対策を検討します。

必要に応じた膀胱洗浄の実施と注意点

膀胱洗浄とは、カテーテルを通じて膀胱内に生理食塩水などを注入し、その後排出させることで、膀胱内やカテーテル内部を洗い流す処置のことです。

尿の混濁が強くカテーテルが詰まりやすい場合や、血尿があり血液の塊(凝血塊)が詰まるリスクがある場合など、医師が必要と判断した特定の状況下で、トラブル回避のために膀胱洗浄が行われます。

膀胱洗浄の目的と適応となる症状

膀胱洗浄の主な目的は、カテーテルの閉塞を予防または解除することです。尿中に浮遊物や粘液が多く含まれていたり、砂のような細かい結石(尿砂)が混じっていたりすると、カテーテルの内腔が狭くなり、最終的に詰まってしまいます。

また、膀胱炎や出血によって生じた膿や血塊も閉塞の原因です。カテーテルが詰まると尿が膀胱に溜まり、下腹部の張りや痛み、尿漏れ、腎機能障害などを起こすため、除去するために洗浄が行われます。

医師は患者さんの状態を評価し、洗浄のメリットがリスクを上回ると判断した場合にのみ洗浄を指示します。

膀胱洗浄が検討される主な状況

状況具体的な状態洗浄の目的
尿の強い混濁膿や粘液、浮遊物が多いカテーテル閉塞の予防
尿砂の排出砂状の結石が混じる結石による閉塞の予防
持続する血尿血液の塊が見られる血塊による閉塞の予防・解除

訪問看護師による洗浄の手順と衛生管理

訪問看護師による膀胱洗浄は、厳重な清潔操作のもとで実施します。

まず、カテーテルと蓄尿バッグの接続部を消毒し、一時的に外します。カテーテルの接続口から、滅菌された専用の注射器(カテーテルチップシリンジ)を用いて、人肌程度に温めた生理食塩水をゆっくりと膀胱内に注入します。

注入量は通常50ml〜100ml程度ですが、医師の指示に従います。注入後、自然に洗浄液が排出されるのを待ち、これを数回繰り返し、洗浄液が透明になるまで行うこともあれば、回数を決めて行うこともあります。

洗浄中は患者さんの表情や反応を観察し、痛みや不快感がないか確認し、終了後は再び蓄尿バッグを清潔に接続します。一連の操作において、器具の汚染を防ぐことが最も重要です。

洗浄に伴うリスクと実施判断の基準

膀胱洗浄には、カテーテル閉塞を防ぐメリットがある一方で、いくつかのリスクも伴います。最大の懸念は、洗浄操作によって外部から細菌を膀胱内に侵入させてしまい、尿路感染症を起こす、あるいは悪化させてしまうことです。

また、洗浄液を注入する際の圧力によって膀胱粘膜を傷つけてしまったり、刺激によって膀胱の痙攣(けいれん)を誘発し、痛みや尿漏れの原因となったりすることもありるので、洗浄は必要な時に必要な回数だけ行うのが原則です。

訪問看護師は、尿の状態やカテーテルの流通状況を日々観察し、洗浄が必要なサイン(尿量の減少、浮遊物の増加など)が見られた場合に、医師に相談して実施の可否を判断します。

トラブル発生時の緊急対応と感染症対策

在宅でのカテーテル管理では、注意していても予期せぬトラブルが発生することがあります。尿が出ない、尿が漏れる、熱が出たといった事態に直面した際、適切な初期対応をとることで重症化を防ぐことができます。

訪問看護ステーションは多くの場合24時間連絡体制をとっており、緊急時には電話相談や緊急訪問を行います。

尿が流れない閉塞トラブルへの対処法

蓄尿バッグに尿が溜まっていない、下腹部が張って苦しいといった場合は、カテーテルが詰まっている可能性があります。まず確認すべきは、カテーテルや接続チューブが体の下敷きになって折れ曲がったり、ねじれたりしていないかです。

また、バッグの位置が膀胱より高くなっていると尿が流れないため、常にバッグを腰より低い位置に保つようにします。問題がない場合は、カテーテル内部が浮遊物や血塊で詰まっている可能性があります。

ご家族ができる対応としては、カテーテルを指で軽くしごくようにして流れを促してみることです。それでも改善しない場合は、訪問看護ステーションに連絡してください。

尿閉塞の主な原因

  • チューブの屈曲、圧迫、ねじれ
  • 尿中の浮遊物、粘液、結石による内部の詰まり
  • 血尿による血塊(コアグラ)の詰まり
  • 蓄尿バッグの位置不良(膀胱より高い)
  • 極端な水分摂取不足による尿量減少

尿漏れが発生した場合の原因と対策

カテーテルが入っているにもかかわらず、尿道口の周囲から尿が漏れて下着やシーツが濡れてしまうことがありますが、カテーテルの刺激によって膀胱が不随意に収縮(膀胱痙攣)し、バルーンの脇から尿が押し出されることが主な原因です。

また、カテーテルが細すぎて隙間ができている場合や、バルーンの固定水が減って位置がずれている場合、カテーテルが詰まりかけている場合にも起こり、便秘で腸が膀胱を圧迫していることが原因となることもあります。

対応としては、まずカテーテルが引っ張られていないか確認し、ゆとりを持たせて固定し直します。尿漏れが続く場合は、皮膚がかぶれないように清潔を保ち、尿漏れパッドなどを当てて対応します。

尿路感染症を防ぐための日々の観察ポイント

尿路感染症は最も警戒すべき合併症で、早期発見のために日々の観察が重要です。

チェックポイントは、尿の色、混濁、臭い、そして発熱や体調の変化で、普段より尿の色が濃い、白く濁っている、浮遊物が多い、いつもと違う強い臭いがする、といった場合は感染の初期サインである可能性があります。

また、37.5度以上の発熱、悪寒、戦慄(震え)、腰痛、食欲不振、全身のだるさなどが見られた場合は、腎盂腎炎などの重篤な感染症に進行している恐れがあります。

兆候に気づいたら、すぐに体温を測り、訪問看護ステーションやかかりつけ医に連絡してください。早期に抗生物質による治療を開始することが重症化を防ぐ鍵です。

快適な在宅生活を送るための日常生活の工夫

膀胱留置カテーテルを使用していても、工夫次第で快適な日常生活を送ることができます。カテーテルは生活の一部となりますが、生活の全てを制限してしまうわけではありません。

入浴、外出、食事など、日々の活動において少しの注意と工夫をすることで、トラブルを予防し、生活の質を維持することが可能です。

入浴やシャワー浴の際のカテーテル管理

カテーテルを留置していても、基本的に入浴やシャワー浴は可能で、入浴時は、蓄尿バッグを膀胱より低い位置に保つことが原則です。湯船に浸かる場合は、バッグを浴室の床に置くか、S字フックなどで低い位置に吊るします。

感染予防のため、バッグの排出口が湯船のお湯に浸からないように注意してください。シャワー浴の場合は、バッグをビニール袋に入れて防水したり、専用のシャワー用カバーを利用したりすると便利です。

体を洗う際は、カテーテルが引っ張られないように注意しながら、石鹸を泡立てて尿道口周囲を優しく洗います。カテーテル自体の汚れも洗い流しましょう。

入浴後は、水分をしっかり拭き取り、カテーテルの固定テープが剥がれかけている場合は新しいものに交換します。

外出時や移動時の蓄尿バッグの取り扱い

外出は気分転換になり、生活に張りを与えます。外出時は、蓄尿バッグが人目につかないよう工夫することで、安心して出かけることができます。

専用のカバーやショルダーバッグ、リュックサックなどを利用してバッグを収納し、持ち運ぶのが一般的です。車椅子を利用されている方は、座面の下やフレームに専用のフックで固定する方法もあります。

どのような場合でも、バッグが膀胱より高くならないように注意が必要で、移動中はチューブが引っ掛かったり、折れ曲がったりしないように配慮しましょう。

また、長時間の外出になる場合は、事前にトイレの場所を確認しておいたり、外出直前にバッグの尿を破棄しておいたりする準備も大切です。

レッグバッグ(足に固定する小型のバッグ)への変更が可能な場合もあるので、訪問看護師に相談してみてください。

適切な水分摂取と食事による排尿管理

カテーテルの詰まりや尿路感染症を予防するために最も効果的なのは、十分な尿量を確保して、膀胱やカテーテル内を自然に洗い流すことです、適切な水分摂取が必要です。

心臓や腎臓の病気で水分制限の指示がない限り、1日に1500ml〜2000ml程度を目安に水分を摂ることが推奨されます。一度に大量に飲むのではなく、こまめに少しずつ飲みましょう。

食事の内容も排尿に影響します。バランスの取れた食事を心がけ、便秘を予防することも大切です。

便秘になると腸に溜まった便が膀胱やカテーテルを圧迫し、尿の流れを悪くしたり、尿漏れの原因となったりするので、食物繊維を多く含む食品や発酵食品を積極的に取り入れ、規則正しい排便習慣をつけてください。

日常生活でのチェックポイント

  • 水分摂取: 1日1.5L〜2Lを目安にこまめに飲む(医師の指示範囲内で)。
  • バッグの位置: 常に腰(膀胱)より低い位置を保つ。
  • チューブの状態: 折れ曲がり、圧迫、ねじれがないか確認する。
  • 清潔保持: 入浴や清拭で陰部を清潔に保つ。
  • 便通管理: 便秘にならないよう食事や運動に気をつける。

訪問看護を利用するメリットと導入までの流れ

膀胱留置カテーテルの管理に訪問看護を利用することは、患者さんご本人だけでなく、ご家族にとっても大きなメリットがあり、専門家による定期的なケアと見守りは、在宅生活における不安を安心へと変える力となります。

介護者の負担軽減と安心感の提供

ご家族がカテーテルの管理を全て担うことは、精神的にも肉体的にも大きな負担となり、消毒はこれで合っているのか、何かあったらどうしようというプレッシャーは計り知れません。

訪問看護を利用することで、カテーテル交換や洗浄といった専門的な処置を看護師に任せることができ、また、日々の観察ポイントやケア方法について具体的な指導を受けることができるため、自信を持って介護にあたれるようになります。

何より、24時間相談できる専門家がすぐそばにいるという安心感は、介護者のストレスを大きく軽減し、休息にもつながります。

訪問看護を利用する主なメリット

  • 専門家による安全な医療処置が自宅で受けられる
  • 24時間体制での相談・緊急対応が可能(ステーションによる)
  • トラブルの早期発見と予防につながる
  • 介護者の精神的・肉体的負担が軽減される
  • 医師との連携がスムーズになり、適切な医療を受けやすい

訪問看護サービス開始までの相談手順

訪問看護の利用を希望される場合は、まず担当のケアマネジャー(介護支援専門員)または主治医にご相談ください。入院中の方は、病院の地域連携室や相談員に相談することもできます。

相談を受けたケアマネジャー等は、ご本人の状態や希望に合わせて、訪問看護ステーションを探し、調整を行います。利用したい特定のステーションがある場合は、直接ステーションに問い合わせることも可能です。

費用負担を軽減する公的な医療保険制度

訪問看護は、公的な保険制度(介護保険または医療保険)を利用して受けるサービスです。どちらの保険が適用されるかは、患者様の年齢や疾患、要介護認定の有無によって決まります。

原則として、65歳以上で要介護・要支援認定を受けている方は介護保険が優先されますが、末期の悪性腫瘍や難病など、厚生労働大臣が定める特定の疾病等の場合は医療保険の対象です。

40歳未満の方や、40歳〜64歳で特定疾病に該当しない方は医療保険を利用します。いずれの場合も、かかった費用の1割〜3割(所得や年齢による)が自己負担となります。

一定の負担上限額を超えた場合に払い戻しを受けられる高額療養費制度なども利用できるため、経済的な負担を抑えながら必要なサービスを受けることが可能です。

よくある質問(FAQ)

ここでは、膀胱留置カテーテル管理に関して、患者様やご家族からよく寄せられる質問にお答えします。

カテーテルを留置したままお風呂に入っても大丈夫ですか?

清潔を保つために、お風呂は推奨されています。 入浴時は蓄尿バッグを膀胱より低い位置に置くか吊るし、湯船のお湯が排出口に触れないように注意してください。

体を洗う際はカテーテルを引っ張らないように優しく洗い、入浴後は水分をしっかり拭き取ることが大切です。

蓄尿バッグの尿はどのくらいの頻度で捨てれば良いですか?

尿がバッグの8分目程度溜まったら、または外出前や就寝前など、ご自身の生活リズムに合わせて定期的に捨ててください。

尿を溜めすぎると重みでカテーテルが引っ張られたり、尿が逆流して感染の原因になったりする可能性があります。捨てる際は排出口を不潔にしないよう注意し、終わったら排出口をアルコール綿などで消毒することが大切です。

尿の色がいつもより濃くて臭いも強い気がします。どうすれば良いですか?

尿路感染症の初期症状の可能性があるので、まずは水分を多めに摂り、様子を見てください。

水分を摂っても改善しない、または発熱、腰痛、体のだるさなどの症状が加わった場合は、すぐに訪問看護ステーションやかかりつけ医に連絡してください。早期の対応が重要です。

訪問看護師さんはバルーン交換以外に何をしてくれますか?

身状態の観察や、日常生活でのケア方法のアドバイスなど、療養生活全般を支援します。 清潔ケアの指導、蓄尿バッグの管理方法の確認、排便コントロールの相談、食事や水分摂取のアドバイスなどを行います。

また、介護者の方の不安や悩みの相談にも対応し、安心して在宅生活が送れるようサポートします。

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以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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